CDレビュー ゴシックメタル
〜Gothic Metal
        by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています
*画像があるのは比較的オススメのものです

M

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、
納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。


*ゴシックメタル名作特集   音楽ページTOP 

*非メタル系ゴシック、タ゜ークアンビエントはこちら


A

AD VITAM AETERNAM「ABSTRACT SENSES」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、アド・ヴィタム・エターナムの1st。2004作
AKINといいPENUMBRAといいフランスではゴシックメタルが盛んらしい。このバンドも男女Voと、
壮麗なシンセ、ギターをメインにした、シンフォニックかつ耽美な雰囲気をたっぷりかもし出している。
ソプラノ女性ヴォーカルの歌声も美しく、デス声との対比が美と醜のコントラストを作り出していて、
全体的に「ゴシックメタルかくあるべし」、というサウンド。ギターの煽情フレーズもなかなかで、
美麗なキーボードとの絡みはハンガリーのEVEN SONGあたりを思い出す。
プロダシクョンの質やジャケのセンスを向上させれば一線級のバンドにもなれそう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AESMA DAEVA「THE EROS OF FRIGID BEAUTY」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエバの2nd。2001作
メンバークレジットを見ると、女性Vo、シンセ、ギターなどの他にトランペットやヴァイオリン、
フルートにトロンボーン、はてはフレンチ・ホーンなどというゲストもいる。
肝心のサウンドの方は、クラシカルな雰囲気だがメタル色もあり、シンセやピアノ、
場面によってそれぞれの楽器が鳴る中を、夢見がちな女性の歌声が響くというもの。
プロダクションが甘く、レコーディングのせいか楽器数のわりに音の広がりが少ないのが残念。
意気込みと中世風の壮大な世界観は伝わってくるので、あとは曲のアレンジと録音にお金をかけて欲しい。
シンフォニック度・・7 中世風クラシカル度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7
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AESMA DAEVA「THE NEW ATHENS ETHOS」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエバの3rd。
ダークでクラシカルな雰囲気に、女性Voの怪しげな歌唱。
相変わらずドラムは打ち込みだが、前作よりもギターの使用度が高いか。
ソプラノVoの歌唱も悪くないし、壮大で崇高な世界観を描こうとしているのはいいが、
この手の雰囲気ものとしては、まだまだ音に説得力がともなっていない気がする。
途中トランベットやフルートなども入り、プログレ的な構成もなかなか面白いのだが、
やはり録音の弱さで、全曲聴き通させるだけのパワーが音にないのが残念。
荘厳度・・7 ゴシック度・・8 サウン度・・7 総合・・7
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AESMA DAEVA「Dawn of the New Athens」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエバの4th。2007作
これまでは神秘的なゴシックサウンドながらリズムが打ち込みであったのだが、
本作ではドラマーも加入しバンド態勢となったことで、メタリックな質感が増した。
コンセプト的には前作「THE NEW ATHENS ETHOS」の続編らしく、
妖艶なソプラノ
女性ヴォーカルの歌声を軸に、どこか頽廃的な世界観を描き出す。
クラシカルでオペラティック、そしてときに演劇でもあるようなサウンドは、
ややドゥーミィで煮え切らないマニアックな感触もありつつも、なかなか魅力的だ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AFTER FOREVER「DECIPHER」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエバーの2nd。2001年作
1stの段階から耽美派ゴシックメタルとして相当の完成度を持っていたバンドだが、
この2ndでは女性Voをフロントに押し出し、よりクラシカルで格調高いサウンドとなっている。
これならデス声が苦手な人でも聴けるだろうし(ただし時々デス声入ります)、
ヴァイオリンやオーボエの使用など、室内楽的クラシカルさにも嘘臭さは無く、
こうした本格派の要素はむしろプログレファン向けの音作りともいっていいかもしれない。
ソプラノ女性ヴォーカルの歌唱もオペラチックでかなりの実力がある。
メロディに明快さがない分つかみに欠けるものの、仕上がりは前作よりも上だ。
 クラシカル度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER「Exordium」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーのミニアルバム。2003作
3rd「INVISIBLE CIRCLES」の前に出された音源で、当時の新曲4曲にカヴァー2曲という構成。
まさにバンドとして充実の時期にあるサウンドらしく、耽美なシンフォニックさとゴシックメタルとしての
重厚さを含めてセンスよく仕上げられている。フロール嬢の堂々たるソプラノヴォイスもさすが。
付属のDVDにはビデオクリップやメイキング、レコーディング風景などの映像を収録。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER「INVISIBLE CIRCLES」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエバーの3rd。2004年作
1stからクオリティの高い、ゴシックメタルアルバムを作り続けていたこのバンド、
この3rdにしてさらにクラシカルに、シンフォニックに、王道のゴシックメタルを突き進んでいる。
説得力を増した
フロール嬢の絶品のソプラノヴォイスに、咆哮するデス声とのコントラストも鮮やかで、
静と動、美と醜という、楽曲のメリハリの面でも過去最高の仕上がり。クラシカルなストリングスの音色が
サウンドを盛り上げつつ、ギターリフはしっかりとメタルしていて、全体的に重厚さを保ちながら
「現代の家族の愛憎」というシリアスなコンセプトを練り上げている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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AFTER FOREVER「REMAGINE」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの4th。2005年作
前作のシリアスなコンセプト作の完成度には目を見張るものがあったが、
今作はジャケの雰囲気からして耽美派ゴシックから一歩踏み出したようなイメージだ。
オペラティックな
フロール嬢のヴォーカルは、オーケストレーションとコーラスの中でいっそう堂々とした光を放ち、
楽曲はクラシカルな質感を残しつつも、デジタリィでモダンなキーボードアレンジとヘヴィな音像によって、
型にとらわれないシンフォニックメタルサウンドを作り出すことに成功している。
初期の薄暗い雰囲気はなくなりつつあるが、ある意味、NIGHTWISHに近い聴きかたが出来るバンドになった。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの5th。2007年作
初期の耽美なゴシック世界から前作ではモダンなアレンジにシフトをしてNIGHTWISH化を感じさせたが、
続く今作ではセルフタイトルを冠したことからも、いわばバンドの集大成的な内容といえる。
彼らの特徴であるシンフォニックかつダイナミックなオーケストラルなアレンジは健在で、
前作でのモダンさを残しつつも、重厚でメタリックな味わいをしっかり感じさせてくれる。
それにともないフロール嬢のヴォーカルはいよいよオペラティックな説得力を増し、
かつてのNIGHTWISHのターヤ並みの存在感を放っている。
音の厚みと壮麗な美しさで聴かせる、シンフォニックゴシックメタルの傑作アルバムだ。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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AHABThe Call of the Wretched Sea
ドイツのドゥームゴシックメタルバンド、エイハブの2006年作
エイハブ船長をバンド名にしていることからも、「白鯨」をテーマにしたアルバムらしい。
MIDNATTSOLのメンバーも参加しているということだが、こちらはゴシックというよりは
ヘヴィなギターリフと低音デスヴォイスが響きわたる、スローでドゥーミーなサウンド。
曲はほとんどが10分以上の大曲で、どれも
沈み込むような重さと暗さがあるフューネラルスタイルだ。
しかしただヘヴィなだけでなく、暗がりの中にかすかな叙情性を有しているので、
絶望的なドゥームメタルでありながらも、どこか物語的な幻想美が感じられる。
この鬱屈としたサウンドに身を浸せるかどうかで、好き嫌いが別れる作品だろう。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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AHABDivinity of Oceans」
ドイツのドゥームゴシックメタルバンド、エイハブの2009年作
「白鯨」の船長をバンド名に、沈み込むようなフューネラルドゥームを聴かせるこのバンド、
本作もゆったりとしたヘヴィさと、ダークなもの悲しさをたたえたドゥームメタルサウンドだ。
絡みつくようなギターリフに唸りのようなデスヴォイスが重なりつつ、
スローテンポの曲調の中に、どこか幻想的なムードをかもしだしている。
ギターのフレーズにはメロディを感じさせるので、ダークながらも案外聴きやすい。
暗黒の海、絶望の航海、恐ろしげな海の怪物、そんなものをイメージできる作品だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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AKIN「VERSE」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、アキンの2001年作
エレゴシック一歩手前のかなり聴きやすい演奏に女性Vo+デス声というサウンド。
ギターはかなり煽情的なフレーズを奏で、アコギやフルート、シンセなどもよい味を出している。
メタル色の薄い(ザクザクリフがあまり出て来ない)楽曲にデス声が必要なのかどうか、
という論議もできそうだが、ゴシック色の維持という点では多少の効果はある気もする。
あとは曲自体の展開に工夫を凝らして欲しいが、このまま「聴きやすい女声メタル」を
追求していって第二のTHE GATHERING、PALE FORESTを目指すのもよろしい気もする。
聴いていてやはりアコースティック系のセンスが良いのでこうした「引き」の音を伸ばしてほしい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5

AKIN「FORECAST EP」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、アキンのミニアルバム。2003作
新曲3曲に、1stからのリメイク2曲、カヴァー1曲(MOONSPELL)という内容。
方向性、男女Voのゴシックとしてはなかなかの出来だった1st「VERSE」に比べ
もう少しモダンなアプローチで、曲によってはむしろプログレ的な軽やかさもある。
美声の女性Voをメインに、ゴシックというよりはアンビエントなロックという方向に
ゆきつつあるようで、こうなるとデス声の出番も必然的に減ってしまうのだろう。
2ndフルでどうなるのかが、楽しみであり、少々不安でもある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AKINWay Things End」
フランスのゴシックメタルバンド、アキンの2011年作
フルアルバムとしてはなんと10年ぶりとなる2作目。サウンドの方はメタル色は薄まり
2003年のミニアルバムの延長上と言える、モダンでプログレ的なアプローチが強まった。
艶やかなストリングスの音色も美しく、クラシカルでお洒落なゴシックロックという趣で、
キュートな
女性ヴォーカルの歌声とともに、アンニュイな叙情を表現している。
ゴシックメタルというよりも、むしろPaatosWHITE WILLOWなど、
プログレ方面の女性Vo好きリスナーにもアピールする内容だろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALAS「ABSOLUTE PURITY」
MORBID ANGEL〜HATE ETERNALのGエリック・ルータンによるゴシックメタルバンド、アラスの2001年作
ゆったりしたメロデス系ギターリフの上にTHERIONへも参加したソプラノ女性シンガーが歌を乗せる。
オペラティックな女性声は曲に優雅な浮遊感をもたらし、バックのへヴィギターと対照的。
キーボードはほとんど使用されず、あくまでギターリフが中心なこともあり、
曲展開は意外とあっさり目で、盛り上がりやメリハリは抑えられ、ゴシックというよりは
少し単調なメロデス風か。そこに天上の美声ソプラノというミスマッチ感が面白いといえなくもない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALIGHT「Dont Fear The Revenge」
イタリアのゴシックメタルバンド、オライトの2010年作
Tristaniaのマリアンジェラ嬢がかつて在籍していたというバンドで、
モダンなシンセワークをたっぷり盛り込んだ、シンフォニックなゴシックメタル。
デジタリイなエレクトロ風味と、ヘヴィなギターが面白いコントラストとなっていて、
まだ10代という
サビーナ嬢の歌声は、表現力という点ではまだまだだが、
ナチュラルな魅力があって今後が楽しみである。あとはメロディ、楽曲の魅力と
全30分強という短さがアルバムとしてはやや物足りないか。さらなる成長に期待。
シンフォニック度・・8 エレゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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All Ends
スウェーデンの女性Voメタルバンド、オール・エンズの2008作
二人の
女性ヴォーカルを擁するメジャー感のあるゴシック風ハードロック。
もともとIN FLAMESのイェスパーが中心となって結成されただけあって、
時折聴かせるライトなメロデス風のツインギターもなかなか魅力的だ。
しかしながら、サウンドにはキャッチーな歌メロを中心にしたコンパクトさがあり
メタルのみならずモダンなヘヴィロック系のリスナーにもアピールするものがある。
個人的にはもう少しゴシック的な叙情が欲しい気はするが、安心して聴ける質の高さはある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL ENDSA Road to Depression」
スウェーデンの女性Voメタルバンド、オール・エンズの2nd。2010年作
もともとIN FLAMESのイェスパーとビヨルンが中心となって結成されたバンドで、
前作は二人の
女性ヴォーカルを擁するゴシック風味のハードロックであった。
本作では、女性Voの片方が交代しているが、サウンド的には大きな変化はない。
ゴシックというよりはもっとメジャー感のある、ヘヴィロック/ハードロックで、
適度にシンセによるモダンな味付けがなされている。楽曲には前作以上の叙情があり、
二人の女性ヴォーカルの歌声も含めて、アルバムとしてのクオリティを高めている。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AMARAN「A WORLD DEPRAVED」
スウェーデンの女性Voゴシックメタルバンド、アマランの1st。2002作
ゴリゴリのヘヴィメタリックなギターリフにアンニュイ系の女性Voの歌が乗るサウンド。
この重厚さはゴシックというよりは、ある意味デスメタルに通じる演奏である。
かつてのTHE GATHERINGに通じるイメージだが、このザクザク感はずっとメタル的。
ただ曲の盛り上がりや展開は薄く、淡々としていていさぎよく終わってしまうので、
シンフォニックなゴシックを求める向きには物足りないかもしれない。
これで女性Voがアネク嬢並に魅力的になればずっと良くなると思う。
メロディアス度・・6 ヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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AMARAN「PRISTINE IN BONDAGE」
スウェーデンのゴシック・デスメタルバンド、アマランの2nd。2003作
ヘヴィなギターに女性Voの歌声、咆哮するデス声が合わさり、ゴシック要素を持ちながら
デスメタルとしてのアグレッションも感じさせるサウンドは前作からの延長上にある。
ツインギターが時にメロディアスなフレーズを奏でる様は、ゴシック、デス云々を別にしても
メタルとして普通にかっこよく、このバンドの場合、多くのゴシック系バンドのように
女性Voのみを看板にしている訳ではないということが改めて窺い知れる。
聴き易いメロデスとして、またはアグレッシブなゴシックメタルとしてもお薦めできる。
メロデス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Amartia「Delicately」
フランスのゴシックメタルバンド、アマルティアの2009年作
これが3作めらしい、女性Voにツインキーボード入りの5人組み。
シンフォニックでプログレ的な味もあるシンセと、
女性ヴォーカルを中心に
アンニュイな雰囲気で聴かせるサウンド。それなりにメロディアスで
耳触りはいいのだが、曲自体がどうも盛り上がりに欠けていて煮え切らない。
もっとプログレにするのか、ゴシック的にするのかというのが曖昧な感じで、
いわばこのけだるげな感じがフランスらしいともいうのかもしれないが、
聴いていてどうにももどかしくなる。女性声も含めてそれなりに魅力はあるのだが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


ANATHEMA「Serenades」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの1st。1993作
ヘヴィなギターリフと咆哮するわめき声ヴォーカル、
スローで重く、暗いサウンドは、ゴシックというよりはドゥームメタル。
最近のきらびやかなバンドの音に慣れたリスナーにとっては退屈だろうが、
かつてゴシックメタルとはこういうサウンドだったのだ。
そんな中、当時としては斬新な女性Voを導入した曲はアルバム中でも異色で美しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーミー度・・8 総合・・7

ANATHEMAThe Silent Enigma
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの2nd。1995作
1stの時点ではメロディ要素の薄いドゥーム系のサウンドであったが、この作品から音に耽美な質感が加わりはじめ、
ずいぶん聴きやすくなっている。ドゥーム系の雰囲気はまだ残しているが、曲の作りにメリハリがついて、
彼らの目指す世界観が明確になったことも聴きやすさの一因だろう。次作に比べてまだシンセは控えめなので、
メロディアスな美しさにはやや欠けるが3rd以降のどんどんソフトになってゆくサウンドよりも、むしろ音の迫力がある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーム度・・7 総合・・7.5
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ANATHEMA「ETERNITY」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの3rd。1996作
PARADISE LOSTらとともに英国ゴシックメタルシーンの重鎮バンド。
1stを聴いたときはどうもぴんと来なかったのだが、本作を聴いてみて、このバンドへの評価が変わった。
イントロにおけるピアノの叙情性からして、バンドとしての方向が美しさの方に向いているのが感じられる。
シンセの頻度が上がったことで、ギターとの重なりで音の厚みがぐっと増しており、
そこに乗るもの悲しい男声のヴォーカルとともに、メランコリックなゴシックサウンドを表現している。
空間的な広がりと音の説得力という点では、やはり傑作といいきれるだけのアルバムだ。
そしてPARADISE LOSTと同様、
英国的な翳りある情緒が音に感じられるのもいい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 英国度・・8 総合・・8
<メタル名盤特選入り>
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ANATHEMA「Alternative 4」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの4th。1998作
3rd「ETERNITY」にて美しさで聴かせる耽美派ゴシックの傑作を作り上げた彼ら。
続くこの4作目は、さらにそのやわらかな感触を押し進め、マイルドかつ倦怠の美で聴かせるサウンドへと変わりつつある。
イントロの美しいピアノから引き込まれるが、全体的にもいシンセを上手く使った
ややモダンなアレンジで、英国的なもの悲しくもゆるやかな叙情を聴かせてくれる。
メタル色はかろうじて残っている程度だが、バンドにとってこの深化は自然だったのだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 ゆるやか叙情度・・9 総合・・8
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ANATHEMA「Judgement」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの5th。1999作
4th「Alternative 4」ではメタリックな要素を薄め、倦怠の叙情を聴かせるゆるやかなサウンドへと進化をとげ、
本作ではさらにその路線を押し進めている。ここで聴けるのはもはやゴシックというよりは、薄暗さのあるポストロックという趣で、
マイルドなヴォーカルにうっすらとしたシンセ、そしてメロウなギターフレーズで聴かせる
静かな楽曲は、メタルというよりはむしろプログレの質感に近いかもしれない。
Porcupine Treeへとつながる、英国の薄暗系ロックとして楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「A Fine Day to Exit」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの6th。2001作
ここに来てメタル色はほぼなくなり、むしろプログレ的なサウンドになった。
ヴォーカルの歌声もやわらかくなり、浮遊感のあるシンセとギターを中心に
ゆったりと聴かせるブリティッシュロックとでも言うべき雰囲気である。
しかしながら、彼らならではのほの暗い叙情性はちゃんとあり、
これはこれでちゃんと楽しめる世界観がある。しっとりと耳に心地よいこの音は、
案外PORCUPINE TREE系のリスナーなどにも勧められるものがあるかもしれない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・9 総合・・8
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Anathema 「Resonance」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2001年作
1993年にデビュー、初期のドゥーミィな路線から、しだいにメロディアスに、そして脱メタルをも果たし、
4th以降はむしろプログレのリスナーにも楽しめる、マイルドな薄暗い叙情ロックとなっているが、
本作は未発曲やアコースティックバージョン、ライブ音源などで構成されたベストアルバム的になっている。
繊細なアコースティックギターをうっすらとしたシンセが包み、はかなげな女性ヴォーカルの歌声が美しい。
PINK FLOYDのカヴァーも含めて、企画ものとは思えないトータルな静謐感が楽しめる好作だ。
ゴシック度・・7 メタル度・・1 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Anathema「A Natural Disaster
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの7th。2003作
4thあたりからメタル度を減らし、浮遊感を漂わせたメランコリックな作風へと変化、
本作もほの暗い叙情を含んだゆったりとした聴き心地のサウンドで、
プログレ方面にもアピールする内容だろう。マイルドなヴォーカルの歌声に、
ときにメロウな旋律も奏でるギター、曲によっては女性ヴォーカルや
シーケンサー的なシンセアレンジも含んで、アルバムとしてのメリハリもある好作品だ。
メロウ度・・8 メタル度・・5 叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「We're Here Beacuse We're Here」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2010作
初期のゴシックメタル路線から、しだいにゆるやかな浮遊感をまとったプログレ的な色合いを深め、
5th以降はPorcupine Treeにも通じるような薄暗系のマイルドな作風を確立したこのバンド。本作は
2008年の「Hindsight」以来となる9作目で、ミックスはPorcupine Treeのスティーブ・ウィルソンが手がける。
サウンドにはもはやメタル色はいっさいなく、ゆるやかな叙情で聴かせるマイルドな英国ロックという趣。
ジャケのイメージのように光を感じさせる爽やかさで、女性コーラスとうっすらとしたシンセが優しく包み込む。
どう考えてもプログレコーナーに置いた方がいいような内容ですな。じつに美しい作品だ。
メロウ度・・9 メタル度・・3 叙情度・・9 総合・・8
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Ancient WisdomAnd the Physical Shape of Light Bled
スウェーデンのゴシック・ブラックメタルバンド、エンシェント・ウィズダムの2000年作
NAGLFARBEWITCHEDのメンバーによるプロジェクトということだが、詳細は不明。
ブラックというよりは、ゴシックメタル的な雰囲気で、ゆったりめのテンポで聴かせるサウンドで、
シンフォニックなシンセとメロディアスなギターの絡みがなかなかよろしい。
クラシカルなピアノなども効果的で、ゆったりと耽美な世界観を描きだしている。
北欧らしいメランコリックな質感はKATATONIAなどのリスナーにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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ANGEL「A WOMAN'S DIARY-CHAPTER T」
ノルウェーのゴシックメタルプロジェクト、エンジェルの2000年作
Voのヘレナ嬢はTRAIL OF TEARSの初代Voであり、現在はIMPERIAでも活動中。
サウンドの方はメタル色は抑えめで、アコースティックな要素もあるしっとりとしたシンフォゴシック系。
WITHIN TEMPTATIONLEAVES' EYESに負けじとこの路線で来たのかどうかは知らないが
曲は案外地味めなので、彼女の声のファンでないとややつらいかもしれない。
どんな歌いかたをしても実力のある歌い手なので、それなりに聴かせてしまうが、
上記の2バンドに比べるとインパクトは弱いのは否めない。
ただ…どうしてもこのフェミニンなジャケにつられるリスナーも多いだろうが(笑)
ヘレナ嬢の喘ぎ声が聴けるGや、シアトリカルな狂気の混じったHあたりはある意味聴きどころ
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ANGTORIAGod Has a Plan for Us All
イギリスの ゴシックメタルバンド、アングトリアの2006年作
CRADLE OF FILTHの女性コーラスなどで活躍した女性Vo、
サラ嬢をフロントに、
Tommy Rehn(MOAHNI MOAHNA)、Chris Rehn(ABYSSOS)の兄弟を中心としたバンドで
ゲストには、TIME REQUIEM/Space OdysseyのRikard Andersson、CRADLE OF FILTHのBなどが参加。
のっけから、シンフォニックなキーボードとオーケストレイション、男女コーラスの荘厳な雰囲気に包まれ、
AFTER FOREVERあたりを思わせるクラシカルなゴシックメタルサウンドを期待させる。
メンバーは実力者であるので演奏には力強さがあり、そこに乗るサラ嬢の歌声は
女性にしてはどっしりとした声音で、LEAVES' EYESのような可憐さには欠けるが説得力は充分。
ときおりデジタルなシンセアレンジが、ゴシック的な耽美さを打ち消していて、
メランコリックな雰囲気はあまり感じないのがやや物足りないが、サウンドの壮麗さとクオリティの高さで最後まで聴かせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ANSOTICCA「Rise」
ドイツのゴシックメタル、アンソティカの2010年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、壮麗なアレンジといくぶんモダンなヘヴさに
伸びやかな
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、LACUNA COILタイプのサウンド。
ヘヴィなギターワークとシンフォニックなシンセが合わさって、メロディアスでありながらも骨太の作風。
キャリー嬢の歌声はソプラノというほど高くはないが、キャッチーな爽やかさを楽曲に付加している。
しっとりとした歌声を響かせる曲も美しい。ドイツ版ラクーナという存在になれるか、楽しみなバンドだ。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARISE FROM THORNS「BEFORE AN AUDIENCE OF STARS」
アメリカのゴシック・メタルバンド、アライズ・フロム・ソーンズの2nd。1999作
現在はBRAVEと改名している。サウンドはアコースティック楽器を取り入れたフォーク色もある
女性Voもので、アコギやシンセの上を
ミッチェル嬢の清涼な歌声が心地よい。
サウンドにはときおり変拍子などをまじえたプログレ的アプローチもあり、
またシンセやギターなどにはゴシックメタル的色合いも感じられ、その手のファンにもアピールする。
ケルティックな音だが、アメリカにも多くのアイルランド系移民がいるわけだから
そうした音楽の影響もうなずけなくもない。女性声が魅力的なのがポイント高。
シンフォニック度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ARTROSIS「HIDDEN DIMENSION」
ポーランドの女性Vo入りゴシックメタルバンド、アートロシスの1st(たぶん)。
綺麗な性質の女性Voに、シンフォニックなキーボードで彩られた楽曲はなかなか雰囲気がある。
ドラムが打ち込みのせいかさほどへヴィさはなく、LACRIMOSAのように耽美重視。
前半はやや退屈だったが後半のシンフォニックな曲がなかなかよい。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7

ARTROSIS「IN NOMINE NOCITIS」「IN THE FLOWERS SHADE」
アートロシスの2nd+3rdのBOXセット。ポーランド語盤と英語盤があり、これは英語盤。
まさにゴシックメタルをやるために歌っているようなMEDEAH嬢の表現力ある歌が
シンフォニックなバックの上に、ときに妖しくときに崇高に響き渡る。
ドラムが打ち込みなので演奏の重厚さにかけるきらいがあるが、歌メインと考えればそう気にもならない。
ギターは時折へヴィな音を聴かせ、シンセもゴシック的でクラシカルなストリングス風。
3rdになると音にエレクトロニクス風の雰囲気が強まり、あえて打ち込みリズムを目立たせる作風になっている。
一曲ごとの完成度はさほどないが、曲によっては時折盛り上がるところもある。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 楽曲・・6 総合・・7

ARTROSIS「FETISH」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、アートロシスの4th。2001作
このアルバムでは、よりデジタル風味と静を深めたサウンドとなっている。
もともと打ち込みドラムだったのだが、それを逆手にとったような
デジタルなアンビエント・ゴシックという雰囲気となり、メタルからはいっそう離れた。
たしかに女性Voの表現力は高く、単調なゆったりリズムの楽曲の上でも
聴かせるに十分足る実力だと思うが、やはりシンフォニックさと劇的さが薄れたのが残念。
シンフォニック度・・6 女性Vo度・・8 デジタリィ度・・8 総合・・6

ARTROSIS「MELANGE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、アートロシスの5th。2002作
初期の頃からリズムは打ち込みだった彼らだが、回を追うごとにデジタリィ度を増し
前作あたりからほぼ完全に打ち込み系エレゴシックと化している。
今作からメンバーが3人に減り、
ますます音は薄くなっている・・・(笑)
これで肝心のMEDEAH嬢の歌が素晴らしければ、THEATRE OF TRAGEDYクラスに
なれたのかもしれないが。今更ドラムを入れろとか、シンフォパートを増やせなどとは言わないが、
せめても少し音を厚く、派手にしてはいかがかと思う。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 女性Vo度・・7 総合・・6.5

ARTROSIS「LIVE IN KRAKOW」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスのライブDVD。2002作
ライブ映像を見るのは初めてだが、やはりドラムが打ち込みなのでメタリックな荒々しさや熱気はなく、
ギターが刻んでいてもどこか整然とした印象。観客の方も、満員というわけではなく微妙にまばらで、
曲に合わせてヘドバンするファンもいるが、ただ突っ立っているだけの人も多く、そのへんもメタルらしからぬ雰囲気。
そんな中、VoのMedeah
嬢の美しさは、映像的にまさに紅一点、しっとりとした動きやその表情、端麗な横顔を見ているだけでも嬉しい。
母国語の歌唱は、アルバム同様どこか妖しげで、決してぐいぐいと引っ張って聴かせるタイプではないが、
なんとなくその浮遊感の中に引き込まれる。ある意味、ポーランドというお国柄を表すバンドのひとつだと思う。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 Medeah嬢・・9 総合・・7
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AS DIVINE GRACE「LUMO」
フィンランドの女性Voゴシックメタルバンド、アズ・ディヴァイン・グレイスの2nd。1997作
ドゥーミーでメランコリックなゴシックメタルサウンドに、浮遊感のある美声のソプラノVoの歌唱が重なり
雰囲気としてはとてもよろしい。THE GATHERINGの「MANDYLION」が1996年だったのだから、
1997年の時点ですでにこのサウンドを確立していたというのも素晴らしい。
バックのもの悲しいシンセと、ギターの奏でる哀愁のメロディが重なり
悲しみ系のゴシックとしてはかなりの説得力のあるサウンドである。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AS DIVINE GRACE「SUPREMATURE」
フィンランドのゴシック風女性Voアンビエントロックバンド、アズ・ディヴァイン・グレイスの3rd。
女性Voをメインにしたゆったりとしたサウンドで、メタル色は薄い。
5th以降のTHE GATHERINGのように、たゆたうような夢見サウンドで、
淡々とした叙情がアンニュイな心地よさを誘う。
曲にメリハリはないが、その分アンビエントな女性Voものとしての純度は高い。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・6 総合・・7


ASHES YOU LEAVE「THE INHERITANCE OF SIN AND SHAME」
クロアチアの男女Voゴシックメタルバンド、アシィス・ユー・リーブの3rd。2000作
なかなかヘヴィなギターにヴァイオリン、フルートなどが絡み、
格調高い空気を彩る中をたゆうたような女性Voが歌を載せている。
ときどきデス声も顔を出すが全体としては女性声の比重の方が高く、
バックの演奏とあいまってクラシカルで崇高なサウンドを形作っている。
耽美、というよりは陰鬱系のゴシック(FUNERALあたりに近いか)なので、
プロダクションにもう少しお金をかければ、もっと重厚さと説得力が出てくるはず。
メロディアス度・・7 陰鬱度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7


ASRAI「TOUCH IN THE DARK」
オランダのゴシックメタルバンド、アスライのアルバム。2004作
女性Vo、女性Key、女性Dr(!)を擁する5人組。メンバーに女性3人がいるのも珍しいですが
ブックレットの写真を見るに、皆さんけっこうなお姉様…(^^;)で、ついでに巨乳さんです。
音楽の方は、女性voのゴシックメタル…とても普通の音です。
日本盤が出るだけあって、クオリティはそこそこあるとは思いますが、
女性の歌唱も中音域で、けっこうメタルヴォーカルっぽい感じなので
ゴシックというには耽美度はあまり感じません。
新鮮味はないけど、なかなか聴きやすいゴシックメタルという印象。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


ATARGATIS「NOVA」
オーストリアのシンフォニック・ゴシックメタルバンド、アタルガティスの2nd。2007作
DARKWELLの女性Voが参加しているバンドで、デス声入りのゴシックメタルに、
同郷のEDENBRIDGEに通じるシンフォメタル路線を取り入れたスタイル。
モダンなヘヴィさの楽曲に、
ステファニー嬢のソプラノがなかなか美しい。
女性Voシンフォメタルとして標準的に楽しめるし、この手は決して嫌いではないのだが、
楽曲、アレンジともにまだ独自性が希薄だ。今後ともさらなる質の向上に期待したい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ATROX「MESMERISED」
ノルウェーのアヴァンギャルド・ゴシックメタルバンド、アトロックスの1st。1997作
2nd以降は相当イッてるサウンドになっているらしいが、
この1stでは意外とマトモな男女Voのゴシックメタルをやっている。
北欧らしいもの悲しいギターフレーズに、デス声が乗り、
3RD AND THE MORTALのVoの妹という女性声が彩りを添える。
どっちかというとゴシックというよりはヴァイキングメタルのようにも聞こえる。
最近のバンドに比べて地味で田舎臭い感じがするが、
もしかしてそれに飽きて次作から変貌を開始したのかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・7 女性Vo度・・5 総合・・6.5

ATROX「Contentum」
ノルウェーの女性Vo変態ゴシックメタルバンド、アトロックスの2nd。2000作
変則リズム入りのけっこうテクニカルな演奏の上に
まるで
「気が狂ったケイト・ブッシュ」といった感じのモニカ嬢の歌が乗る。
この歌声は、色っぽいのだか、エキセントリックなのだか、気持ち悪いのだか
…非常にビミョーな線なのだが、バックの北欧らしい透明感のあるキーボードが案外にいい感じだし
ギターもときにややフォーキーなメロディを奏でたりもする。面白さの点では濃密作。
メロディアス度・・7 変態度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATROX「TRRESTRIALS」
ノルウェーの女性Vo・アヴァンギャルド・ゴシックメタルバンド、アトロックスの3rd。2002作
1stの時点ではまだ粗削りの風変わりなヴァイキングメタルといった感じだったこのバンドだが、
2nd以降女性Voをメインとして同時にアヴァンギャルドさを増してゆく。
四人編成となったこの3rdでは歌は完全にモニカ嬢の独壇場となり、
バックの演奏は変則リズムを含めてまるでプログレメタルのようになっている。
また楽曲はほとんどが6分以上と長めになり、浮遊感のある女性Vo(時折しわがれ声入り)が
起伏に富んだ曲の上に歌を乗せるサウンドには不思議な気持ち悪さが感じられ、
変態音楽好きにはきっと素敵に魅力的に聴こえることだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 変態的女性Vo度・・9 総合・・7.5

ATROX「ORGASM」
ノルウェーの変態ゴシックメタルバンド、アトロックスの4th。2003作
1stの頃は田舎臭いヴァイキングメタル風のサウンドだったが、2nd、3rdと
どんどんとアヴァンギャルド化が進み、今作ではのっけから堂々と変拍子を使った
プログレ(変態)メタル的音像となっている。そこに乗る女性Voモニカ嬢の歌唱は、
「狂気に走ったケイト・ブッシュ」といった雰囲気で、どこかキレたような無邪気さを感じさせる。
音的には変態系プログレメタル、女性Vo入りゴシック、どちらのリスナーにもお勧めできるが…
変態好きの方以外にはあえてお勧めはしない…(笑)ジャケからしてボスの絵画のパロディ風だし。
メロディアス度・・7 変態度・・8 女性Vo度…8 総合・・7.5(変態好きなら8
)
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Autumn 「my new time」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2007年作
モダンなシンセアレンジと、薄暗さのない聴きやすさのゴシックメタル。
曲自体には目新しさもなく、これといって特筆すべきところはないのだが、
女性Vo
ニエンケ嬢の美しい歌唱とともに、サウンドには確かな聴き心地のよさがある。
実力以上のことをやろうとしていないことで、演奏のまとまりと音の説得力が合わさり、
また同時に、暗すぎないキャッチーさがメジャー感をともなっているという印象だ。
ときに美しくしっとりとしたシンセワークのセンスも光る。平均以上の好作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn「Altitude」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2nd。2009作
前作はオーソドックスながらも美しい女性声が魅力の好作であったが、
今作ではヴォーカルが代わっているようだ。新Voの
Marjan嬢の歌声はやや印象が弱い感じだが、
サウンドの方は変わらず、センスのよいシンセワークと奇をてらわないアレンジで落ち着いて聴ける。
The Gatheringのメランコリックな倦怠と、WITHIN TEMPTATIONの美麗さのちょうど中間という
音作りだろうか。前作よりもいくらかモダンになったが、やはりクオリティ高い作品ではある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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AUTUMNCold Comfort」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2011年作
前2作は
女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックな美麗さの好作であったが、
今作では女性Voをメインにアンニュイなけだるさが強まった作風で、ゴシックというよりは
むしろポーランド系のバンドのような薄暗いシンフォニックロックサウンドである。
たゆたうような美しさはとても耳心地がよく、メタルとして聴かなければとても楽しめる。
しっとり女性声ロックとして、メタル度を減らした頃のThe Gatheringなどが好きならばいかが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn Rain Melancholy「Seven Steps to Infinity」
ロシアのゴシックメタルバンド、オータム・レイン・メランコリーの2004作
バンド名からしていかにもお耽美な雰囲気がぷんぷんだが、サウンドの方も
キーボードによるロマンティックなメロディをたっぷり配した美しいもの。
ロシア語で歌われるはかなげな
女性ヴォーカルがいい感じであるが、
男性ヴォーカルはまるでブラックメタルのようなわめき声で少々やかましい。
プロダクションの薄さやメンバー写真の垢抜けなさがいかにもマイナー臭いが、
雰囲気重視で聴かせる耽美派ゴシックが好きなら、聴いてみて損はない。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


AVA INFERI「The Silhouette」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、アヴァ・インフェリの2nd。2007作
美声の女性ヴォーカル、
カルメン嬢の歌声を中心に、
薄暗く沈み込むようなゴシックメタルサウンドを聴かせる。
ドゥームというほどには遅すぎないので適度に聴きやすく、
ヘヴィなギターと、ソプラノヴォイスのコントラストがなかなかよい。
楽曲そのものはやや単調な感じもするが、女性ヴォーカルの魅力で聴き通せる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AVA INFERI「Blood of Bacchus」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、アヴァ・インフェリの3rd。2009年作
女性ヴォーカルの歌声と、ミステリアスな世界観で聴かせる神秘的なゴシックメタル。
2ndまではその雰囲気に楽曲が追いついていなかったのだが、本作では音の説得力が増し
プログレッシブな知的センスとともに、空間を描き出すような迫力が備わってきた。
カルメン嬢の歌声も、ときにスキャット的な妖しさで艶やかな耽美さをかもしだす。
ツインギターのフレーズも随所に効いている。昨今なかなかいなくなった音で世界を描けるバンドだ。
ミステリアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AVA INFERIOnyx」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、アヴァ・インフェリの4th。2011年作
女性ヴォーカル歌声を中心に、薄暗いゴシックメタルサウンドを聴かせるこのバンド、
本作もドゥーミィなギターリフでヘヴィな不穏さをかも出しつつ、
カルメン嬢のヴォーカルは
ときに魔女のような妖しさで、耽美でシアトリカルな世界観を描き出している。
詠唱的な男性コーラスも加わって、楽曲にはOPETHあたりに通じるセンスも感じさせ、
美しいシンフォニック性と重厚さ、そして神秘的でミステリアスなスケール感が魅力的だ。
ミステリアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AVRIGUS「The Final Wish」
オーストラリアの男女二人組のゴシックメタルバンド、アブリグスのデビューミニ。1998年作
すでに1stフルは聴いていたが、彼らの描き出す重厚かつ
耽美な本物のゴシック世界には
いたく感銘を受け、このミニアルバムも探していたので、見つけられてよかった。
ゆったりとした楽曲に美しい女性Vo、キーボード、ピアノなどが重なり、神秘的な重厚さをかもしだす。
たれこめた灰色の雲、地面に降り注ぐ雨、石造りの神像、墓地の十字架…
そうした情景を思い起こさせるような、暗鬱でとても美しいサウンドだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・10 女性Vo度・・8 総合・・7.5

AVRIGUS
「THE SECRET KINGDOM」

オーストラリアのゴシックメタルバンド、アブリグスの1stフル。
女性Voジュディお姉さんとギター、ベース、ドラム、キーボードをこなすシモン氏の二人組。
のっけから荘厳なキーボード、ミステリアスな女性の歌声、曲が始まるとヘヴィなギター、と
これだけでも音の説得力は抜群。ジャケット内の画像も含めて叙情的な闇を表現している。
曲間に入るSEやシンセの音色は本気系ゴシックのそれで、二人組とは思えない重厚な世界観だ。
ドゥーム色に加え、ある種の教会的な宗教色も感じる崇高さもあり、
女性Voも無論だが、声を重ねた合唱パートなどは身震いするほど美しい。
たとえばELENDなどよりは曲やアルバム的にメリハリが効いていて聴きやすいのも良い。
シンフォニック度・・8 耽美重厚度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り
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B

