「未定」(タイトルは、書きながら決めます。)
「行ってくるよ。」
そう言って、私は家を出た。
何か予定がある訳では無かった。只、家に居たくないだけだった。
自転車を漕ぎながら私は考えた。昨日の夜、由理の中に出した私の子供達は、しっかり受精するのだろうか。由理の気持ちを思えば入籍すべきなのだ。
烏が阿呆らしげに鳴いた。それはまるで自分の呻き声のようだった。
「お金の話はしたくないの。」
と、昨日の夜、由理は言った。私はパイナップルのようになった頭で必死に考え、
「俺は、一体どうすれば良い。」
と、由理に聞いた。
私は自転車に乗りながらロングラークに火をつけた。一服吸い込むとニコチンとタールが一気に前頭葉に回り、とげとげしていた神経がすっと鎮まった。
そして、私は自転車を停めた。
「いらっしゃい。」
いつもの親父の声がした。
私は席につくなり「麻婆豆腐とレモンサワー。」と、言った。