――キティと米国ロックバンドKISS(キッス)とのコラボ商品も話題になりました。長い舌を出したキティのデザインは衝撃的でした。
キティ自体に口はありませんが、あの舌はキティが変身したときのコスチュームの一部なんでOKなんです。かつては、キティに口が描かれていたこともありましたが、ファンの評判がとても悪くて、以来、口は描いていません。
そもそも、キティが変身するきっかけになったのは「ハチになったらかわいいのに」という、女子高校生の一言でした。そのときは「何言ってるんだろう?」と思いましたが、それで98年にキティを蜂に変身させてデビューさせたのが話題となり、後の「ご当地キティ」の変身バージョンにもつながっていきましたね。
――キティ肉まんやキティモデルのロボット掃除機も。ライセンス供与にNGはあるのですか。
人を傷つけるようなポーズをさせたり、持たせたりするデザインはダメです。本当にびっくりしちゃうんですけど、大麻の葉っぱを持ってたり、注射器でクスリを打っている風だったりとか。そんな案を持ってこられたこともあるんですよ。ファンの気持ちを踏みにじるような提案には「冗談じゃない」って怒ることもあります。
――キティファンは全世界に拡大しています。
世界中どこに行っても、ファンの受け止め方に変わりはないですね。ドバイでアバヤ(黒い民族衣装)を着ている女性たちが、サイン会に並んでいるのを見たときは驚きました。でも、その下には派手なキティのTシャツを着ているんです。ドバイにも時代の変化が訪れつつあると感じました。
――これからの挑戦は。
スーパーヒーローのイチゴマンに、男の子も賛同してもらえるとうれしいですね。イチゴマンはメルヘンではなく、これまでのサンリオになかった、戦うキャラなんです。アニメ化ももちろんですが、テレビの実写版ヒーローものが最終目標です。
キティは、再来年の誕生40周年に向けていろんなことを考えています。まずは、キティをNHK紅白歌合戦に出演させてやりたいですね。もちろん、歌手の後ろで踊るのではなく、一人の歌手としてですよ。
――常に結果を出しています。
キティは自分のオリジナルキャラクターではなかったし、どちらかというとファンでもなかった。だから、みんなの声を聞いて育てていこうという「使命感」で、やってこられたのだと思います。
私は過去を振り返らない性格。同じことの繰り返しは嫌なんです。自分のしたいことを確実に実現するには、だれと知り合って、どうすればいいのか。そうやって、いつも「次」の新しいことを考え続ける「ネクスト・ワン」でありたいと思っています。
(文/冨森ひな子)
(更新日:2012年11月27日)
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