BATALION D' AMOUR「DOTYK ILUZJI」
ポーランドのゴシックメタルバンド、バタリオン・ド・アモールの2nd。1999作
美しいキーボードと案外軽快なリズムのどちらかというとゴシックロック的サウンドで
そこにANNA嬢の母国語のヴォーカルが乗るスタイルは
同国のMOONLIGHTをやや明るくしたような印象だが、
そこはポーランドというお国柄か、音にはどこか妖しさと湿りけがある。
雰囲気はなかなかいいが、曲そのものにややひねりが足りないのが惜しいところ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7

BATALION D' AMOUR「W TEATRZE SNOW」
ポーランドのゴシックメタルバンド、バタリオン・ド・アモールの4th。2001作
MOONLIGHTARTROSIS等、ゴシックメタル王国として名高いポーランド
このバンドも女性Voの歌唱をメインにした王道の作風を聴かせる。
シンセをバックにした重すぎないサウンドで、美形Voアンナ嬢のけだるげな歌唱が
全体的にアンニュイな雰囲気をかもしだしている。
個性という点では「ありがち」感はぬぐえないが、この手が好きなら普通に聴ける。
メロディアス度・・7 しっとりアンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7


BATTLELORE
「WHERE THE SHADOWS LIE」

フィンランドのエピック・ゴシックメタルバンド、バトルローの1st。2002作
ジヤケや曲名からしてトールキンを意識したファンタジー系の世界観。
武器設定や種族、職種設定(エルフとかマジシャンとか)付きのメンバー写真からしてもうRPGしている。
肝心の曲の方だが、オーソドックスなゴシックメタルという感じで、そんなに新鮮味はない。
デス声と女性Voの組み合わせも類型を脱するほどのインパクトはない。
全体としてゴスとしての耽美性は薄く、メロデスとゴシックの中間という感じでけっこう軽快な雰囲気。
気合の入っている写真ほどはシンフォニック度は高くないので、今後はもっと看板通りの大仰さを期待したい。
メロディアス度・・7 ファンタジー度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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BATTLELORE「SWORD'S SONG」
フィンランドのRPG風ゴシックメタルバンド、バトルローの2nd。2003作
とにかくこのバンド、前作でもそうだったが、ジャケや曲名はもちろんのこと、
ファンタジーコスプレ(CG)に身を包んだメンバー写真へのこだわりも徹底していて立派(笑)。
音の方は前作よりもシンフォニックさと女性ヴォーカルの頻度が増し、
彼らの目指すビジョンに近づいているという印象で、非常に聴きやすいファンタジー・ゴシックメタルとなっている。
あとは印象的なメロやメロディを増やすことで、アルバムとしての完成度を上げて行って欲しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 ファンタジー度・・7 総合・・7.5
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BATTLELORE「THE JOURNEY」
フィンランドのコスプレ・ゴシックメタルバンド、バトルローのDVD。2004作
ファンタジー風のコスプレで話題を呼んでいるこのバンド、その初の映像作品ということで、
否が応にも期待が膨らむ(笑)まさか…ライブでまでコスプレしていないだろうと思ったら…してました(笑)
フロントに立つのは鎧を着込んで片手に
バトルアックスを握りしめた男Voで、その見た目インパクト大。
他のメンバーも演奏の妨げにならないくらいにそれぞれの属性(マジシャン、シーフ、ウォーリアー等)
にそったコスプレとメイクをしていて、ファンタジー・ゴスとしての彼らの「やる気」が表れている。
音の方はしごくまともなゴシックメタルで、演奏の安定感もありなかなかのもの。
とくに女性Voであるカイサ(エルフ)嬢の歌唱は思った以上に魅力的で、
男Voとの掛け合いでその美声の効力をいかんなく発揮している。
不満としては、ライブ映像が6曲/26分と短いのと、せっかくのコスプレ姿なのだから、
カメラワークを工夫して一人ずつのアップをもっと映すなどして欲しかった。
他に、ビデオクリップ
(ほとんど指輪物語のノリ)、インタビューもあり、ライブの音源のボーナスCDも付属。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 コスプレ度・・9 総合・・7

BATTLELORE「Third Age of the Sun」
フィンランドのファンタジーゴシックメタルバンド、バトルローの3rd。2005作
毎回ロールプレイングゲーム的なコスチュームで、配役になりきっているこのバンド、
ジャケ内の写真のコスもますます充実(?)してきていてこれだけでも必見か(笑)
男女Voに女性Keyで、サウンドの方はエピック色、トラッド色もあるが、
基本はオーソドックスな聴きやすいゴシックメタルで、新鮮味はあまりない。
そんな中、女性エルフ…Voの
Kaisa嬢の清々しい歌声をメインにした曲は
フォークロア的なメロディとともに耳に心地よく響きます。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 ファンタジー度・・8 総合・・7.5
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BATTLELOREEvernight
フィンランドのファンタジーゴシックメタルバンド、バトルローの4th。2007年作
戦士やエルフや魔法使いなシーフなどになりきって、
ファンタジーコスプレメタルという
妖しいジャンルを確立した彼らですが、今回はどうもコスプレは卒業(?)したみたいです。
とはいってもファンタジー世界を描き出す、アルバムとしての完成度はむしろ高まっていて
ヴァイキングメタル風の曲調に、スクリームヴォイスと女性ヴォーカルの絡みを乗せるスタイルは
これまでになくハマっていて、全体的にサウンドの説得力は増しています。
物語的な幻想世界と、メタリックでややモダンなアレンジとのバランスがとれた好作です。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 ファンタジー度・・8 総合・・8
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BATTLELOREThe Last Alliance
フィンランドのエピック・ゴシックメタルバンド、バトルローの2008年作
前作で過去最高ともいうべき音の説得力を身に付け、本作も期待していたが
うむ、素晴らしい。のっけからシンフォニックなシンセワークが耳を惹きつけ、
女性ヴォーカルの歌声が入ると、もうウットリ。ギターもシンセもそしてドラムも、
すべての音がかみ合って、厚みのあるサウンドが見事な世界を作り出している。
デス声入りのアグレッシブな部分は、ときにヴァイキングメタル的な勇壮さも覗かせ、
単なるゴシックではない激しさと、優雅な幻想性との融合が果たされている。
シンフォニック度・・8 バトル・ゴシック度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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BattleloreDoombound
フィンランドのファンタジー・ゴシックメタル、バトルローの2011年作
2002年のデビューから、男女ヴォーカルのファンタジー・エピックメタルを標榜するこのバンド、
最高傑作となった前作に続く6作目で、今回はトールキンの物語をテーマにしているようだ。
ツインギターの重厚さと、男女Voの使い分け、シンセによるシンフォニックな味付けが合わさり、
フルートが鳴り響く土着的なトラッド要素も含めて、本格派のファンタジックメタルを展開、
ヴァイキングメタラーをも唸らせる世界観の描写に磨きがかかっている。メンバーのいでたちも含めて、
コスプレ・エピックメタル最高峰の地位は揺るがない。ジャケ違いのDVD付き限定盤もあり。
ドラマティック度・・8 ファンタジック度・・9 エピック度・・9 総合・・8
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BESEECH「...FROM A BLEEDING HEAT」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ビスィーチの1st。1998作
3rd「SOULS HIGHWAY」では女性Voを前面に出した、エレゴシック的な傑作であったが、
この1stでは女性Voの出番も少なく、まだ王道のゴシックメタルという印象で、
メランコリックなメロディにザクザクとしたギター+デス声という、重量感のある音である。
ゲストによるヴァイオリン音色が物悲しく、これがなかなかいい味を出している。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 女性Vo度・・5 総合・・7.5

BESEECH「SOULS HIGHWAY」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの3rd。2002作
なかなか歌唱力のある女性ヴォーカルと、時々デス声にもなる男性ヴォーカルの掛け合いは
初期のTHEATRE OF TRAGEDY的な感じもある。モダンでデジタリィなアレンジと
ゴシックメタルとしての王道的手法がかみ合った音作りはなかなかセンスがよく、
古くささを感じさせずに、しかもゴシックから逸脱しない雰囲気を維持しているのが見事。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7総合・・7.5
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BESEECH「DRAMA」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの4th。2004作
ENTWINEなどを思わせるゴシックロック的なマイルドさに男女ヴォーカルの歌声で
聴かせるサウンドは、ゆったりとした倦怠の叙情に溢れて、じつに耳心地が良い。
美しいシンセワークもさりげなく効いている。男性声メインの曲が多いが、
女性声で聴かせる曲はThe Gatheringを思わせるように、やわらかに耳に響く。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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BESEECH「sunless days」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの5th。2005作
バランスのとれたサウンドで
フィンランド産ゴシックロック的な聴きやすさが増している。
また、女性Vo、
Lotta嬢が成長を遂げていて、マイルドな男Voとの対比がとてもよろしく、
このツインヴォーカルを聴くだけでも深みのある官能的なイメージを味わえる。
初期の重厚さは影も形もないが、時代に合わせて変貌を遂げてきたこのバンドの
ゴシックメタルとしてのクオリティは確実にアップしている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 男女Vo度・・9 総合・・8
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BLACKTHORN「Araneum」
ロシアのゴシックメタルバンド、ブラックソーンの2009年作
メンバー全員が女性というバンドで、シンフォニックかつミステリアスなゴシックメタル。
母国語による美しい
ソプラノヴォーカルとけっこう激しめのドラム、ヘヴィなギターで
聴かせる重厚な楽曲は、ガールズバンドであることをあまり感じさせない。
デスヴォイスや激しい疾走などもあるので、ゴシックデスという方が正しいか。
あとはインパクトを持たせる展開やメロディがもっとあれば。さらなる成長に期待。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


The BLOOD DIVINE「AWAKEN」
イギリスのゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの1st。1996作
ANATHEMAと元CRADLE OF FILTHのメンバーによるバンドで、
サウンドは、本家アナシマに比べると70年代的な
ブリティッシュロック色が濃く、
頽廃的な雰囲気とサイケな浮遊感をともないながら、英国的な哀愁を漂わせている。
初期のPARADISE LOSTにも通じる質感と、Cathedralがゴシック化したような気配もあり
ときにオルガンなどを用いたプログレ的なシンセワークなどもなかなか面白い。
今でいう美麗なゴシックメタルとはまったく異なるサウンドだが、
英国からしか出て来ないこの耽美な頽廃をともなった音楽性は、
むしろブリティッシュロックファンなどの耳に心地よい作品かもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 英国度・・9 総合・・8
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The BLOOD DIVINE「Mystica」
ゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの2nd。1997作
前作の作風がさらに押し進められ、ゴシックメタル的な重厚さよりも
オルガン入りの浮遊感のあるサイケロックという要素が強まっている。
いかにも英国然とした薄暗い哀愁はそのままに、無駄を削ぎ落としたサウンドは
ゴシックというよりはむしろ、美しくはかない耽美なブリティッシュロックといっていい。
プログレ、ドゥーム、サイケ、ストーナーあたりの要素を雑多に取り入れながら
根底にはほの暗い美意識が感じられるそのセンスは、一聴して派手さはないが
ロックがロックであるということの意味を、あらためて感じさせてくれるようだ。
若いメタルリスナーよりも、むしろプログレ/70's英ロックのリスナーに勧めたい作品だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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The Bood Divine「Rise Pantheon Dreams」
英国のゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの3rd。2002作
ANATHEMAのメンバーなどで結成されたこのバンドだが、もともとゴシックというよりは
ブリティッシュロック的な雰囲気とサイケとドゥームロックが合体したような音楽性であった。
本作ではかねてからあったCATHEDRAL的な質感がいっそう増していて、
ドゥーム/ストーナーロックのリスナーも楽しめるようなサウンドだ。
古めかしいオルガンの音色に、いかにも英国的な翳りある叙情を漂わせ
70'sプログレ的な素朴さと頽廃の美学をまとったゴシック/ドゥームメタルである。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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BRAVE「SEARCHING FOR THE SUN」
アメリカのフィメール・メタルバンド、ARISE FROM THORNSが改名したブレイブの1st。2002作
ジャケの写真を見るとますますポッチャリ系のおねいさんになったミッチェル嬢が(笑)
しかし彼女の素敵な歌唱の魅力は増すばかり。今作ではケルト色はやや抑え気味で、
ゆったりとした清涼感のあるゴシックメタルになっていて、ある意味分かりやすい作風だ。
それでいて、3拍子リズムやギターのフレーズにはケルティックな部分が随所にかいま見える。、
ALL ABOUT EVE
KARNATAKAあたりのファンなどにも聴いてもらいたい傑作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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BRAVE「Monuments」
アメリカのフィメール・メタルバンド、ブレイブの2008作
2002年作はケルティックなメロディで聴かせる絶品の女性ヴォーカルものであったが、
まだ活動を続けていたようで嬉しいかぎり。ぽちゃ系女性Vo、
ミッチェル嬢
素晴らしい歌声を中心に聴かせるサウンドは今作も不変で、ゴシックメタルというよりは
もっと聴きやすいキャッチーな雰囲気だ。今作ではヴァイオリン奏者がメンバーに加わり、
ケルト的な要素に艶やかな音色が加わって、じつに美麗なサウンドである。シンセとギター、
そしてヴァイオリンの重なりでシンフォニックな厚みも増した。美しく優雅に聴かせる傑作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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C

CATAFALQUE「Dialectique
トルコのゴシックメタル、カタファルケの2007年作
シンセによるモダンなアレンジと
男女ツインヴォーカルで聴かせる
かつてのTheatre of Tragedyを思わせるゴシックメタルサウンド。
歌詞は英語なので、トルコという地域性はあまり感じさせず、
ヘヴィすぎないキャッチーな音作りがとても聴きやすい。
女性Vo、Ozge嬢の歌声もコケティッシュでなかなか好みである。
メロディアス度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CHALICE「CHRONICLES OF DYSPHORIA」
オーストラリアの女性Voゴシックメタルバンド、シャリスの1st。2000作
フルートも吹く女性Voが加わった2ndとは印象が違い、この1stではヴァイオリンが効果的に使われ、
全体的に重厚さもあって雰囲気としてはいかにもゴシックメタル的で良い。
キーボードも手がけるシラリー嬢の美声ははかなげでありながら芯が通った印象で
この手に重要な説得力が歌声に感じられるのが高ポイント。曲調は総じてゆったりめだが、
暗すぎず典雅な雰囲気で、時折ヘヴィなギターパートも現れるなど、意外にメリハリが付いている。
シンフォニック度・・8 ゴシックメタル度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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CHALICE
「AN ILLUSION TO THE TEMPORARY REAL」
オーストラリアの女性Voゴシックメタルバンド、シャリスの2nd。2001作
女性Vo、女性フルート奏者を含む6人編成で、ゆったり目の楽曲に美しい女性ヴォーカルがはかなげな歌を乗せる、
美と静寂を感じさせるゴシックメタルサウンド。フルートもかなりの頻度で活躍し、美しいキーボードもなかなか良い。
音も薄めでスカスカ感があり、むしろアンビエントなゴシック、シンフォニック好きが喜びそうなサウンドだ。
このたゆたうような感覚が心地よいと感じるかどうかで、この手のバンドへの評価は分かれるだろう。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CHALICE「AUGMENTED」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、シャリスの3rd。2003作
女性Voに女性フルートを擁するこのバンド、1st、2nd共にしっとりとした
耽美派の女性声ゴシックメタルアルバムで、実に琴線に触れるサウンドだった。
今作も基本的には同路線だが、曲のアレンジや演奏がぐっとこなれてきた印象で
前作までややあったB級感が消え、マイルド&アンビエント色のある美しい作品に仕上がっている。
シラリー嬢の美声の歌声は相変わらず素敵で、メロウなギターリフに絡むフルートもなかなか効果的。
デス色の無い、しっとり系ゴシックメタルが聴きたかったらぜひ。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・8 しっとり度・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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CHARON「Downhearted」
フィンランドのゴシックロックバンド、カローンの3rd。
メタルというにはヘヴィさはさほどなく、モダンなシンセアレンジと倦怠系の男Vo…
一聴して、HIMTO/DIE/FORなどからの影響を感じさせるサウンドだ。
悲しみと哀愁をただよわせる叙情美は、いかにもフィンランド産という雰囲気で
ギターのフレーズなどもENTWINEあたりに通じるメロディが耳に優しい。
ただ、クオリティは高いものの、今となっては新鮮味がないのも確かで、
この手の倦怠ゴシックが好きでないと途中で飽きるかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 フィンラン度・・8 総合・・7.5
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CHARON「SONGS FOR THE SINNERS」
フィンランドのゴシックロックバンド、カローンの5th。2005作
この前に聴いたのは3rdだったが、どうにも煮え切らないゴシックロックというイメージだった。
今作も、HIMのヴィレ・バロを思わせるマイルドな歌声で聴かせる哀愁のゴシックロックだが、
それでも、今作は曲における細かなアレンジ力の向上で、サウンドの説得力が増している。
こうなると全体的な薄暗い叙情にも重さが出てきて、所々で使われる女性コーラスも良い感じだし、
単純なフレーズながらもギターソロなどにもいくぶん味がでてきたような気がする。
これならHIMENTWINEなどが好きなら、充分に薦められるクオリティになった。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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CLOSTERKELLER「ACT V(LIVE 2003)」
ポーランドのゴシックメタルバンド、クロスターケラーのライブDVD。2003作
デビューは1989年という相当なベテランバンドらしいが、曲を聴くのはこれが初めて。
サウンドは、やはり同郷のARTROSISMOONLIGHTにも通じる雰囲気で、
ポーランド語の歌唱からも上記のバンドにけっこう似ている感じだが、
むしろMOONLIGHTの方がこのバンドに影響を受けた、ということなのだろう。
女性VoのAnjaさんは、その服装や風貌、声質などから、“酒場のベテラン女歌手”的な雰囲気で、
上半身裸のギタリストは中年太りで腹が見苦しいとか、視覚的にはちょっとイマイチかも…(^^;)
ステージに怪しげなダンサーが出てきたりと、雰囲気ものとしても耽美な要素が多いのだが、
楽曲の方はどれも似たりよったりで、これだというドラマティックな盛り上がりもさほどないのでつらい。
マニアックなゴシックメタルファン向け。ボーナスにはビデオクリップ、オーディオトラック等を収録。
いかにもポーランドらしい翳りのある雰囲気のPVに、このバンドの本質が見える。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7
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CON ANIMA「THE BOOK OF RIDDLES」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、コン・アニマの1st。1999作
アコースティックギターなどを使用した、陰鬱なゴシックメタル。
語りのような演劇的な男Voに、時折女性Voが絡み
沈み込むようなあまり健全そうでない音世界を構築している。
ピアノ、キーボードの使い方や、間奏部のSEなど、いろいろな仕掛けがあり、
そういう部分でシアトリカルな雰囲気が感じられる。
LACRIMOSAから壮大さを取り払ったようなイメージ。
シンフォニック度・・7 暗鬱度・・8 女性Vo度・・5 総合・・7


CREMATORY「ILLUSIONS」
ドイツのゴシックメタルバンド、クリーメトリーの3rd。1995作
ゴシックメタルバンドとしてはPARADISE LOSTに次ぐほどに古株であるこのバンド。
最近ではかえって珍しくなった「吐き捨て系デス声」のゴシックメタルサウンドで、
必要以上にシンフォニックなキーボードが特徴的。このアンバランスさが今となっては面白い。
曲の方は、2ndの頃のAMORPHISや、初期のTHE GATHERING(デス声の頃の)といった雰囲気で
ゆったりとした、展開の少ない中に、メランコリックなメロディをリフレインしてゆく、という感じ。
テイチクから日本盤も出ていたが人気の方は日本ではさほど盛り上がらず、すでにバンドは解散したらしい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5


THE CREST「LETTERS FROM FIRE」
ノルウェーの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・クレストの1st。2002作
女性声の聴きやすい北欧ゴシックバンドとしては、PALE FOREST、AS DIVINE GRACEなどがあるが、
このバンドも、メタル色はそれほどでもない、ややデジタリィなアレンジのサウンドで、
そこにキュートな女性Voの歌が乗る、という形。一番近いのはPALE FORESTあたりだと思うが、
曲にしろ歌にしろそれらを上回るものが感じられず、このバンドの場合かえって女性声のみなのが
メリハリのなさにつながっている感がなくもない。曲を劇的にするか、徹底的に聴きやすくするか、
今後の方向しだいでマンネリ感から脱出できるかが決まるかと。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

THE CREST「Vain City Chronicles」
ノルウェーの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・クレストの2nd。2005作
イントロからヴァイオリンの音色、ギターはよりヘヴィになっているが、
曲にはロックとしての軽快さがあり、そこに乗る女性Voも魅力十分。
この手としてはモダンな音で、むしろゴシックロックというべきサウンドは、
マニア向けにとどまらないメロディアスな聴きやすさがある。
同じ系統のゴシックロックのLULLACRYに比べ、こちらはもっと哀愁があるのがよい。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CRYOSHELL
デンマークの女性Voゴシックロックバンド、クライオーシェルの2011年作
美しい
女性ヴォーカルの歌声を中心に、モダンなアレンジで聴かせるサウンドは
EVANESCENCEを思わせるものがある。楽曲は3、4分台で比較的コンパクトであるが、
随所に壮麗なシンフォニックさも含んでいてなかなか聴き心地がよい。
キャッチーといってもよいメロディアスさは万人受けしそうな感じがする。
現時点では個性という点でまだまだ突出したものがないので、今後にさらに期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CRYPTAL DARKNESS「CHAPTER U THE FALLEN」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、クリプタル・ダークネスの2nd。2001作
ゆったりとしたドゥーム系のゴシックサウンドで、MY DYING BRIDEとPARADISE LOSTの中間という感じ。
暗く、沈む込むようなサウンドに乗るメロウなギターの音色にゆるやかなキーボード、
そして元MY DYING BRIDEのメンバーが奏でる
もの悲しいヴァイオリンの旋律は絶品。
ヴァイオリンだけでなく彼の弾くピアノ、キーボードもこの悲哀音楽にシンフォニックな味付けをしている。
昨今主流の女性声は入らないが、たまにはこういうダークで濃密な「純野郎ゴシック」もいいかも。
ドゥーミーなヘヴィさがありながら、美しいメロディのおかげで意外と聴きやすい。
シンフォニック度・・8 ドゥームゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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D

DAKRUAShifting Realities
イタリアのゴシックメタルバンド、ダクルアの2nd。2002作
男女ヴォーカルの歌声で聴かせるクラシカルでオペラティックなゴシックメタル。
男声はデス声ではなく低めのバリトンくらいで、女性声をひき立てていて、
美しいシンセとともに、壮麗なクラシカルさを楽曲の中でかもしだしている。
ギターはときにメロデス的にへヴィであったりしつつ、メロウなフレーズがなかなかいい。
曲の方はゴシックとしてはそれほどのろくもなく、一般のメタラーも退屈しないで済みそう。
曲の雰囲気や音の重ねはなかなか良いと思うが、もう少し展開にメリハリが欲しいか。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

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DAMA「eirwen」
イタリアのゴシックロック、ダマの2011年作
美しい
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるシンフォニックなゴシックロックサウンド。
ピアノやストリングスのクラシカルなアレンジが、ゆったりとした優雅な作風を描き出し、
ヘヴィさは控えめのやわらかな耳心地が楽しめる。楽曲は3、4分台とシンプルであるが、
しっとりとした歌声を引き立たせる、アンニュイな翳りをまとった雰囲気があってよろしい。
イタリア語と英語に分けられた2枚組仕様。僕は断然イタリア語の響きが好みです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK PRINCESS(Olga Romanova)「Without You」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの1st。2005作
バンド名とゴスロリちっくなジャケがインパクト大で話題になったが、
実際には耽美な薄暗さは少なく、モダンで聴きやすいゴシックロック。
軽めのギターリフと、きらびやかなシンセワーク、そして英詞なのだが
やはり発音的にどことなくロシアを感じさせるオルガ嬢のヴォーカル。
曲はほとんどが4分台であっさりしていて、「あれ、もう終わり?」というのもしばしば。
EVANESCENCEなどのヘヴィロック風ゴシックのロシア版という感じで、
メロディなどにもさして新鮮味はなし。よく聴くと、どことなくローカルな感じも漂う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DARK PRINCESS(Olga Romanova)「Stop My Heart」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの2nd。2006作
今回も何故かバンド名のあとにヴォーカル嬢の名前が表記されているのが、
ロシア的…というのか、現地ではもしやアイドル的扱いなのかは謎…
サウンドは前作からの延長上、モダンで聴きやすいゴシックロックだが、
オルガ嬢の歌唱の表現力が若干増し、そのおかげで音に説得力がついてきた。
一聴してWITHIN TEMPTATIONEVANESCENCE的な曲調には相変わらず個性はないが、
やはりどことなく西欧のバンドとは異なる質感があり、それが異国的な気配をもたらしている。
3〜5分台でコンパクトに聴かせるのは変わらないが、メロディの質も上がってきたので
メタルというには軽すぎるサウンドもある程度は許容できるようになった。突き抜けまでもう一歩。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dark Princess, Olga Romanova「Жестокая игра」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの3rd。2007年作
前作同様、モダンで聴きやすいメロディアスなゴシックロックサウンドに、
ロシア語で歌われるオルガ嬢の美しい歌声が乗るもの。
歌唱的にも成長が感じられ、雰囲気時自体は決して悪くないのだが、
やはり楽曲そのものにひっかかりが少なくありがちな作風から脱却できていない。
ウィズインやエヴァなど、欧米バンドの売れセンを狙うのではなく、
もっとロシア語という独自性を活かすようなメロディなりが欲しい気がする。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


DARKSEED「Give Me Light」
ドイツのゴシックメタルバンド、ダークシードの3rd。1999作
RAGEのゴシックメタル版というような雰囲気だった2ndから、さらにメロデス色は薄まり
今作ではほぼゴシックロックというサウンドになっている。比較的普通のギターリフと、
ややダーティなノーマルヴォイスの歌声、うっすらとしたシンセによる味付けで
メランコリックな世界観を作ろうとしているのだが、叙情性もメロディもやや中途半端か。
これといった方向性が見えないまま、エッジをそぎ落としたという、もどかしさの残る作品。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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DARKSEED「Diving into Darkness」
ドイツのゴシックメタルバンド、ダークシードの4th。2000作
やや中途半端な作風だった前作に比べ、ほぼ完全にメランコリックなゴシックロックと化した。
ヴォーカルはよりマイルドな歌声となり、ギターとシンセのバランスも整ってきて
一聴してフィンランドのゴシックロック勢と変わらないサウンドになっている。
メロウなギターフレーズに、ゆるやかな叙情で耳心地よく聴ける作品だ。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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DARKWELL「metat[r]on」
オーストリアの女性Voゴシックメタルバンド、ダークウェルの2nd。2004作
赤毛の女性ヴォーカル、ステファニーさんのなかなか可憐な歌唱が素敵。
曲のほうはキーボードが美しく、シンフォニックでいい感じなんですが、
どうもどれも短くて(アルバムも39分と短い)ちょっと物足りないか。
雰囲気はいい感じなので、あとはここぞという聴かせ所をもっと作って欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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DAYLIGHT DIES「Dismantling Devotion」
アメリカのゴシックメタルバンド、デイライト・ダイズの2nd。2005作
メロウで煽情的なギターフレーズと凄絶なデス声で聴かせる、重厚なゴシックメタルサウンド。
初期PARADISE LOSTを思わせるスタイルは、これで本当にアメリカのバンドなのか?と思うほど。
5〜8分台の比較手長めの曲に、欧州的な暗さと叙情性を折り込んだサウンドは、
メロディと演奏のセンスがよいので、しっかりと重さと説得力があり、しかも聴きやすい。
昨今なかなかお目にかからなくなった王道のゴシックメタルとして、要チェックのバンドだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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Daylight Dies「Lost to the Living」
アメリカのゴシックメタルバンド、デイライト・ダイズの3rd。2008作
初期PARADISE LOSTを思わせる王道のゴシックメタルであった前作から
ややドゥーミーな部分を薄めて、メタルとしての聴きやすさが増した印象。
とはいっても、ツインギターによる重厚さと、低音のデス声が咆哮するサウンドは、
ダークな叙情を織りまぜながら、聴き手を深い闇へといざなってくれる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DELAIN「LUCIDITY」
オランダのゴシックメタルバンド、ディレインの2006年作
女性Vo
シャーロッテ嬢と元WITHIN TEMPTATION のKeyを中心としたバンドで、
ゲストにWITHIN TEMPTATIONのシャロン嬢、LEAVES' EYESのリブ・クリスティン嬢他、
NIGHTWISHのマルコやEPICAのAD他、豪華なメンツを揃えていて、購買意欲が増します(笑)
サウンドの方は、シャーロッテ嬢のなかなかキュートな歌声をメインにした王道のゴシックメタルで、
シンフォニックなシンセの味付けとヘヴィなギターリフの絡みもバランス良く、とても聴きやすい。
当然ながらWITHIN TEMPTATIONやNIGHTWISH、LEAVES' EYESに通じる質感も多いのだが、
反面、曲の展開、メロディともに予定調和の音でしかなく、そのあたりに退屈を覚えると
ややつらいかもしれない。もちろん、クオリティの高いゴシックメタルの佳作ではあると思うが。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELAIN「April Rain 」
オランダのゴシックメタルバンド、ディレインの2009年作
WITHIN TEMPTATIONのシンセ奏者を中心に結成されたこのバンド、
前作はWITHINのシャロン嬢、LEAVES' EYESのリブ・クリスティン嬢など、
豪華ゲストが参加したプロジェクト的な作品であったが、
本作はバンドとしての勝負作ともいうべき作品に仕上がっている。
若干21歳の
シャルロット嬢の歌唱は格段にその表現力を増し、
シンフォニックなシンセをバックに美しくも艶めいた歌声を聴かせてくれる。
曲によっては、最近のヴィズインよりもウィズインらしい雰囲気のものもあって、
このフィメールゴシックの王道たるサウンドは多くのファンを得るだろう。
メロディと叙情性の点でも、ウィズイン、エピカ、リーヴズ・アイズに匹敵できる作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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DELAINWe Are the Others
オランダのゴシックメタル、ディレインの2012年作
アール・ヌーボー調のジャケがいい雰囲気だが、サウンドの方もどこかお洒落で、
適度なヘヴィさでメタリックな質感をかもし出しつつ、美しいシンセアレンジと、
キャッチーなメロディを含んだ聴き心地。今作ではゴシックメタル的な耽美さよりも、
普遍性のあるメロディアスさが前に出ていて、WITHIN TEMPTATION
EVANESCENCEなどにも負けない質の高さである。
シャーロッテ嬢の歌声も
キュートな表現力と優雅な女性らしさを併せ持っていて、この手のファンにはたまらないだろう。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DELIGHT「last temptation」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの1st。2000作
先に2ndを聴いていて、平均的なゴシックメタルという印象だったが、
この1stもきわどいジャケほどのインパクトはない。美しい女性Voの歌唱に、
うっすらとしたシンセと定型内のギターワーク、ドコドコとしたツーバスドラムによる
しごくオーソドックスな正統派のゴシックメタルサウンドだ。
メロディや薄暗い雰囲気にはポーランド特有のもの悲しさがあって、
同郷のMOONLIGHTあたりが好きな方なら普通に楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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DELIGHT「THE FADING TALE」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの2nd。2001作
女性Vo、KEYを含む六人組でサウンドは比較的オーソドックスなゴシックメタル。
女性Voの歌もまあ悪くはないという程度で、これといった個性は感じられない。
曲にもう少し切り返しや、派手な部分が欲しい。全体的に及第点止まりの作品。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

DELIGHT「Eternity」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの3rd。2003作
女性Vo、女性シンセ奏者を擁する6人組で、中庸な出来に思えた前2作に比べて
ぐっとサウンドの重厚さが増している。またパウリナ嬢の歌声にも力強さとともに
妖艶な表現力が備わってきたことで、楽曲の説得力の点でもずいぶんと向上した。
シンフォニックなシンセによる耽美な雰囲気も良い感じで、ポーランド特有の翳りある叙情と
モダンなヘヴィさを上手く融合させた好作である。日本盤にはビデオクリップも収録。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELIGHT「Anew」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの4th。2004作
前作あたりから作品としての質がずいぶん上がってきていたが、
本作ではそこにモダンなシンセアレンジが加わり、ずいぶん垢抜けた印象。
パウラ嬢の歌声も力強さと妖艶さの両方を感じさせ、その表現力が上がっている。
初期の頃のような耽美な正統派ゴシックからは離れたが、
モダンゴシックとしての新たな出発を感じさせる好作に仕上がっている。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELIGHTBreaking Ground
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの5th。2007年作
2ndまでは普通のゴシックメタルバンドだと思っていたのだが、前作からモダンなアレンジを取り入れ
本作はインダストリアル色とキャッチーなメロディが同居したなかなかの好作となった。
伸びやかな
女性ヴォーカルの歌声を中心に、ゆったりと聴かせるサウンドは、
これといった目新しさはないものの、バンドとしての迷いのないまとまりを感じさせる。
女性声を活かす比較的コンパクトなアレンジもよい。Lacuna Coil的に質の高い作品だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Delphian 「Oracle」
オランダのゴシックメタル、デルフィアンの2005年作
美しい女性ヴォーカルの歌声と適度なヘヴィさで聴かせるゴシックメタル。
今どき珍しくシンセは入らずギターのみで叙情性を出すタイプで、美麗な雰囲気は薄め。
いくぶん一本調子な歌声も含めて、メロディや楽曲にこれだという魅力に欠ける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DelphianUnravel」
オランダのゴシックメタル、デルフィアンの2007年作
ヘヴィなギターリフを中心にした楽曲に、
女性ヴォーカルの歌声を乗せるスタイルで、
昨今のバンドのようなシンフォニック性は薄い。正直、楽曲、ヴォーカルともに個性に乏しく、
ときどきフルートの音が控えめに入ってくるくる他は、これといった魅力には欠ける。
せめてシンセ奏者を入れるなりしてサウンドにもっと工夫が欲しい気が…
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DESDEMONA「STAGNACJA」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、デスデモナの1st。2000作
同名のシンフォニックメタルバンドがイタリアにもいるが、こちらはゴシックメタル。
けっこう正統派の楽曲にこもりがちのソプラノVoがはかなげな歌を載せている。
キーボードもギターもなかなかメロディアスでいい味を出している。
全体としては初期のARTROSIS系のサウンドで、歌の載せ方も似ているかも。
シンフォニックで、ゴシックメタルの王道をゆく雰囲気は悪くないのだが、これという個性がないのも事実。
まあ女性声ゴシック好きなら聴いてみてもよろしいのでは。歌はすべてポーランド語。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 個性・・5 総合・・7

DESDEMONA「Version 3.0」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デスデモナの2006作
デジタルなアレンジで聴かせるインダストリアルな質感に、
翳りを含んだ女性ヴォーカルの歌声が乗るサウンド。
ゴシック的な耽美さはあまりなく、モダンなインダストリアル・ゴシックである。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7
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Diabulus In MusicaSecrets」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタルバンド、ディアブルス・イン・ムジカのアルバム。2010作
シンフォニックなシンセにかつてのNightwishを思わせるオペラティックな
女性ヴォーカルの歌声、
壮麗なコーラスやデスヴォイスも絡んだ、重厚かつ耽美なサウンドは、
モダンなヘヴィさにヴァイオリンやチェロなどのクラシカルなテイストも加わって
EPICAを思わせるシンフォゴシックの世界観にTHERIONの荘厳さが合わさった感じか。
女性Voでしっとりと聴かせる曲や、反対にブラックメタルばりの疾走パートなどもあり、
デビュー作としてはこれはなかなか見事な完成度。期待の新鋭です。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Diabulus in Musica「Wanderer」
スペインのシンフォニック(ゴシック)メタル、ディアブルス・イン・ムジカの2012年作
壮麗なイントロから幕を開け、まるでTHERIONのような厚みのあるコーラスと
かつてのNightwishを思わせるようなオペラティックな
スベロア嬢の歌声が響きわたる。
デスヴォイスを含んで適度に激しさのあるサウンドは、EPICAのように起伏に富んだアレンジで
モダンなヘヴィネスと優雅なクラシカルさを同居させていて、前作同様に非常に質が高い。
デスヴォイスが前に出たメタルコア的な部分はあまり好みではないのだが、よりアグレッシブになった作風は
若いファンにも楽しめるだろうし、すでにゴシックメタルというよりは、シンフォニックメタルというべき力作である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Distorted「Voices from Within」
イスラエルのゴシック・デスメタルバンド、ディストルテッドの2008年作
イスラエルのメタルというと有名なのはOrphand Landが筆頭だと思うが、
このバンドは女性ヴォーカルをフロントにした本格派のゴシック・デスメタルをやっている。
もの悲しいメロディと適度にヘヴィな楽曲は、モダンな重たさと薄暗い叙情を持ち合わせていて
なかなかクオリティが高い。デス声入りでたたみかけるエクストリームメタルとしての激しさもあり
今どき珍しく、シンセに頼らないギターリフ主導の質感はメロデス的でもある。
感情の籠もりすぎない女性Voのクールさもなかなかいい。今後が楽しみなバンドである。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Domina Noctis「Second Rose」
イタリアのゴシックメタル、ドミナ・ノクティスの2009年作
女性Voを含む5人組で、いくぶんモダンさんのあるゴシックメタルをやっている。
紅一点、
エデラ嬢の歌声は、はかなげな叙情を含んだなかなかの美声で、
ヨーロピアンな世界観とともに、ヘヴィすぎないバックの演奏によくマッチしている。
シンセによるアレンジがときにシンフォニックな美麗さをかもしだしており、
新鮮味や個性は薄いものの、質の高いフィメールゴシックを聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DOMINIA 「Divine Revolution」
ロシアのゴシック・デスメタルバンド、ドミニアのアルバム。2006作
ヘヴィなギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、デス声が咆哮する。
クラシカルな耽美さとメロデス的な激しさが合わさったサウンドで、
ロシアという地域性はあまり感じない。土着性よりはモダンなヘヴィさが強いか。
ゴシック的なゆったりとした曲もあれば、シンフォブラックばりに疾走したりもする。
個人的にはここに女性ヴォーカルが加わるともっと嬉しいのだが…
メロディアス度・・7 クラシカル度・・7 ゴシック度・・7 総合・・7.5


