今年の財界に共通する単語を挙げるとすれば「不況」だ。今年1月に「不況」という単語が含まれた記事は46本だったが、下半期に入って急増し、11月には125本を数えた。輸出企業、内需企業を問わず、全体的に景気が悪化したことを端的に示している。
こうした状況下で、熊津グループの尹錫金(ユン・ソックム)会長のようにグループ解体を目の当たりにしなければならない悲運の経営者も生まれた。一方で、攻撃的な経営で成果を上げた企業人もいた。
■逆転の発想
企業の合併・買収(M&A)の実績面で見れば、ロッテの辛東彬(シン・ドンビン)会長をまず挙げなければならない。今年最大の企業買収案件に数えられるハイマート買収(買収額1兆2480億ウォン=約999億円)をはじめ、グランド百貨店の霊通店、仁川桂陽店を1540億ウォン(約123億円)で買収するなど、活発なM&Aを行った。
また、ライバルの新世界百貨店仁川店が入居する仁川ターミナルの土地、建物を取得するのに8751億ウォン(約700億円)を投じた。契約通りに進めば、2017年には現在の新世界仁川店の場所にロッテ百貨店が建つ。
このほか、ロッテは鉄鋼大手ポスコが売却するベトナムのダイヤモンドプラザ、大宇百貨店(慶尚南道昌原市)、セントラル・スクエア(釜山市)などを一括して買収する方向で交渉を進めている。
ライバルの新世界が今年10月、ソウル江南店が入居するセントラル・シティーの株式60%を取得し、年末に大規模な人事異動を実施したことも、ロッテの攻勢に反撃する陣容を整えるためとみられている。
業績面ではサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長、崔志成(チェ・ジソン)未来戦略室長(副会長)、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長、現代自動車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長、鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長も財界をリードした人物だ。サムスン電子は営業利益が昨年第4四半期(10-12月)の5兆2960億ウォン(約4240億円)から今年第3四半期(7-9月)の8兆1250億ウォン(約6500億円)に増えるなど記録を更新中だ。