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【社会】

東通原発 「敷地に活断層」結論 規制委チーム 東北電の反論否定

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 東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県東通村)の敷地内に活断層がある可能性が高いとの判断を示した原子力規制委員会の専門家チームは二十六日、二回目の評価会合で東北電の反論を聴いた。東北電は活断層はないとの従来の主張を示したが、専門家は「とても活断層を否定できない」との意見で一致し、判断は変わらなかった。

 チームは前回の会合で、新しい年代の地層の乱れや周辺地形のゆがみから、敷地内にある多数の断層は活断層の可能性が高いとの意見で一致した。

 東北電の担当者は、表層部にはずれがあっても、深い地層はずれていない場所が多いことや、断層活動以外でも説明できることを、活断層を否定する理由に挙げた。

 これに対し、島崎邦彦委員長代理やほかの有識者は「活断層の可能性がないと証明しないと、疑いが残る」と何度も明確な否定理由を求めたが、東北電は「今は示せない。追加調査をする」と説明するにとどまった。

 島崎氏は議論をいったん打ち切り、活断層の可能性大との報告書をまとめ、年明けにも規制委に提出する考えを示した。

 東通原発の場合、活断層は重要施設の真下にないが、断層が原子炉建屋に近く、地震の揺れを想定することが極めて難しい。追加調査で活断層を否定する明確な証拠が出るか、耐震性が十分だと規制委に認められないと再稼働の可能性はない。

◆電力甘い安全意識 委員「それで原子力扱えるのか」

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 東通原発の断層をめぐる評価会合では、原発の安全性に対する電力会社の甘い認識があらためて浮かび上がった。東北電は活断層でない明確な証明を求められているのに、「これでも説明できる」式のあいまいな答え。専門家からは「それで安全に原子力を扱っていけるのか」と怒りの声まで出た。

 「またご注意いたします。活断層の可能性はない、ということを示してほしい」

 会合の中盤で、規制委の島崎邦彦委員長代理は、地層の乱れは地下水で岩盤が膨らんだことでも説明できる、との東北電のあいまいな説明に、しびれを切らしこう注意した。

 専門家から突きつけられた疑問は明確。敷地内の地形のゆがみや地層の乱れは、活断層では説明できないと言えるのか、地下水による地層の乱れは世界各地で見つかるものなのかどうか−。

 だが、東北電は、地下水を活断層を否定する根拠にしているにもかかわらず、「トンネル工事などでみられる現象」「家屋の地盤がゆがんだ実例はあると小耳に挟んだことがあるが、規模が大きなものとなると、探しあぐねている」などの答えに終始した。

 その様子に、佐藤比呂志・東京大学教授は「実例も示さず、最初から活断層の可能性はないと決めている。そういう姿勢で危険な原子力を扱っていけるのか」と憤った。

 ほかの専門家も東北電のデータは不十分との考えを示し、島崎氏が会合を締めくくろうとした瞬間、東北電の担当者は慌てて「不十分な点がまだある」と追加調査で明確なデータを示す考えを示した。 (小野沢健太)

 

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