DRACONIAN「WHERE LOVERS MOURN」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2003作
AFTER FOREVERやEPICAなど、女性Vo入りのシンフォ系ゴシックメタルとはやや異なり
本物の重厚さと暗黒の叙情を伴っているのがこのバンドである。
楽曲はかなりメタルしていて、重厚さを保ちながらスローからミドル系のテンポでもノリがあり、
ヘヴィなギターリフにストリングス系シンセが絡みながらの三連系のリズムはなかなか心地よい。
けっこう凄絶なデス声と美しい女性ソプラノのコントラストが見事で
コマーシャル過ぎるその辺のゴシックメタルバンドより、よほど「雰囲気」を持っている
メロディアス度・・7 重厚度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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DRACONIAN「ARCANE RAIN FEEL」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2nd。2005年作
1stからの流れの男女Voの重厚なゴシックサウンドはそのまま継承、
ドゥーム調のリフから始まり、デス声Voの咆哮が響きわたる。
バックにはうっすらとしたシンセ、ノーマル声の語りにまたデス声がかぶさり、
墓場を思わせるような重々しい暗黒音楽が繰り広げられる。
このバンドの場合、女性Voはあくまでデス声との対比としての存在にとどまっていて
いわゆる聴きやすいフィメールゴシックとは一線を画する。本物の絶望感や悲しみに満ちた
重厚なゴシックメタルサウンドだ。本物のゴシックメタル好きにこそお勧めしたい。
メロディアス度・・7 重厚ゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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DRACONIAN「The Burning Halo」
スウェーデンのゴシック・ドゥームバンド、ドラコニアンの2006年作
新曲3曲に、デビュー前のデモのリメイク3曲、そしてカヴァー2曲という構成
ゆったりとしたリズムに、沈み込むようなギターリフと美しいシンセをバックに、
デス声と美しい
女性ソプラノで聴かせる、本格派のゴシックメタルサウンドは健在。
7〜9分台の曲をメインに、ドゥーミーながらも濃密な雰囲気で、
この手のバンドの中でも音の説得力はかなりのもの。耽美な絶望に浸れます。
デモ音源のリメイクは、今よりも激しめで、展開が多くなかなか面白い。
カヴァーの方は、何故かオランダのクラシカルプログレ、EKSEPTIONと、
アメリカのドゥームメタル、PENTAGRAMの曲を取り上げている。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 ドゥーミー度・・8 総合・・8
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DRACONIANTurning Season Within
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの3rd。2008作
重厚なギターに絡むシンセワークや、デス声と女性Voのコントラストも変わらずよろしいが、
前2作よりはややモダンに聴きやすくなったという印象で、ドゥームというよりは
これはもはや普通のゴシックメタルだ。曲によってはシンフォニックな美麗さが増していて、
絶望的な暗さが薄れたことで、一般的にはとっつきやすくなったと言えるだろう。
2ndまでの重々しさが好きな方にはやや物足りなく感じるかもしれないが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーミー度・・7 総合・・8
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Draconian「Rose for the Apocalypse」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2011年作
ドゥーミーな暗黒性と耽美な世界観で重厚なゴシックメタルを聴かせるこのバンド、
4作目となる本作も、ヘヴィなギターと低音デスヴォイス、そして女性ヴォーカルを絡めた
美しくもダークなサウンドだ。初期の頃のようなスローな一本調子ではなく、
PARADISE LOST的な質感のミドルテンポ曲もあって、最後まで飽きずに楽しめる。
女性声の比率がやや少ない感じもするが、それがむしろ効果的な印象を残している。
現存する数少ないヘヴィ系の本格ゴシックメタルとして、今後も応援してゆきたいバンドだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DREAMSIDE「MIRROR MOON」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ドリームサイドの3rd。2001作
ドラムは打ち込みのいわゆるエレゴシックで、そこに艶のある女性Voが歌を載せている。
ジャケや内ジャケの写真にしろバンドの耽美指向がかいま見えて良いのだが、
楽曲にもうひと工夫欲しいところ。おねいさんの情念がもっと歌に出るとよいな。
リズムが単調なのと、メタル色が薄いのも物足りない。せっかくギターが二人いるのだし。
リズムのゆったりした静かな曲の方がかえって雰囲気があって良い。
メロディアス度・・7 ゴシックメタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7


DREAMS OF SANITY「Komodia」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの1st。1997作
2人の
女性ヴォーカルをフロントにした耽美でロマンティックなゴシックメタル。
シンフォニックなシンセワークに、あまりヘヴィさのないメロウなギターと
二人の女性Voの歌声で聴かせるサウンドは、技術的にはヘタウマの部類なのだが、
ダンテの「神曲」をテーマにした厳かな美しさや、Lacrimosaにも通じるような
ロマンの香りを感じさせてくれ、それがなんともいえない魅力となっている。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DREAMS OF SANITY「Masquerade」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの2nd。1999作
今作では「オペラ座の怪人」をテーマに、ロマン溢れるサウントを聴かせてくれる。
のっけからオペラでおなじみの“The Phantom of th Opera”で始まり、
演劇的な美麗さの中、後にELISに加入する
サンドラ嬢の歌声と、
ゲストのLacrimosaのTillo Wolfのデュエットが濃密に響きわたる。
前作もそうだったが、シンフォニックなシンセアレンジや楽曲の展開力などには
プログレファン受けする要素もあり、ヘヴィさよりもロマンと美意識で描かれる
幻想的な世界観が素晴らしい。サウンド的にも強度が増した傑作である。
メロディアス度・・8 ロマン度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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DREAMS OF SANITY「The Game」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの3rd。2000年作
クラシカルなシンセとツインギターによるメロディ、そして女性Voで聴かせるサウンドは、
ゴシックメタルというよりはロマン派のフィメールシンフォメタルと言うべきか。
前作の濃密な壮麗さに比べて、今作ではいくぶんスタイリッシュな雰囲気になり、
いくぶんのモダン化が感じられるが、表現力を増した
サンドラ嬢の歌声はじつに美しい。
もちろんロマンたっぷりのクサいメロディも聴け、コンセプチュアルな美意識はそのままで、
ストーリーを描いてゆく音作りは非常に魅力的だ。バンドは本作を最後に活動を止める。
メロディアス度・・8 ロマン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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E

ECHOES of ETERNITY 「The Forgotten Goddess」
アメリカのゴシックメタルバンド、エコーズ・オブ・エターニティの2007作
ゴシックというほどには暗くなく、むしろプログレメタル風の展開も聴かせる作品。
ザクザクとしたギターリフで聴かせつつ、ときにアコースティカルな叙情美も現れて、
女性ヴォーカルの歌声が幻想的に響く。変拍子リズムなども取り入れた楽曲は、
メタリックな激しさとゆったりとしたパートの対比がくっきりとしていて、そのあたりも面白い。
リフで聴かせるヘヴィさは、普通のゴシックメタルが苦手なメタルファンにもオススメできる。
専任シンセのいない4人組だが、今後の可能性を感じさせる作品だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Echoes of EternityAs Shadows Burn」
アメリカのゴシックメタルバンド、エコーズ・オブ・エターニティの2009年作
前作は、プログレメタル風味もある女性Voゴシックという新鮮なサウンドであったが、
本作では、そのテクニカルな展開力に、モダンなメタルコア風味が加わっている。
ザクザクとしたギターと女性ヴォーカルの歌声がややミスマッチにも思えるが、
ゴシック的な耽美さよりも、エクストリームメタルを重視したようなこの質感は、
今のリスナーには受けるだろう。緩急がある割には曲がやや一本調子に聴こえるのが残念。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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EILERA「Fusion」
フランスのゴシックメタルバンド、エイレラの2007作
女性ヴォーカル、
エイレラ嬢の歌声を中心に聴かせるシンフォニックなサウンドで、
メタル色の薄いしっとりとした雰囲気はPALE FORESTあたりに通じる感触がある。
チェロやヴァイオリンを優雅に取り入れたクラシカルなアレンジとともに、メロディにはほのかに
ケルティックな質感もあり、「素朴になったWITHIN TEMPTATION」という感じで楽しめるのだが、
6曲目とかはいきなりスクーリームヴォイスで叫び始めたりと、作品としてのまとまりにはやや欠ける。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELI「Darkness Will Fall」
イタリアの女性ヴォーカル、Eliza Pezzutoこと、エリの2008年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、ヨーロピアンなもの悲しい叙情とともに、
ゴシックメタル的な耽美さでしっとりと聴かせるスタイル。ただメタルというほどの重さがないので
ゴシック系フィメールシンガーのシンフォニックなソロ作…という味わいというのが正しいか。
ギター、ベース、シンセ、すべての楽曲はフィンランド人ミュージシャン、ラーズ・エリック・マットソンが担当、
レーベルはLION MUSICということで、実質的にはフィンランド系の作品といって差し支えないだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELIS「GOD'S SILENCE DEVIL'S TEMPTATION」
リヒテンシュタイン(スイスの北にある小国)のゴシックメタルバンド、エリスの1st。2003作
ERBEN DER SCHOPFUNGというバンドの女性VoとGが新たに結成したバンドらしい。
サウンドは美しい女性Voをメインにしたもので、ややエレゴシックがかったノリのいいリズムに
シンセによるシンフォニックな味付けをした感じ。ドイツ語で歌われるサビーネ嬢の歌唱が絶品で、
暗鬱すぎず明るすぎず、しっとりとしたヨーロピアンな情緒を聴き手に運んでくれる。
重いゴシックが苦手という方には、聴きやすくてお薦めのアルバム。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ELIS「DARK CLOUDS IN A PERFECT SKY」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの2nd。2004作
デジタリィな要素を取り入れつつも、ヨーロピアンな情緒を感じさせるそのサウンドは
今作も健在で、プロダクションの向上もあり、ぐっと音の厚みが増している。
サビーネ嬢の歌唱はオペラティックで、その美声は楽曲にクラシカルな雰囲気をもたらし、
アルバム全体に堂々とした説得力を付加している。シンフォニックなシンセのアレンジも美しく、
メタリックな要素も残しながらサウンドは軽すぎず重すぎず理想的なバランスを保っており、
女性声ゴシックメタルの傑作といってよいかと思う。ドイツ語で歌われるラストのバラードは感動的。
シンフォニック度・・9 ヨーロピアン度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り
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ELIS「Griefshire」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの3rd。2006年作
レコーディング中に女性Voの
サビーネ嬢の急逝という悲劇をへてのアルバム。
サウンドの方は、前作に比べてよりメタリックになったという印象。
サビーネ嬢のやわらかな歌声とバックのカッチリとしたリフがややミスマッチな感もあり、
このバンドの大きな魅力であったヨーロピアンなしっとりとした叙情は薄くなってしまった。
WITHIN TEMPTATIONと同様、モダンなアプローチは若いリスナーには違和感なく聴けるだろうが、
前作までのいい意味での地域性が気に入っていた自分としてはやや残念。
もちろん、美声のフィメールゴシックししては高品質なのは確かだし、
何曲かで聴けるサビーネ嬢の
ドイツ語での歌唱にはやはりうっとりとなる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELIS「Show Me the Way」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスのミニアルバム。2007作
新加入の元Dreams of Santy
サンドラ嬢の歌うシングル曲に、
急逝した
サビーネ嬢の歌唱が聴ける未発曲3曲を収録。
さて、サンドラ嬢の歌声は、伸びやかな中にもほのかな色気があり、
違和感なくバンドのサウンドに溶け込んでいて、これは次のアルバムが楽しみだ。
そして、サビーネ嬢の歌う未発曲を聴くと、ああこれこそがELISなんだよなあ、
という感慨がどうしても浮かんできてしまう。しっとりとしたその歌声にあらためて涙…
ともかく、新生エリスのお披露目と過去の楽曲を楽しめる、ファンには嬉しいシングルである。
ゴシック度・・8 サビーネ嬢に涙・・10 サンドラ嬢・・8 総合・・8
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ELIS「Catharsis」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの4th。2009作
前作3rdの発表直前、ヴォーカルのサビーネ嬢の急死という悲劇に見舞われたバンドだが、
新たに元Dreams of Santy
サンドラ・シュレレットを迎え、ここに4作目を完成させた。
意外にもザクザクとしたギターでヘヴィに始まり、
サンドラ嬢の艶めいた歌声とともに
キャッチーなメロディを聴かせるサウンドは悪くはないのだが、なにか物足りない。
ゴシックとしての美麗さよりも、いくぶんモダンなヘヴィネスが前に出ていて
それがときにクサメロを奏でるギターフレーズとややミスマッチな感もある。
音質がラウド気味なことも、このバンドの持ち味であるはずの美麗な叙情性を削いでしまっていて、
全体としての音がひとつになりきれていないような気がする。今後にやや不安が残る内容だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELYSION「Silent Scream」
ギリシャのゴシックメタルバンド、エリシオンの2010年作
表現力のある
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるモダンなゴシックロック。
デジタリィなアレンジを取り入れたシンセワークと、ヘヴィロック的なノリは
EVANESCENCEなどに近い雰囲気で、新鮮味はないが普通に聴きやすい。
質はなかなか高いものの、今後はこのバンドならではの個性がないと厳しいだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EMBRAZE「ENDLESS JOURNY」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エンブレイズの2001作
ミドルテンポの曲にツインギターにキーボード、Voはデス声ではなく低いがノーマルヴォイス。
暗黒度は薄く、どことなくグラム風のポップさが漂うサウンドは同国の先輩TO DIE FORがお手本なのが明らかだ。
曲の展開がメリハリよりも、ノリの良さとじわじわくる微妙なドラマ性にあるのも同様。
バックのキーボードが意外と曲を盛り上げているのもよろしい。
これで女性Voが歌えばアンビエントなゴシックメタルなのだが、逆に男Voなのがいうなれば彼らの個性なのだろう。
演奏も曲の方も十分TO DIE FORにひけをとっていない。
メロディアス度・・7 ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5


EM SINFONIA「INTIMATE PORTRAIT」
アメリカのゴシックメタルバンド、エム・シンフォニアのアルバム。
NOVENBRES DOOMのメンバーのバンドらしいがそれも詳細は不明。
キーボード入りで男女Vo、というこの手の正統的なスタイル。
サウンドもクラシカルな耽美色とデス色が合わさっていて、それなりに質は高い。
デス声パートと、アコースティック、女性Voパートと、曲のメリハリの付け方はなかなか。
あとは「おう」と思わせる個性なり大仰性をもっと身につければ今後期待出来るバンドだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 個性・・6 総合・・7


End of September
スウェーデンのゴシックメタル、エンド・オブ・セプテンバーの2012年作
ヘヴィロック的なモダンさと、ゴシック風味の耽美さも含ませたサウンドに
女性ヴォーカルの伸びやかな歌声を乗せた作風は、これといった目新しさはないものの、
なかなか高品質。メロディそのものにもう少しキャッチーな魅力が欲しい気はするが、
適度なヘヴィさと哀愁を含んだ聴き心地は悪くない。今後に期待したいバンドです。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ENTWINE「GONE」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの2nd。2000作
メランコリックで哀愁ただようギターリフ、メロディに倦怠な男性Voが歌を載せる。
同国のTO/DIE/FORを意識しているのだろうが、それよりもゴシック的な妖艶さは高く
この甘い声質の軟弱系男性Voがサウンドにマッチしている。
キーボード(女性)のしっとりとしたシンフォニックな音にメロウなギターが重なり、
心地よいミドルテンポの曲調に耽美な雰囲気を適度にかもしだしている。
時折現れるヴァイオリンや女性コーラスも美しく、ゴシックメタル初心者にもうってつけ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 ゆったり心地よい度・・9 総合・・8
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ENTWINE「TIME OF DESPAIR」
女性Keyを含むフィンランドの6人組ゴシックメタルバンド、エントワインの3rd。2002作
TO/DIE/FORらとともにマイルド系ゴシックロックといったサウンドで、
アルバムを重ねてきているこのバンド。音楽性としてはとくに目新しさはなく、
完成度からすれば本作は4th「DIEVERSITY」ほどではないと思うが、
マイルドでキャッチーな歌メロと、この適度なヘヴィさで安心して聴ける。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 マイル度・・8 総合・・8
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ENTWINEDIEVERSITY」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの4th。2004作
フィンランドといえば、メランコリックなゴシックメタルが盛んなお国柄だが、
このバンドもHIMTO/DIE/FORなどとともに、高品質なアルバムを作り続けている。
叙情たっぷりの楽曲は、ピアノやシンセを効果的に使用し、マイルドな男Voの歌唱とあいまって
耳心地がよく、冬に聴くにはぴったり。このバンドの場合、ゴシックといっても暗さや絶望感などはなく、
もの悲しい叙情美をゆるやかに描いていて、キャッチーなメランコリックロックとしても聴けてしまう。
もの悲しいピアノの旋律の美しさ、そしてときにギターのメロウなフレージングが胸を打つ。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・9 マイル度・・9 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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ENTWINE「Fatal Design」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの2006作
HIMTo/Die/Forなどとともに、フィンランドのゴシックロックを牽引するこのバンド、
5作目となる本作でも、メランコリックなメロディをヘヴィすぎないマイルドなアレンジに乗せて
質の高いサウンドを聴かせてくれる。初期に比べるとメタリックな質感は薄らいでいて、
ゴシック的な暗さよりもグラムロック的なモダンな叙情をキャッチーに楽しめるという点では、
初心者にもとっつきやすいアルバムだろう。個人的には前作の方が好みであるが。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 マイル度・・9 総合・・8
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ENTWINEPainstained
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの6th。2008作
フィンランド産男性声ゴシックメタルとしてはTo Die Forと並ぶこのバンド、
本作ではよりヘヴィになったギターリフと、キャッチーな歌メロが前に出ていて
もはやゴシックというよりは、モダンなヘヴィロックという質感である。
うっすらとしたシンセアレンジに、ギターはときにオリエンタルなフレーズも奏でつつ
メランコリックな叙情を表現してゆく。聴き心地の良さではHIMに通じるものがある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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EPICA「THE PHANTOM AGONY」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの1st。2003作
オランダのゴシックといえば、WITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVERが筆頭に挙げられるが
このバンドはそのAFTER FOREVERの元Gによるバンドなのである。
美声のソプラノ女性Voに、シンフォニックでクラシカルな楽曲はゴシックメタル好きにはストライク。
ときおり絡むデス声や、コーラスなど、濃密なアケンジと壮大な世界観も素晴らしい。
楽曲自体にはやや意外性は薄いものの、全体的に安心して聴けるクオリティの作品である。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA「CONSIGN TO OBLIVION」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの2nd。2005作
1stの時点からそのサウンドにはすでに新人らしからぬ堂々とした重厚さと
誇り高き美意識を備えていたが、この2ndではいっそう曲にメリハリがついていて、
クラシカルな部分とメタル的な重厚さとがじつに見事なアレンジで融合している。
キーボードやコーラスによる荘厳なオーケストレーションはどこか宗教的でありながら、
曲の雰囲気は重すぎることなく、メタルとしての聴きやすさを保っているのもポイント。
そして美貌のシモーネ嬢の、ときにオペラティックで、ときに天使のような美しい歌唱は
前作よりいっそうその説得力を増していて、このバンドの耽美な世界観を表現している。
クオリティ、密度ともに、まさにゴシックメタルの理想形の一枚といっていい傑作でしょう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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EPICADivine Conspiracy」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの3rd。2007作
映画的なイントロに続き、荘厳なオーレストレーションとクワイアに包まれたサウンドは、
もはやゴシックメタルというよりは、シンフォニックメタルの質感で、
そこに乗る
シモーネ嬢の歌唱もオペラ歌手ばりの存在感と美しさをもたらしている。
壮麗きわまりない音作りは、その反面、オーケストレーションに頼りすぎのきらいがあり、
こうしたいわば
RHAPSODY的手法だと、どうしても1曲ごとの楽曲の質が落ちて、
全体的に画一的な平坦さがつきまとってしまう。つまりオケを抜かして聴くとあまり面白くはないのだ。
映画のサントラなども手がけたバンドとしての経験が活かされた作品だと思うが、
本来のゴシックメタルファンからすると、これは少し違うかな…と感じるかもしれない。
よくも悪くも派手な部分だけが耳につき、むしろしっとりと歌を聴かせる4曲目が一番耳に残る。
プログレメタル的にバタバタとしたりする唐突な曲展開は、よくも悪くも若さと勢いに溢れている。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA「Classical Conspiracy」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカのオーケストラ共演ライブアルバム。2009作
本作は2008年にハンガリーで行われたライブイベントでのステージをCD2枚組みで収録、
40人編成のオーケストラに加え、30人もの合唱団とバンドがコラボした一大シンフォニーである。
Disc1の途中まではヴェルディ、ヘンデル、ドヴォルザーク、ヴィヴァルディ、プロコフィエフ、グリーグといった
クラシック曲を中心にしたナンバーで、壮麗なオーケストラにバンドサウンドが自然に融合していて、
メタル的な雰囲気は薄いものの、しっとりと優雅に楽しめる。それから待ってましたのバンド曲が始まると、
シモーネ嬢の艶やかな歌声とともに、生のオーケストラとコーラス隊をバックにアルバム以上に臨場感のある
ゴシックメタルを聴かせてくれる。1stから3rdまでのナンバーをまんべんなく演奏してくれるのも嬉しい。
クラシカル度・・9 壮麗度・・9 ライブ演奏度・・8 総合・・8
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EPICA「Design Your Universe」
オランダのクラシカル・ゴシックメタルバンド、エピカの2009作
オーケストラとの競演を果たしたライブ作に続く今作は、彼ららしいクラシカルな美意識に溢れた力作だ。
荘厳なプレリュードからオーケストレーションをふんだんに使用した2曲目までの流れで、
オペラティックメタルとしての強固な世界観を見せつける。すでに前作の段階でゴシックメタルというよりは、
構築されたシンフォニックメタルとしての方向性を打ち出していたが、本作もその流れにありながら、
楽曲ごとにより焦点を絞り込んできたという印象。シモーネの歌を中心にした3曲目などは、
WITHIN TEMPTATIONばりのメロディアスさと、より豊かな表現力を増した彼女のヴォーカルが
絶品の情感をともなって響きわたる。5パートに分かれた13分の組曲“Kingdom of Heaven”は
重厚かつドラマティックに展開しながらデスヴォイス入りの激しさとクラシカルな美しさが戦う大曲で、
オーケストレーションに頼りがちだった前作以上にギターパートが活躍、メタリックなエッジを生み出している。
アルバム全体としては、いくつか中庸の曲もあり、もう何曲か削ってシェイプしてもよかった気もするが、
優雅さと耽美、壮大さとアグレッシブを一緒に詰め込みクラシカルに仕上げるところがこのバンドらしいとも言える。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA「Requiem For The Indifferent」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2012年作
ゴシック的な耽美さとクラシカルで荘厳な世界観でファンも多いこのバンド、
本作も従来通り、シンフォニックなアレンジや壮麗なクワイアは健在で、
シモーネ嬢の歌声とともに、デスヴォイスを含めたモダンなヘヴィさで聴かせる。
オーケストラルな荘厳さは、いくぶん抑えられ、むしろ凝縮されてシンプルな聴き心地で、
静かなパートでの美しい歌声が引き立ち、ゴシックメタルとしての雰囲気が戻ってきた。
8分、9分という大曲を構築するセンスもさすがで、バンドとして円熟の域に入ったと思わせる力作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA「We Will Take You With Us」
オランダのシンフォニックゴシックメタルバンド、エピカのスタジオライブDVD。2004作
若手バンドながらすでにヨーロッパのみならず日本でも人気のこのバンド、
このDVDは彼らのスタジオライブ作品で、ストリングス隊に合唱隊を擁しての演奏は
シンフォニックかつ荘厳な楽曲とともに、アルバム盤以上に彼らの魅力が現れている。
そして赤毛のシモーネ嬢の美しさは、映像的にもとても引き立っていて
そのオペラティックな美声はアルバムで聴く以上に表現力の高さを見せてくれる。
バンド+ストリングスの演奏約40分に、ピアノとチェロをバックにしたアコースティック演奏を15分ほど、
ビデオクリップ2曲に、それぞれのメイキング、インタビューなども収録。
このバンドの魅力を再確認するには充分な作品である。
映像・・8 演奏・・8 シモーネ嬢・・10 総合・・8
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ERDEN DER SCHOPFUNG「TWILIGHT」
リヒテンシュタイン公国のゴシックメタルバンド、エルデン・ダー・ショファングの2001作
現在ではELISというバンド名で活動しているが、この作品の段階ではよりデジタリィな色が強い。
打ち込み風のリズムの上をヘヴィなギターリフとキラキラとしたシンセが重なり
そこに美声のサビーネ嬢の歌声が乗るサウンドはデジタル的でありながら、
根底にはヨーロピアンな深遠な暗闇が感じられ、耽美主義的な雰囲気が支配している。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Estatic Fear「Somnium Obmutum」
オーストリアのゴシックメタルバンド、エスタティック・フィアーの1st。1996作
リュートによる素朴なイントロから、続くは32分という長大な曲で
メロウなギターフレーズによるドゥーミィな質感と、美しいシンセで聴かせる
耽美なゴシックメタル。ヴォーカルはけっこう迫力のあるデス声で、
それがクラシカルなピアノやハープシコードの優雅さと合わさると、
初期のLacrimas Profundereあたりを思わせる質感になる。
繊細なフルートなどを使いアコースティカルな静かなパートもありつつ、
激しくたたみかけるパートもあり、そのメリハリの付け方はHaggard的か。
ときおり入る女性ヴォーカルも美しい。垢抜けないローカルさが気にならない
耽美派ゴシックメタル好きの方には勧めたいバンドである。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・7.5
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Estatic FearA Sombre Dance
オーストリアのゴシックメタルバンド、エスタティック・フィアーの2nd。1997作
ギター&シンセ奏者のマティアス・コグラーによるソロプロジェクト的なバンドで、
チェロ、フルート、リュートなどのアコースティック楽器も取り入れたクラシカルな感触と
女性ヴォーカルの歌声に男性デス声が絡む、耽美なゴシックメタルサウンド。
美しいピアノの響きに、メロウなギターの旋律、いかにも欧州を思わせる叙情美と翳り、
そして中世的な世界観を含んで、うっとりとなる聴き心地だ。組曲形式のように続いてゆく
アルバム構成もクラシック的で、もの悲しくも優雅なゴシックメタルが味わえる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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the Eternal「kartika」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、ジ・エターナルの2010作
Cryptal DarknessのMark Kelson(Vo/G)率いるバンドで、これが3作目となる。
中期のPARADISE LOSTを思わせる、ややモダンなゴシックメタルサウンドで、
キャッチーかつマイルドなヴォーカルはHIMあたりに通じる聴きやすさがある。
適度なヘヴィさと程良いシンセワークにより音の厚みもしっかりとあって、
ときにメロウなギターフレーズを聴かせながら、ピアノやアコースティックギターなどで
もの悲しい叙情を描き出すところは、さすがに経験値のあるメンバーである。
フィンランド的なメランコリックさがこの手のバンドを好むリスナーにはたまらないだろう。
日本盤はプロモやライブ映像を収録したエンハンズド仕様となっている。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 モダンゴシック度・・8 総合・・8
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EVANESCENCE「FALLEN」
アメリカ出身のゴシック系ヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの1st。2003作
アメリカでは
「女版LINKIN PARK」としてMTVはじめメジャー流通していてかなりの認知度らしい。
一聴した感じだと、私などからすれば
ゴシック風のヘヴィロックという印象で、
1曲目のリフなんかWITHIN TEMPTATIONの「ICE QUEEN」を思わせる。
ヘヴィなギターとエレゴシック的な打ち込みアレンジ、そこに乗るエイミー嬢の見事な歌唱。
この効果がはまってゴシックメタルなるものを知らない「一般の人々」には新鮮に聴こえたのだろう。
コーラスなどにおけるラップ要素は、ゴシックメタル聴きの人間には別段いらないものだが、
こうした細かなアレンジは確かにメジャーになってもおかしくないだけのものは持っている。
なによりエイミー嬢の歌唱には、ゴシック的なメランコリックさがあり、その手のファンにも違和感なく聴ける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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EVANESCENCE「ANYWHERE BUT HOME」
エヴァネッセンスのライブアルバム。DVD付き。2004作
1stアルバムからの曲をメインに、しっかりと楽曲を再現、曲は基本的にどれもコンパクトなので、
WITHIN TEMPTATION好きの私からすると、アレンジにやや物足りないものは感じるが、
そこはサウンドのまとまりと、ヘヴィさとキャッチーさのバランスの良さでさっと聴き通せてしまう。
エイミー嬢の歌唱は、ライブにおいては、ヘヴィな曲よりは、むしろしっとりとした曲において
実力が発揮されているように思えるので、今後もその路線を活かしてほしい。
DVDの方も曲順はほぼ一緒。ドレス姿のエイミー嬢の歌う姿(ピアノの弾き語りは良いな)
が見れるのでファンは買いだろう。客席に女性ファンが多いのも印象的。ビデオクリップも収録。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVANESCENCE「the Open door」
アメリカのゴシック風ヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの2nd。2006作
メジャーシーンも巻き込んで話題を呼んだ前作「Fallen」に続いてのアルバムが完成。
なんでもメインソングライターであるギターが脱退したということだが、
なるほど一聴した感じ、ゴシックメタルというよりはしごく普通のヘヴィロックになったという印象。
ザクザクのリフに乗る
エイミー嬢の歌唱は、いっそうの自信と表現力が備わったように聴こえる。
もともと私などはこのバンドを
ゴシックメタルとは「似て非なるもの」ととらえていたので、
このサウンドの若干の変化もとくに違和感なく聴ける。曲によってはしっかりとメロディと叙情性もあるし、
なにより、さらに歌の上手くなったエイミー嬢の歌声はジャンルの壁を超えてじつに素晴らしい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 女性Vo度・・9 総合・・8
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Evanescence
アメリカのヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの3rd。2011年作
前作から5年ぶりとなる本作では、ギター、ベース、ドラムが交替しているが、
エイミ・ーリーの伸びやかな歌声と、キャッチーさとヘヴィネスの絶妙のバランスで、バンドとしての
健在ぶりを示している。3〜4分台にまとめられたポップなモダンさはいかにも売れセンであるし、
その質の高さには、WITHIN TEMPTATIONの近作と同様にあざとさを感じるのだが、
ヘヴィロックやゴシックのファンだけにとどめない堂々たるメジャー感覚がしっかり音にある。
2曲めのリフなどIce Queenっぽいし、そのままシャロンが歌っても違和感ないようなメロディも
多々あるのだが、歌メロの充実ぶりという点では過去作を上回る出来といってよいだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック風味度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVENFALL「STILL IN THE GREY DYING...」
イタリアのゴシックメタルバンド、イーブンフォールの1st。1999作
2ndは女性Voを入れてぐっとゴシック的な音になったが、この1stの時点では
COFのダニのようなわめき声Voで、速くないシンフォブラックといった印象。
きらきらとしたキーボードが美しく、ジャケ通りの耽美世界を音で再現している。
聴き易いサウンドだが、いまひとつ曲にひねりがないのも確か。
2ndでのゴシック化はいい選択であったかもしれない。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 ブラック度・・7 総合・・7

EVENFALL「CUMBERSOME」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、イーヴン・フォールの2nd。
非常に魅力的なしっとりとした女性ヴォーカルの歌唱に、野郎の高音ブラック声、
曲はキーボード+ツインギターで音も厚く、時折入るデジタリィな効果も今風でモダンな印象。
この手にしては曲のアレンジも聴きやすく、音には暗黒性よりは軽快な印象が強い。
1stは未聴だが、女性Voが加入したのはこの2ndからということ。
ジャケもいいが、ブックレットも全ページが彼女の写真というのもよろしいかと。
メンバーの名前が皆イタリア系というよりは東欧っぽいのが気になるな。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EVENOIREVitriol
イタリアのゴシックメタル、イヴノワールの2012年作
シンフォニックなシンセアレンジと美しい
女性ヴォーカルの歌声に、
いかにもイタリアのバンドらしいやわらかなフルートの音色が繊細でプログレッシブな香りを
サウンドにもたらしている。最近のバンドのようなモダンなヘヴィネスよりも、
少し前のゴシックメタルにあったマイナーな美意識と幻想的な香りを残しているのがよろしく、
ほの暗い叙情とともにヨーロピアンな聴き心地にうっとりとなる。リシー嬢の歌声も含めて、
初期のWITHIN TEMPTATIONLeaves' Eyesなどに通じる、涼やかな土着性も魅力的だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVEN SONG「PATH OF THE ANGELS」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、イーブンソングの1st。1999年作
たようたうような女性ヴォーカル、シンフォニックなキーボード、そしてなんといっても
このバンドの魅力はツインギターの奏でる流麗なメロディです。
いちいちメロディアスに展開してゆくこのギターだけをとっても、ゴシックのみならず
クサメタル、はてはメロデスファンにまでもアピールすることでしょう。
しかもこの1stでは、まだメロディに田舎クサさが残っていて、そこがすごくよろしい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8.5
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EVENSONG「OF MAN'S FIRST DISOBEDIENCE」
ハンガリーのゴシックメタルバンド。イーブンソングの2nd。2000作
ツインギターの扇情的なフレーズにキーボードが絡まり、のっけから素晴らしくシンフォニック。
メロデス的に展開の多い楽曲に、次々にギター、キーボードがクラシカルなフレーズを奏で、
その上を朗々とした男Vo(非デス声)と、たゆたうような女性Voが歌い上げる。
しかし歌よりもむしろこのバンドの素晴らしさは演奏の方で、どこを切ってもメロディアスで美しい。
女性VoはKEYも兼ねる才能の持ち主らしく、このキーボードワークだけでも実に見事なのである。
しかし、ツインギターのよく鳴くこと。シンフォゴシックとしてはとても素晴らしいバンドだと思う。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 女性Vo度・・6 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り
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EVENSONG「MYSTERIUM」
ハンガリーの男女混声ゴシックメタルバンド、イーブンソングの3rd。2001年作
この手の男女Vo入りゴシックは数あるが、その中でもこのバンドは最高レベルにいる一つだと思う。
バックの演奏はキーボード、ギターともに素晴らしく、音の重ね方が絶妙であるばかりか
ここぞという所で弾きまくるギターのクラシカルフレーズはもう絶品だ。
そしてそこに浮遊感のあるソプラノ女性Voが男性声と絡まり、見事な耽美空間を作り出している。
また、楽曲展開とリズムにもメリハリがあり、あるいはプログレ方面のリスナーにも楽しめるだろう。
繊細で美しいシンセサウンドは、ヴォーカルも兼ねる女性奏者のもの。じつに素晴らしい才能だ。
センスのあるバンドというものは最初の音を聴いた瞬間に分かるものだと感心しきり。
前作と同様の傑作。3作だけを残して消えるには実に惜しいバンドだった。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 耽美度・・8 総合・・8.5
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EVEREVE「Stormbirds」
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァーイヴの2nd。1998作。
EVEREVEの最高傑作。改めて聴いてみても、ツインギターとキーボードによる煽情的なメロディが素晴らしく、
アグレッシブなデス声とノーマルヴォイスを使い分けつつ、基本は王道のゴシックメタルサウンドながら、
楽曲にはしっかりとメリハリがある。とくにギターの弾く
メランコリックなメロディは非常に魅力となっていて、
ノーマル声パートも含めてメロウでもの悲しい情感を見事に作り出している。
こうしたツインギターと美麗なシンセの絡みはメロデス的な方法論でもあるので、
ゴシックだけでなく多くのメタルリスナーにアピールする魅力があるのだろう。
この後バンドはデジタリィでモダンなサウンドに移行してゆくが、このアルバムの輝きは
今なお多くのゴシックメタル愛好家を惹きつけてやまない。限定2000枚のナンバリング入り。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 メランコリック度・・9 総合・・8.5  
◆メタル名盤特選入り
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EVER EVE「REGRET」
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァー・イヴの3rd。1999作
イントロはややデジタリィな雰囲気だが、サウンドの本質は前作と同様、
メロウに奏でられるギターと美しいシンセ、そしてマイルドな男ヴォーカルで聴かせる
質の高いサウンド。王道ゴシックのメランコリックさと、エレゴシックに移行しかける狭間の
絶妙なバランスのアルバムで、HIMあたりにも通じるメロディアスな聴きやすさがある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 デジタリィ度・・7 総合・・8
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EVEREVETried & Failed
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァーイヴの6th。2005作
傑作「STORMBIRDS」の後、徐々にデジタル風味を加味して行ったこのバンドだが、
今作では前2作の軽めのデジタルゴシックから、また再び哀愁のメロディをとり戻している。
イントロからしてなにやらシンフォニックな雰囲気が漂い、期待させられるが、
2曲目以降も、良い意味での
デジタル風味を消化した、聴きやすいゴシックロックを展開している。
このジャケや内ジャケを含めて、ビザール調のエロティックな雰囲気にもなかなかそそられるし、
ノリの良いリズム面や、シンセなどのアレンジにもメジャー感のようなものが漂っていて音には説得力もある。
これで女性Voでも入っていれば最高だが…ともあれ、前2作で失望した方にも勧められるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 聴きやす度・・8 総合・・8
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EYES OF EDEN 「Faith」
DESPAIRGRIP.INCという経歴を持つギタリスト、ヴァルデマー・ゾリクタが
新たに結成したゴシックメタルバンド、アイズ・オブ・エデンのアルバム。
美しい
女性ヴォーカルの歌声を中心にしたゴシックメタルであるが、
さすがは才人ヴァルデマーが弾くだけあって、ザクザクとした硬質感にオリンンテットな
浮遊感も感じさせるリフが個性的で、全体的にギターサウンドがとても重厚だ。
また昨今のトレンドである美しいシンセアレンジも取り入れていて、
妖艶な女性声とともにヘヴィなギターとよいコントラストになっている。
後半がやや尻すぼみして楽曲が単調になるのが残念だが、
「ゴシメタはギターが弱い」と常々お嘆きのアナタは聴いてみる価値があるだろう。
メロディアス度・・7 さすがにギターがヘヴィ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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F

FLOWING TEARS「JADE」
ドイツのゴシックメタルバンド、フローイング・ティアーズの3rd。2000作
ヘヴィすぎず軽すぎずというなかなか聴きやすい楽曲に、
この手にしてはやや低めの声質の女性Voが落ち着いた歌を乗せるタイプ。
曲調的にはあまり盛り上がったりもせず、とくに目立つ要素もないので
個性という点ではややインパクトには欠けるか。
ツインギターがときおり良いメロディを奏で、全体的にゆったりと聴ける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

