■欧州財政危機が深刻化
2009年に始まった欧州財政危機は今年も世界経済の足かせとなった。スペインは今年6月、最大1000億ユーロ(約11兆円)規模の銀行支援を求め、欧州中央銀行(ECB)が無制限の国債買い取りを決めたことで、欧州経済は何とか崩壊の危機を免れた。しかし、スペイン、ギリシャの青年層の失業率が55%を超えるなど、事態収拾のめどは立っていない。そうした状況下で、ギリシャでは極右政党「黄金の夜明け」が台頭。フランスでは社会党が17年ぶりに政権を獲得するなど、欧州の政治情勢が大きく変化した。
■険しい中東民主化の道、シリアで4万4000人死亡
中東各国の民主化プロセスが危機に直面し、対立が激化していることは、民主主義の定着がどれほど難しいかを見せ付けた。エジプトでは初の自由選挙でモルシ大統領を選出したが、大統領の権限強化を掲げる新憲法制定宣言と憲法改正に向けた国民投票をめぐり対立が激化している。シリア内戦は泥沼化し、これまでに4万4000人以上が死亡した。昨年アラブの独裁者が相次いで政権を追われた「アラブの春」に対し、今年は「アラブの冬」という言葉は生まれた。
■米国で銃乱射相次ぐ、規制論浮上
米国では大規模な銃乱射事件が相次いだ。4月にはカリフォルニア州のオイコス大学で韓国系の男が学生を銃撃。7月にはコロラド州で白人男性が映画館で銃を乱射し12人が死亡した。8月にはウィスコンシン州ののシーク教寺院で白人優越主義者が銃を乱射。12月にはコネチカット州で孤独なゲーム中毒者が小学校に侵入し、6-7歳の児童20人を含む27人を殺害して自殺した。事件を契機に米国では銃規制の動きが本格化している。