NHKスペシャル「追跡!世界キティ旋風のナゾ」(その16)
テーマ:ハローキティそれを可能にしたのも、他ならぬ山口裕子さんだった。
実は、山口さんはキティの3代目のデザイナー(注:初代・清水侑子(1974~1976)、2代目・米窪節子
(1976~1980)、3代目・山口裕子(1980~) )。
就任した当時、キティは売れないキャラクターだった。
子どもたちの評判も、いまひとつだった。
山口「キティちゃん好き?」
子ども「ううん。あんまり…」
山口「どうしてキティちゃん好きじゃないの?」
子ども「なんか、冷たい感じがするし…」
山口「そうかぁ」
どうして冷たいと言われてしまうんだろう。
ぬいぐるみを手にした山口さんは、あることに気がついた。
デザイン画の太くて黒い輪郭線。
ぬいぐるみにはない。
これを消せばいいのかも。
しかし、ある不安が頭をよぎる。
それは彼女が入社したばかりの頃の記憶だった。
先輩デザイナーがキティの顔を切り離し、体だけを書いていたのだ。
山口「『どうして元から書かないんですか?』って聞いたら、『キティちゃんは、顔をいじっちゃいけないって、
初代の人に言われているから』なんだって聞いたんですけど」。
確かに、それまでのデザインを見ていると服やポーズは変えているものの、顔は全く同じだ。
しかし、山口さんは決断する。
子どもたちに受け入れてもらうには、顔のデザインを変えるしかない。
出来上がったのが、この右のデザイン。
太い輪郭線をなくし、顔の向きも少し変えた。
「変えなければダメなんですよ。そのときにこれを作っていなければ、私はもうキティはマンネリ化して、
その時点で終わっていたと。輪郭を取ったりとか、いろいろこうしていなければ完全にアウトだったでしょうね。
と思いますね」。
いまや日本を代表するロングラン・キャラクター、それを支えたのは、山口さんのピンクを貫いた信念と、
世の中のニーズを絶えず取り込み続ける柔軟な姿勢だ。
小学生の頃、キティファンになったという神田うのさん。
37歳になった今も、グッズを集めている。
「他のキャラクターって、その世界観があって、その世界観だけの世界観。その時、バチッと合っても、やっぱり
流行って古くなって、ファッションもそうだし、全部すべてが。キティちゃんの顔自体はそのままでも、
そのキティちゃんがその世界観みたいなものっていうのは、毎回毎回、こう作品としてどんどん新しく