FLOWING TEARS「SERPENTINE」
ドイツのゴシックメタルバンド、フローイング・ティアーズの4th。2002作
かつてのTHE GATHERINGのようなヘヴィなギターの上を、女性Voが歌をのせる
王道のアンビエント・ゴシックメタルで、音的にはさほど目新しさはない。
メタルにマッチしている声質のステファニー嬢の歌唱は、繊細系というよりは
力強い系といった印象で、LANA LANEなどを思わせるところもある。
曲の出来もなかなか良く、この手の中ではオーソドックスで安心して聴ける一枚である。
メロディアス度・・7 メタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Forest Stream「Tears of Mortal Solitude」
ロシアのゴシックメタルバンド、フォレスト・ストリームの2004年作
詳細は不明だが、Vo/Key、G、Bという3人組のバンドで、ドラムは打ち込み。
シンセとギターを中心に、
シンフォニックな薄暗さと耽美な味わいのあるサウンドを構築している。
咆哮を上げるデス声とは対照的に、シンセによる叙情性はかなりのもので、
とくに静謐感のあるパートではときおりプログレ的な雰囲気すらかいま見せる。
ここぞという部分でクサいフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
かすかに民族調の雰囲気も漂わせている。10分以上の大曲が2曲あることからも、
彼らが楽曲というよりも世界観と音のかもしだす雰囲気に重きを置いているのが窺える。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5
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Forest Stream「The Crown of Winter」
ロシアのゴシックメタルバンド、フォレスト・ストリームの2009作
2004年作の段階では3人編成でドラムは打ち込みという作品であったが、
今作では女性シンセ奏者にツインギターも含む6人編成となり、音が厚くなっている。
シンフォニックなシンセワークに、薄暗い叙情でゆったりと聴かせるサウンドは
いくぶんの民俗調の雰囲気とともに、ツインギターのメロウなフレーズがとてもいい。
なによりドラムが加わったことでサウンドにはメリハリがつき、ときにシンフォブラック的な
激しさもまじえつつ、寒々しい美しさをかもしだすシンセと悲しみのデスヴォイスを乗せてゆく。
北欧のバンドとはまた違う感触で、北の大地を感じさせるシンフォニック・ゴシックである。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 北の叙情度・・9 総合・・8
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FOREVER SLAVE 「ALICE'S INFERNO」
スペインの男女Voゴシックメタルバンド、フォーエヴァー・スレイブの2005作
この耽美なジャケからして、もうゴシックファンを惹きつけているが、内容のほうもなかなかよろしい。
サウンドは暗すぎず重すぎず、シンフォニックなキーボードがとても美しいし
この手にしてはリズムも速い方なので、ノロいゴシックが苦手な方でも聴けそう。
そして、アンジェリカ嬢のエンジェリックヴォイスがまたたまらないときた。。
しっとりとしたピアノやヴァイオリンなども効果的に、メランコリックな叙情をかもしだしており
全体的に新人にしては雰囲気のつけ方が見事。これはゴシック界では久々に期待の新人だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FOREVER SLAVETales for Bad Girls」
スペインのゴシックメタルバンド、フォーエヴァー・スレイブの2nd。2008年作
1stはデビュー作にしてはかなりのクオリティで話題となったが、
続く本作は軽快な雰囲気が増して、ずいぶんと聴きやすくなった。
ゴシックというよりはNIGHTWISHなどにも通じるモダンなアレンジで
美しい女性Voで聴かせるシンフォニックなゴシック風ヘヴィロックという印象。
個人的にはずいぶんと今風になってしまって、耽美さが薄まったのは残念だが、
コア系の女性Voメタルとしても聴けるので、昨今の若いリスナーには受けるだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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For My Pain「FALLEN」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・マイ・ペインの2003年作
ETERNAL TEARS OF SORROWのメンバーを中心に、NIGHTWISHのツォーマスも参加
メロウなギターフレーズに美しいシンセワーク、そしてメランコリックさをかもしだす
マイルドなヴォーカルと、HIMENTWINETO/DIE/FORなどのよい部分を合わせた感じで、
あくまで定型内の音ながらもとても質の高いゴシックロックをやっている。
シンフォニックなシンセに絡むメロディアスなギターワークも見事で、
効果的な女性コーラスなどとともに、聴きやすく叙情的なサウンドを形成している。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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For Selena and SinOverdosed on You」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・セレナ・アンド・シンの2007年作
2009年の2ndがかなりの傑作であったので、本作もあわてて購入。
美しい
女性ヴォーカルの歌声を中心に聴かせるシンフォニックなゴシックメタルで、
やはり適度なモダンさの中にあるメランコリックな叙情美が素晴らしい。
これといった特徴はないのだが、表現力のある艶っぽいヴォーカルの歌唱と、
それを引き立てるバックのサウンドが絶妙なので、しっかりと音に説得力が感じられる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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For Selena And Sin「Primrose Path」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・セレナ・アンド・シンの2009年作
女性Voにシンセを含む6人組で、適度にモダンさのあるゴシックメタルサウンド。
ツインギターのヘヴィなリフに美しいシンセが合わさった演奏には音の厚みもあり、
実力のある
女性ヴォーカルの伸びやかな歌声は、AFTER FOREVERあたりを思わせる。
楽曲の構築力と世界観、歌唱力を含めた説得力あるサウンドが見事。堂々たる力作である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fountain of Tears 「FATE」
アメリカのゴシックメタルバンド、フォウンテン・オブ・ティアーズの2007年作
少し前まではゴシックメタルといえばヨーロッパが中心であったのだが、EVANESCENCEの登場や、
Lacuna Coil、そしてWITHIN TEMPTATIONの世界的な人気ぶりの影響からか、
しだいにアメリカからも本格的なゴシックメタルバンドが出てくるようになった。
このバンドも
女性ヴォーカルをフロントにした5人組みで、一聴してヨーロピアンな叙情を感じさせる
シンフォニックなゴシックメタルをやっている。しっとりとした美しいシンセに、ヘヴィ過ぎないメロウなギター、
そこに乗る女性Voは、少し落ち着いた中音域の声質で、派手さはないがじっくりと歌い上げるタイプ。
現時点ではこれだという個性は薄いものの、本格派のゴシックメタルがアメリカから新たに出てきたという感じだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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FUNERAL「TRAGEDIES」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタルバンド、フューネラルの2nd。1995作
まるで初期CATHEDRALのようなもったりした遅ぉ〜い曲調。
そこに女性Voとデス声が歌をのせる。ゴシック+ドゥーム+女性Voというサウンド。
曲はどれも10分以上で、全5曲60分。うーむ…ある意味すごい。
最近のゴシック系バンドのように楽曲の密度が濃くなく、ある意味では退屈。
ただぼんやりとしながら聴く分には雰囲気は悪くない。
デス声と対照的な女性ソプラノの声や時折入るピアノなどがいい味を出している。
メロディアス度・・6 ドゥーム度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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FUNERAL「IN FIELDS OF PESTILENT GRIEF」
ノルウェーのドゥーム系ゴシックメタルバンド、フューネラルの3rd。2001作
基本的には前作の延長上のサウンドで、暗く沈む込むようなギターリフに、天使のような女性の歌声が美しい。
最近のこの手のバンドでは珍しくキーボードは使用しておらず、その分ギターの重みが直接的に聞こえてくる。
女性Voは歌うというよりは、「声をのせている」という感じでソプラノ声の楽器のような役割を果たしている。
最近のシンフォニック系のゴシックに慣れた方にはつらいかもしれないが、
本物系のドゥームゴシックが聴きたい方には現存する中では良質のバンドだろう。
1stよりはギターがリフっぽいものを弾くようになって多少は聴きやすくなっている。
ドゥーム度・・9 暗黒耽美度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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G

GAIA「NOSTALGIA」
韓国のクラシカル・ゴシックメタルバンド、ガイアの2004作
女性3人、男性3人の6人組みで、ゲストの女性Voを含めて女性度がとても高い。
女性陣の担当は、ピアノ/キーボード、ヴァイオリン、ヘグム(韓国の民族楽器)で、
それらが非常に美しいメロディを奏でつつ、女性Voの歌声が乗るともうウットリ…。
歌唱は英語が基本だが2曲でハングルで歌っていて、ピアノとヘグムの音色がしっとりと響く。
プロダクションのせいもあるが音に重厚さがないのがかえってメタル度を薄くしている。
その分民族調の部分が目立っているので、メタラーよりもプログレリスナーに心地よい音かもしれない。
ダミ声の男Voはむしろいらないので、いっそのこと女性Voをメインにして欲しい!(笑)
ともかく、韓国からこのようなクラシカルなゴシックメタルバンドが出現した。今後も注目してゆきたい。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「Mandylion」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの1996作
初期はデス声の男性声バンドだったのが、バンドとしての3作目となる本作で
若干21歳のアネク・ヴァン・ガースバーゲンをフロントに据えるという大胆な決断をする。
これが後に彼らの大成功をもたらし、ひいては後のWITHIN TEMPTATIONなどの
女性声ゴシックメタルの隆盛を生み出すきっかけとなった。それだけエポックメイキングなアルバムだ。
サウンドの方は、けっこうヘヴィなギターフレーズにシンセが絡み重厚に聴かせつつ、
伸びやかなアネク嬢の歌声が涼やかに響きわたる。メタリックな力強さをもちながらも、
美しい女性声を自然に融合させている、こういう感触のバンドはそれまでになかった。
オランダから発信されたフィメールゴシックの最初の1枚。次作
Nighttime Birdsも同様の傑作。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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THE GATHERINGNighttime Birds
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの1997年作
女性Voをフロントにしての2作目で、前作「Mandylion」と甲乙付けがたい傑作。
メタリックなヘヴィさは押さえ目で、歌中心の楽曲はとても聴きやすい。
豊かな声量と表現力を備えた
アネク嬢の歌声には、大地の母性を感じるほどのスケールがある。
バンドはこの後、メタル色を弱めてゆき、独自の深化をたどってゆくが、最高作を上げるならこの作品か。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・10 総合・・8.5
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THE GATHERING「if_then_else」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・ギャザリングの6th。2000作
アネク嬢加入後4作目の本作は、前作「HOW TO MESURE A PLANET」からの
メタル要素の減退と、浮遊感のあるしっとり要素を進めつつあるアルバム。
曲によってはまだメタルリフも出てくるので、ゴシックメタルとしての存在感を示しつつ
よりアンニュイな表現力を身に付けたアネク嬢のたゆたうような歌唱がふわりと心地よい。
元気のいいゴシックメタルを好む方には眠くてたまらぬサウンドだろうが、
倦怠の美と低血圧的なゴシックロックとしては非常に気持ち良い音だ。
メロトロン的な音色のキーボードも良い雰囲気をかもしだしている。
メロディアス度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「SOUVENIRS」
オランダの女性Vo(元ゴシック)ロックバンド、ザ・ギャザリングの7th。2003作
デス声入りゴシックメタルとしてスタートし、1996の3rd「MANDYLION」を契機に女性Voメタルという新境地を開拓、
その後5th「HOW TO MESURE A PLANET」からメタル色を後退させ、デジタリィな現代性と浮遊感をともなった
サウンドに深化を遂げ今に至る。本作も基本的には最近の作風の流れをくむもので、
キーボードを効果的に使った、メタル色の薄いフィメールロック。
アネク嬢の歌唱はより温かみと、母性的な深みを帯び、たゆたうような倦怠と静寂の美を描いている。
もうゴシックメタルとは到底呼べないものの、女性声ロック好きには変わらずアピールできる魅力もある。
メロディアス度・・7 浮遊度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE GATHERING「Sleepy Buildings-A Semi Acoustic Evening」
オランダのアンビエント・ゴシックメタルバンド、ザ・ギャザリングのライブアルバム。2003作
タイトル通り、メタル色は皆無の
アコースティックライブの録音で、
キーボード、アコギをバックにアネク嬢が過去の曲を歌い上げている。
なんとかつての1st「ALWAYS..」からの曲も披露してくれており、
昔からのファンには嬉しいかぎり。しっとりとしたアネク嬢の歌声が満喫できる。
メロディアス度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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The GatheringAccessories-Rarities & B-Sides
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの企画アルバム。2005作
女性ヴォーカルをフロントにして成功を収めたゴシックメタルバンドとして人気を得たこのバンドだが、
看板ヴォーカリスト、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの脱退により、いったんその歴史に区切りをつけた。
本作は未発曲やライブ音源、デモなどを集めたCD2枚組の企画アルバム。
Disc1にはシングル曲からの音源がメインで、初期のライブ音源や未発曲などを収録。
転換期となった傑作アルバム「Mandylion」以降のバンドの変遷をたどるようにして楽しめる。
やはり
アネク嬢の瑞々しい歌声にはうっとりだし、単なるゴシックにとどまらないキャッチーで
浮遊感に満ちたサウンドは見事だ。Disc2にはドイツのブログレバンドGrobschnittのエロック氏による、
「Nighttime Birds」のシンフォニックな別ミックスデモと(これがプログレ的で素晴らしいサウンド!)、
「How to Measure Planet?」
時のセッションデモを収録。どちらもファンなら垂涎の貴重音源だ。
貴重音源度・・9 アネク嬢・・9 ファン必聴度・・10 総合・・8.5
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The Gathering「a noise severe」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングのライブアルバム。2007作
2007年チリでのライブステージを収録した2枚組で、オランダを代表する歌姫、
アネク・ヴァン・ガースバーゲン在籍のラスト音源。バンドの歴史を綴るように過去作からの曲も演奏、
アネク嬢も最後とは思えない素晴らしい歌声を披露している。Disc1のラスト3曲とDisc2の2〜5曲目は、
Mandylion」「Nighttime Birds」からのナンバーで、やはりこのあたりの曲にはぐっとくる。
ほのかな薄暗さと倦怠を漂わせた彼らのサウンドは、これからも人々の心に刻まれるだろう。
ゴシック度・・8 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・9 総合・・8
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The Gathering「West Pole」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの2009年作
本作はバンドの20周年記念アルバムであると同時に、看板であったヴォーカルの
アネク・ヴァン・ガースバーゲンが脱退してからの最初のアルバムとなる。
新ヴォーカルはOCTAVIA SPERATIで歌っていたSilje Wergeland嬢で、
そのやわらかみのある歌声は、前任のアネク以上にアンビエントな雰囲気をかもしだしている。
曲調はゴシック的な暗さよりも、メロディアスな叙情ロックという趣が強く、
シンプルな音作りとともに、これまで以上に耳触りのよいメジャー感がある。
メタリックな要素はほぼ皆無だが、しっとりとした女性声ロックとしてのんびりと楽しめる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Gathering「Disclosure」
オランダのゴシックロックバンド、ギャザリングの2012年作
ヴォーカルにOCTAVIA SPERATIのSilje Wergeland嬢を迎えての2作目で、
サウンドは前作からの流れにあるアンビエントな雰囲気の女性声ロックという作風。
しっとりした
女性ヴォーカルの歌声とアンニュイな浮遊感で、やわらかな叙情を聴かせる。
メタル色は薄いが、けだるさを含んだモダンな女性声アンビエントロックとして楽しめる。

ドラマティック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE GATHERING「IN MOTION」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・ギャザリングのDVD
1996年オランダでのライブ映像と、1997年ポーランドでのライブ映像にビデオクリップ2本を加えた内容。
1996年のライブはおそらくアルバム「MANDYLION」発表直後で、
少女のようなアネク嬢が可愛らしく飛び跳ねているのがなんとも初々しい。
1997年の映像になると、ぐっと大人っぽく妖艶さを身につけたアネク嬢が堂々としたな歌唱を聴かせる。
曲の方もややまどろみがかった陰鬱さを増し、バンドとしての深化を感じさせる。
ビデオクリップは3rd「MANDYLION」からの1曲と、5th「HOW TO MESURE A PLANET」から1曲
見比べてみると、女性というのは変わるものだ、と(笑)実感出来るかもしれない。
こうしてみるとやはりアネク嬢が加わった3rd「MANDYLION」」4th「NIGHTTIME.BIRDS」のころが
彼らがゴシックメタル的な重厚さを持っていた時期だったと思う。
5th以降はデジタルさとアンニュイ度を高めてゆく彼らの初期の映像が見れることは嬉しい限りである。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「A Sound Relief」
オランダ女性Voゴシックメタルの元祖ともいうべき、ギャザリングのライブDVD。2005作
メンバーはなんだかインテリ風になった今やメタルとは無縁な感じの風貌のギターに、
ヴィンテージな音を鳴らすキーボード、ドラム、女性ベーシスト
(そういえばベースも女性になっていたのね)
そして今やオランダを代表する歌姫となった
アネク嬢、という編成で、曲はしっとり&倦怠系が中心。
そんな中、アネク嬢の歌唱は以前にもまして静かなる表現力を備えており、
お腹の膨らみかけのその姿
(おめでたですな)や、表情などには今までにない母性と色気漂っている。
ときおり挿入される、タツノオトシゴのCG画像にどんな意味があるのかはともかく、
行儀よく座席に着いて曲を鑑賞し、拍手を送る観客の姿を見ても、
このバンドがすでにヘドバンするメタルバンドとは異なる位置にあることを示している。
DISC2のボーナス映像の方には、ツアードキュメントやビデオクリップが収録されており、
こちらもセンスのよい映像編集がヨーロピアンな情緒をかもし出している。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・8 総合・・7.5
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Good Things EndOut of Nowhere」
オランダのゴシックメタルバンド、グッド・シングス・エンドのアルバム。2008作
WITHIN TEMPTATIONなどを手がけたOscar Hollemanがプロデュースする新人で、
サウンドは表現力豊かな
女性ヴォーカルを中心に、適度にヘヴィでメランコリック、
そして、ときにWITHIN TEMPTATIONを思わせるシンフォニックなアレンジもある。
聴きやすくメロディアスな楽曲は、反面、このバンドならではの個性はまだ薄いのだが、
女性Voの素晴らしい歌唱の説得力で、堂々たるクオリティの作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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GODYVAIn Good and Evil
イタリアのゴシックメタルバンド、ゴディヴァの2007年作
美しいシンセと、モダンで若干デジタリィな質感を漂わせたゴシックメタル。
絶品の歌声を聴かせる
Godyva嬢の歌声が、ときに妖艶に響きわたる。
楽曲自体にはもうひとひねりが欲しい気もするが、歌唱力を含めて実力は充分で、
モダンな雰囲気のゴシックが好きなら楽しめるだろう。LACUNA COILに続く期待のバンド。
シンフォニック度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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GODYVA「Planetarium」
イタリアのゴシックメタルバンド、ゴディヴァの2008年作
実力派の女性ヴォーカル、
ゴディヴァ嬢を擁し、前作もなかなか質の高い作品だったが、
本作も美しいシンセアレンジとEVANESCENCE、Lacuna Coilなどにも通じるモダンなゴシックサウンド。
確かな表現力と伸びやかな声量、そしてキュートな魅力を備えた彼女の歌声はやはり素晴らしく、
どんな楽曲でもきらびやかに聴かせてしまうのはさすがというものだろう。
個人的には男性デス声を含めて、ヘヴィロック的な要素はあまり好みではないのだが、
実力のある歌唱を聴きたいフィメールロック好きの方はぜひチェックすべし。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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GREEN CARNATION「LIGHT OF DAY, DAY OF DARKNESS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションの2nd。2002年作
元々はIN THE WOODSの前身バンドだったが、EMPERORSATYRICON等を渡り歩いた
中心人物のTCHORTが戻ってきたことで再結成されたということらしい。本作はなんと全1曲60分。
IN THE WOODSのメンバーに加え、シンセやコーラス隊を加えた大がかりな構成である。
デス声はほとんど入らず、ゆるやかに展開してゆく楽曲の中をクリーンVoが朗々と歌を載せる。
さすがにギターのメロディなども煽情的で、インナーの写真同様、北欧の自然を感じさせる世界観だ。
長大な楽曲や、プログレ的な叙情美などは、ある部分OPETHなどにも通じるセンスがある。
メロディアス度・・8 北欧的叙情度・・8 壮大度・・9 総合・・8
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green carnationBlessing in Disguise
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションの3rd。2003作
すごいバンドだ。前作では60分1曲という大作志向の力作を作り上げながら、
本作では一変してレトロなハードロック風味のサウンドにシフトしている。
ハモンドオルガンの音色とともに、古き良きブリティッシュロック的な質感と、
北欧の薄暗い叙情美が合体したような雰囲気が面白い。
ゴシックメタルとしては聴かない方がいい。むしろプログレリスナーにお勧めしたい。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 レトロ度・・8 総合・・8
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Green CarnationThe Acoustic Verses」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションのアルバム。2005作
素晴らしいセンスとプログレッシブな知的さをただよわせたこのバンドのサウンドは、
OPETHの次に聴くならこれだといいたいほどであるのだが、残念ながら知名度はまだ低い。
本作はなんとアコースティックアルバムで、このバンドのゆるやかな叙情性を抽出したような
作品となっている。アコースティックギターにうっすらとしたシンセが絡み、そこにマイルドな歌声が乗ると
北欧の薄暗い幻想美をただよわせた、まるで耳心地のよいプログレ作品のようだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・2 叙情度・・8 総合・・8
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GRIMFAITH「grime」
ウクライナのゴシックメタルバンド、グリムファイスの2008年作
女性シンセ奏者含む5人組で、マイルドな男性声ヴォーカルで聴かせる
倦怠系のゴシックロック。美しいシンセをとメロウなギターフレーズとともに
HIMENTWINEあたりを思わせるなかなか質の高いサウンドだ。
ときおり入る女性コーラスや、わめき声ヴォーカルなどもアクセントになっていて、
アコースティカルなパートや、シンフォニックメタル風のパートなど
飽きさせない工夫が作品を通して感じられる。今後の可能性に期待できるバンドだ。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5


H

HAGGARD「And Thou Shalt Trust... The Seer」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードの1st。1997年作
現在までに4作を発表し、ストリングス隊を含む16人にも及ぶメンバーからなる
そのサウンドは、クラシカルにしてオペラティックで、密かにファンを増やしている。
このデビュー作においても、そのクラシカル・ゴシックサウンドはすでに完成しており、
たおやかなフルートとピアノの音色に、ヴァイオリン、チェロなどが絡んで優雅に聴かせつつ、
デス声と美しい
女性ソプラノの掛け合いによるオペラティックな雰囲気が個性的だ。
メタルとして聴くにはギターやドラムがつまらなく、重厚さの点でももの足りないのだが、
それを補うだけのクラシカルかつオペラティックな独自の作風が見事にハマっている。
クラシカル度・・8 ゴシック度・8 オペラティック度・・9 総合・・8
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HAGGARD「AWAKING THE CENTURIES」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードの2nd。2001作
ノストラダムスをテーマに、バンドメンバー他、ピアノ、チェロ、フルート、ヴァイオリン、女性コーラス、
その他による総勢20名ほどによる一大ゴシックシンフォニーである。
クラシカルで美しく、シアトリカルでオペラティックな作風は前作同様だが、
やはりメタルとしては音の密度の薄さもあり、演劇的な部分もやや迫力に欠ける。
熱意と仕掛けの多さには感心するが、まだまだDEVIL DOLLの域には迫っていないのが惜しい。
クラシカル度・・9 オペラティック度・・9 重厚度・・7 総合・・7.5
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HAGGARD「Awaking the Gods」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードのライブアルバム。2001作
2001年メキシコでのライブを収録した作品で、同タイトルのDVDも出ている。
ストリングス隊を含め16名という大人数によるバンドのライブは、
美しいソプラノヴォーカルに絡むデス声に、壮麗なるコーラス隊、
フルートにオーボエ、ハープなどのたおやかな音色もまじえつつ、
楽曲にはメタル的な無骨さとのメリハリがついていて、音質も良好だ。
アルバム以上にミステリアスで、重厚なクラシカル・ゴシックメタルが楽しめる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・8 重厚度・・9 総合・・8
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HAGGARD「EPPUR SI MUOVE」
ドイツの管弦楽団入りゴシックメタルバンド、ハガードの3rd。2004年作
このバンドが凄いところは、ヴァイオリン、チェロといった管弦楽隊がゲストではなく
パーマネントなメンバーであるという所だ。
メンバー総勢17名。1バンドの人数じゃない…(笑)
さて、このアルバムであるが、のっけからもうシンフォニック&クラシカルの嵐。
なにせ本物のストリングスがいるのだから、その音の説得力たるやハンパでない。
まるでオペラかなにかを聴いているような錯覚にすらおちいる。
かつてのアルバムに比べ、メタルパートとクラシカルパートの融合がスムーズになっており、
ダークなゴシックメタルサウンドに、古楽的なメロディがしっかりと溶け込んでいる。
また、女性ヴォーカルの活躍も今まで以上で、アルトにソプラノ、それに男性テノール歌手も今回ゲスト参加、
そこにデス声とが混じり合い、大仰かつダークで優雅、クラシカルでときに古典的、そしてメタリックという、
ひどくレンジの広い音楽性を体現している(それでいて音はちゃんとゴシックに統一されている!)
ヴァイオリンだけでなく、ピアノやチェロなども実に美しく、曲ごとに優雅に弾き鳴らされる。
荘厳なるオペラティック・ゴシックといってもよいだろう。限定盤に付属のDVDには1998年のライブ映像を収録。
シンフォニック度・・10 荘厳度・・10 クラシカル度・・9 総合・・9 
◆メタル名盤特選入り
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HAGGARDTales of Ithiria
ドイツのゴシックメタルバンド、ハガードの2008作
ストリングスカルテットを含む大人数の編成で、大がかりなクラシカル・ゴシックメタルを
標榜するこのバンド、その待望の新作である。今作もストーリー的なコンセプトで
オペラティックなドラマ性たっぷりに 聴かせてくれる。シンフォニックなシンセに
ヴァイオリン、さらにはフルート、オーボエ、クラリネットなどの管楽器も使用して
オペラティックな男女ヴォーカルとともに優雅なまでにクラシカルだ。
もちろんデス声も入ってきてメタル要素もあるものの、前作のドラマティックさに比べると
案外あっさりとしている感もあり、サウンド面での濃度にはやや物足りなさも残る。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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HAGGARD「AWAKING THE GODS LIVE IN MEXICO」
ドイツの管弦楽団入り16人編成のクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードのライブDVD。
このバンドのスタジオ盤CDの2nd「AWAKING THE CENTURIES」は聴いていたが、
大仰な仕掛けとシアトリカルな構成のわりにはさほど凄いという印象は受けなかった。
しかし、このライブ映像では彼らのサウンドのダイナミズムには圧倒されるものを感じる。
ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、クラリネット、フルート等の管弦楽隊が典雅な音を響かせ、
そこにギター、キーボード、それにデス声、女性Vo、コーラス等が重なってゆくさまは圧巻。
クラシカルで中世音楽的な荘厳さを、デス声入りゴシックメタルに融合させた彼らのスタイルは、
ある部分THERIONにも通じるところがある(ただしサウンドの大がかりさではこちらが上)。
いかにもメタラーという風貌のバンド陣に比べ、バックの管弦メンバーの演奏時の顔つきは
本物のクラシックミュージシャンのそれで、対照的なのも面白い。
いかにもゴシックらしく、ステージ上の譜面台を照らすのが蝋燭というのも徹底している。
音質も良好。ついでにヴァイオリン奏者(ヴィオラ?)にすごい美人がおり(チェロの隣の方)、
カメラさんも分かっているのか、楽隊の中では一番多く映る。ありがとう(笑)。
シンフォニー度・・9 大仰度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5



Hanging Doll「Reason and Madness」
イギリスのゴシックメタルバンド、ハンギング・ドールの2008年作
ゴシックメタル発祥の国でありながら、これまで意外と女性声のゴシック系バンドが
いなかったというイギリスから、男女ヴォーカルで聴かせる本格派が登場。
妖艶な
サリー嬢の歌声と咆哮するデス声が、ピアノやストリングスの音色とともに
クラシカルかつ重厚に重なってゆくサウンドは、EPICAあたりにも近い雰囲気だ。
オーケストラルなシンセアレンジやオペラティックな世界観はとてもいい感じであるが、
メロディや楽曲そのものにはまだ個性は希薄で、バタバタとしたドラムなどを含めて、演奏面での
改善もいくらか必要だろう。ヴォーカルの実力はあるので今後に期待したい。マイスペはこちら
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Hanging Doll「Sacred & Profane」
イギリスのゴシックメタルバンド、ハンギング・ドールの2012年作
女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジ、モダンなヘヴィさで聴かせるサウンドは、
デスヴォイスの絡む適度にアグレッシブな感触もあって、EPICAタイプと言えるだろうか。
モダンでありながらも耽美な雰囲気も感じさせる聴き心地はなかなかよろしく、
ベートーベンの“月光”を取り入れるなど、しっとりとした曲の方がむしろ魅力的だ。
これだというインパクトには欠けるので、中庸の好作どまりという物足りなさもあるが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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HARJALF「Northern Wind」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ハージャルフの2004年作
女性ヴォーカル、ギター、シンセという3人組みで、リズムは打ち込みのゴシックメタル。
壮麗なイントロに続き曲が始まると、メロウなギターフレーズとシンセの上に
ソプラノ
女性ヴォーカルの美しい歌唱が重なって、なかなかいい感じ。
曲は4〜5分台で比較的コンパクト、曲調も遅すぎないのでとても耳馴染みがいい。
ポーランド的な翳りという点ではやや物足りないのだが、その分美麗なシンセと
オペラティックな女性声が前に出ている。打ち込みである点を除けばなかなかの好作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Heavenlust「Gate of endless dreams」
イタリアのゴシックメタルバンド、ヘヴンラストの2008年作
シンフォニックなシンセとヴァイオリン、女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、
ゴシックとしてはさほど暗さはなく、ところによってヘヴィロック風のモダンさもある。
女性Voはまだよいとして、それに絡む男性Voのヘナさがいかんともしがたく、
楽曲の細かなアレンジも含めて、全体的に垢抜けないマイナー臭さが漂っている。
クラシカルな雰囲気は悪くないので、今後は歌を含めて演奏面での成長に期待したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Heavenwood「Diva」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ヘヴンウッドの1st
1996年作
まずはこの美しいジャケに惹かれるが、内容もメロディ満載の好作。
叙情的なフレーズを奏でるツインギターにキーボードが美しく絡み、
そこに男性デス声が歌を載せるスタイルで、全体的にとても聴きやすい。
PARADISE LOSTをやや元気よくした雰囲気で、男声ゴシックの中でも傑作といってもよい一枚だろう。

メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 聴きやすさ度・・8 総合・・8
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HEAVENWOOD「SWALLOW」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ヘブンウッドの2nd。1998作
1st「DIVA」が叙情的な哀愁メロディ満載の好盤だったので、2ndをずっと探してようやくゲット。
しかし、今回は前作にあった耽美指向をやや後退させ、普通にメタル度が高まったという印象だ。
ときおりギターのメロディに前作の名残をかいま見せるが、全体的にはMOONSPELLあたりに近い
ゴシック風味のメタルになっていて、これはこれで悪くはないものの、個人的にはやや残念。
どうでもいいようなところに何故かカイ・ハンセンがゲスト参加していたり、
リブ・クリスティン嬢のコーラスが美しい最終曲などはなかなかよろしいね。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 MOONSPELL風・・8 総合・・7.5
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HIM「AND LOVE SAID NO...1997-2004」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのベストアルバム。2004年作
北欧ゴシックのカリスマとして、TO/DIE/FORNEGATIVEにも多大なる影響を与えているこのバンド。
これはバンドのデビューから2004年までのアルバムから選曲された全17曲(一部リミックス曲含む)に、
6曲入りのライブDVDが付いた、これからHIMを知ろうという方にはうってつけのアルバム。
バンドの核を担うVo
ヴィレさんのマイルドな歌声と男の色気あるヴィジュアルも重要な要素
なのでライブ映像が見られるのは嬉しいかぎり(2005年サマソニで来日)。
曲の方は、もの悲しい哀愁を漂わせながら、メロディアスに聴かせるゴシックロックで、
ときどき声を裏返させるヴィレさんの情感のこもった歌唱がいい感じです。
北欧らしいメランコリックさとロックとしてのノリの良さを合わせ持ったサウンドが耳に心地よい。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 マイル度・・8 総合・・8
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HIM「DARK LIGHT」
フィンランド、ゴシックロックのカリスマ、ヒムの5th。2005作
今作で本格的に日本デビューを飾ったこのバンド、
本作での楽曲はキャッチーでメランコリックな暗さは控えめなので、
ゴシックロックとしてはやや物足りないのだが、マイルドなヴィレ・バロの歌声を中心に、
メジャー感のあるメロディアスロックとしては広く受け入れられる内容だと思う。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 フィンラン度・・7 総合・・7.5
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HIM「VENUS DOOM」
フィンランド、ゴシックロックバンド、ヒムの6th。2007作
前作「DARK LIGHT」で日本デビューを果たし、ここ日本でも人気が上がってきた
ゴシックのカリスマが放つ新作は、思いの外ヘヴィで暗めのサウンドになっている。
ヴィレ・ヴァロのマイルドな歌声で聴かせる叙情性は健在ながら、
沈み込むようなダークさとともに、アルバムを通してのコンセプト的な統一感がある。
これまでハードロック/メタルリスナーからはやや軟弱な存在に見られてきたこのバンドだが、
これを聴けば「おっ、ヒムもカッコいいじゃん」と見直すことになるかもしれない。
個人的にはこの重さと暗さは大歓迎である。ダークだかしっかりと美しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ヘヴィになりました度・・8 総合・・8
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HIM「THE VIDEO COLLECTION 1997-2003」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのビデオクリップ集。
すでに地元ではゴスロックのカリスマとして君臨しているバンドだが、
音楽性はいかにも
フィンランドらしい哀愁と倦怠の美がただようゴシックロックで、
「キャッチーだがどこかもの悲い」雰囲気をかもし出していて、どの曲も非常に聴きやすい。
ときどきメタリックになるギターやピアノ、キーボードなどがサウンドに厚みを加えていて、
けっこう低音ながらときおり声を裏返すヴィレ・ヴァロの歌声は、いかにもナルシスティック。
ENTWINETO DIE FORNEGATIVEといった同系バンドたちにも
おそらく多大な影響を与えていたであろうことが、このバンドの音を聴くとあらためて知れる。
PVもセンスのいいアートなイメージで、サウンドとの相乗効果で耽美な世界観を映画的に彩っている。
中性的な色気を放つVoヴィレの表情は、同性の私が見ても時折どきりとしてしまうほどで、
その哀愁ただよう歌声とともにそのお美しい容姿には、ゴシック好きの女性たちはもうメロメロでしょうな(笑)
ゴシック度・・9 ビデオクリップ・・9 楽曲・・8 総合・・8
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HIM「Love Metal Archives Vol.1」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのDVD。2006作
甘いマスクとマイルドな歌声で、日本でもじわじわと女性ファンが増えている
美形ヴォーカリスト、ヴィレ・ヴァロ率いるゴシックロックのカリスマバンド。
フィンランドらしい倦怠の美をまとわせた楽曲はとても耳触りが良く、
こうして映像付きのビデオクリップで見れば、彼らの魅力がいっそう引き立つ。
男の色気をただよわせるヴィレ様の美麗なお姿とその鼻息まじりの歌声には
女性ならばうっとりすること間違いなし。ビデオクリップ15曲、ライブ映像25曲に、
インタビューなど、合計5時間以上を収録。ファンにはまさに必携の一本だ。
ビデオクリップ・・9 ライブ映像・・8 たっぷりヒムづくし度・・10 総合・・8
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HYDRIA「Poison Paradise」
ブラジルの女性Voシンフォニック・ゴシックメタル、ハイドリアの2011年作
モダンなヘヴィさとNightwishWITHIN TEMPTATIONを思わせるシンフォニックな壮麗さ、
そこに美しい
女性ヴォーカルを乗せたスタイルは、ブラジルというよりはヨーロピアンな雰囲気が漂う。
21歳というラクエル嬢の歌声は、たとえばウィズインのシャロンなどに比べれば、まだ表現力は足りないが、
その清艶な声の魅力は、今後の成長に期待できる。ありがちな男性デス声の使い方はいただけないし、
楽曲そのものにも強いインパクトはないのだが、ゴシック的な美しさとヘヴィネスの合わさった力作である。
シンフォニック度・・8 けっこうヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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I

IMPERIA「THE ANCIENT DANCE OF QETESH」
TRAIL OF TEARSの初代Voヘレナ嬢率いるゴシックメタルバンド、インペリアのアルバム。
TOTの1stは彼らのディスコグラフィー中で最も好きな1枚だったのだが、
それはこのオペラ的な説得力を持ったヘレナ嬢の歌唱によるところが大きかった。
さて、その彼女がこうしてゴシックメタルを始めたのだから、これはなかなか嬉しい。
ジャケといいブックレット写真といいフェミニンな部分を全面的に押し出していて、
一般のリスナーはやや引いてしまうだろうが(^^;)サウンドの方はしごくまっとうなゴシックメタル。
声楽的な歌声を聴かせるヘレナ嬢の歌唱をメインに、ギター、キーボードが
ゆるやかに重厚さをかもしだす。スローなだけでなく時に疾走もするのがTOTの1st的か。
これといった突き抜ける部分はないが、彼女の歌を聴きたいファンにはこれでいいのだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

IMPERIAQueen of Light
ノルウェーのゴシックメタルバンド、インペリアの2007作
TRAIL OF TEARSの初代Vo、
ヘレナ嬢率いるバンドの2作目。
前作もそこそこ質の高い作品だったが、今作も美しいシンセと、
絶品の女性ヴォーカルで聴かせるシンフォニックなゴシックメタルだ。
ギターの煽情的なメロディとクラシカルなシンセワーク、ときにピアノが重なり、
メロデス的な質感にシンフォメタル風の疾走もあり、楽曲の美しさも前作以上。
なにより色気を含んだヘレナ嬢のオペラティックな歌声はやはり素晴らしいのであった。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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IMPERIASecret Passion

ノルウェーのゴシックメタルバンド、インペリアの2011年作
このバンドとしては3作目であるが、Voの
ヘレナ嬢TRAIL OF TEARSの初代Voでもあり、
その活動暦は優に10年以上。本作においても堂々たるその妖艶なる歌声で、
シンフォニックなゴシックメタルを聴かせてくれる。この手のバンドにしては楽曲は激しめで、
美麗なシンセとギターのメロディアスなフレーズを乗せて、ときに疾走したりもする。
サウンドの説得力も素晴らしい。同郷のSIRENIALeaves' Eyesにも引けをとらない力作だ。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IN HEAVEN「DARCHANGEL」
ギリシャのゴシックメタルバンド、イン・ヘヴンのアルバム。2005作
雰囲気としてはフィンランド系の倦怠感のあるゴシックロックサウンドに近く、
そこに乗る女性Voの歌唱もどこか淡々とした印象。
重すぎずダークすぎず、かといって壮大でもそれほどシンフォニックでもない、
悪く言えば中庸感ただようゴシックメタルサウンド。そう悪くもないが個性もない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5


In The Woods「Heart of the Ages」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、イン・ザ・ウッズの1st。1995作
美しいシンセにメロウなギターフレーズが絡み、幻想的な雰囲気の中
朗々としたヴォーカルが歌を乗せる。曲はプログレッシブな展開とともに、
ときに激しく緩急がつけられ、ブラックメタル的なわめきヴォーカルも現れて、
なかなか飽きさせない。はかなげな女性スキャットや、しっとりとピアノの音色で
聴かせる曲もあり、その知的な構築力とノルウェーの森を思わせるような
薄暗い幻想性を有したサウンドは、年代を考えても傑作と呼ぶに足るだろう。
メロディアス度・・8 プログレゴシック・デス度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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IN THE WOODSThree Times Seven on a Pilgrimage
ノルウェーのゴシックメタルバンド、イン・ザ・ウッズの2000年作
1996、98、00年にリリースされたミニアルバムをまとめ、新録曲をプラスした企画アルバム。
1stの頃はプログレッシブなゴシックデスというようなサウンドだったのだが、
徐々にアンビエントな作風へと深化し、本作で聴けるのはメタル色の薄まった
アトモスフィリックで幻想的なサウンドである。ゆったりとした曲調に叙情的なツインギター、
男女ヴォーカルの歌声も含めてサイケロック風の浮遊感もあり、神秘的な世界観を描き出している。
KING CRIMSON、PINK FLOYD、JEFFERSON AIRPLANE、SYD BARRETTのカヴァーを収録、
女性ヴォーカルで歌われる“Epitaph”は、スペイシーな感じで、サイケな気持ち悪さがなかなか素敵。
メタル度・・6 むしろプログレ度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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ISOLEBliss of Solitude
スウェーデンのドゥームメタルバンド、イソーレの2008作
FORLORNが2004年に改名したバンドだそうだが、詳しくは知らない。
7〜11分と長めの曲は、ゆったりと重厚な響きで、いかにもドゥーミーな感じだが、
マイルドな声質のヴォーカルやギターの弾くメロウなフレーズとともに
サウンドにはゴシック的な耽美な質感もあって聴きやすい。
重すぎず暗すぎないので、ドゥームゴシック入門にもよいかもしれない。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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K

Karmic Link「Esoterica」
ギリシャのモダンゴシックメタルバンド、カーミック・リンクの2010年作
ハスキーな
女性ヴォーカルの歌声と、デジタリィなシンセアレンジで聴かせる、
モダンゴシックメタル風味の作風だが、ゴシックというには耽美な雰囲気は希薄で、
むしろ知的でモダンな構築センスにはプログレメタル風味の質感もあったりもする。
女性ヴォーカル、ミナ嬢の歌声にはときにアンニュイなやわらかさもあって、曲調によって
歌い分けるだけの表現力がある。サウンドの方向性がさらに絞れたらいいバンドになりそうだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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KATATONIA「Dance of December Souls」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの1st。1993作
今でこそメランコリックゴシックのベテランとして認知されているこのバンドだが、
本作が出た当時は異端なバンドという印象が強かった。デスメタル全盛の時代に
沈む込むようなドゥーミィな曲調に、北欧的なもの悲しい叙情美を乗せたサウンドは
とても個性的であり、PARADISE LOSTなどの英国のバンドともまた違う雰囲気を持っていた。
とくにこの1stにおいては、美しくも知的なアレンジとともにメロウなギターフレーズが絶品で、
その芸術的性と美旋律が、ゆるやかな楽曲でも聴き手を惹きつける魅力となっている。
デスメタル的なアグレッシブさもいくぶん残しているが、クサメロ入りの北欧鬱系ゴシックの名作です。
メロディアス度・・8 ドゥーミィ度・・8 暗い叙情度・・9 総合・・8
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KATATONIA「DISCOURAGED ONES」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの3rd。1998作
初期はダークで叙情的な典型的なメロディアスゴシックだったのだが、
このアルバムを聴くと、1stの頃とはイメージがまるで違う。もはやデス声はなくなり、
まるでパラダイス・ロストをぐっとソフトにしたような、浮遊感のあるサウンドだ。
魅力だったメロウなギターも劇的な展開もなく、また雰囲気ものとしてもやや中途半端か。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 耽美度・・7 総合・・7

