中国 ＮＹタイムズ記者のビザ更新せず

1月1日 20時28分

アメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」は、北京駐在の記者が、中国当局によってビザが更新されなかったため滞在できなくなったことを明らかにし、去年、温家宝首相の親族が巨額の資産を保有していると伝えたことへの報復だという見方を示唆しています。

「ニューヨーク・タイムズ」が先月３１日明らかにしたところによりますと、北京に駐在する４５歳の男性記者は、中国当局がビザの更新に応じなかったため、中国本土に滞在できなくなり、このほど、家族とともに香港に出ました。
外国人記者の受け入れ窓口である中国外務省は、ビザを更新しなかった理由を説明していないということです。
ただ、「ニューヨーク・タイムズ」は、中国共産党大会が開かれる直前の去年１０月、温家宝首相の親族が、保険会社の株式など総額で２７億ドル相当（日本円で２３００億円余り）の秘密の資産を保有しているなどと伝えています。
これに対して、中国外務省が非難し、温首相の親族も報道内容を否定する異例の声明を出したといういきさつがあります。
こうした背景を踏まえて、「ニューヨーク・タイムズ」は、温首相の親族の資産に関する記事を出して以降、自社のインターネットサイトが、当局の措置によって中国国内で閲覧できなくなったことなどを指摘し、今回、記者のビザが更新されなかったのは、記事に対する中国側の報復だという見方を示唆しています。