原発:全国で10基超が防火に不備 可燃性ケーブルを使用

毎日新聞 2013年01月01日 02時30分

重要機器やケーブルが近接し問題がある原発(概念図)
重要機器やケーブルが近接し問題がある原発(概念図)
延焼防止剤を塗った可燃性ケーブル
延焼防止剤を塗った可燃性ケーブル

 火災対策上の不備が指摘される原発が、全国に十数基あることが分かった。原子力規制庁と経済産業省の関係者がそれぞれ明らかにした。配線に可燃性電気ケーブルを使用したり、安全上重要な機器が近接して設置されたりして延焼の恐れがあるという。事態を重視した経産省資源エネルギー庁は既に調査を開始し、原子力規制委員会も近く電力各社からヒアリングする。経産省はケーブル交換や設備改修に時間がかかり数年単位で再稼働が遅れたり、高コストから廃炉になったりするケースがあると想定している。

 原発の許認可を巡っては75年12月以降、安全上重要な部分に燃えにくい「難燃性」と呼ばれるケーブルを使用し、延焼を防ぐために適切な距離をおいて機器を設置することなどが定められた。ただそれ以前の原発には規制がなく、改善するかどうかは事業者任せで対策が放置されてきた。

 電力各社に取材したところ、安全上重要な部分にビニールやポリエチレンなどの素材でできた可燃性ケーブルを使用しているのは全国50基のうち13基=表参照。ケーブル表面に延焼防止剤と呼ばれる特殊な樹脂などを含む塗料を塗っており、各社は「難燃性ケーブルと同等の性能がある」と説明する。しかし規制庁と経産省の関係者は「延焼防止剤自体は燃えないが中の可燃性ケーブルは燃える。経年劣化もありうる。同等と認められず、防火上大半に問題があり、改修が必要だ」と話す。

 制御棒の操作や炉心冷却、事故時の計器監視など「安全系」と呼ばれる重要な装置を作動させるシステムへの火災対策に問題があるケースもある。安全系では一つの電気系統で火災が起きダウンしても、もう一方を生かす「系統分離」が重視されている。しかし、一部の原発では2系統の電気ケーブルがすぐ近くに敷設されたり、冷却用ポンプなど重要機器が並ぶように設置されたりして同時に燃える危険性がある。規制庁と経産省の関係者は、いずれも十数基で不備が見つかるとみている。

 難燃性ケーブルと系統分離は規制委が7月までに策定する新安全基準に盛り込まれる見込み。ケーブルの長さは1基当たり1000〜2000キロ。このうち安全上重要なものだけで数百キロある。改修が必要なら1年以上かかり費用も高額。コストが回収できず、廃炉に追い込まれるケースも想定されるという。【小林直、太田誠一】

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