KATATONIALast Fair Deal Gone Down
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの5th。2001作
本作はずいぶん聴きやすく、まとまっているなあという印象。
いや、これはいい意味での洗練が進んでいて、マイルドなヴォーカルと泣きのメロディ、
そしてメタリックな質感も残しつつ、ダークで陰鬱な部分もたっぷりあるという。
一般的なリスナーにも聴ける鬱メタルという、なかなか絶妙のバランスのサウンドです。
ヘヴィなものを求める方には、この
モダンなダークさには物足りない軟弱さがありますが、
たとえばフィンランド系のゴシックロックが好きであれば自然に受け入れられるかと。
メロディアス度・・8 ゴシックメタル度・・7 ゴシックロック度・・8 総合・・7.5
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KATATONIA「Viva Emptiness」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの6th。2003作
前作までのマイルドなゴシックロック路線に、ややメタリックなメリハリが加わった。
ノーマル声に絡むデス声も復活、適度に激しさのあるサウンドは
モダンなヘヴィさとメランコリックな叙情性との起伏に富みながらも、
決して暗すぎず重すぎないところがポイント。個人的にはそのあざとさが
やや鼻につくのだが、薄暗系メタル作品としてのクオリティは非常に高いと思う。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIA「Brave Yester Days」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの企画アルバム。2004作
今やメランコリック・ゴシックメタルの大御所となったこのバンドの初期音源となる、
1992〜1997年までのミニアルバムの楽曲などをCD2枚組みで網羅したアルバム。
デビュー前のミニである「Jhva Elohim Meth」は、後の1stへとつながる作風で
その1st「Dance of December Souls」収録曲のプロトタイプも聴ける。
1998年の3rd以降はよりマイルドな倦怠系ゴシックへとシフトしてゆくのだが、
やはりこの頃の耽美な暗黒性が自分としては好みですな。初期カタトニファンにオススメ。
メロディアス度・・8 ドゥーミィ度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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KATATONIA「The Great Cold Distance」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの7th。2006作
3rdあたりから、しだいにメランコリックロックというべきサウンドへと変化を遂げていたが、
前作からまたメタリックなヘヴィさを取り戻し、本作もけっこうヘヴィなギターリフに、うっすらとしたキーボード、
重すぎないリズムとで聴かせる、重厚でありつつも耳に優しいサウンドだ。ヴォーカルはマイルドな声質で、
全体的な質感としてはフィンランドのゴシックロック勢に通じるような質感もあってとても聴きやすい。
ベテランらしく曲におけるアレンジが繊細で、ちょっとしたギターのバッキングやドラムのパターンなどにも
かなり気をつかっているのが分かる。かつての1stのような悲しみ溢れるゴシックメタルサウンドとは別物だが、
ゆるやかな叙情と現代的なメランコリーを持った良質のゴスロックアルバムだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIALive Consternation
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアのライブアルバム。2007年作
2006年の夏、ドイツで行われたサマーブリーズ野外フェスでのステージでの録音を収録。
2006年の「The Great Cold Distance」と2003年の「Viva Emptiness」からの楽曲を中心に、
アルバム同様、メロウな叙情とメランコリックな倦怠に包まれたゴシックメタルを聴かせてくれる。
付属のDVDには同ステージの映像を収録。映像も良好で、彼らの貴重なライブ映像が楽しめる。
ライブ演奏・・8 メランコリック度・・8 ゴシック度・・7 総合・・7.5
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KATATONIA「Night Is The New Day」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの8th。2009作
8作目となる本作も、重厚なギターとシンセ、マイルドなヴォーカルを中心に
悲しみをたたえたサウンドを聴かせる、メランコリック・ゴシックは変わらず。
メタル的なヘヴィさは控えめにも感じられるが、ときにシンセによるプログレ的な叙情表現が
しっとりとした美とともにコントラストとなっていて、ゆったりとした楽曲にメリハリを生んでいる。
ANEKDOTENあたりのリスナーにも聴けそうな、北欧シンフォニック風味が耳に心地よい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIA「Dead End Kings」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニア2012年作
9作目となる本作は、前作のシンフォニックなプログレ的な作風の延長で、
マイルドなヴォーカルと繊細なシンセアレンジによる、しっとりとした聴き心地だ。
モダンな薄暗さにもの悲しい叙情を含ませた、ゴシックロック的なサウンドに、
エモーショナルなキャッチーさを溶け込ませたような耳触りのよさで、
メタルというよりはむしろ、プログレ的な質感が楽しめる好作である。
メロウ度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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Kingfisher Sky「Hallway of Dreams」
オランダのメロディック(ゴシック)メタルバンド、キングフィッシャー・スカイの2008年作
WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成したバンドで、
女性ヴォーカルの歌声をメインに、
適度にメタリックなギターと、美しいシンセワークで聴かせるサウンド。
曲は3〜4分台が中心で、比較的コンパクトで聴きやすいが、その反面、
ドラマティックな高揚感を感じるまでには至らず、いくぶん物足りなさもある。
ゴシックメタルというほどのダークな雰囲気はなく、後期のTHE GATHERINGなどと同様に
浮遊感のある女性Voメロディックロックとして楽しむ方がいいだろう。なお、日本盤はジャケ違い。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kingfisher SkySkin of the Earth
オランダのメロディック(ゴシック)メタルバンド、キングフィッシャー・スカイの2010年作
WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成したバンドで、
女性ヴォーカルの歌声を中心に
叙情的で適度なメタリックなサウンドを聴かせる。正直、楽曲的にはインパクトが強くなく、
ゴシックとしての耽美性も薄めなので、ぱっと聴きには地味に思えるかもしれないが、
女性声メインの重すぎない叙情派メタルとして、それなりに楽しめる好作である。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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L

LACRIMAS PROFUNDERE「...and the wings embraced us」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの1st。1995作
初期の頃は
女性ヴァイオリン、フルート入りの7人編成だったらしい。
ゆったりとしたドゥーミーな曲調に、デス声とダウナーな普通声、重たいギターリフ、
そこに美しいフルートなどが絡み、ヨーロピアンなもの悲しさがかもし出される。
MY DYING BRIDE+PARADISE LOST…この当時“ゴシック”といえばこういう音だったのだ。
最近の華麗できらきらとしたバンドとは一線を画す、古き良きゴシックメタルサウンド。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーミー度・・8 総合・・7

LACRIMAS PROFUNDERE「MEMORANDUM」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの3rd。1999作
最近ではわりと聴きやすいゴシックロックと化しているようだが
初期の頃は吐き捨てデス声入りのクラシカル・ゴシックメタルだったのだ。
ロマンティックなピアノや、ハープなどを取り入れたクラシカルな曲調に
デス声とノーマル声、女性Voなどが絡まりあうという、とても濃いめの作風。
時々メロウなフレージングを聴かせるギターもいいですね。
このVoに我慢できれば、耽美なゴシックメタルとしてはなかなか良いアルバムです。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・8 総合・・7.5
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LACRIMAS PROFUNDERE「BURNING A WISH」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの4th。2001作
前作まではもっとバロック調のこけおどし感のある音だと思っていたが、
管弦楽も、女性Voもいなくなり、このアルバムでは低血圧系のゴスロックになっている。
語り口調のマイルドな男Voに、ピアノ、アコギなどを用いた静の描写はなかなか美しく
雰囲気は悪くないが、ドラマテイック系ゴシックが好きな私としてはやはり眠くなるな。
多少メタルしているデス声曲もあるが、それもどことなく低血圧に聞こえる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 静寂の美度・・8 総合・・7
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LACRIMAS PROFUNDERE「FALL,I WILL FOLLOW 」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの5th。2002作
1stのころはバロック調の耽美派クラシカルゴシックをやっていたこのバンドだが、
徐々に作風がPARADISE LOST調に変化し、今作では非常に聴きやすい
オーソドックスなゴシックメタルスタイルとなっている。
普通声の男Voがそこそこもの悲しい曲調の中に歌を載せる曲調は
無駄がなく聴きやすい反面、これといって耳に残るものがなく、
正統派ゴシックメタル好き以外には少々退屈に感じるかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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LACRIMAS PROFUNDEREFilthy Notes for Frozen Hearts
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの7th。2005作
すでにデビューから10年以上、4thあたりからゴシックロック的な作風へと進化し、
今作でもまるでフィンランドのバンドのような倦怠的なゴスロックとなっている。
HIMを思わせるような低音のノーマル声と、美しいシンセでじっくりと聴かせるスタイルは
派手さはないもののマイルドなサウンドがなかなか耳心地がよい。前作6thは未聴なのだが、
今作あたりでようやくバンドとしての方向性がしっかりと固まってきたという印象だ。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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LACRIMAS PROFUNDERE「Songs for the Last View」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの8th。2008作
前作で固まったメランコリック・ゴシックロック路線はそのままに、
ギターリフにはやや重厚さが増し、なかなかドラマティックに聴かせる。
持ち味である哀愁のメロディとHIMを思わせるナルシスティックな倦怠感、
サビでは女性コーラスも加わって、シンセとともに美しいサウンドを作り出す。
ENTWINEなどが好きな方にも勧められる。フィンランドゴシックにも負けないクオリティだ。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・8
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Lacrimosa「Angst」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの1st。1991作
すでにデビューから18年を数える、耽美派ゴシックの先駆けともいうべきベテラン。
本質的にはティロ・ウルフ氏のソロプロジェクトであり、パートナーのアン嬢が加わる以前の
3作目まではなおさらその色が強い。サウンドの方も本作ではメタリックな要素はあまりなく、
ティロ氏のシアトリカルなヴォーカルとシンセが中心で、あとはほぼ打ち込み。
クラシカルで妖しげな独自の世界観はすでにあるが、音的にはまだまだチープな印象。
ゴシック度・・7 耽美度・・7 メタル度・・2 総合・・7
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Lacrimosa「Einsamkeit」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの2nd。1992作
もの悲しくも美しい、クラシカルなピアノの旋律で幕を開ける本作は、ドラムは打ち込みながら、
ギターやヴァイオリンなどが参加し、いくぶんバンドらしい音になった。
ただメタルというよりはロックなギターの音が、美しいピアノやシンセにそぐわない気もしなくもないが、
まだサウンド的には試行錯誤の段階なのだろう。後のアルバムに比べると単長な感じも否めず、
世界観としての濃密さもまだまだといったところ。ドイツ語によるティロの歌声だけは存在感がある。
ゴシック度・・7 耽美度・・7 メタル度・・3 総合・・7
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Lacrimosa「Satura」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの3rd。1993作
美しいヴァイオリンが鳴り響き、ギターとシンセと絡みながら、これまでよりも
音には重厚さが増していて、それとともにドラマティックな雰囲気を漂わせている。
ティロ・ウルフの歌声にしても、より感情の込められた力強さが身についてきており、
もの悲しいヴァイオリンの音色に対比するようなギターサウンドなどは、
次作以降のメタルへの接近を予感させる。反面、エレクトロゴシック的な曲もあるなど、
アルバムとしての統一感にはやや欠けるが、ヴォーカルの表現力はDEVIL DOLL的でもあり、
彼の追求するシアトリカルで耽美な世界観は確実に完成に近づいている。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 メタル度・・5 総合・・7.5
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LACRIMOSA「Inferno」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの4th。1995作
前作までのエレクトロ色を廃し、よりメタリックな重厚さを増したことで
ゴシックメタル的な耽美な世界観にいっそうの説得力が加わった。
シンフォニックな美しさとシアトリカルなTiloの歌声にも磨きがかかり、
10分以上の曲でもしっかり聴き手を惹きつける。バンドとしての最初の傑作。
ゴシック度・・8 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LACRIMOSA「Stille」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの5th。1997作
彼らの描く耽美な世界観が、メタリックな重厚さとともに結実した傑作。
10分以上の曲を3曲も含むなど、いよいよそのサウンドは強固な形をなし、
シンフォニックな美麗さと美しいコーラスに包まれ、ティロ・ウルフの歌声が響きわたる。
ドラマティックな展開も際立ち、ゴシックメタルとしてならば本作を最高作としてもいい出来だ。
ゴシック度・・8 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LACRIMOSA「LIVE」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサのライブアルバム。CD2枚組。1998年作
5th「STILLE」のあとに発表されたライブ作品で、演奏は想像以上にダイナミックで、
元RUNNING WILDのACのドラムの効果もあり、このバンドの持ち味である美しき耽美性とともに、
ロック的な躍動感も感じられる。側頭部を剃り上げたTILOのヴォーカルも、アルバム以上に力強い。
また片割れであるANNE嬢はコーラスはもとよりキーボードの腕前もなかなかだと感心する。
曲のみならず外見からもゴシックを実践している彼ら、その姿をいつか生で見てみたいものだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 演奏・・8 総合・・8
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LacrimosaElodia
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの6th。1999作
1991年にデビューし、その耽美な世界観からコアなゴシックファンの多いこのバンド、
前作5th「Stille」は、ゴシックメタルという点でのドラマティックな傑作であったが、続く本作では
ロンドンフィルオーケストラとの共演作ということで、よりクラシカルなアプローチがなされている。
美しいピアノで幕を開け、艶やかストリングスの音色に乗ってティロの歌声が響きわたる。
クラシックパートとバンドサウンドが自然に一体となり、女性コーラスの崇高な響きとともに、
ゆったりとした優雅な味わいで聴かせる。他の作品に比べてメタリックな要素は薄いが、
クラシックとゴシックとの完璧な融合をなしえた異色の傑作である。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 メタル度・・5 総合・・8
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LACRIMOSA「FASSADE」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの7th。2001作
音が鳴り出した瞬間、「荘厳」「耽美」「大仰」といった単語がぱっと現れ出る。
前作において大々的にオーケストラを導入し、この筋の音としてはついにひとつの頂点を極めたが、
続く今作でも荘厳なオーケストラをバックに、混声コーラス、大シンフォニックなキーボードが
このうざったいまでに耽美な世界を異常な説得力で演出している。
好みを分けるだろう女々しい野郎Voも、バックの壮大さとコーラスの前には単なる端役にしか聞こえない。
内ジャケのナルシスティックな写真を含めて、ここまで徹底的に「耽美」しているバンドは世界中にない。
孤高に屹立するようなナルシシズムは、もはや「恥かしさ」を通り超えて美しくさえある。
シンフォニック度・・9 メタル度・・5 耽美度・・10 総合・・8
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LACRIMOSA「ECHOS」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの8th。2003年作
十年以上も続く耽美ゴシックの第一人者。ティロ・ウルフとアンヌ嬢の二人組。
今作はメタル色をいっさい排した壮大かつクラシカルなシンフォニーとなっている。
ドラム、ベース、ギターすらもなく、ひたすら荘厳なオーケストラと大仰なコーラスとが
粛々と、ときにたゆたうように、ときに盛り上がりつつ彼らの耽美世界を形成している。
雰囲気としては前々作「ELODIA」の流れをくむもので、そこからさらにロック色をはずし、
とことんまでに壮麗な美意識にこだわった作品といってよいかとも思う。
もはや今では楽しみとなった、ブックレットの写真も相変わらずナルナルでよろしい。
まったくもってメタルではないが、ゴシックとしての雰囲気を楽しめる人には薦められる。
シンフォニック度・・9 荘厳度・・10 メタル度・・2 総合・・8.5
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LACRIMOSA「LICHTGESTALT」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの9th。2005作
前作「ECHOES」では脱メタルをしたサウンドで、次回作がどうなるのか気がかりだったが、
こうして届けられた音は、まぎれもない彼らのゴシックサウンドである。
メタリックな感触を取り戻して、いくぶん聴きやすく、おとなしくなったという印象もあるが
10数年を経てなお、その独自の歌唱に磨きをかけるTILO WOLFの歌声は
オペラティックで、クラシカルな美学に溢れるLACRIMOSAサウンドの代名詞といってよいし、
もはや永遠のパートナーANNE嬢のキーボードのシンフォニックかつ優雅な響きも健在。
相変わらずお耽美なジャケ内の写真もよろしい(ANNE嬢の表情がいつになくそそる…)。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 安定度・・8 総合・・8
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Lacrimosa「Sehnsucht」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの10th。2009作
1991年にデビューしてからこれが10作目、Tilo WolfとAnne Nurmiのコンビも15年になる
本作でもクラシカルで耽美な、彼ららしいゴシックメタルを追求したサウンドで、
ジャケ内のナルシスティックな男女二人の写真とともに、その世界観は不変。
ヨーロピアンな情緒の中に茫漠とした哀愁を感じさせるゴシックサウンドは
派手さよりも倦怠の憂鬱を、現実よりもロマンを夢見続ける強度に包まれ、
すでになにも恐れないし、なにも変わらないとばかりに、ただそこにある。
クラシカルなシンセワークと、道化師の語りのようなTiloの歌声、それだけで充分だ。
このバンドの世界、それを愛するもののみが耽溺すべき幻想作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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LacrimosaSchattenspiel
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの2枚組未発曲集。2010年作
1990年にデビューしてから、ライブアルバムを含めて12枚の作品を発表、
本作はバンド20周年を記念した、未発音源集によるいわば裏ベスト。
ティロ・ウルフの作り出す耽美な世界観はアルバムごとにその説得力と強度を増し、
初期のデジタルな打ち込み路線から、パートナーであるアン・ヌルミが加わってからの
4作目以降はゴシックメタルとしての重厚さとともに、作品としての完成度が上がってきている。
Disc1では、ティロの独り道化師的な初期のサウンドが、ある意味孤独な哀愁をかもしだしている。
Disc2は2002年以降の音源で、よりシンセやピアノが効果的なアレンジで取り入れられ、
もともとあったクラシカルな優雅さが、ティロの歌声と合わさって、独自の世界を描き出している。
やはり熱心なファン向けだろうが、この個性派バンドの20年の変遷をなぞれる作品だ。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ラクリモサの歴史度・・9 総合・・7.5
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LacrimosaRevolution
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2012年作
デビューから20年、未発音源によるベストを挟んで3年ぶりとなる11作目は
ついに革命に立ち上がったピエロのジャケも印象的だが、その耽美なゴシック世界は不変。
美しいオーケストレーションを含んだアレンジと、TILO WOLFのかすれた味わいの歌声で、
シアトリカルかつ壮麗なサウンドを描いてゆく。相方であるAnne Nurmi嬢の歌声も随所に美しく、
メタルとしての重厚さとクラシカルなシンフォニック性が同居した、ダイナミックな力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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LACRIMOSA「The Live History」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサのライブDVD。
1993年から2000年までのバンドの歴史を、当時のステージ映像で見られる。
このバンドの場合は、VoのTILO WOLF氏とKeyのANNE嬢の二人ユニットであり、
ライブステージにおいても当然ながらその二人が中心となる。
TILO氏のパフォーマンスは、その
側頭部剃り込み型長髪というヘアスタイルもそうだが、
ナルシスティックな動きや陶酔ぎみのハスキーな歌声などはビジュアル系ゴシックのそれで、
メタルというよりはむしろ
デビッド・ボウイなどに通じる中性的な部分を志しているかのように見える。
楽曲の方は、さすがに古いものに関しては、たんなるノイジーな叫びだけのものや、
メタル色を押し出してくる前の未整理なものもあり、DVD全体としてのクオリティを求めるなら
2000年のライブをフルステージで見せて欲しかったという気もするが…
バンドのヒストリーに関心があるファンであれば、楽しめるとは思う。
ともかく、
ゴシックのゴシックたる根底の精神を見せつけてくれるバンドであるのは確かだ。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 ゴシックですよ度・・9 総合・・7

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LACUNA COIL「UNLEASHED MEMORIES」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの2nd。2001作
美声のクリスティーナ嬢の歌をメインにしたゆったりとたゆたうような楽曲が中心で、
THE GATHERINGなどに通じる部分があるのは確かだが、それだけではまだ個性とはいえない。
サウンドはけっこう美しいんだが。まったりとした曲のテンポがちょうど良く眠気を誘う・・zzz
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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LACUNA COIL「COMALIES」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの3rd。2002作
前作「UNLEASHED MEMORIES」は、ややゆったり系の音だったが
今回はしっかりヘヴィにメタルをしている部分と、クリスティーナ嬢の美声とのバランスが良く、
ときにシンフォニックな盛り上げ方も見事で、サウンドとしても最高作といっていい。
時に男性デス声の存在が邪魔に思えながらも、それが良いアクセントになっていることも確か。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lacuna Coil「Karmacode」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの4th。2006作
今やアメリカでのブレイクから世界的に人気となったこのバンドだが、
それは本作での成功が大きいだろう。初期の頃よりもサウンドはずっとモダン化し、
EVANESCENCE的なヘヴィロック感触を自身のスタイルに上手く取り入れることで
よりメジャー感のある明快な力強さが音に宿っている。男女ヴォーカルの掛け合いも
本作ではより自然に融合していて、ときに
クリスティーナ嬢の美しい歌声で
しっとりと聴かせたりもする。ギターリフなどにアラビックなメロディを持ち込んだことも
ミステリアスな雰囲気を増幅させていて、音にはこれまで以上にスケール感がある。
個人的には前作「Comalies」の、ゆったりとした浮遊感が好きなのだが。
メロディアス度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「WITHIN ME」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルのミニアルバム。2007作
LOUD PARK 07で来日を果たしたこのバンドの来日記念盤となるミニアルバムで
現時点での最新作「Karmacode」からのシングルカット曲に、ライブ音源5曲などを加えたもの。
クリスティーナ嬢の美しい歌声とともに、適度にヘヴィでメロディアス、そして耽美なサウンドは
絶妙なモダンな質感とともに、若いリスナーにも人気があるがうなずける。
ライブ音源での安定した演奏力も、このバンドの人気に比例する成長ぶりを窺わせる。
メロディアス度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Lacuna Coil「Shallow Life」
イタリアのゴシック風メタルバンド、ラクーナ・コイルの2009作
アメリカでのブレイクもあって、今や世界的なバンドにまで成長したこのバンド
男女ヴォーカルの歌声と、モダンなアレンジで聴かせる楽曲はEVANESCENCE同様の
ヘヴィロック風味で、曲のコンパクトさなどもいかにもアメリカを意識した作りである。
正直、この音のメジャー感はあざとすぎて、今一つのめり込めないのであるが、
お洒落なモダンロックとして割り切れれば、その質の高さには唸らされる。
クリスティーナ嬢の堂々とした歌唱にはメジャーバンドとしての風格も出てきた。
メロディアス度・・7 モダンロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「Dark Adrenaline
イタリアのゴシック・ヘヴィロック、ラクーナ・コイルの2012年作
初期のゴシック路線から、4th以降はモダンさを強めたメジャー感のあるサウンドでとなり
いまやアメリカなどでも人気のこのバンド。6作目となる本作も男女ヴォーカルの歌声と
ヘヴィロック風のモダンさに、メランコリックな雰囲気をまじえたクオリティの高さを聴かせる。
前に出すぎないうっすらとしたシンセアレンジや、中近東フレーズも覗かせるギターリフなどは、
相変わらずセンスがよく、全体的にヘヴィさとメロディのバランスのとれたサウンドを作り出している。
大きなインパクトや新鮮味は薄いものの、ファンならば安心して楽しめる好作品である。
メロディアス度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lake of TearsHeadstones
スウェーデンのゴシックメタルバンド、レイク・オブ・ティアーズの2nd。1995作
1stはPARADISE LOST風のB級ゴシックメタルだと思っていたが、
本作ではなんとなくCATHEDRALを思い出させるようなドゥームメタル色もあり、
アナログ的なサウンドで押しつつ、随所に北欧らしいもの悲しい旋律を聴かせる。
男性ヴォーカルのダーティな声は好みを分けるかもしれないが、
たれ込めた灰色の空を思わせるような世界観はなかなかメランコリックでよろしい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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Lake of TearsForever Autumn
スウェーデンのゴシックメタルバンド、レイク・オブ・ティアーズの4th。1999作
もの悲しいチェロの音色、ピアノ、キーボードによるメランコリックなメロディで聴かせるサウンドは
マイルドな男性ヴォーカルの歌声も含めて、中期のPARADISE LOSTに近い雰囲気だ。
ヘヴィさよりも叙情性が前に出ていて、ゴシックロック的な聴きやすさもあり、
ときおり聴かせる煽情的なギターの泣きのフレーズもいい感じだ。
アコースティカルで牧歌的な曲もあり、暗すぎないのでゆったりと楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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LAKE OF TEARS「illwill」
スウェーデンのダークメタルバンド、レイク・オブ・ティアーズの2011年作
90年代にデビューし、初期はPARADISE LOSTを思わせる耽美なゴシックメタルであったが、
本作ではかつての面影はほとんどなくなり、ザクザクとしたヘヴィなギターのメタルサウンドとなっている。
随所にメランコリックなメロディを覗かせる作風は、むしろSENTENCEDなどに近いかもしれないが、
疾走曲もあればサイケな浮遊感もあったりと、不思議な感触のダークメタルである。ゴシック的な質感も
いくらか残っている。古き良きメタルとしてのラウドさを北欧の薄暗さで包み込んだようなアルバムだ。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・7 北欧度・・7 総合・・7.5
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La-Ventura「A New Beginning」
オランダのゴシックメタルバンド、ラ・ベンチュラの2008作
ヨーロッパにおけるゴシックメタル王国ともいうべきオランダから、
久しぶりに大型の新人バンドが登場。近年のWITHIN TEMPTATIONを思わせる
モダンがかったアレンジと女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、堂々たるサウンドだ。
女性Vo、
カーラ嬢の歌声は、やはりヴィズインのシャロンを思わせる雰囲気もあり、
今後さらに表現力を磨いてゆけばもっと伸びそうだ。楽曲的にはまだまだ物足りなさもあるが、
ウィズインタイプの正統派ゴシックメタル新人として、今後も注目してゆきたい。マイスペはこちら
シンフォニック度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LEAVES' EYES「LOVELORN」
THEATRE OF TRAGEDYのリブ・クリスティン嬢が、ATROCIYのメンバーと組んだ
リーヴズ・アイズのアルバム。2004作。ちなみに彼女のダンナはここのVoさん。
TOTにおいて「男Voいらーん」と思っていたであろう方々にとっては、まさに理想のアルバム(笑)
全編彼女の美声が堪能でき、曲の方も、エレ・ゴシック化していたTOTよりもずっといい感じ。
ゴシックメタルとしての要素を残しつつ、シンフォニックかつアンビエントな雰囲気で
女性Voゴシック好きには間違いなくお薦め。曲によってはデス声も入ります。
ビデオクリップでは、フェロモン出しまくりのLIV嬢の姿が見られます(笑)
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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LEAVES' EYES「ELEGY」
ゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのミニアルバム2005作
2ndに先駆けてのタイトルトラック2バージョンにアルバム未収録曲3曲にデモという5曲入りミニ。
相変わらずリブ嬢のエンジェリックな歌声にはうっとりで、彼女の美声を活かす重すぎない楽曲もよろしい。
WITHIN TEMPTATIONにも通じるしっとりとしたシンフォニック性と癒し系の質感も出てきた。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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LEAVES' EYES「VINLAND SAGA」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの2nd。2005年作。
今作はまずジャケの萌え度がアップ(笑)サウンド的にもWITHIN TEMPTATIONに対抗してか、
リブ・クリスティン嬢の歌声を前作以上に楽しめる「癒し系ゴシックメタル」サウンドとなっている。
クオリティ的にもウィズインの牙城に迫らんというレベルに来ているので、女声ゴシメタ好きはまず必聴。
ビデオクリップでは、ジャケの着物風ドレスを着た動くクリスティン嬢が見られる。艶めくフェロモンにうっとり(笑)
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り
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LEAVES' EYES「LEGEND LAND」
ゴシックメタルバンド、リーブズ・アイズの6曲入りミニ。2006作
2nd「VINLAND SAGA」は日本盤も出るなど、WITHIN TEMPTATIONに続くゴシックメタルバンドとして
人気を博しているこのバンド、本作の収録はすべて新曲ということなので、ファンなら買わねばならないだろう。
可愛らしくも色香のある
リブ嬢のヴォーカルを中心に、しっとりとしたメロディとシンフォニックなアレンジが巧みな楽曲は
華麗でしとやかな雰囲気と同時に、デス声とヘヴィなリフによるによる効果的な重厚さも説得力となっていて、
このバンドのアレンジ力の高さを示している。それにしても、リブ嬢はこの着物ドレスを相当お気に入りなのね。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Leaves' Eyes「We Came With the Northern Winds」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのライブアルバム。2009作/2CD+2DVD
女性ヴォーカル、
リブ・クリスティン嬢を擁し、今や欧州ではWITHIN TEMPTATION並の人気を誇るこのバンド、
これは2007年にベルギーにて行われた“METAL FEMALE VOICES FEST”でのライブを収録したもの。
クオリティの高い2枚のアルバムから、まんべんなく選曲された楽曲は、ゴシックメタルとしての優雅さに加えて
ノルウェイジャンらしいほのかな土着性を感じさせるのも特徴だ。そして天上の美声というべきリブ嬢の歌声は
やはりこのバンドのたおやかな美しさを決定づけている。野獣のような男性ヴォーカルがときにやや邪魔にも思えるが、
2nd「VINLAND SAGA」からの曲は女性声メインなので一安心。DVDではヴァイキング船をあしらったセットをバックに、
アルバムのジャケの
着物風ドレスに身を包んで歌うリブ嬢の姿がたっぷり見られる。その美しい歌声はもちろん、
女性らしいやわらかな動きや、かもしだすフェミニンな色気には「萌え〜」である。三回の衣装チェンジも嬉しい。
ときおり映像で挿入されるノルウェーの美しい風景もいい感じだ。その他、メイキングやビデオクリップ、
メンバーのロングインタビューなども収録。普段着のリブ嬢もかわゆい。ファンならマストバイのボックスセットである。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 リブ嬢・・10 総合・・8.5
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Leaves' Eyes「My Destiny」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのミニアルバム。2009作
3rd「Njord」収録のタイトル曲に、未発曲、リミックスなどが入った6曲入り。
タイトル曲“My Destiny”は最近のWITHIN TEMPTATIONを思わせる、
いくぶんモダン化したヘヴィロック風のサウンドながら、美麗なシンセワークや
リブ嬢の美しい歌声が堪能できる佳曲。続く未発曲はノルディックな雰囲気で
シンフォニックに聴かせる好曲。ケルトの伝統曲“Scarborough Fair”のカヴァーは
アコースティックな叙情と幻想性が合わさった絶品の出来。本ミニのハイライトだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Leaves' Eyes「Njord」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの3rd。2009作
リブ・クリスティン嬢の美しい歌唱と、美麗なシンフォニック・ゴシックサウンドで、
過去2作でファンの心をガッチリとつかんだこのバンド、期待の3作目も同様の傑作。
適度にモダンにアレンジされた楽曲は、ノルディックの涼やかな土着性とともに、
厚みのあるシンセワークとしっとりとした叙情美を含んでいて、じつに壮麗だ。
WITHIN TEMPTATIONの北欧版ともいうべき音楽性は、本作でさらなるダイナミックな
メジャー感も出てきた。個人的にはこうなるともはやデス声は無用にも思えるが、
リブ嬢のなよやかな歌声を引き立ててるのも確か。アコースティカルな風味を活かした曲や
“Scarborough Fair”のカヴァーなどもハマっている。シンフォニックゴシックの北からの回答。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Leaves' Eyes「Meredead」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの2011年作
北欧の美麗系ゴシックメタルのトップを走るこのバンド、前作では頂点ともいうべき
素晴らしい傑作を作り出したが、基本的には方向性は変わらず。
オーケストラルな美麗なアレンジと
リブ・クリスティン嬢の美しい歌声で、
本作も質の高いサウンドを聴かせてくれる。随所に北欧のトラッド風味を取り入れたアレンジも、
これまでになく叙情美にあふれていて、今作ではデスヴォイスの使用が控えめなこともあって、
幻想的な世界観をしっとりと楽しめる。MIKE OLDFIELDのカヴァー“To France”もじつに美しい。
前作ほどの派手さはないが、じわじわとくる叙情と北欧の空気に溢れた傑作だ。
シンフォニック度・・8 北欧幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Liquid Sky「Identity」
アメリカのゴシックメタルバンド、リキッド・スカイの2008年作
美しいピアノとシンセに導かれて、壮麗なゴシックメタルが始まる。
はかなさと伸びやかさを兼ね揃えた
女性ヴォーカルの歌声と、
適度にヘヴィでテクニックのあるツインギター、そしてシンフォニックな
シンセアレンジで聴かせる正統派のゴシックサウンド。曲調やメロディが
やや一本調子なのが惜しいが、今後に期待できる自力を感じさせるバンドだ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Liv KristineDeus Ex Machina」
元Theatre of Tragedy(現Leaves' Eyes)のリブ・クリスティンのソロ。1998作
本作の時点ではまだ彼女はToTに在籍していており、サウンドの方はシンセをメインに
ゆったりと聴かせる、いわばメタル色を抜いたToTという感じの美しいもので、
リブ嬢の美声がしっとりと響きわたる。まだいくぶんの垢抜けなさがあるのもよろしい。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・7.5
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Liv Kristine「Enter My Religion」
Leaves' Eyesの女性Vo、リブ・クリスティンのソロ。2006作
Theatre of Tragedy〜Leaves' Eyesと、そのしっとりとした美声で
フィメールメタル好きのリスナーを虜にしてきた彼女だが、
本作はメタル色の薄いポップな女性Voロックサウンドを聴かせてくれる。
とはいってもシンフォニックなシンセアレンジやギターもしっかり入っていて、
メタル度を抜いたリーブズという雰囲気でも楽しめる。リブ嬢の歌声にうっとり。
シンフォニック度・・7 メタル度・・5 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv KristineSkintight」
Leaves' Eyesで活躍する女性シンガー、リブ・クリスティンの2010年ソロ作
ソロ作としてはこれが3作目で、メタル色はほぼ皆無のポップなメロディックロック。
シンセによる美しいアレンジと、ときにアコースティカルな雰囲気とともに
ゆったりと聴かせる作風で、リブ嬢の透き通った美声がたっぷりと楽しめる。
メロディには単なるポップロックではない、ほのかなノルウェー的な叙情性も感じられる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv Kristine「Libertine」
Leaves' Eyesのシンガー、リブ・クリスティンの2012年作

しっとりとした歌声で聴かせる本作は、メタル色は薄めのキャッチーなポップロック作品。
KATE BUSHのようなコケティッシュな聴き心地とともに、随所にシンフォニックなアレンジや
北欧出身らしい涼やかな情緒が感じられて、素朴な優しさに包まれたサウンドである。
メタル度を落としたLeaves' Eyesというような曲もあって、案外に違和感なく楽しめる。
彼女のシンガーとしての魅力にあらためて触れることのできる好作だ。
メロディック度・・7 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LOST IN MISERY「CAROUSEL OF MEMORIES」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ロスト・イン・ミザリーのアルバム。詳細は不明。
キーボード無し、ツインギターのメタリックな曲にたゆたうような女性Voが歌を載せている。
THE GATHERINGを正統派メタルっぽくして、女性声の魅力を落とした感じ、だろうか。
雰囲気として、夢見がちだがメタリックな楽曲という面白いものを持ってはいるのだが、
曲にしろお姉さんの歌声にしろもう一歩突き抜けるものが欲しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・6 総合・・6


LULLACRY「BE MY GOD」
フィンランドの女性Voゴシックロックバンド、ララクライの2nd。2001作
メタルというよりは聴き易い女声ハードロックで、そこにフィンランドらしいメランコリックさを付加したサウンド。
きらきらした北欧メタルや、ゴシックメタルそのものを求める人には肩すかしだろうが
TO/DIE/FORあたりの女性版と考えると、メタラーでなくても普通に鑑賞できる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LULLACRY「CRUCITY MY HEART」
フィンランドの女性Voハードロックバンド、ララクライの3rd。2003作
2ndは日本盤も出ていたようだが、この3rdではVoが交代しているようだ。
そこそこヘヴィでメロディアスな曲に女性Voが歌う、という非常に聴きやすいサウンド。
ギターリフやメロディなどにメランコリックな部分もあり、そこがゴシックメタル的ともいえる。
女性Voは耽美派なソプラノではなく、なかなかキュートなロックヴォーカル的な歌唱で
全体的には曲にひっかかりが少なく、女性声ロックとして普通に聞き流せる
メロディアス度・・7 ゴシックメタル度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LULLACRY「vol.4」
フィンランドのゴシックロック、ララクライの4th。2005年作
女性Vo、
Tania嬢のキュートでコケティッシュな歌声と、
バックのモダンヘヴィなサウンドが上手くコントラストになっており、
初期のアルバムよりもメタリックなヘヴィさと、ハードロックとしてのノリの良さが増している。
その一方では、いかにもフィンランド的な哀愁を感じさせる曲もあって、
ゴシックメタル的なもの悲しさを巧みなアレンジで聴かせる好作に仕上がっている。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LULLACRY「Where Angels Fear」
フィンランドのゴシックロック、ララクライの2012年作
前作から6年ぶりとなる5作目で、サウンドはいくぶんモダンなアレンジが前にでた
ゴシックロックとなっている。
女性ヴォーカルの歌声とともにキャッチーなメロディで聴かせる
明快なサウンドであるが、以前のようなメランコリックな叙情はやや薄まったような印象。
3、4分台の楽曲はどれもシンプルで、それなりに聴き心地はいいのだが、正直物足りなさも残る。
EVANESCENCELACUNA COILなどに近づくには、もっとメロディの魅力やインパクトが必要だ。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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THE LUST「Tangled」
ロシアの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・ラストの2004年作
なかなかインパクトのあるジャケで、輸入盤市場で話題になっていたアルバム。
音のほうは案外ノリのいい、いわゆるゴシック調ハードロックで、
LULLACRYTHE CRESTのようなタイプ。ロシアという民族性もとくに感じない。
当たり障りのない聴きやすさがある反面、音にジャケほどのパンチはないか。
女性Voも悪くない感じなので、いっそのこと母国語で歌ってくれたら面白かったろうに。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

The LUST 「Membrane」
ロシアのゴシックメタルバンド、ザ・ラストの2005年作
前作は聴きやすいゴシック調のハードロックという感じであったが、
今作では、モダンさとともにいくぶん疾走感の増した楽曲と、男女ヴォーカルの歌声で聴かせる
なかなか耽美なサウンドとなっている。紅一点
Mirla嬢の妖艶な歌唱はよろしい感じだが、
ゴシックにしては音がやや軽めな点や、音の厚み、壮麗さの点ではやはり不満が残るか。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5




MACBETH「ROMANTIC TORAGEDY'S CRESCENDO」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの1st。1998作
基本は初期のTHEATRE OF TRAGEDYタイプで美しいキーボードをメインに
デス声と女性のソプラノVoが絡み合い、耽美な世界を描く、というもの。
この手のジャンルにおいて重要なのはその描かれる世界観の「強度」と音の「説得力」に尽きるが、
このバンドの場合はまだ独自の世界を創り出すにいたってはおらず、曲の展開も散漫な部分が露見する。
ツインギターとキーボードの組み合わせはなかなかのものなのだから、
あとは暗黒メインで行くのか、もっとシンフォニックにするのか、決めてもらいたい。
また、せっかく綺麗な声なのだから、女性声メインにして欲しい(個人的な好みですんません^^;)。
シンフォニック度・・7 暗黒度・・5 女性Vo度・・7 総合・・7

MACBETH「MALAE ARTES」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの3rd。2005作
ゴシックとしてはあまり重すぎずといったサウンドで、イタリアらしいクラシカルなシンセや
メロディアスなギターフレーズなど、いい部分はあるのだが、やはりどうしても情感不足というか
曲の密度やしっかりした世界観がこの手の耽美な音楽をやるには足りていない気がする。
ヤサ男系の軟弱ヴォーカルも好みを分けるところだし、肝心の女性声が添え物程度なのも
個人的にはとっても物足りず…。耽美なジャケはいいんだが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・6 総合・・7.5
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MACBETHSuperangelic Hate Bringers
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの4th。2007作
活動は10年以上と、イタリアのゴシック系では中堅クラスといってよいバンドなのだが、
いまだに決定打が出ない鳴かず飛ばずの状態。本作も可憐な
女性ヴォーカル
男性デス声の歌声を絡めて聴かせる、王道のゴシックメタルスタイルで、
シンセも含めてシンフォニックな美しさもあり、モダンなヘヴィさとのバランスもいいのだが。
やはりなにかが物足りない、LACUNA COILのようなメジャー感もなければ、
シンフォニックさの点でも中途半端。今回もジャケはいいのだが。どうしたらいいんでしょう?
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MADDER MORTEM「Desiderata」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、マダー・モーテムの4th。2006作
ヘヴィなギターで意外とアグレッシブに聴かせるサウンドに、
気の強そうな感じ(?)の女性ヴォーカル声が歌を乗せる。
ギターフレースは耽美というよりは、サイケ気味の質感もあり
シンセもほとんど使っていないので、美麗な雰囲気も希薄。
メロディか女性声かどちらかに魅力がないと、やはり途中で飽きますね。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Madder Mortem 「Eight Ways」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、マダー・モーテムの5th。2009年作
正直、前作を聴いたときにはヘタウマのゴシックという程度の認識だったのだが、
今作ではアヴァンギャルドな要素と、
女性ヴォーカルで聴かせるアンニュイな耽美さが融合、
結果としてプログレッシブな質感が強まり、かなり面白いサウンドになっている。
ヘヴィなギターリフに、ときにヒステリックにもなる女性声、それでいてしっとりとした歌声は
どこか薄暗いけだるげな雰囲気をかもしだしていて、優雅さと荒々しさが同居しているという感じか。
ゴシックというよりは、むしろ女性声の北欧プログレ的にも楽しめる。これは気に入った。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MADRIGAL「I DIE,YOU SOAR」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、マドリガルの2001作
女性Key含む五人組みで、比較的オーソドックスなゴシックメタルサウンド。
IN FLAMESのアンダース・フリーデンがプロデュース、配給がNUCLEAR BLAST
ということで、メロデスリスナー向けにもアピールをしているようだ。
美しいシンセにピアノ、そこに絡むツインギターによる叙情性は
SENTENCED+PARADISE LOSTといった感じで、とても聴きやすい。
この手のゴシックメタルとしてはよく出来ているが、個性的というほどでもないか。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5


MAGILUM 「KIRMIZI KAR」
トルコのゴシックメタル、マギラムの2009年作
トルコのゴシック系というと、Sebnem FerahCatafalqueなどが知られるが
このバンドもななかセンスが良く、質の高いゴシックメタルを聴かせてくれる。
トルコ語による
女性ヴォーカルのエキゾチックな歌声を響かせながら、
適度にモダンなアレンジとともに、キャッチーな耳心地のサウンドを描いてゆく。
ギターの奏でるメロウなフレーズや哀愁の叙情を漂わせたメロディ作りが
異国的な情緒を漂わせていて、ターキッシュな独特の味わいとなっている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MANDRAGORA SCREAM「FAIRY TALES FROM HELL'S CAVES」
イタリアのゴシックメタルバンド、マンドラゴラ・スクリームの1st。
サウンドはけだるげな声質の女性Voをメインとした耽美派ゴシックメタル。
イントロのアヴァンギャルドなピアノに耳を奪われたが、曲のほうはけっこう普通。
シンセもそこそこメロディアスだし、へヴィなギターとこの声のマッチも悪くはない。
多くのこの手のゴシック系バンド同様、やはり曲にもうひとつ突き抜けが欲しい気がする。
メロディアス度・・6 耽美度・・7 女性Vo度・・6 総合・・7


MANDRAKE「CARM THE SEAS」
ドイツの男女Voゴシックメタルバンド、マンドレイクの2nd。
ゆったりとした曲調に、メロウなギターとシンセ、そこに乗る男女Voという
初期のPARADISE ROSTCREAMETRYを美しくしたような、ゴシックメタルの王道的サウンド。
Vo、
Birgit嬢の声質はなかなか美しいソプラノで、それほど声に個性や存在感はないのだが
ふんわりとした霧に包まれたような曲調にはなかなかマッチしている。
ドイツ特有の、どこかくぐもったような美しいイメージが音に感じられるアルバム。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

MANDRAKE「THE BALANCE OF BLUE」
ドイツの男女Voゴシックメタルバンド、マンドレイクの3rd。
今作からKey兼Gのメンバーが増えて5人組みになっている。
前作よりも女性Voを前面に出してきたという感じで、曲がずいぶん軽快になり、
そしてデス声パートが大幅に減少、今回は耽美さよりも聴きやすさを追求してきたな、というサウンド。
メンバーが増えてキーボードの厚みも増しており、ピアノやストリングスの音色も美しい。
バージット嬢の歌唱は、WITHINのシャロン嬢などからすればまだまだ音程の確かさや
表現力などが足りない気がするので、楽曲の質の向上と共に今後に期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MANDRAKEMary Celeste
ドイツのゴシックメタルバンド、マンドレイクの4th。2008作
乗員全員が船から消失したという
「メアリー・セレスト号事件」をテーマにしたアルバム。
シンセ入りで聴かせる重厚なゴシックメタルで、中堅らしい堂々たるサウンドだ。
女性Vo、
バージット嬢の歌声にも、前よりも堂々とした自信がうかがえ、
19世紀のミステリアスな事件をコンセプトにしていることもあってか、
曲自体にさほど派手さはないのだが音に漂う幻想的な空気がとてもよろしい。
むしろ昨今少なくなってしまった正統派のゴシックメタルとして今後も応援したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mandrake「Innocence Weakness」
ドイツのゴシックメタルバンド、マンドレイクの5th。2011作
前作はかなりの力作であったが、本作も女性ヴォーカルの歌声とデスヴォイスを中心に聴かせる、
重厚なゴシックメタル作。ツインギターにシンセを含んで、適度にシンフォニックで適度にヘヴィながらも、
今風のモダンさや派手なきらびやかさはあまりない、いわば質実なサウンドで、
少し田舎臭いバージット嬢の歌声も含めて、むしろ垢抜けなさに好感が持てたりする。
昨今なかなか少なくなってきた正統派のゴシックメタルとして応援してゆきたいバンドだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MARGENTADynasty Devoted
ロシアのゴシックメタルバンド、マージェンタの2007年作
シンフォニックなシンセを使った耽美なゴシックメタルで、母国語による男性ヴォーカルに
幽玄な女性コーラスが絡み、幻想的でミステリアスな世界観を描き出している。
ちなみにロシア語でのタイトルは「ДИНАСТИЯ ПОСВЯЩЕННЫХ」
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 辺境度・・7 総合・・7
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MATER DEA「Below the Mists Above the Brambles」
イタリアのゴシックメタルユニット、マター・デアの2009年作
男女二人のユニットということで、スイスのLacrimosaなどを思い出すが、
こちらは
女性ヴォーカルの歌声を中心に、クラシカルなシンセワークやヴァイオリンなど
アコースティカルなトラッド感触も含めてしっとりと聴かせる優雅なサウンド。
メタリックなヘヴィさはあまりなく、叙情的な耳心地はいいのだがインパクトはやや足りないか。
メロディアス度・・7 耽美度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MATER DEA「Satyricon
イタリアのゴシックメタルユニット、マター・デアの2011年作
女性Vo、女性シンセ奏者、女性フィドル奏者を含む6人編成で、
フォーキーな土着性を含んだメロディで聴かせる、ゴシックメタルサウンド。
はかなげな
女性ヴォーカルの歌声に艶やかなフィドルの音色が絡み、
ときにプログレッシブな感触も覗かせるなど、ヘヴィさよりも優雅な質感で耳触りがよい。
ドラマティックな部分は薄いのだが、中世トラッド的な雰囲気を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MIDNATTSOL「WHERE TWILIGHT DWELLS」
ノルウェー&ドイツのトラッドメタルバンド、ミドナットソルの2005作
女性Voにベースも女性という6人組。トラッド調のアコースティカルなメロディも入った雰囲気は
WITHIN TEMPTATION + BATTLELOREという感じか。ギターはけっこうヘヴィなので
シンフォニックな雰囲気の良さに反してメタリックな無骨な部分がいま一つ面白くない気もする。
ゆったりとしたパートの美しさはいかにもノルウェーらしく良い感じだし、
ヴァイキングメタル調になるところはかえって新鮮に聴こえたりもする。
ちなみにVoさんはLeaves' Eyes
リブ・クリスティン嬢の妹さんらしい。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MIDNATTSOLNordlys
ノルウェー&ドイツのゴシックメタルバンド、ミッドナットソルの2nd。2008年作
前作は、いかにも北欧的なメロディを取り入れたなかなか面白いサウンドだったが、
全体的には音や曲の面での粗さも感じられた。今作では、なかなかヘヴィなギターと
シンフォニックなシンセ、そして
女性ヴォーカルが重なり、全体的に重厚になった印象。
ときにパワフルに押してくる適度な疾走感もあるので、ありがちな音ながらも
飽きずに楽しめる。女性Voの力量的には並みであるが、作品自体の質は向上した。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Midnattsol「Metamorphosis Melody」
ノルウェー&ドイツのゴシックメタルバンド、ミッドナットソルの2011年作
やわらかな
女性ヴォーカルの歌声と美麗なシンフォニックアレンジ、
そして北欧的な土着感のあるギターフレーズで聴かせるサウンドは、
本作でいっそう叙情的になり、適度なヘヴィさを保ったバランス感が見事。
リブ・クリスティの妹としても知られる
カルメン嬢の歌声はずいぶんと表現力を増し
ファンタジックで幻想的な楽曲を美しく彩っている。ツインギターのメロディも効果的で
3作目にして先輩のLeaves' Eyesにも負けぬだけの作品を作り上げた。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MOONLIGHT「KALPA TARU」「MEREN RE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの1stと2nd。
BOXセットで買ったので2枚一緒にレビュー。1996/1997作
曲の方はメタル色はそれほどでもなく、耽美的で芸術的なイメージ。
雰囲気のある美しい女性Voが母国語で歌う様は異国感があって良い。
ここぞという盛り上げやクサいメロディがさほどない点が惜しいが、
こと女性Voものとしてはなかなか心地よく聴けるバンドである。
1stはアコースティックやプログレ風味もあり芸術風ゴシックメタル。
2ndではギターがへヴィになり、現代的なデジタリーなアレンジも顔を出しはじめている。
メロディアス度・・7 ポーラン度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MOONLIGHT「FLOE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの4th。2000作
浮遊感のある耽美な曲調に、美しい女性Voを聴かせるこのバンド。
今作ではよりシンフォ度、というかアンビエントな雰囲気を増し
女性の歌声をしっとりと聞かせる美しいサウンドとなっている。
チェロやヴァイオリンなど、クラシック系のゲストがバックの演奏をより格調高いものにし、
相変わらずポーランド語による歌唱は英語にはない不思議なやわらかさをかもし出す。
美と静謐とに彩られた叙情派ゴシックの傑作アルバム。ビデオクリップ入り。
メロディアス度・・8 ポーラン度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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MOONLIGHT「KONCERT W TROJCE 1991-2001」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトのライブアルバム・2001作
アンビエントな綺麗な声質の女性Voの歌声をメインにしたシリアス系のサウンドで
ゴシックメタルのおどろおどろしさや暗黒性は希薄。
このライブ盤では過去のアルバムからまんべんなく選曲された楽曲を淡々と演奏している。
もともと曲において熱情度が高くない印象なので、壮大に盛り上がるような場面はなく
シンフォニックさと静謐さに彩られた芸術肌のバンドであることが改めて分かる。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7

MOONLIGHT「candra」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの5th。2002作
前作「FLOE」がしっとりとした傑作であったのだが、本作では一聴してモダンなサウンドになったかと思いつつ、
2曲め以降は前作と同路線、独自の薄暗い叙情と浮遊感、そして艶やかな
女性ヴォーカルの歌声とともに、
しっとりとした倦怠的な味わいが楽しめる。全体的にはいくぶん地味になったような気もするが。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MOONLIGHT「YAISHI」
ポーランドの女性声ゴシックメタルバンド、ムーンライトの6th。2002作
ポーランド産ゴシックとしてはARTROSISと並んで息の長いこのバンド。
魅力的な女性Voの歌唱に、暗黒度の少ない楽曲。これまでのアンビエント色をそのまま継承しつつ、
メタル的なリフは残されており、デジタルゴシックと化したARTROSISに比べてずっと楽しめる
そしてMAJA嬢の歌声はやはり素晴らしく、ポーランド語の語感とあいまってしっとりと響いてくる。
楽曲にアヴァンギャルド性(プログレ性)が増しているのが、次作にどう反映されるかが気がかり。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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MOONLIGHT 「AUDIO 136」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトの7th。2004作
ポーランド産ゴシックとしてはすでにベテランの域にあるこのバンド、
本作はおそらく8作目あたりだろうか。アルバムごとにメタリックな要素を薄くし
アンビエントな浮遊感でゆったりと聴かせるサウンドは本作でいっそう強まり、
女性ヴォーカルの美しい歌唱を中心に、後期のThe Gatheringにも通じる趣がある。
インダストリアルなモダン感覚とともに、薄暗い情感を内包させた曲調に重なる
Maja嬢の艶めいた歌声は耳に心地よく、バンドとしてのシェイプされた深化が感じられる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Moonlight 「Downwords」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトの8th。2005作
今やポーランドを代表するゴシックメタルバンドといっていいだろう。
今作ではデジタリィなアレンジを取り入れたモダンな雰囲気となっているが、
クラシカルなシンセアレンジや、ピアノなども美しく、
しっとりと聴かせる
Maja嬢の歌声には思わずうっとりとなる。
モダン度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MOONLIGHT「AWAKEN MEMORIES LIVE」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトのライブDVD。
最新のライブ映像に加え、1996年のライブ、ビデオクリップ等を収録している。
ぽっちゃり系の女性Vo、Maja嬢の歌唱をメインにしっとりした楽曲が堪能できる。
ギター、キーボード、ドラムと演奏陣はどれも前に出すぎず、曲を演奏することに専念している感じ。
このバンドのサウンドは、アーティスティック……ひと言で言うと「体温低い系」なので、
(とくに最近の作品は通して聴くと、眠くなってくる)、ゴシックメタル中級者以上向けといえる(笑)。
むしろ1996年のライブ映像の方が、バンドとしてまだ若く、(一応)はつらつとしていて
ノリのよい曲も多く、楽しめる(マーヤ嬢もこの頃はまだ「ぽちゃ一歩手前」という感じだし)。
北欧やオランダ勢とはまた違った、静寂と翳りのあるゴシックメタルとしては、
東欧独特の色が出ているバンドなのだと思う。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 マーヤ嬢・・8 総合・・7.5

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Moonlyght「PROGReSsivE DARKNESS」
カナダのゴシック・デスメタルバンド、ムーンライトの2004年作
ポーランドにはMOONLIGHTというバンドがいるが、こちらはIを「Y」に変えている。
メンバーを見るとまだ若そうな5人組みで、基本は男性Voだが女性Voのコーラスも入る。
サウンドはゴシックメタル風だったり、メロデス風に疾走したりやや節操がない感じで、
ケルティックなメロディが出てくるとゴシックというよりはむしろ
ヴァイキングメタル風になる。
ギターの奏でるクサメロがなかなかツボをついてきて、耽美な雰囲気はあまりないが
シンフォニックなメロデス風ゴシックとしても楽しめる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ヴァイキング風味度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELLWolfheart
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの1st。1995作
美しいシンセに、メロディアスなギター、そこに乗る絶叫ヴォーカルはまだデス要素を残していて、
緩急のある楽曲構造などは、アートな雰囲気もあってどこかOPETH的でもある。
ゴシック風の耽美な質感も内包しているが、むしろ
遅めのシンフォブラックと言う方が正しいか。
曲によって男性、女性を使い分けるコーラスワークや静寂パートでの叙情性など、聴き所も多く、
朗々としたノーマル声とデス声を歌い分けるVoの表現力もなかなかのもの。
この後哀愁のゴシック路線深化してゆく彼らだが、それを予感させるセンスの良さは充分に感じ取れる。
2008年にはライブ音源入りのボーナスDisc付きでリマスター再発されている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 荘厳度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELL 「Irreligious」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの2nd。1996作
ブラックメタル的要素のあった前作から比べると、一聴してマイルドな雰囲気になっている。
ヴォーカルはときおりまだデス声になるが、朗々した声がメインで、
楽曲の方もやや平坦で、前作のような劇的なメリハリが薄れている。
マイルドなゴシックメタルとすればかなり聴き安いだろうが、その分個性は減ったか。
曲によってはモダンなアレンジも取り入れ始めており、後への進化の過程の作品といえる。
2008年にはライブ音源入りのボーナスDisc付きでリマスター再発されている。
メロディアス度・・7 マイルドゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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MOONSPELL 「SIN/Pecado」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの3rd。1997作
やや過渡期という中庸感があった前作から、ここへきて何かをつかんだかのような
今までにないスケール感が音に漂っている。前作ではやや力みすぎだったヴォーカルも
自然な感じのマイルドな歌声になり、ゆるやかな楽曲に自然に溶け込みはじめている。
元々ギターの弾くメロディにはセンスがあったが、この作品では
中近東的な要素も取り入れるなど、
個性的なサウンドを描くことに成功している。それでいて聴きやすさが失われていないのも見事だ。
なんといってもバンドの自信が音に現れているのが大きく、それが説得力となり聴き手を包み込んでくる。
3作目にして独自のゴシックメタルへの解答を出し、バンドとしての最高傑作を作り出した。
メロディアス度・・8 マイルドゴシック度・・8 スケール感・・9 総合・・8
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MOONSPELL「the butterfly effect」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの4th。1999作
デスメタル色のあった1stから、しだいにマイルドなゴシックロック化し、
本作ではシンセのアレンジにデジタルな風味が加わったモダンな作風となっている。
とはいってもメタリックなギターのヘヴィさは残っていて、そう軽い感じはしない。
ヴォーカルのマイルドな歌声とともに、曲には不思議な浮遊感もあったりと、
たんなるインダストリアル系ゴシックというには個性的な感性がある。
5th以降からは再び重厚なサウンドへとシフトしてゆくので、
本作はいわばバンドとしての過渡期的な実験作であったのかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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MOONSPELLDarkness and Hope
ポルトガルのゴシック・デスメタルバンド、ムーンスペルの5th。2001作
前作までのモダンなゴシックロック路線から、再び重厚なサウンドへ変化。
メタリックなギターリフにうっすらとしたシンセを絡ませた演奏に、
ときにデス声をまじえた朗々としたヴォーカルの歌声が響く。
この重さと暗さはゴシックメタルリスナーにとってはむしろ望むところだろう。
初期に比べ音の説得力がついてきて、雰囲気を楽しめるようになった。
ゴシックとしてのメランコリックな倦怠を残しながら、ヘヴィに聴かせる好作だ。
OZZY OZBOURNEの名曲“Mr.Crowley”のカヴァーもなかなかハマっている。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MOONSPELLThe Antidote
ポルトガルのゴシック・デスメタルバンド、ムーンスペルの6th。2003作
前作よりもさらに激しくヘヴィになり、のっけからデス声が炸裂している。
全体的にヘヴィな硬質感が漂い、デス声の使用頻度が増したせいか
前作まであったゴシック的なメランコリックさは薄れた感がある。
ここまで来ると遅めのデスメタルとして聴いた方がよい気もしてくる。
ある意味、傑作となる次作「Memorial」への布石的なアルバムだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELL 「MEMORIAL」
ポルトガルのゴシックメタル バンド、ムーンスペルの7th。2006作
4th〜6thを飛ばして聴いたので、いきなりデスメタル風味が復活していて驚かされる。
キーボードをバックにヘヴィなリフが刻まれ、そこにデス声ヴォーカルが吠える、
とても
重厚なゴシックデスといった感じのサウンドになっています。
4thあたりで聴かれたデジタル風味はまったくなくなり、OPETHあたりを思わせる
展開美と重々しい雰囲気、そして叙情を詰め込んだ濃密な空気で聴かせてくれる。
これはゴシックメタルというよりも、知的な雰囲気ものデスメタルと言った方が正しいか。
ときおり耳を引くギターのメロウなフレーズなども効果的で、シンフォニックなシンセとともに
まるで北欧のバンドのような寒々しい美しさを作りだしている。これは傑作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・9 総合・・8
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MOONSPELLLusitanian Metal」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルのライブアルバム。2008作
1995年にデビューしてから、現在までに8枚のアルバムを発表、本作には
いまや名実共にポルトガルを代表するバンドとなった彼らの2004年のライブ音源を収録。
時期としては、いくぶん方向性に煮詰まりつつある頃なので、ゴシックロック的な聴きやすさを含めて
演奏の安定感はあるものの、バンドとしての勢いはさほど感じられないのが残念か。
ゴシック度・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7
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MOONSPELL「Night Eternal」
ポルトガルのゴシックデスメタルバンド、ムーンスペルの8th。2008作
すでにベテランの域にあるこのバンドだが、作品ごとにそのサウンドは深化を続け
前作「MEMORIAL」は<これまでになく重厚に聴かせる傑作となった。
続く本作もまたゴシックデスとしての確かな説得力を感じさせる見事な出来だ。
女性コーラス入りの耽美なイントロから曲が始まると、シンフォニックなシンセと重厚なギターが絡まり、
激しくスクリームするヴォイスとともに、まるでブラックメタルのような暗黒の世界が現れる。
楽曲は暴虐な疾走パートもあり、緩急自在の展開にはOPETHを思わせるセンスを感じさせる。
ゴシックというには激しくヘヴィなので、耽美な暗がりを覗かせるデスメタルとして鑑賞するのもよし。
限定盤はボーナスDVD付きで、2007年のライブ映像やビデオクリップなどが楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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Moonspell 「Alpha Noir」
ポルトガルのゴシック・デスメタルムーンスペルの2012年作
1995年にデビューしてから、ゴシック的な耽美さとデスメタルの重厚さを合わせた作風で
地道に活動を続けてきたこのバンド。9作目となる本作も、前作でのヘヴィな作風を継承し、
デスヴォイスを含んだダークなヘヴィネスと、緩急をつけたアレンジセンスで
知的な耽美デスメタルというようなサウンドを聴かせてくれる。楽曲自体は3〜4分台だが、
激しさの中にもメランコリックな叙情パートなどを含ませた構築力が光る力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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MORGION
90年代のアメリカのアンダーグラウンドシーンで密かに人気を誇っていた
カルフォルニア出身のゴシック・ドゥームバンド、モージオンのの1997年の1stと、
1999年の2ndが、2枚組で再発された。サウンドはゆったりとしたドゥーミーな暗さを前にだし、
沈み込むようなギターリフに咆哮するデス声、バックにはうっすらとしたシンセなどは、
やはり初期のMY DYING BRIDEあたりを想起させるものがある。
曲がスローな上に10分以上の曲もあって、この手のサウンドが苦手な向きは退屈必至か。
個人的には嫌いな雰囲気ではないが、もう少しメロディなり聴きどころなりがないとさすがにつらい。
このアトモスフェリックなぼやけた質感をむしろ好むリスナーもいるだろうが。
2ndになると、曲にやや展開がついてきて、もう少し聴きやすくなる。なんにしても、
西海岸の溢れる太陽のもとで、このような音楽をやっていたバンドがいたとはそれだけで驚きである。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 暗鬱ドゥーム度・・9 総合・・7
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MORNING「Hour of Joy」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、モーニングのアルバム。2005作
THE GATHERINGの成功以降、オランダでは女性Voをフロントにしたバンドが増えたが
実力的に成功しているのはWITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVEREPICAの3つだろう。
鍵となるのは、楽曲の質と女性Voの魅力だと思うが、このバンドもキーボード入りで
サスキア嬢の歌もそれなりに頑張ってはいるが、どうもにもまだ説得力不足なのは否めない。
曲アレンジの垢抜けなさもあってか、聴かせどころがはっきりしていないのももどかしい。
メンバーはみな若そうだし、新鋭のフィメールゴシックバンドとして今後に期待したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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MORTAL LOVE「ALL THE BEAUTY...」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、モータル・ラブの1st。2002作
今ではこの手の女性声メインゴシックは珍しくもなくなったが、
かつてTHE GATHERINGが「MANDYLION」を発表したときは新鮮なものだった。
このMORTAL LOVEはその「MANDYLION」「NIGHTTIME.BIRDS」の頃のTHE GATHERING
を彷彿とさせるサウンドで、この手が好きな女性声ゴシックファンにはうってつけのバンドである。
声質はギャザリングのアネク嬢よりは「可愛い系」で、アンビエント色もあって良い。
「引き」のパートでの表現力を身につけるともっと歌唱に幅が出てくるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MORTAL LOVE「I HAVE LOST......」
ノルウェーの女性Voゴシックメタルバンド、モータル・ラブの2nd。2005作
キュートな声質の
CAT嬢の歌唱は3年の歳月を経てうっすらと色香漂う表現力を備え、
この手のフィメールゴシック好きなら萌え必至(笑)
バックの演奏も重厚さが増していて、アンビエントな静謐パートとのメリハリがついた。
美しいピアノやシンフォニックなシンセのアレンジもよろしく、
今となっては意外に数少ない
正統派フィメールゴシックメタルの正しい継承者
といってもよいクラスまで来たか…という印象。いいですね、うん。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MORTAL LOVEForever Will Be Gone
ノルウェーのゴシックメタルバンド、モータル・ラブの3rd。2006年作
女性Vo、
CAT嬢のキュートな歌声を中心に、しっとりと聴かせるサウンドは
前作から変わらないが、今回は楽曲のインパクトがやや弱い気がする。
浮遊感のあるゆったりとした雰囲気はいいのだが、やはり曲ごとのメロディが薄く
せっかくの艶のある歌声も活かしきれていないのが残念。
前作が良かったので期待したが、出来としては中庸のゴシックメタルどまりか。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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The Murder of my Sweet「Divanity」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ザ・マーダー・オヴ・マイ・スウィートのアルバム。2010作
MIND'S EYE、EVIL MASQUARADEなどで活躍したドラマー、ダニエル・フローレンスに
THERIONやTIAMATで活躍したヨハン・ニエマン、WUTHERING HEIGHTSに在籍していたシンセ奏者らに、
もともとメタルとは縁のなかった女性シンガー、アンジェリカ・ライリンというラインナップで結成。
サウンドの方はひと言でいうなら“モダンなゴシックメタル”であるが、アメリカのサスペンス映画から
インスパイアされたというバンド名が示すように、映画的なドラマ性をコンセプトに挙げていて、
なるほど美しいシンセワークや、アンジェリカ嬢の情感豊かな歌唱などで、その世界観を構築している。
ヘヴィロック的なモダンさと北欧的な翳りある叙情、そして美しい女性Voの歌唱で聴かせる力作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Murder Of My Sweet「Bye Bye Lullaby
スウェーデンのゴシックメタル、ザ・マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2012年作
サスペンス映画的なドラマ性をメタルに融合させた、シネマティックメタルを標榜するこのバンド、
適度にモダンなヘヴィさとゴシック的な耽美性も有したサウンドは、本作でも同路線。
紅一点、
アンジェリカ嬢の歌声は、艶めいた美しさとけだるげな女優めいた表現力で、
バックのシンフォニックなアレンジとともにドラマ性のあるサウンドを構築してゆく。
メロディアスなフックも多く、ウィズインやエヴァにも負けないクオリティの好作品だ。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MY DYING BRIDEThe Angel and the Dark River
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの3rd。1995年作
明快なリズムセクションとヘヴィなギターリフ、そしてシンセによるメランコリックなメロディが合わさり
耽美な雰囲気が確立された傑作。いくぶん難解だった2nd「Turn Loose the Swans」よりも分かりやすく、
美しくも重厚なゴシックサウンドを堪能できる。ヴォーカルがデス声ではなくノーマル声メインなのも聴きやすい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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MY DYING BRIDE「Like Gods of the Sun」
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの4th。1996作
基本路線は変わらず倦怠系ゴシックの王道サウンドだが、デス声は完全になくなり、
ノーマル声のヴォーカル主体で、全体的な音の迫力は薄くなった感がある。
ギターリフに絡むシンセや、何曲かで聴けるヴァイオリンの音色は相変わらず美しいが
前作と比べるとやはり完成度の点ではやや聴き劣りがしてしまう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・7 総合・・7.5
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MY DYING BRIDEThe Dreadful Hours
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ ダイイング ブライドの7th。2001作
本作は一聴したところ、メタリックな
重厚さが復活していて、ヴォーカルもデス声で歌っている。
ほとんどの曲が6〜10分もあり(ラスト曲にいたっては14分)、なかなかに気合が入っているが、
初期にあった英国ゴシック独特の耽美な翳りまでは音に感じられないのが残念。
リフの反復がダラダラと続き、ドラマティックな盛り上がりもないので、聴き通すのはややつらい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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My Dying BrideFor Lies I Sire」
英国のベテランゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの2009年作
1992年にデビューしてから、本作はおそらく10作目となるアルバム。
シンセ兼ヴァイオリン奏者の女性メンバーが加わり、艶やかなヴァイオリンの音色とともに
初期にあった耽美な世界観が甦ってきている。絡みつくようなドゥーミィなギターリフと、
物憂げな男性ヴォーカルの歌声が頽廃的なサウンドを描き出す。また、楽曲としての展開力も
飽きずに聴かせるだけのメリハリがあり、このバンドのコアなファン以外でも楽しめる出来だと思う。
個人的には、彼らの最高傑作は3rdThe Angel and the Dark Riverであると思うが、
近年の作品の中では、バランスのとれた好作といえる内容だろう。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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My Dying BrideEnvita
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの2011年作
デビュー20周年を記念して、過去曲をシンフォニックアレンジで新録したCD2枚組で、
艶やかなストリングの音色にソプラノ女性ヴォーカルの歌声で始まり、男性声の語りが加わって
耽美で壮麗な世界が広がってゆく。メタル色の薄いクラシカル楽曲はゴシックアンビエントとして
うっとりと鑑賞できる。2CDで全9曲ながらどれもが10分前後なので、気の短い方には向かないが。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 メタル度・・1 総合・・8
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MYRIADS「INTROSPECTION」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、ミリアドスの1st。2002作
キーボード入りでデス声+女性ソプラノという今や定番形態のゴシックメタルで、
曲のほうにもとくに目新しい部分はない。
音のクオリティはそれなりに高く一聴したかぎりだと心地よい品質なのだが、
全9曲74分は長すぎる。曲に特徴やメリハリを増やさないとこの長さはもたない。
全体として及第点のゴシックメタル。あとは煮詰めて濃くしてください。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


My Sixth Shadow「Love-Fading Innocence」
イタリアのゴシックメタルバンド、マイ・シックス・シャドウの2005年作
ジャケだけ見ると女性Voのゴシックに思えるが、実際はヤサ男系のゴシックメタルで、
どちらかというとHIMENTWINEなどのフィンランド系のゴシックロックに近いサウンド。
ヘヴィすぎないギターに、うっすらとしたシンセ、キャッチーなヴォーカルメロディで
マイルドに聴かせる耳心地のよい音だ。個性という点では薄いものの、質はそれなりに高い。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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NAIO SSAION「OUT LOUD」
スロベニアのゴシックロックバンド、ナイオ・サイオンの2006年作
EVANESCENCEを思わせるヘヴィロックがかったゴシックロックで、
女性ヴォーカルの歌声に、
ヘヴィなギターリフ、ややエレクトロ色のあるリズムに
ヴァイオリンが絡むサウンド。
新人にしては、堂々とした歌唱はなかなかのもので、全体的にエヴァ度がかなり高く、
ゴシックメタルとしては情感、情緒が足りないが、楽曲、演奏ともにしっかりしていて安心して聴ける。
今後はもっとヴァイオリンのメロディを活かす工夫など、彼らならではの個性が欲しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 エヴァネッセン度・・8 総合・・7.5
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NEMESEAIn Control」
オランダのゴシックメタルバンド、ネメシーの2007年作
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心に、美麗さといくぶんのモダンさで聴かせるサウンドは、
女性Voの声質も含めて、やはりWITHIN TEMPTATIONな雰囲気もある。
ヘヴィさは抑え目で、しっとりとした美しさもあって、全体的に聴き心地はいいが、
これだというインパクトや個性の点では物足りなさもある。10曲35分弱もちょっと短い。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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NEMESEAQuiet Resistance
オランダのゴシックメタル、ネメシーの2011年作
2004年にデビューしてからこれが3作目となる。デジタル色もあるモダンなシンセアレンジに、
表現力ある
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ゴシック風味のロックサウンド。
3、4分台の楽曲はシンプルであるが、フックのあるキャッチーなメロディには
メジャーなポップフィーリングがあって、大衆受けしそうな堂々たる雰囲気だ。
曲によってはWITHIN TEMPTATIONばりの質感で、ゴシメタ好きにも楽しめる。
EVANESCENCELACUNA COILが好きならばチェックして損はないだろう。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ne NASTY「...Sny Zhestoki」
ロシアのゴシックメタルバンド、ネ・ナスティの2005年作
詳細は不明だが、男女2人のユニットらしく、サウンドはほとんど打ち込み。
シンフォニックなシンセをバックに
美声の女性ヴォーカルがやわらかな歌声を聴かせる。
耽美かつ壮麗な雰囲気に母国語による歌唱も辺境チックでなかなか魅力的だが、
やはり打ち込みによるリズムの薄っぺらさがいかにも残念。ラストは12分の大曲だがやや単長か。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7

ne NASTY「Kogda Uhodyat Teni」
ロシアのゴシックメタルバンド、ネ・ナスティの2006年作
前作同様、男女二人のユニットで、打ち込みリズムによるデジタルな質感に
艶めいた
女性ヴォーカルの母国語の歌声と、ギターとシンセの重ねで重厚なサウンドを聴かせる。
前作よりもシンフォニックな厚みが出てきており、サウンドの説得力が増した。
色気のある女性声もなかなかいい感じだが、エレゴシック的なピコピコ感が好みを分けそう。
今作もラストは13分の大曲で、今度はなかなか壮麗な仕上がりだ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


NOX AUREA「Ascending in Triumph」
スウェーデンのドゥーム・ゴシックメタル、ノックス・オーレアの2010年作
男女ヴォーカルを含む6人組で、DRACONIANなどを思わせる、ゆったりとドゥーミィに聴かせる
重厚なゴシックメタルサウンド。ヘヴィなギターリフと低音デスヴォイスに、
うっすらとしたシンセワークが重なり、耽美かつ暗鬱な世界観を描き出す。
女性ソプラノが加わるとじつに美しいのだが、本作ではあくまでオマケ程度の活躍なので、
全体としてはむしろSwallow the Sunに近いかもしれない。重くて暗いゴシックメタル好きにお勧め。
シンフォニック度・・7 重厚度・・8 耽美度・・7 総合・・8
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OCTAVIA SPERATIWinter Enclosure
ノルウェーのゴシックメタルバンド、オクタヴィア・スペラティの2005作
なんと全員が女性という5人組み。サウンドは最近のシンフォゴシックではなく、
一昔前のゆったりとしたドゥーミーな曲調で、わりとオーソドックスなギターリフにキーボードが絡むもの。
女性Voの美しい歌唱はなかなかだし、もの悲しい雰囲気と女性ならではの繊細さは音に感じるものの、
反面、重厚さには欠け、楽曲の展開力、盛り上がりという点でもまだ物足りないのが残念。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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OCTAVIA SPERATI「Grace Submerged」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、オクタヴィア・スペラティの2nd。2007作
全員が女性のバンドということで前作もそれなりに話題になっていたが、
本作ではドラムが男性になり、サウンドの重厚さが増している。
けっこうヘヴィなギターリフにはドゥームメタル的な質感もあり、
それが美しい女性声とのいいコントラストになっている。
シンセの使用は味付け程度なので、シンフォニックなものを想像すると肩すかしだが、
正統派のヘヴィなゴシックメタルとしてはなかなか楽しめるようになった。
メロディアス度・・7 ゴシックドゥーム度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ODES OF ECSTASY「EMBOSSED DREAM IN FOUR ACTS」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オデス・オブ・エクスタシーの1st。1998作
一言で言うと、
「ヘタウマ」ゴシック。メロディアスなキーボードにクサメロを弾くギター、
繊細そうな女性Voと、良質なゴシックメタルの要素は揃っているのだが、どれも「あと一歩」なのだなあ。
雰囲気はクラシカルで耽美的でとても良いのだが、演奏に重厚さがないために
サウンドの説得力に欠ける。この手のゴシックは一聴したときの雰囲気が全て、
といっていいので、アラが見えるととたんに醒めてしまうわけで。
それを補うだけの楽曲の質なり、女性声の魅力なりがないとつらい。
大作主義でシアトリカルなイメージは悪くないので、あとはなんとか密度を上げてもらいたい。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・7 サウン度・・6 総合・・6.5

ODES OF ECSTASY「Deceitful Melody」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オデス・オブ・エクスタシーの2nd。2000作
以前に1stを聴いたときはあまりのチープさに即売り払ってしまったが、
この2ndでは一聴してなかなか成長している感じがある。
ツインギターに絡むクラシカルなキーボード、デス声と女性ソプラノの掛け合いもよろしく、
雰囲気的にも世界観に説得力と重厚さが増している。
リスム的にもメリハリがついていて、ときにメロパワばりに疾走したりもする。
全体的な垢抜けなさはまだ残るものの、シンフォニックなゴシックメタルとして鑑賞に耐えうる出来だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ONE WITHOUT「Thoughts of a Secluded Mind」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ワン・ウィズアウトの2009年作
ゴシックというよりはモダンなヘヴィネスと
女性ヴォーカルで聴かせるサウンドで、
北欧らしいメランコリックなメロディを感じさせるところは「女性Vo版Sentenced」という感じか。
ややハスキーなキャトリン嬢の歌声は、オーソドックスなハードロックなどが似合いそうで、
ヘヴィな曲ではギターリフにやや埋もれてしまっている気がしなくもない。
現時点ではバンドの方向性にまだ迷いが感じられ、スクリームヴォイスを入れるなどの
モダンなヘヴィネスとキャッチーなメロディとが融合しきれていない印象だ。今後に期待したい。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ON THORNS I LAY「Crystal Tears」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの3rd。1999作
マイルドな声質の男Voと、美しい女性Vo、そしてもの悲しいヴィオラの響き。
ドゥーミーなメランコリックさをたたえた楽曲は、冷たい倦怠の美を感じさせる。
女性ヴォーカルの歌い方も、浮遊感のあるどこか儚いイメージで
たゆたうような曲調には、ヨーロピアンな情緒とほのかな薄闇、そして冷気とを感じさせる。
バンドは、この後少しずつ分かりやすさとキャッチーを増した方向に進んでゆくが、
メランコリックなゴシックサウンドとしてはこのアルバムあたりが一番かもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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ON THORNS I LAY
「FUTURE NARCOTIC」

ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの4th。2002年作
浮遊感のあるゆったりとした曲調に、男女二人のVo、メロウなギターとキーボード、
美しいピアノやヴィオラなども実に効果的に使われ楽曲を彩っている。
野郎声はデス声ではないので暗黒性は薄く、ダークでありながらも音的にはとても聴きやすい。
メランコリックな世界観は美と倦怠に包まれており、劇的な展開こそないものの非常に質が高い。
メロディアス度・・8 暗黒度・・6 メランコリック度・・8 総合・・8
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ON THORNS I LAY「_egocentric」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの6th。2003作
初期は女性Vo入りで、幻想的なゴシックメタルをやっていたバンドだが、
今作ではマイルドな男ヴォーカルによるモダンなゴシックロック風になっている。
うっすらとシンセも使い、メランコリックな雰囲気をかもし出してはいるが
基本はギターリフメインのやや無機質めいたサウンドで、
バンドとしての力の抜け具合がややラフな方へ働いている感じもする。
フィンランド系ゴシックロックに近づいた音であるが、そこまでキャッチーではない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・7 総合・・7
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Pale ForestLayer One」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ペール・フォレストのミニアルバム。1998作
4曲入りのデビューミニで、後のアルバムと同様に美声の
女性ヴォーカル
コケティッシュな歌声をメインにした、メタル色の薄いサウンド。ゴシックメタルとして聴くには
いくぶん物足りないが、アンピエントなフィメールロックとしては、しっとりと楽しめる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PALE FOREST「TRANSFORMATION HYMNS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ペール・フォレストの1st。1998作
メタル色の薄い楽曲にキュートな女性Voの歌唱。1stの時点からこのバンドの魅力は備わっている。
メンバー写真を見るとあまり柄は良さそうではないのに(笑)、音楽の方は清涼にして清純。
2nd以降に比べて、曲のメリハリや効果的なメロディなどは少々控えめだが、
しっとりと心地よく聴ける音楽であることには違いない。後半に良い曲多し。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・3 女性Vo度・・8 総合・・8
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PALE FOREST「OF MACHINES AND MEN」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ペール・フォレストの2nd。2000作
キュートで清純なこの魅力的な
女性ヴォーカルの歌唱だけでもう降参いたします(笑)。
曲のほうももちろんなかなかセンスがよく、メタル色は抑え気味ながら、
キーボードを効果的に使用したサウンドは北欧の森を思わせる清涼感をかもしだしています。
ゴシック的な耽美色はほぼ皆無ですが、幅広く女性Vo愛好者にアピールする作品。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・3 女性Vo度・・9 総合・・8
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PALE FOREST「EXIT WOULD」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ペール・フォレストの3rd。2001作
曲調はかつてのTHE GATHERINGをぐっとさわやかにしたような感じだが、
女性ヴォーカルの歌声がずっと「可愛い系」なこともあって、だいぶ印象は異なる。
とにかくこのキュートな歌唱、歌声だけで個性になっているのがまず素晴らしい。
曲はキーボード、ピアノなどを控えめに使いながら、アンニュイさと優しさを表現出来ていて
暗黒度はかなり薄いのだが(ゴシックよりはアンビエント寄りか)、決して軽いわけではない。
このまま成長してゆけばさらに素晴らしい女性Voバンドになるに違いない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・5 女性Vo度・・9 総合・・8
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PALE FOREST「ANONYMOUS CAESAR」
ノルウエーの女性Vo、ゴシックメタルバンド、ペール・フォレストのミニアルバム。2003作
キュートな女性ヴォーカルの歌声をメインにした、メタル度の薄い聴きやすいサウンド。
この5曲入りミニアルバムでもその方向性は変わらずに一安心。
クリスティン嬢のVoは("嬢"というよりは"ちゃん"と呼びたくなるな)ますます可愛く、
バックの演奏は、一応のメタル度は保ちつつも、いっそうシンプルに。
新曲は1曲のみであとはライブ2曲にインスト曲が1、そしてもう1曲は、なんと
PINK FLOYDのカヴァー。これが意外とサイケな感じでハマッていて良いかも。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・9 早くフルアルバムを!度・・9 総合・・8
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PARADISE LOST「ICON」
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの4th。1993作
ゴシックメタルの先駆者としてその名を知らしめる彼らだが、
その最高傑作である次作「Draconian Times」においては、
マイルドな構築性をともなったゴシックロックへのシフトがなされている。
そうしう点では、まだドゥーミーな重苦しさが残ったこのアルバムの方を好む
ファンもけっこう多いのではないかと思う。ゆったりとしたヘヴィなギターの上に乗る
ニック・ホルムズのヴォーカルも、すでにデス声ではないがまだ荒々しさを残しており、
音にはヨーロピアンな薄暗さがしっかりとかいま見える。
メロディアス度・・7 ドゥーミー度・・8 耽美度・・7 総合・・7.5
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PARADISE LOST「draconian times」
イギリスの大御所ゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの5th。1995作
この手の耽美派ドゥームサウンドの先駆けである彼らの最高作とされるアルバム。
初期にあった荒さをマイルドな方向に進め、マイナーな耽美要素をメロディアスに昇華したことで
ヘヴィさとダークさ、メロディアスさと耽美さが絶妙のバランスで成り立っている。
ピアノのもの悲しい旋律と、声色を使い分けるニック・ホルムズのヴォーカルが印象的。
初期よりもデス色を薄めたことで、ゴシック初心者にも勧められる音になっており、
ある意味、
過去と現在をつなげるゴシックメタル作品として高品質なアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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PARADISE LOSTOne Second
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの6th。1997作
前作はバンドの最高作とも言うべきアルバムであったが、続くこのアルバムも基本は同路線ながら、
メタリックな重さはやや後退し、その分ビート感のあるリズムと、いっそうマイルドになった
ニック・ホルムズのヴォーカルが印象的。もちろん、その中にも彼ら特有の倦怠の美と薄暗い叙情は健在で、
前作より多く使われ始めたシンセやピアノも効果的にサウンドの幅を広げている。
個人的には、ゴシックメタルの王道として聴けた前作の方が好きだし、
バンドはこの後いっそうモダンなアレンジを取り入れてゆくことになる。
後のフィンランド系ゴシックロック勢にも影響を与えた作品とも言えるだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 聴きやすさ度・・8 総合・・7.5
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PARADISE LOST「same」
英国ゴシックメタルの元祖、パラダイス・ロストの10th。2005作
ベテランとしての10作であり、バンド名を冠したタイトルといい、まさに勝負に出た意欲作となった。
初期のデス声とまではいかないが、ニック・ホルムズの哀愁に満ちたヴォーカルに、
バンドの全盛期を思わせるヘヴィでドラマティックなギターワークが嬉しい。
モダンさと耽美精神がほどよいバランスでミックスされたサウンドは、
ダークな美しさと同時に、悲哀を含んだ北欧
(フィンランド)的な質感もあり、
迷いのない演奏にはベテランとしての確かな自信が感じられる。
ゴシックメタルから離れていた、ここ数作の低迷ぶりを払拭するには充分な力作だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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PARADISE LOST「In Reguiem」
イギリスの元祖ゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの11th。2007作
初期のゴシックメタルから、アルバムごとにキャッチーなメランコリックロックへと変化を遂げつつも、
前作10thはかつての重厚さを取り戻した快作だったことで、期待していた今作である。
基本的には、ヘヴィなギターサウンドとメロディアスな雰囲気は健在で、
マイルドなモダンさも合わさった心地よいゴシックメタルとして十分楽しめる。
バックのシンセによるアレンジも、ヨーロピアンな荘厳さをかもし出していて
たたみかけるヘヴィさと薄暗い叙情とのバランスも絶妙だ。ベテランらしくこれまでに培ってきた
方法論を壊すことなく巧みに取り入れ、それがサウンドに確かな説得力を付加している。
前作ほどのドラマティックさはないが、メタリックな聴き応えのある好作だと思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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PARADISE LOST「Faith Divides Us Death Unites Us」
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの2009作
英国ゴシックメタルの元祖というべきベテラン。12作目となる本作は
前作、前々作で聴かせた重厚なヘヴィさを下地に、それをさらに強化させてきた。
ザクザクのギターリフとともにSentencedあたりを思わせるメランコリックなフレーズ、
ダークでありながらゴシックメタルというにはアグレッシブなサウンドは、
バンドとしての新たな挑戦を感じさせる。ときおりふっと聴かせる静寂パートの挿入などは
OPETH風でもあったり、全体的にメリハリの効いた楽曲構成が印象的だ。
ゴシックメタルとして聴くよりは、メランコリックなデスメタルとして楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・9 総合・・8
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PARADISE LOST「Tragic Idol」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2012年作
英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、13作目となる本作は
よりヘヴィになったドゥーミィな重厚さを前に出したような力作に仕上がっている。
憂いを帯びたようなニック・ホルムズのヴォーカルと、いくぶんレイドバックしたような
シンプルなギターリフは、バンドの初期の頃にあったもの悲しい薄暗さを感じさせ、
灰色に垂れ込めたような英国的な叙情性は、やはりこのバンドならではの聴き心地だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 ドゥーミィ度・・8 総合・・8
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PENUMBRA「EMANATE」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、ペニュンブラの1st。1999作
2nd「THE LAST BEWITCHMENT」において壮麗きわまりないゴージャスな
シンフォニックゴシックの傑作を作ったこのバンド、その1stを手に入れた。
サウンドはやはり2ndに比べると壮大さにおいては劣る部分があるが、
女性Voやピアノを効果的に配したメリハリの効いた曲アレンジはさすが。
ギターのメロウなリフとキーボードをバックに疾走する部分などは普通のシンフォニックメタルとして聴ける。
この1stの時点ではまだ男性声パートが多く、2ndで聴かれたNIGHTWISH的な華麗な要素は薄いものの
その合間に聴かせる女性Vo部分のクラシカルな典雅さは、立派に聴きどころになっている。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8

PENUMBRA「THE LAST BEWITCHTCHMENT」
フランスのゴシックメタルバンド、ペニュンブラの2nd。2002年作
壮大な合唱コーラスに続いてメロディアスなギターワーク、そこにデス声が乗り、
バックには豪勢なオーケストラという、クラシカルでゴージャスなサウンド。
曲のアレンジもこなれていて、ギターの扇情的なフレーズといい、
それに絶妙に絡む
女性コーラス隊や重厚なオーケストラといい、実に高密度。
暗黒性よりもクラシカルさを重視した音作りで、デス声さえなければ
ゴシックというよりも
「クラシカルメタル」と言っていいかもしれない。
3曲目のピアノとツインギターの絡みなどほとんどシンフォニックメタル。
メンバーが皆古代ローマかギリシャ人のような格好をしているので、
おそらくそういうコンセプトの作品なのだろう。とにかく素晴らしい完成度。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 楽曲・・8 総合・・9 
◆メタル名盤特選入り
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PENUMBRA「SECLUSION」
フランスのゴシックメタルバンド、ペニュンブラの3rd。2003作
基本は7人編成でギター2人にキーボード、男女Voとこれだけでも厚いのに、
今回もゲストにコーラス3人やバグパイプなどが参加した大人数作品である。
前作のような「のっけから大仰さ爆発」というわけではなく、今作はやや落ち着いた感じの、
方向性の練り込まれた曲が並び、ド級のクラシカル&シンフォニックという点では落ちるが、
それでもやはり2、4曲目の壮大なコーラスや3曲目の大胆なバグパイプの使用など、聴きどころは多い。
アニータ嬢の歌唱にも非常に説得力があり、場合によっては
アンビエントな雰囲気すらも漂ってきている。
間違いなく「ゴシックメタルとしての可能性」を担うバンドのひとつであろう。今後も注目。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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POISONBLACK「ESCAPEXSTACY」
SENTENCEDCHARONのVoによるゴシックメタルユニット、ポイズンブラックの2003作
どちらもメランコリック系のメロディックゴシックなのだから、音の方も簡単に想像がつくが
果たして、その通りの哀愁と倦怠の美が漂うゴシック・ロック/メタルです。
SENTENCEDほどに泣きのパートはなく、もう少しモダンなアプローチで
普通に耳触りのよい聴きやすいサウンド。曲調にこれといって特徴はないですが、
この手のヘヴィすぎない適度なバランスのゴシック・ロックが好きなら聴いて損はないでしょう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

POISONBLACK「Lust Stained Despair」
元Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの2nd。2006作
前作はありがちなゴシックロックという感じで、よくも悪くも普通の出来だったが、
本作では一聴してサウンドにヘヴィさが増している。モダンでキャッチーともいえる
ヴォーカルメロディと、フィンランドらしいメランコリックな叙情を乗せた楽曲は
ゴシック+ロックンロールという、いわば“ゴスロール”というようなノリで楽しめる。
曲によっては美しいシンセアレンジも顔を出し、いくぶん後期Sentencedに通じる雰囲気もある。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 モダンロック度・・8 総合・・8
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POISONBLACKDead Heavy Day」
Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの3rd。2008作
メランコリックなフレーズと、ゴシック+ロックンロールという比較的明快なサウンドで、
適度なシンセアレンジとともにヘヴィすぎない楽曲はなかなか聴きやすい。
曲によってはやはりSentencedの進化形態という雰囲気のものもある。
ただ、前作もそうだったが、これだというインパクトやメロディに欠けるので、
この手のモダン・ゴスロックが好きでないと傑作とまでは思えないかもしれない。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 モダンロック度・・8 総合・・8
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POISONBLACK「Of Rust And Bones」
Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの4th。2010作
メランコリックな叙情メロディを含んだゴシックロックサウンドはいつもながらに高品質。
今作ではギターのフレーズに今までになく渋さというか、大人の哀愁が漂っていて、
これでデスヴォイスが入れば、そのままSentencedになりそうな雰囲気の曲もある。
またオルガンの使用なども含めて70年代プリティッシュハードロック的な香りも漂い
ブルージーな質感をまとわせた音作りは個人的にもけっこう好み。渋さの効いた好作である。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 渋い叙情度・・8 総合・・8
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THE PROVENANCE「25TH HOUR;BLEEDING」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、プロヴェナンスの2001作
へヴィなツインギターのメロディにデス声と美しい女性ヴォーカルが乗るサウンドは、楽曲の質も高く、
メロディ、アレンジとも一級品。メタリックな音像の中で時折入るフルートもいい味を出している。
トラッド的メロディやアレンジにアコースティックを生かすなど北欧的叙情美と
へヴィギターのバランスが見事で、バックのサウンドはOPETHに似たイメージもある。
女性の歌声を生かす部分をもっと増やせば、さらに私好みになりそう。
メロディアス度・・7 へヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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THE PROVENANCE「STILL AT ARMS LENGTH」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ザ・プロヴェナンスの2nd。2002作
本作ではタル色が後退、さらにプログレファンにアピールする音になった。
少々おおざっぱにいえばANEKDOTENなどを聴く感覚で聴けてしまう。
ゴシックメタル的観点でいうなら、耽美性、ゴシック度は減少・・・というか
それらが転化し北欧的な翳りの方に重点が置かれてきている感じがする。
デス声の減少のおかげで女性Voものとしても聴きやすくなってはいるが、
全体としてサウンドに派手な部分が薄いので、インパクトはさほどでもないのだが、
北欧的な薄暗い叙情を理解する人にはぜひ聴いて欲しいバンドだ。
メロディアス度・・7 北欧度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE PROVENANCE「IHOW WOULD YOU LIKE TO BE SPAT AT」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ザ・プロヴェナンスの3rd。2004作
1stの時点から北欧プログレ的な叙情性を男女Voのゴシックサウンドに取り込んでいたこのバンド、
この3作目も、のっけからバックでメロトロンが鳴り響くANEKDOTEN状態。
もはや
「激しめのアネクドテン」あるいは「OPETH + メロトロン」というような雰囲気で
レトロな部分と、今風のモダンさもミックスされ、北欧情緒溢れるゴシックロックとして
他の追随を許さぬ絶妙な方向にまで来ている。その分、ややインパクトは薄れたかもしれないが、
サイケ、オルタナ、シンフォニック、そしてゴシックと、どの耳で聴いても楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 北欧度・・8 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り
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The PROVENANCE「RED FLAGS」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ザ・プロヴェナンスの4th。2006作
北欧的な薄暗い叙情にプログレッシブな雰囲気を織り込んで、
質の高いアルバムを発表してきたこのバンド。今作はぐっとモダンになり、
全体的にタイトな作風へと変化している。相変わらずANEKDOTENを思わせる
メロトロンの使用などはプログレ的で、そこに倦怠感ある女性ヴォーカルの歌声が絡むと、
このバンドらしいセンスの良さと叙情をモダンさの中にもふと垣間見せる。
デス声でなくノーマル声で歌う男性Voもゴシックロック的で、
初期からのファンにはやや肩すかしかもしれないが、これが彼らの深化なのだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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RAIN FELL WITHIN「Believe」
アメリカの女性Voゴシックメタルバンド、レイン・フェル・ウィズインの1st。1999作
8分台の曲を4曲含む、全5曲で38分弱という、ミニなのかフルなのか微妙なアルバムだが、
サウンドは
女性ヴォーカルの美しい歌声で聴かせる、けっこう好みのゴシックメタル。
暗さや重厚さは薄く、むしろドラムの手数も多くて、ProgMetal的な感触もある。
シンフォニックなシンセや女性声も含めて、なかなかの好作であると思う。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

RAIN FELL WITHIN「REFUGE」
アメリカの女性Voゴシックメタルバンド、レイン・フェル・ウィズインの2nd。2002年作
ゴシックという美意識はヨーロッパ特有の闇の体現だと思っていたが、
最近ではアメリカにもこうしたバンドがけっこう現れている様子。
このバンドも女性ヴォーカルをメインにしたけっこう正統的なゴシックメタルで、
知らずに聴けばヨーロッパのバンドだと思ってしまうだろう。
ソプラノ一歩手前(メゾソプラノってやつ?)の女性Voが、メロウなギターとキーボードをバックに
美しく歌い上げるサウンドは音的にもヨーロッパのバンドと比しても上質の部類には入るだろう。
あとはもう少し曲にメリハリをつけるとアルバム全体を通しての完成度が高まるはず。
シンフォニック度・・8 耽美度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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RANDOM EYES「EYES ABLAZE」
フィンランドの男女Voゴシック風ハードロックバンド、ランダム・アイズのアルバム。
系統としては、同じくフィンランドのTO/DIE/FORENTWINEあたりに通じる、
マイルドなゴスロックで、重厚さや暗さはあまりなく、とても聴きやすい雰囲気。
歌は男女Voの掛け合いで、女性はややハスキー な、男Voは中性的な声質。
ツインギターの他にソロ専門(?)のGがいるようだが、その割にそんなに音が分厚いわけでもない。
情感に訴えかけてくるような泣きのメロディや、メランコリックな要素が薄いのでさらりと聞ける。
曲のメリハリや個性や雰囲気作りなどをもう少し磨いていけばいいバンドになるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 男女Vo度・・7 総合・・7


RAVENSCRYOne Way Out
イタリアのゴシックメタル、レイヴンス・クライの2012年作
ヘヴィなギターリフのメタリックな楽曲に、しっとりとした
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
モダンなヘヴィロック風味もあるサウンドで、ゴシック的な耽美さもかすかに漂わせる。
バックはかなりヘヴィなのだが、デジタリィなシンセアレンジとのコントラストになっていて、
Voのジュリア嬢の艶やかな歌声とともに、LACUNA COILにも通じるレベルの高いアレンジだ。
3部構成の組曲はクラシカルなテイストとオーケストレーションなどがEPICAを思わせる。
このバンドならではの個性はまだ希薄ながら、ヴォーカル嬢の歌唱の魅力は今後に期待させる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Regardless of Me「The World Within」
イタリアのゴシックメタルバンド、リガードレス・オブ・ミーの2008作
適度なヘヴィさをもった楽曲に
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるLacuna coilタイプのサウンド。
美しいシンセと、モダンなデジタル感覚も取り入れたアレンジに乗せる、
美女Vo、パメラ嬢の歌声はWITHIN TEMPTATIONのシャロンを思わせる。
これという個性はまだないものの、デビュー作にしてはクオリティはなかなか。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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REVAMP
AFTER FOREVERのフロール嬢のニューバンド、リヴァンプの2010作
モダンなヘヴィさとシンセ入りの壮麗さが合わさった楽曲に、オペラティックな
女性ヴォーカル
ゴシックメタル的な暗さよりも、EPICAなどに近い激しめのモダンシンフォメタルという感じか。
フロール嬢の歌唱は、美しいソプラノからシャウト、スクリームヴォイスと、AF以上に表現力豊か。
個人的にはヘヴィな曲よりも3曲目などのゆったりとした叙情曲での歌声にうっとりなのであるが、
全体的にもストリングスアレンジとモダンなメタル質感が合わさったクオリティの高さはさすが。
ゲストにSymphony Xのラッセルアレン、SOILWORKのヨルン“スピード”ストリッドらが参加している。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SaattueJaahyvasti
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、サーテュアの2008作
Swallow The Sunに続いて、フィンランドから耽美派のドゥームゴシックが登場。
メランコリックなギターフレーズにうっすらとしたシンセ、そして凄絶なデスヴォイスで聴かせる
重厚かつ叙情美あふれるサウンドだ。このバンドの特徴は歌詞が母国語で歌われていることで
ときにノーマルヴォイスをまじえながら、AMORPHISを思わせるような土着的な質感もある。
女性コーラスも入ったりして、もの悲しい情緒とフィンランドの大地を感じさせるメロディが胸にしみます。
メロディアス度・・8 重厚度・・8 土着叙情度・・8 総合・・8
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SaattueVuoroveri
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、サーテュアの2010作
重厚なギターリフに美しいシンセを重ねながら、ゆったりと聴かせる作風は、
フィンランド語で歌われるヴォーカルのあってか、より土着的な質感が増したという印象。
薄暗い雰囲気に加えて、MOONSORROWAMORPHISなどにも接近したようなイメージで、
ドゥーミィなヘヴィさと、フィンランドらしいメランコリックな聴き心地が合わさったサウンドだ。
どっしりとしていていながら適度にメロディックなのが良い。なかなか素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8
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SACRIVERSUM「soteria」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、サクリヴァーサムの1998作
雰囲気的にはやや田舎風のゴシックメタルといった感じで、あまり洗練はされてません。
デス声と女性声が一緒に歌を乗せつつ、ときおりキーボードアレンジがエレゴシック風だったりしますが、
それとてもTHEATRE OF TRAGEDYとまではいかず、やや中途半端な印象。
ギターリフはときどき北欧トラッド風なフレーズを奏でたり、ゴシックにしては疾走感もあります。
ミスティカルな雰囲気は悪くはないものの、曲自体はやや盛り上がりに欠けますかね。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7


SALEM「STRINGS ATTACHED」
イスラエルのゴシック・デスメタルバンド、セイラムの2005年作
既存の楽曲を
ストリングスカルテットを加えた形でアレンジし直したアルバムらしい。
曲調はデスというには速くなくミドルテンポ中心で、比較的オーソドックスなのだが
そこにデス声と女性Voが乗り、バックには優雅にストリングスの音色が響いている。
邪悪さと耽美さが半々といった感じなので、雰囲気ものとしてもなかなか聴きやい。
インパクトという点ではやや欠けるが、クラシカルなゴシックが好きならけっこう楽しめる。
蛇足だが、ジャケにも写っているチェロのおねえさんがきれい。(笑)
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 クラシカル度・・8 総合・・7.5
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Sarah Jezebej DevaSign of Sublime
Angtoriaの女性ヴォーカルでもある、サラ・ジェゼベル・ディヴァの2010年作
Cradle of Filthでも美しいソプラノヴォイスでコーラスを担当していた大きなお姉様で、
本作はシンフォニックなシンセアレンジと耽美な世界観で聴かせるゴシックメタル。
シンフォブラック的ないくぶんの激しさもまじえつつ、妖艶な歌声が響きわたる。
楽曲にさほどのインパクトがないのが惜しいが、美麗なシンフォゴシックメタル作です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sarah Jezebel Deva「Corruption of Mercy」
Angtoriaの女性ヴォーカル、サラ・ジェゼベル・ディヴァの2011年作
シンフォニックなアレンジとときにブラックメタルばりのブラスト疾走も入ってくるスタイルは、
ゴシックというよりは、美しい
女性ヴォーカルで聴かせるシンフォブラックという雰囲気もある。
シンセによるオーケストレーションもゴージャスで、音の説得力はさすがというところ。
美麗な耽美さもちゃんと残っていて、激しめのゴシックメタルとしても楽しめる作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SATYRIANEternitas
オランダのDREAMSIDEとドイツのDANCE MACABREのメンバーによる
ゴシックメタルユニット、サティリアンのアルバム。
ゴシックとシンフォメタルの中間的なサウンドに、
2人の女性Voにデス声が絡むスタイル。
ややデジタリィなシンセアレンジに、ヘヴィロック調のギターリフがモダンな雰囲気であるが、
曲によってはしっとりとしたピアノや泣きのギターも聴かせてくれる。
全体的にも聴きやすくよく出来ていて、新鮮味はないが無難に壮麗な印象。
最近のAFTER FOREVERなどが好きなら、このバンドもまず気に入るだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SATYRIANThe Dark Gift
オランダとドイツの混成ゴシックメタルユニット、サティリアンの企画アルバム。
1st収録のタイトル曲と、リミックスバージョンを7曲収録。
のっけからデジタリィなアレンジで面食らうが、もともとDREAMSIDE自体が
その手のバンドであるから、そのメンバーによるこんなリミックスもうなずける。
ダンスビート的な打ち込みリズムの上に、女性ヴォーカルとデス声が絡み、
シンセによるモダンなアレンジがなされたエレゴシックサウンドだ。
デジタル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Sebnem Ferah「Can Kiriklari」
トルコの歌姫とも呼ばれる、シェブネム・フェラーの2005作
デジタリィなシンセアレンジと、モダンなヘヴィロック調の楽曲に、ややクセのある母国語の女性ヴォーカルが乗るサウンド。
ゴシックメタル的なメランコリックさもいくぶん覗かせつつ、やはり異国情緒ただようトルコ語による歌声のインパクトが大きい。
ポーランドのMoonlightあたりにも通じるしっとりとした浮遊感と、ゴシックロック的な明快さが同居していて、慣れると案外聴きやすい。
ゴシック度・・7 異国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sebnem Ferah「Benim Adim Orman」
トルコの歌姫とも呼ばれる、シェブネム・フェラーの2010作
ゴシックロック的なハードさと、美麗なシンフォニックアレンジが合わさった楽曲に
トルコ語による艶めいた歌声で聴かせるサウンド。いくぶんの民族風味も加わって
2005年の「Can Kiriklari」に比べて、よりしっとりとした作風で、好みの音になった。
異国情緒を漂わせた女性ヴォーカルで、ウィズインのトルコ版かというような煽情的な好作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SENGIR「GUILTY WATER」
ベルギーのゴシックメタルバンド、センギアの1st。2003作
なかなかヘヴィなツインギターに空間のあるキーボードアレンジ、
女性Voも魅力のある歌唱を聴かせ、これぞゴシックメタルの王道といったサウンド。
厚みのある空間的な音づくりが見事で、曲がやや一本調子に感じられるものの
女声ゴシックメタルが好きならこれは買って損なしだろう。
ELISAS DIVINE GRACEあたりが好きなら必ず気に入るはず。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

SENGIR「SIGN OF DEVOTION」
ベルギーのゴシックメタルバンド、センギアーの2nd。2008作
WITHIN TEMPTATIONスタイルのゴシックメタルとしては1stもなかなか良かったが、
この2ndもヘヴィさとメロディアスさのバランスがとれた聴きやすいサウンドだ。
演奏やメロディに取り立てて素晴らしい部分はないし、楽曲の方も目新しさはないのだが、
艶のある女性Voの歌唱はなかなかのものだし、ピアノなどによるしっとりとした叙情美もよろしい。
ウィズインタイプのサウンドが好きならこのバンドも聴いてみて損はない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SERENADE「The 28th Parallel」
スコットランドのゴシックメタルバンド、セレナーデの1996作
アヴァンギャルドでサイケ気味の浮遊感と、ローカルな田舎臭さが味わって、
どこか古めかしいドゥームメタルの雰囲気もただよわせている。
ときおりギターの奏でる哀愁のフレーズがいい感じなのだが、それすらもヨレている。笑
6分以上の曲がけっこうある割には退屈に思えてしまうのは、やはりメロディや曲の展開に
あまり魅力がないからだろう。ゲストによるチェロやピアノ、オルガンなどはいい感じです。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 サイケ度・・7 総合・・7


7TH MOON「ALTER ALMA」
スペインのゴシックメタルバンド、セブンスムーンの1st。2002作
かなりへヴィなギターリフと、うっすらとしたバックのキーボードによる夢見がちなサウンド。
そこに乗る女性ヴォーカルの歌声はとても好みの美声で、たおやかな歌唱を聴かせてくれる。
特筆すべきは時折混じるデス声なのだが、これが何と、どうやら同じ女性が歌っているらしいのだ。
一人二役…こんなデス声出して、肝心の美声に影響しないかと思わず心配をしてしまった(笑)。
曲自体にはさほど新鮮味はないが、美声Vo入りの正統派ゴシックメタルとして楽しみなバンドである。
ジャケは翼の生えた女性と花飾りの女性の2種類あるようだが、どちらも耽美的で美しい。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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SHADOWS DANCE「A QUATRAIN FOR THE DAMENED」
オランダ(たぶん)のゴシックメタルバンド、シャドウズ・ダンスのアルバム。
知らないバンドなだけにあまり期待していなかったが、今風のデジタリィなシンセアレンジと、
合唱やコーラスなども取り入れたシンフォニックさが同居しており、なかなか凝っている。
本物かどうか分からないがストリングスの音色がクラシカルな格調高さをもたらし
女性ヴォーカル、コーラスとともに効果的にサウンドを彩っている。
プロダクションの甘さと、打ち込みっぽいリズムの軽さが残念だが、
センスとしてはいいし、耽美とロマンにあふれたゴシックメタル作品だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 ロマンティック度・・8 総合・・7.5


Shape of DespairShades of...」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの1st。
美しいシンセにゆったりとしたドゥーミーなリズムとデス声、そして天上のソプラノヴォイス。
2ndで聴かれた重厚な暗黒フューネラルドゥームよりも、本作はもう少しやわらかなサウンドで、
ダークではあるがシンセの効果もあって案外聴きやすい。曲は10分台がメインで
長いので集中して聴くというよりは、まどろみつつ聴き流すのが最適の音楽だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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SHAPE OF DESPAIR「ANGELS OF DISTRESS」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの2nd。2002作
ゆった〜り、としたのろいリズムに反復するギターのヘヴィリフとキーボード、
咆哮デス声、そしてバックには美しい女性コーラス、という暗黒系の耽美ドゥームサウンド。
おもわず眠たくなりますが、これを聴きながら眠るととてもいい悪夢が見られそう(笑)。
シンセやヴァイオリン、女性声が入るので初期のMY DYING BRIDEあたりよりは
かえって聴きやすいかも。絶望悲哀系の音楽ですが、音は厚くシンフォニックです。
曲が長めなので(全5曲54分)たゆたうような気分でうっとりと聴くのが正しい鑑賞法でしょうか。
デス声が怖くない人なら意外と気持ちよいかもしれません。
しかしブックレットもなく、メンバー名がイニシャルだけとはミステリアスな方々。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・9 ドゥーム度・・9 総合・・7.5
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SHAPE OF DESPAIRIllusion's Play
フィンランドのドゥーム・ゴシックメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの3rd。2004作
前作は美しくも絶望的に暗いフューネラル系ドゥームサウンドで記憶に残っているが
今回はやや聴きやすさが増していて、
ドゥーム系ゴシックメタルといってよい音になっている。
もちろん、ヘヴィかつスローな楽曲には微塵もキャッチーさはなく、
地を這うようなデス声Voと、それに絡む美声のソプラノVoという対比は健在だ。
ただ、バックのうっすらとしたシンセと、メロウなフレーズを奏でるギターが
ときおりサウンドをシンフォニックにしていて、それなりに耽美な雰囲気がある。
重厚になったMY DYING BRIDEといった趣もある。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 ドゥーム度・・7 総合・・7.5
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SHELLYZ RAVEN「DESOLATION」
ノルウェーの女性Voゴシックメタルバンド、シェリィズ・レイブンの2000作
ジャケもですが、デジパックの中もHな写真がいっぱい。ゆったりとした楽曲に、
アンニュイさをただよわせる
女性ヴォーカルの歌声はTHE GATHERINGにも通じるが、
こちらの方がシンセを多用していて薄暗い雰囲気がよい感じです。
ヴォーカル嬢の歌声も低血圧系の可愛らしい声からやや低めのウィスパーまで歌い分けていて
のんびりゆったりとしたメランコリックでアンニュイな曲調によくマッチしている。
メロディアス度・・7 ゆったり低血圧度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5


SILENT CRY「REMEMBRANCE」
ブラジルのゴシックメタルバンド、サイレント・クライの1st。1998作
この1stの時点でもすでに、シンフォニックで繊細なキーボードにメロウなギター、
そして美しいソプラノヴォイスという一線級に必要な要素はみな揃っているが、
残念なのはこの録音・プロダクションの薄っぺらさで、
これがせっかくのメロディの迫力、説得力を無くしている。しかしながら、
ジャケを含めた耽美な美意識はゴシック好きにとってはたまらないものがある。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 サウン度・・6 総合・・7

SILENT CRY「GODDES OF TEARS」
ブラジルの男女Voゴシックメタルバンド、サイレント・クライの2nd。2000作
ゴシックメタルのムーブメントはヨーロッパのみにとどまらずついに南米にまで進出。
このバンドも欧州のバンドをうまく模倣した耽美派のゴシックメタルで、
シンフォニックな味付けのキーボードに美しい女性ソプラノと男性デス声が乗るという基本に忠実なサウンド。
ツーバスのドラムやギターなどにはヘヴィなメタル色が残り、対照的に美しいKEYアレンジが効果的。
ヴォーカル面はやや弱い気がするが、その分ツインギターギターの奏でる叙情フレーズが絶品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 叙情・・8 総合・・8

SILENT CRY「Shades Of The Last Way...」
ブラジルのゴシックメタルバンド、サイレント・クライのミニアルバム。2002作
2bd「GODDES OF TEARS」はシンフォニックなシンセと男女ヴォーカルで聴かせる
本格派ゴシックメタルの好作であったが、本作も基本的には同路線。
美麗なシンセを中心に、可憐な女性ヴォーカルとそれに絡む男性デス声、
薄暗くも美しい雰囲気はなかなかいい。ドラムなどリズム面がやや軽い感じもするが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7


SILENTIUM「INFINITA PLANGO VULNERA」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの1st。1999作
ツインギターにキーボード、ヴァイオリンを配した楽曲に、ダミ声の男Voと女性ソプラノVoが歌をのせる。
2ndの完成度に比べるとまだ荒い部分があるものの、ヴァイオリンの音色が効果的で美しい。
音に厚みがあるという点でサウンドには説得力があり、ギターのフレージングにも煽情力があって、
雰囲気やクオリティ的にもノルウェーのTHE SINS OF THY BELOVEDあたりに通じるものがある。
女性Voメインの2ndよりは男性Voの比重がこの時点ではまだやや多い。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SILENTIUM「ALTUM」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの2nd。2001作
物悲しいピアノ、ヴァイオリン、キーボードによるメロディの上に美しい女性ソプラノが歌う。
男声はデス声ではないので、暗黒度は薄く、その分叙情度が高い。
ツインギター+キーボードなので音にも厚みがあり、この手の音に重要な説得力もある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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SILENTIUM「SUFFERION-HAMARTIA OF PRUDENCE」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの3rd。2003作
最初のイントロでもう満足〜。コレですよ、この重厚さ、この絶望感…そして美しさ。
ひとことでいうと本物の「重悲しさ」がここにある。これこそが「ゴシック」なのです!
美しくもはかなげなピアノ、メランコリックさと悲哀を感じさせるギターフレーズ、
しっとりとした女性Vo、そして漂う倦怠の香り…聴いていてうっとりです。
ゴシックメタルを名乗るからにはこのくらいの音を出して欲しい、という見本のようなサウンド。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7
(男声パートが多いので) 総合・・8
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SILENTIUMSeducia
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの4th。2006作
1stの頃から耽美な雰囲気のサウンドで、見事なクオリティの作品を作り続けているこのバンド。
Voが代わってのこのアルバムも、基本的には暗く美しい重厚なゴシックメタルスタイルだ。
新Voの
リナ嬢の歌唱は、声質の好みからしても個人的にはさほどぐっと来ないので、
前作ほどには今作を素晴らしいとは思えないのは、仕方がないところか。
ただ、やはり全体的な雰囲気にもやや垢抜けたようなモダンさが感じられ、
このバンド独特の翳りや悲しみの表現は整然とした音のせいでやや半減している気がする。
なんにしても、本格派のゴシックメタルを続けているこのバンドには今後とも頑張って欲しいものだが。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SILENTIUM「Amortean」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの5th。2008作
3rdまでは重厚かつメランコリックなサウンドで素晴らしいアルバムだったのだが、
前作でややモダン化した作風となり、個人的にはややがっかりしていた。
続く本作も基本的にはその延長上で、女性Vo、
リナ嬢の中音域の歌声と、
適度にヘヴィなギターとシンフォニックなシンセを中心にして聴かせる音だ。
正直、初期のもの悲しさも暗い重さもないので、なにがウリなのかよく分からない
中庸のゴシックメタルという印象だ。これで女性声にもう少し魅力があればまだいいのだが…
アルバム後半の美しさはむしろシンフォニックメタル的で、バンドの新たな魅力となっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Silent Stream of Godless Elegy「Themes」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの3rd。1999作
ヴァイオリンにチェロ奏者を含む6人組で、耽美というよりはドゥームメタル的なヘヴィさと、
クラシカルでアヴァンギャルドな独特のセンスを有したサウンドだ。男性のデス声が基本ながら
女性Vln奏者が数曲で歌っていてちょっと嬉しい。どことなくプログレッシブな知性も感じるので、
普通のゴシックメタルに飽き足らない方には面白いかもしれない。
メロディアス度・・7 知的ゴシック度・・8 クラシカル度・・8 総合・・7.5
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Silent Stream of Godless Elegy「Relic Dances」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの4th。2004作
新たに女性ヴォーカルとヴァイオリンが加入し、7人編成となったことで、さらに音の厚みは増した。
男性声主体だった前作にくらべ、ぐっと女性Voパートが増えたことがまず嬉しい。
ヴァイオリンとチェロによるクラシカルな美しさと、プログレッシブなセンスを感じさせるアレンジで、
バルカントラッド的な音階なども含めて、単なるゴシックとは異なる知的な音楽性を聴かせてくれる。
女性声メインの曲などはプログレリスナーなどにも受けそうだ。
メロディアス度・・7 知的ゴシック度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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Silent Stream Of Godless Elegy「Navaz」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの2011年作
男女ツインヴォーカルに、ヴァイオリン奏者などを含む7人編成。おそらく6年ぶりとなる5作目で、
これがまた素晴らしい出来。トラディショナルな土着性を盛り込んだシリアスな世界観で、
単なるゴシックメタルという枠にはとどまらない懐の広いサウンドを展開している。
大人の魅力をたたえた
女性ヴォーカルの歌声に、クラシカルなヴァイオリンの音色、
どこかアカデミックな格調高さも覗かせた、優雅でありながら尖ったセンスが素晴らしい。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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SINISTHRA「last of the stories of long past glories」
フィンランドのゴシックメタルバンド、シニスセラの2005作
太めのノーマルヴォイスで聴かせる男性声ゴシックメタル。
シンセ奏者もいるようだが、基本はギターリフによるメタリックな質感で、
昨今の美麗系のゴシックバンドとは異なるエッジのきいた重厚さがある。
もちろんフィンランド的なメランコリックな雰囲気とともに、
骨太のヘヴィさとマイルドな叙情とのバランスをとるような作風だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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THE SINS OF THY BELOVED「LAKE OF SORROW」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、ザ・シンズ・オブ・ザイ・ビラヴドの1st。
女性2人を含む7人編成+ゲストのVinという大所帯なのでこのバンドは音が厚くて説得力がある。
2ndよりは男のデス声が多いが、曲の途中から色っぽい女性声が現れるとやっぱり嬉しくなる。
もちろんお約束の(?)あえぎも出てきます。曲の方ゆったりしていて傑作の2ndよりはやや長尺な印象か。
メロディアス度・・8 女性Vo妖艶度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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THE SINS OF THY BELOVED「PERPETUAL DESOLATION」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ザ・シンズ・オブ・ザイ・ビラヴドの2nd。2000年作
頻出するこの手のゴシックメタルバンドで、結局アルバムの評価を決めるのは
1. 曲、メロディの良さ2. 何らかの個性、そして、3. 肝心の女性Voの力量である。
まず結論からいうと、このバンドは現在のゴシックタルバンドの中では最高レベルの作品といえる。
まず曲の良さを引き立たせる二つの個性が明確に存在している点が高ポイントで、1つにはヴァイオリンの導入。
これが実にいい味を出して、ギター、キーボードのなかでアクセントとなって輝いている。
もう1つは・・・女性Voの歌。妖艶な喘ぎや笑いまでもを「歌」として機能させていて耽美度を高めている。
やはり男として(笑)このような美しい声のあえぎを聴かされると、なんともぞくぞくしてしまうのであった。
無論、全体としてのクオリティも非常に高い。ゴシックメタルを聴きたい方はまずこのアルバムからどうぞ。
メロディアス度・・8 女性Vo妖艶度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5 
◆メタル名盤特選入り 
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SIRENIA「AT SIXES AND SEVENS」
TRISTANIAのVo/Gらよるゴシックメタルバンド、サイレニアの2002作
シンフォニックなアレンジに荘厳な男女コーラスに比較的軽めのリズムの耳障りのよいサウンド。
(TRISTANIAといいBESEECHといい北欧ではデジタリィゴシックがトレンドなのか?)
女性Voはゲスト扱いで、音はジャケほど「おねえちゃん度」は高くないのでご注意(笑)。
TRISTANIAやTHE SINS OF THY BELOVEDなどに参加したヴァイオリン奏者が
ここでも参加して、曲によっては効果的にその音色を聴かせている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・5 総合・・8
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SIRENIA「An Elixir for Existense」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サイレニアの2nd。2004作
メロウなギターフレーズにきらきらとしたキーボードアレンジ、コーラスワークなどにより、
バランスのとれたシンフォニックなゴシックメタルを形作っている。
デス声の男Voに、美声の女性Voが加わり、ところによりしっとりとした引きの叙情もある。
曲の方はしっかりと展開も練られていて、重すぎず、軽すぎず、
ビート感もあるので単調なゴシックはダメという方にも聴きやすいはず。
この手のバンドとしては非常に完成度の高いアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 完成度・・9 総合・・8 
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SIRENIANine Destinies and a Downfall
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの3rd。2007作
過去2作はいずれも質の高いシンフォニックなゴシックメタル作であったが、
今作も素晴らしい出来ばえだ。新Voの
モニカ嬢の歌声は魅力的で、
ギターとシンセによる重厚な音の重ねによるサウンドは説得力も充分。
効果的なデス声の使用や、荘厳なコーラスワークなど細部のアレンジにも気を配っており、
モダンさを取り入れたヘヴィな部分とシンフォニックな美麗さを両立させている。
最近低調ぎみのゴシックメタルシーンに、再び目を向かせるような質の高いサウンドだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA「The 13th Floor」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの2009作
もともとはTRISTANIAが分派してできたバンドなのだが、毎作の質の高さで
すでに本家を上回っているともいえる。今作でもまた女性Voが交代しているが、ヘヴィメタリックな重厚さと
適度なモダンさを同居させ、そこにシンフォニックな美しさを加えて聴かせる質の高いアルバムだ。
新Vo、
アイリン嬢の可憐な歌声は、WITHIN TEMPTATIONなどのファンにも受けるだろうし、
荘厳なコーラスや効果的に絡むデスヴォイスなどもいいアクセントになっている。
ドラマティックな重厚さとやわらかな聴きやすさのバランスがよく、ゴシックメタル初心者にも勧められる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIAThe Enigma of Life
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの2011年作
Theatre of Tragedy、Tristania、Leaves' Eyesとともにノルウェーのゴシックメタルを牽引するこのバンド、
5作目となる本作は、実質的にリーダーのモルテン・ヴェランドと女性ヴォーカル、アイリン嬢のユニットで
可憐な歌声とシンフォニックな味付けで聴かせる、王道のゴシックメタルであるのは変わらず。
かつてのWITHIN TEMPTATIONばりに優美な聴き心地であるが、インパクトの点ではやや薄いか。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SOULRELIC「Love is a lie we both believed」
フィンランドのゴシックロックバンド、ソウルレリックの2005作
モダンな質感のあるフィニッシュ・ゴシックロックでHIMTO/DIE/FORに影響を受けていることが一聴して分かる。
ヘヴィすぎないギターに、デジタル風味のあるシンセアレンジ、そして哀愁漂うなヴォーカルメロディは、
マイルドな声質もあってなかなか耳に心地よい。ただのありがちなゴスロックバンドかと思いきや、
2曲目後半の叙情美は我々日本人にぐぐっと訴えかけてくる「泣き」があり、ぬしらなかなかやりおるな。
むしろメロディの充実度からすれば、HIMのどのアルバムよりも上かも…とすら思える。
ツボを押さえたサビでのコーラスワークといい、これはクオリティ高いわ。
メロディアス度・・9 ゴシックロック度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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STREAM OF PASSION「Embrace The Storm」
オランダのゴシックメタルバンドト、ストリーム・オブ・パッションの2005年作
AYREONのアルイエン・ルカッセンがゴシックメタルを…とちょっと驚いたが、
以前にもAMBEONというフィメールものユニットがあったので、おそらく本人はこの手も好きなのだろう。
しっとりとした美声の女性Voを中心に、しっかりゴシック風のリフを弾くルカッセンのギター、
そこに美しいピアノやチェロヴァイオリンが絡むゴシックハードロック。
MARCELA嬢の歌声はTHE GATHERINGのアネク嬢を思わせるものがあり、表現力もなかなか。
ダークさよりもヨーロピアンな情緒が前に出ているので普通に聴きやすい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STREAM OF PASSION「The Flame Within」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オヴ・パッションの2009作
1stはAYREONのルカッセンを中心にしたプロジェクトバンドかと思われていたが、
本作ではそのルカッセンや女性ギタリストは抜けて、メンバーはだいぶ変わっている。

サウンドの雰囲気は、美しい
女性ヴォーカルで聴かせるゴシックメタルの王道で、
ヘヴィさよりもしっとりとしたメロディアスさとシンフォニックな質感が前に出ている。
楽曲はあくまでシンセとヴォーカルが主体という感じで、とても美しく聴きやすい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Stream of Passion「Darker Days」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オヴ・パッションの2011年作
AYREONのアンソニー・ルカッセンによるバンドとしてスタートし、これが3作目となる。
ルカッセンの手を離れた前作は、良くも悪くも普通のゴシックメタルという出来であったが、
今作ではシンフォニックな美麗さとクラシカルで耽美な世界観が、より強固になって聴こえてくる。
ヴァイオリンも弾きこなす
マルセラ嬢の歌声は、以前にも増してしっとりとした表現力がついてきて、
はかなげな叙情美とともに、音の説得力をぐっと高めている。ウィズインがメジャー化したいまとなっては、
オランダのゴシックメタルを引っ張るくらいの存在になっていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STREAM OF PASSION featuring Ayreon「Live in the Real World」
オランダのゴシックメタル、ストリーム・オブ・パッションのライブDVD。2006作
先にCDで聴いていたが、やはりこういうバンドは映像つきで見るとより楽しめるものだと納得。
女性Voの
マルセラ嬢は、THE GATHERINGアネク嬢を思わせる声質で、
中音域での歌唱には内的な表現力が込められている。ときにヴァイオリンも手にして大活躍。
もう一人のVo/Choのディアーナ嬢も、ときにバックコーラスに、ときにフロントに出て
マルセラ嬢とのツインヴォーカル状態になったりと、器用に役割をこなしている。おへそもキュート♪
驚いたのはギターも女性だったのですね。しかも金髪ロンゲでなかなか派手なおねいさん。
テクの方も相方のルカッセンに負けじと、リードをとり、速弾きのソロもこなす腕前。
こうして女性が3人もステージにいるのだから、華のある絵は見ていてもなかなか楽しいのです。
曲の方は、SOPのものにまじえて、AYREONからの旧曲などもけっこう披露してくれ、
カメラワークもツボを押さえていて、前に出た
STAR ONEのDVDよりもずっと出来がよい
同タイトルのライブCDも出ているが、女性Vo好きにはやはり映像つきの方をオススメします。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・9 女性活躍度・・9 総合・・8
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the Sundial「Transition」
ロシアのゴシック・デスメタルバンド、サンディアルの2008作
美しいシンセに導かれて、艶やかなヴァイオリンの音色とともに耽美な世界観が包み込む。
この手にしては珍しいインスト部分に比重を置いたサウンドはシアトリカルな雰囲気で、
囁くようなダミ声ヴォーカルも入ると、ゴシック化したCRADLE OF FILTHという感じにもなる。
紅一点の
アナスタシア嬢は基本的にはシンセ担当のようで、歌うパートは意外と少ないが、
クラシカルなピアノの音色などを聴いていると、彼女の確かな音楽的素養が感じられる。
個人的にはアルバム後半で聴けるように、デス声に絡む美声パートをもっと増やしてもらいたいが、
シンフォニックブラック風味のシアトリカル・ゴシックメタルと思えば、かなりの力作であるには違いない
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
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SUNSETH SPHERE「STORM BEFORE SILENCE」
ハンガリーの女性Voゴシックメタルバンド、サンセス・スフェアーの2001作
最近はポーランドやハンガリーといった東欧の国からのゴシック系バンドが多いが、
だいたい共通するのは、シリアス度が高く、メタル度は抑えめ、シアトリカルで芸術的、
という点である。このバンドもどちらかというとメタル度は低めで、一曲目などは
女性ヴォーカルの歌声もあいまってKATE BUSH的な色が濃い。
二曲目はエレガンスなピアノの音色が導くアンビエントな楽曲で
ゴシックメタルというよりはどちらかというとALL ABOUT EVEのメタル版という感じ。
やはり全体的に低血圧系のサウンドで、盛大に盛り上がる場面はないが
静謐でクラシカルなゴシック風味の女性Voものとしてはなかなかの出来である。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SUNTERRA「LOST TIME」
オーストリアのゴシックメタルバンド、サンテッラの2002作
ドイツ、オランダ、オーストリアあたりではこの手のゴシックメタル熱がまだまだ続いているようで、
このバンドも
男女Voにフルート入りの、キーボードがきらびやかなゴシックサウンド。
これといった個性はないかもしれないが、楽曲に絡むフルートの音色や
シンフォニックなキーボードがけっこうヘヴィなギターリフとともに音に厚みを与えている。
リズムはやや単調だが、クオリティはなかなかのもの。次作にも期待。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SUNTERRA「GRACEFUL TUNES」
オーストリアのゴシックメタルバンド、サンテッラの2nd。2005作
オペラティックな女性Voにキーボード入りのサウンドで、なかなか聴きやすい。
ときおりあらわれる
たおやかなフルートや、デス声とソプラノの絡みなどはいい感じだが、
1st同様、曲の方にどうしても「あと一歩」感があるのがもどかしい。
典雅で聴きやすいゴシックメタルだが、なにか深みのようなものが足りない気がする。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5


SUPREMACY「ANGEL」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、スープレマシーのミニアルバム。6曲+ビデオクリップ2曲入り
ヴァイオリン、チェロを含む7人組みで、うち
女性が6人(どうせなら全員女性にすればいいのに…)
という編成で、音としては案外普通のゴシックメタルをやっている。
女性Voはややハスキーなタイプで可憐さはあまりない。
なかなか厚みのある演奏で、ときどきツインギターの重なりがカッコ良く
キーボード+ヴァイオリンがそこそこシンフォニックでクラシカル。
4曲めからはデス声も入って元気がよくなります。耽美度は↓
ゴシックというよりは
女王様っぽいビデオクリップもなかなかおもろい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


Swallow The Sun「The Morning Never Came」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの1st。2005作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、重厚でメランコリックなゴシックドゥームサウンドから
コアなファンも多いこのバンド。デビュー作である本作の時点でその音楽性は確立しており、
ギターによるもの悲しいフレーズとヘヴィなリフに、うっすらとしたシンセ、低音デスヴォイスによる
暗く沈み込むような楽曲は、タイトル通り“朝は決して来なかった”という雰囲気そのもの。
重々しく暗くゆったりとした音の中に、フィンランドらしいもの悲しい叙情美が包み込まれている。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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Swallow The Sun「Hope」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、スワロー・ザ・サンの3rd。2007作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセが絡み、ドゥーミーなヘヴィさと
もの悲しい叙情で聴かせる、メランコリックなゴシックメタルサウンド。
曲は6〜9分と長めのものがほとんどで、マイルドなノーマル声と、
激しいデスヴォイスをまじえつつ、メロウなギターフレーズとともに
ゆったりとした重々しさと、フィンランドらしい倦怠の美学も含んでいる。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Swallow the Sun「New Moon」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンのアルバム。2009作
毎作、ダークで濃密なゴシック・ドゥームを作り上げてきた彼らだが、
本作は前作以上にメロウなギターフレーズで聴かせる叙情性が増した傑作となった。
もちろん従来通りドゥーミーな重厚さは健在だが、楽曲にはいくぶんメロデス的な質感がそなわり、
それとともにメリハリのついた構成力で、メロディアスな部分をより引き立たせている。
ブラック声に低音デスヴォイス、ノーマル声を使い分けるヴォーカルの表現力も上がっていて、
もの悲しくも美しいメランコリックな世界観が、ある種ドラマティックなまでに構築されてゆく。
メロディアス度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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Swallow the Sun「Emerald Forest and the Blackbird
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2012年作
ゆったりとしたドゥーミィな要素はそのままに、今作では前作までの絶望感のあるダークさよりも
シンセによる美しいアレンジが前に出ていて、ダイナミックな展開力とともにサウンドに起伏が増した。
静謐感のある叙情に加え、シンフォニックなデスメタル感触も加わったことで、OPETHのように
プログレッシブな構築力を感じさせる作風となっている。メランコリックなギターフレーズなどは
いかにもフィンランド的であり、ノーマルヴォーカルの使用も含めて、メリハリのあるドラマティックな聴き心地である。
これまでのようにドゥームメタル一色から脱却し、より多くのファンを獲得するに足る力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・7 むしろプログレッシブデス度・・8 総合・・8.5
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Tears of Magdalena「MYTHS AND LEGENDS」
フィンランドのゴシックメタルバンド、ティアーズ・オブ・マグダレーナの2008年作
シンセにヴァイオリンも弾きこなす女性Vo、
マグダレーナ嬢を中心にしたバンドで、
デス声入りのシアトリカルでオペラティックなゴシックサウンドをやっている。
シンフォニックでありながらも、どことなく翳りのある雰囲気と土着的な質感は、
NIGHTWISHなどに比べるとややイモ臭さもあるが、むしろモダンさよりも
素朴な味を好む向きにとってはそこも魅力となるかもしれない。
ソプラノ女性ヴォーカルのいくぶんの垢抜けなさも、意外と頻度の高いデス声挿入のおかげで
なよやかさが引き立っている。今後は楽曲そのものにどう個性をつけてゆくかが課題だろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの1st。1995作
男女混声のゴシックとしては元祖といってもよいバンドで、本デビュー作は
のちの北欧ゴシックメタルブームの先駆けともなった作品である。
メランコリックなメロディと、デスヴォイスに絡む
リブ・クリスティン嬢の可憐な歌声は、
これぞゴシックメタルという倦怠の美に包まれており、のちのアルバムよりも
ドゥーミィな翳りがある点で、本作を愛好するファンは多いだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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Theatre of TragedyVelvet Darkness They Fear」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの2nd。1997作
ドゥーミィでゆったりとした楽曲に、現在はLeaves Eyesで活動する
リブ・クリスティン嬢の美しいソプラノヴォイスとデス声が絡むスタイルは、
今となってはオーソドックスなゴシックメタルサウンドであるが、
このステキなジャケとともにどこか頽廃的な耽美な雰囲気がよい。
正統派ゴシックメタルの傑作ともいうべきアルバムだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「AEGIS」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの3rd。1998作
男女混声のゴシックとしては元祖といってもよいこのバンド、前作2ndでは色っぽいジャケが話題を呼び、
1stでは日本盤の帯が「シスター・オブ・トラジディー」と誤表のまま店に出回ったといういわくがある。
この3作目では男Voがノーマル声で歌いはじめ、クリスティン嬢の歌声もいっそう魅力が増した。
シンフォニック度が上がり暗黒度は限りなくゼロに。完成度の点では初期の最高作だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「['mju:zik]」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの4th。2000作
バンドがデジタリィなアレンジを大幅に取り入れだした作品で、
続く5thでの傑作エレゴシック路線にいたる過程のサウンド。やや機械的なリズムと、
ヘヴィすぎないモダンな曲調で
LIV嬢のキュートな歌声がやわらかにかぶさる様は
ゴシックメタルというジャンルのひとつの現代的な進化系を示している。
シンフォニック度・・7 デジタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY「ASSEMBLY」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの5th。2002年作
前作からデジタル色を増し、続く今作でほぼ完全に
エレゴシックとしての音像を確立した。
エフェクトのかかったドラムにピコピコしたキーボード、ダンサブルなビートと、
一聴して私の嫌いな路線のはずなのだが、このバンドの場合そのセンスの良さによって
かろうじてゴシックとしての雰囲気を保っているのが凄い。
やはり大きいのはクリスティン嬢の魅力的な声質で、彼女の心地よい歌唱とともに
時折絡む野郎Voがちょうどよく「引き」のアクセントにもなっている。
また、ギターのヘヴィさも全体の音像の中でサウンドに一本筋を通していて
けっして眠くならずに聴き通せるので、エレゴシックといえども決して馬鹿にしたものではない。
ゴシックメタル度・・6 エレゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「CLOSURE:LIVE」
シアター・オブ・トラジディーのライブアルバム。2001作。2000年、ポーランドでのライブを収録。
バンドとしては4th「MUSIQUE」発表時、サウンドにデジタリィな要素を打ち出し始めている時期で
SEや曲によっては打ち込みシンセを使いながら、デジタルな・エレ・ゴシックをやっている。
3rd「AEGIS」からの曲も多く、クリスタルな美声の
リブ・クリスティン嬢の歌唱ももちろん萌え(笑)、
ファンなら楽しめるライブアルバムだろう。ボーナスにライブ映像が見られるトラック2曲入り。
メロディアス度・・7 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY「STORM」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの6th。2006年作
ヴォーカルがLIV嬢から
NELL嬢へと交代しての一作目となる。
新ヴォーカルのネル嬢の声質はけっこうリブ嬢に似ているので、まったく違和感がなく一安心。
サウンドは前作までのエレゴシック風からもう少しヘヴィになり、
ゴシックメタルの王道に帰ったような雰囲気。
美しいネル嬢の歌声にしっとりとしたピアノがかぶさると、メランコリックな哀愁が漂いじつに心地よい。
いままで邪魔だった男Voも、今回は完全に女性Voの引き立て役に回っているのも成功している。
同郷のTRISTANIAにも接近したようなもの悲しさと美しさが心地よく、ゴシックメタル好きなら納得の一作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Theatre of Tragedy「Forever Is the World」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの2009年作
北欧の男女Voゴシックメタルの元祖というべきこのバンド、本作は7作目となる。
前作から加わった
NELL嬢の美しい歌声にデス声を絡ませ、ゆったりと耽美に聴かせる
正統派のゴシックメタルサウンド。傑作だった前作同様、もの悲しくメランコリックな旋律と
ロマンティックな世界観は、経験値のあるバンドならではの説得力に満ちている。
音のインパクトは薄いが、ゴシックメタルとはこうあるべきという、見本のようなアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Theatre Of TragedyAddenda EP」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジディーの2010年作
1993年に結成してから、北欧ゴシックメタルの先駆者として注目を浴び、
現Leaves' Eyesのリブ・クリスティンを擁して、耽美なサウンドで多くのファンを獲得、
リブ脱退後もヴォーカルを交代し6th、7thとクオリティの高い作品を聴かせてくれたが、
残念ながら2010年に解散の道をたどることとなった。本作はスタジオラスト作となった
「FOREVER IS THE WORLD」からのアウトテイクや別ミックス音源を中心とした企画アルバム。
正直、コアなファン向けのCDだろうが、アンニュイな翳りを含んだ女性ヴォーカルの歌声と
倦怠の叙情美、20年間ヨーロッパが描いてきたゴシックメタルの神髄がここにはある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性ヴォーカル度・・8 総合・・7.5
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THE 3RD AND THE MORTAL 「Tears Laid in Earth」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの1st。1994年作
女性Voのゴシックメタルがにぎわう昨今だが、世界でおそらく最初に
美声の
女性ヴォーカルの歌声を耽美でドゥーミーなサウンドに乗せたのがこのバンド。
北欧らしいうす暗く、もの悲しい雰囲気に、浮遊感のある美しい歌声が乗る。
2nd以降は、しだいにプログレッシブでモダンなアプローチに進化してゆくが、
この1stは女性声ゴシックドゥームの名作として語り継がれる作品だ。
メロディアス度・・7 ドゥーミィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The 3rd and the Mortal「Painting on Glass」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの2nd。1996作
1stTears Laid in Earth」は女性ヴォーカルをフロントにした最初のドゥーム・ゴシックメタルとして、
語り継がれる名作であるが、本作ではヴォーカルのKari嬢に代わりAnn-Marie Edvardsen嬢が加入。
サウンドはより妖しさを増し、沈み込むような暗さとともに、メタルというよりはむしろプログレ的な
アヴァンギャルドな感触を加えている。
アン嬢の魔女のようなスキャットも雰囲気たっぷりで、
とっつきは悪くなったが、聴き込むほどにこの知的な耽美さともいうべき芸術性には圧倒される。
暗黒度・・8 むしろプログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Third & The MortalIn This Room」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの3rd。1997年作
このバンドの1stTears Laid in Earth」は女性ヴォーカルをフロントにした
ドゥーミィなゴシックメタルのアルバムとして、パイオニア的な名作であった。
初期にヴォーカルをつとめたKari Rueslattenが脱退し、前作からAnn-Marie Edvardsen嬢が新加入。
それとともに、サウンドの方はメタリックな質感は薄まり、アンニュイな浮遊感とアヴァンギャルドな
プログレ的感触をまとっている。しっとりとした音像に薄暗い叙情は、今で言うとPAATOSあたりの
北欧プログレに通じるものがある。
Ann嬢のスキャット的な歌唱もなかな雰囲気があってよい。
ゴシックメタルとして聴くには厳しいが、むしろプログレ、シンフォ系のリスナーに楽しめる作品だ。
しっとり薄暗度・・8 むしろプログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Third & The Mortal「MEMOIRS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの4th。2001年作
このバンドの1stは今なお北欧ゴシックドゥームの名盤として語り継がれるが、
バンドはその後、しだいにモダンさとアヴァンギャルドな要素を取り入れて変化してゆく。
今作はシーケンサー風のデジタリィなシンセをバックに、
女性ヴォーカルが歌い上げるサウンドで
モダンな質感とともにメランコリックな寒々しさを残していて、そこがなかなか耳に心地よい。
メタル色を薄くしていったという点では、The Gatheringにも通じるような雰囲気もあり
独自の浮遊感がプログレ的なやわらかみをともなっている。ピアノやシンセの重ねによる
シンフォニックな美しさもよろしい。メタルとして聴かなければ充分楽しめる出来だ。
メロディアス度・・8 むしろプログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THROES OF DAWN「QUICKSILVER CLOUDS」
フィンランドのゴシックメタルバンド、スローズ・オブ・ダウンの4th。2004作
メロウなギターと全体を包むようなシンセによるメランコリックなサウンドで、
Voはデジタリィなエフェクトのかかったノーマル声がメインながら時々ブラック風のがなり声にもなる。
どこかけだるげな頽廃的な美しさが漂うところはENTWINEなどにも通じるが、
キラキラとしたキーボード、ピアノがロマンティックに響き、甘やかなダークさを感じさせる。
シンフォニックなシンセをバックにメロディアスな旋律を奏でるギタリストのセンスもなかなかのもの。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 頽廃の美度・・9 総合・・7.5
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TIAMATWildhoney
スウェーデンのゴシック(デス)メタルバンド、ティアマットの4th。1997作
デスメタルとしてスタートしたバンドだが、1992年の3rd「Clouds」からゴシック的な要素を取り入れ始め、
主要人物であるヨハン・エドランドの持つ内的な耽美性を全面開花させたのが本作ということになる。
全体的につながりのあるコンセプチュアルな作風で、大胆なシンセの導入によるサウンドの広がりも
これまで以上に感じられる。曲間をつなぐインストパートと、美しい女性コーラスなどもとても効果的で、
ゴシック的であると同時に、非常にプログレッシブで繊細な世界観を作り上げている。
メタリックな重厚さではなく、
独特の浮遊感のようなものが全体を支配しており、
そのあたりが気に入るかどうかが、このバンドの音を心地よく楽しむためのポイントとなる。
まるでPINK FLOYDを思わせるような、ゆったりとしたメロウなギターを聴かせるあたりも心憎い。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 浮遊度・・8 総合・・8
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TIAMATA Deeper Kind of Slumber
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの5th。1997作
前作でのプログレ的アプローチをさらに押し進め、もはやメタル的な要素すらも薄くなっている。
大幅なメンバーチェンジにより、ほぼヨハン・エドランドのソロバンドといった感があるが、
それだけに己の持つビジョンをそのままの形で作品にしてきたということだろう。
ここに来てデス声は完全に消滅し、鬱ぎみのマイルドなヴォーカルが、
まるで今で言う
UKロックのような聴きやすいエモ風の楽曲に歌を泳がせる。
デジタリィなアレンジも取り入れ、これはもうモダンなゴシックロックという形容がぴったりくる。
メタルリスナーからには退屈すぎて厳しいかもしれないが、この浮遊するような耽美なサウンドには
知性と狂気の静かなきらめきがあり、プログレやポストロックを聴く感覚であれば楽しめると思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 浮遊度・・9 総合・・7.5
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TIAMAT「Skeleton Skeletron」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの6th。1999作
前作A Deeper Kind of Slumberにおいて、浮遊感のあるモダンなアレンジで
独自のゴシックロックを完成させた彼らだが、次はどこへ向かうのかと再び浮遊を開始、
たゆたうようなメロウなサウンドには倦怠的な虚脱を匂わせながら、
女性コーラスやデジタリィなシンセアレンジ取り入れるなど、
グラムロック風のビート感覚が漂っている。一方ではダークなもの悲しさも残っており、
こうしてさまよったすえに、次作「Judas Christ」のダークさに行き着くことになる。
メロディアス度・・7 倦怠度・・8 浮遊度・・8 総合・・7.5
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TIAMAT「Judas Christ」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの7th。2002作
4th「Wildhoney」において、プログレッシブな浮遊感を内包した独自のゴシックメタルを完成させ
5th「A deeper kind of Slumber」ではさらにその路線を押し進めた彼らだが、
本作ではもの悲しくメランコリックなゴシックサウンドへとさらに深化をしている。
美しいシンセをバックに重厚なギターリフ、そして悲しみをたたえたノーマルヴォイスが
ダークで重々しくも、ときにマイルドで耳馴染みのよい空間を描き出している。
むしろHIMなどのフィンランド系ゴシックロック勢に接近したような音作りであるが、
ヨハン・エルンランドの内的志向の美学は、よりディープな黄昏の美学を感じさせる。
一方では、どこかブリティッシュロック的な牧歌性を感じる曲もあり、プログレ好きにも対応。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Todesbonden「Sleep Now, Quiet Forest」
アメリカのゴシックメタルバンドト、トデスボンデンの2008年作
AUTUMN TEARSやRAIN FELL WITHINにも参加していた
ラウリー嬢擁するバンド、
ジャケもなかなかいい感じだが、サウンドの方もしっとりとしたピアノとシンセ、
そして美声のソプラノヴォーカルで聴かせる質の高いゴシックメタルだ。
メロディにはアメリカのバンドとは思えぬような土着的な雰囲気もあり、
むしろフィンランドなどを思わせるメランコリックな叙情美がよい。
また、アコースティカルなトラッド色もなかなか本格的に取り入れていている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TO DIE FOR「JADED」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの3rd。2003作
どこかグラムロック風の雰囲気をまとわせて登場したこのバンドの1st「ALL ETERNITY」は、
フィンランドでは人気のHIM等に通じる、聴きやすいゴシックロックサウンドで
こういうマイルドなゴシック音楽もあったのかと、我々の耳目を驚かせてくれた。
この3rdでは、メタリックな質感をアップさせつつ、キーボードのアレンジにも磨きがかかり、
マイルドな声質の男Voがメロディアスに歌い上げるサウンドは非常に心地よい。
同郷のENTWINEに接近してきた感があるが、こちらはやはりどこかにグラム風の
お洒落な質感があるところがポイント。時折現れるピアノも美しい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 マイル度・・9 総合・・8
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To/Die/For「W」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの4th。2005作
倦怠のゴシックロックにグラム調の瀟洒な感触を取り入れたサウンドで、
先輩格のHIMとともに日本での知名度もずいぶん上がったこのバンド。
今作ではそのHIMのシンセ奏者が加入したこともあってか、サウンドの美しさ
そして哀愁度がぐっと高まっている。メロウなギターのフレースとともに、
美麗なシンセとマイルドなヴォーカルで聴かせる、メランコリックな楽曲は絶品だ。
ガツンとくるインパクトはないものの、完成度の点では前作同様の傑作だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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To/Die/For「Wounds Wide Open」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの5th。2006作
HIMENTWINEととに、フィンランドのゴシックロックシーンを代表するこのバンド、
本作はオリジナルのギタリストが復帰し、それとともにサウンドはよりヘヴィに、
そしてメランコリックな叙情が素晴らしい傑作となった。倦怠の哀愁を含んだメロディは
美しいシンセワークとともに、これまで以上にきらびやかに輝いており
マイルドなゴシックロックにシンフォニック性をともなった堂々たる音像である。
ギターによる巧みなフレーズが効果的に加わったことで、楽曲にはコントラストがつき、
ゴシックロックというもの以上に普遍的なメランコリック・ロックへと接近した感触である。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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To Die For「Samsara」
フィンランドのゴシックロック、トゥ・ダイ・フォーの2011年作

HIMとともにフィンランドのメランコリック・ゴシックロックの代表というべきこのバンド
本作は5年ぶりとなる6作目になる。サウンドの方は適度にヘヴィなギターリフと
うっすらとしたシンセワークで、キャッチーでありつつ哀愁を漂わせたサウンドは健在。
女性コーラスなどを含んだ美しさと、メランコリックな叙情はやはり絶品で、
これまで以上にシンフォニックな質感や、後半にはプログレッシブな風味も覗かせる。
メロウなギターフレーズも含めて、メロディの充実ぶりもさすがの力作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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TRAIL OF TEARS
「PROFOUNDEM ONIUM」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの2nd。2000作
このバンド、ゴシックといっても曲調はタイトで、ヘヴィなギターリフはほとんどメロデスに近いつくりです。
デス声と女性Voの組み合わせは類型的ですが、全体的にクオリティは高い方でしょう。
ただ残念なのは1stで歌っていたヘレナ嬢の歌唱がとても素晴らしかったため
彼女の脱退が非常に惜しまれます。今作で歌っている方も悪くはないんですが、
どちらかというと男性声がメインで、ときおり女性声が絡むという曲が多いため、
フィメール好きにはやや物足りないかも。サウンド的には重厚かつシンフォニックな感じでなかなかです。
ゴシックはのろくてぼんやりしていて苦手…という方にはちょうど良いバンドかもしれません。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo・・7 総合・・7.5
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TRAIL OF TEARS「A NEW DIMENSION OF MIGHT」
オランダのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの3rd。2002作
1st「DISCLOSURE IN RED」がかなりの傑作だったので、それ以降ずっと期待していたのだが、
2ndは少々小粒になって期待外れ、そしてこの3rdであるが・・・ううむ、やはり中途半端だなぁ。
もともと
「ゴシックとメロデスの中間」というサウンドだったのだが、
今回は疾走するシンフォニックブラックメタル的な音像も顔を覗かせている。
それはいいのだが、どうにも女性声の活躍が少ない。かといってメロデス/ブラックとしては
曲が面白くないし、ゴシックというにはやはり耽美度が少ない。
結果として「まあ悪くない」程度のシンフォブラック・ゴシックという印象なのだ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・6 女性Vo度・・6 総合・・7

TRAIL OF TEARS「FREE FALL INTO FEAR」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの4th。2005作
2nd以降、度重なるメンバーチェンジにより、ついにこの4作目では男性声のみのメロブラ風サウンドに移行している。
ヘヴィさとアグレッシブさが大幅にアップしていて、疾走するプラストビートに
暴虐ブラック声と新加入のGREEN CARNATIONのVoのノーマル声が絡み
色気なしの耽美ゴシック風味+ヘヴィブラックメタルという音圧重視の方向性。
1stからのファンにはもはや別バンドだが、これはこれでなかなかクオリティは高い。
疾走の中にもキーボードやピアノの美しさが光る。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ゴシック度・・6 総合・・7.5

TRAIL OF TEARSExistentia
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの5th。2007作
前作は初期のゴシック色を薄まったブラックメタル的なアグレッシブさの作品だったが、
今作ではメランコリックなギターワークとシンセを絡めた美しさが前に出てきており、
ゴシックとメロデスの中間というサウンドで聴かせてくれる。
デス声とノーマル声、そしてときおり女性ヴォーカルも加わって、
シンフォニックなシンセとともに重厚でありながら耽美な雰囲気を作り出している。
4分程度でまとめられた楽曲も、難解さを排した聴きやすさがあり好感がもてる。
重厚度・・8 ゴシック度・・7 メロデス度・・8 総合・・8
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Trail of Tears「Bloodstained Endurance」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの6th。2009作
ゴシックメタルの耽美さとデスメタルの激しさを併せたサウンドで、毎作、標準以上のクオリティの
作品を作っているこのバンド、本作では久しぶりに
女性ヴォーカルが正式加入し、
男女Voで聴かせる壮麗なサウンドとなっている。シンフォニックなシンセとツインギターによる重厚な楽曲に、
デスヴォイスとフィメールヴォイスが絡み、音の迫力は充分。女性声パートが増えたことが純粋に喜ばしい。
メロデスといってよいほどのヘヴィさと、クラシカルなシンセによる美麗さが合わさり、
声量豊かなキャサリン嬢の歌声が、ドラマティックに世界観を盛り上げてゆく。
激しくも美しい…これはバンドとしての最高傑作といってよい出来かもしれない。
重厚度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRISTANIA「WINDOW'S WEEDS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの1st。1998作
Theatre of Tragedyとともに北欧ゴシックメタルの代名詞というべきこのバンド。
2nd以降はモダンなアレンジやシンフォニックな壮麗さに磨きをかけてゆくのだが、
この1stのサウンドは、物悲しいピアノやヴァイオリンの音色を効果的に挿入した
素朴で薄暗い初期ゴシックメタルの王道スタイルである。うっすらとしたシンセのアレンジに、
デス声とソプラノヴォイスの掛け合いもよろしく、崇高なコーラスも含めて、同時期のバンドの中でも、
彼らは美しくもはかない独自の世界観を描き出せる雰囲気をもっていた。
壮麗さでは3rdだが、王道ゴシックとしてのの最高作を挙げるなら本作だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・6 総合・・8
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TRISTANIABeyond the Veil
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの2nd。1999作
男女ヴォーカルの北欧ゴシックメタルの元祖ともいうべきこのバンド、
傑作の1stに続くアルバムで、ジャケの裸のおねえさんが良い感じ。
サウンドは前作よりもややモダンな音作りになっていて、
シンセの使用方などが少し派手になっている。肝心の女性声は少し控えめで
全体的には男のデス声主体なのが個人的には惜しいが、もちろんクオリティは高い。
前作の土着的なイメージよりは、より一般的なゴシックメタルの基準にそった感じで、
女性コーラスとシンセの絡みなどで、上手く耽美な雰囲気をかもしだしている。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRISTANIA「WORLD OF GLASS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの3rd。2001年作
この3rdでは女性Voがメインとなって、美しいオペラティックな歌唱を聴かせてくれる。
バックの方もいっそうゴージャスさが増し、質のいいサウンドのせいかとても音が厚い。
さらに今回はTHERIONばりの混声コーラスが重厚な世界観を演出している。
曲の展開がやや一本調子になっている気はするが、クラシカルで
ゴージャスなゴシックサウンドとしては一級品といっていいだろう。
こうなったら次はもうデス声はとっぱらってもいいのでは?
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
◆メタル名盤特選入り
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TRISTANIA「Midwinter Tears」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、トリスタニアの1997年と1999年に出た
ミニアルバムのカップリングに、
以前ビデオで出ていた
ライブのDVDがついた変則的なアルバム。2005作
時期的には1stアルバム前後のものなので、サウンドはやはりゆったりして重厚という
王道的なゴシックメタルスタイルで、最近のモダンでシンフォニックな音とはやや異なる。
この頃は、曲のクオリティというよりは雰囲気ものとしてのゴシックサウンドを目指していたのだろう、
今でいうDRACONIANあたりのドゥーム系ゴシックに通じる部分があった。
デス声に絡む女性ソプラノもどこか神聖な宗教的な美しさを感じる。
DVDでのライブ映像とともに、
初期のTRISTANIAを知るには良いアイテムだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 ライブDVD・・8 総合・・7.5
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TRISTANIA「ASHES」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、トリスタニアの4th。2005作
前作ではシンフォニックな大仰路線だったが、今回は案外コンパクトにまとめてきた。
デジタリィな質感のあるリズムとシンセに、デス声とソプラノ声が歌を乗せる。
女性声の出番がやや少なくなった感もあり、モダンなアプローチで攻めてきたせいか、
情感や叙情は希薄で、全体的に醒めた雰囲気のサウンドになっている。
いや、これはこれで嫌いではないが、一聴した時のインパクトが弱いので
人によっては「ビミョー…」と感じてしまうかもしれない。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRISTANIAIllumination
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの5th。2007作
ノルウェー産としては、THEATRE of TRAGEDYとともにベテランに挙げられるこのバンド、
前作の出来がかなり微妙だったので心配まじりに聴くが、一聴したところ
ゴシック的な重厚さがいくぶん復活していてまずは一安心。
Vibeke嬢の歌唱は、今回は情感を抑え目にして淡々と歌っている印象が、
ときおり艶めいた色を聴かせるところなどはさすがに堂に入っている。
ただ、やはり初期に比べて神秘的な雰囲気が薄まり、モダンな質感が増しているので、
ゴシックメタルとしての音そのものの限界を露呈しかけている内容とも言えるかも知れない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TristaniaRubicon
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの2010年作
Theatre of Tragedyとともに北欧ゴシックメタルシーンの代表格ともいうべきこのバンド、
6作目となる本作では、Vibeke嬢が脱退し女性Voが替わっているが、サウンドの方は期待以上、
ここ数作の凡庸さを吹き飛ばすような、きらびやかに聴かせるシンフォゴシックだ。
新ヴォーカル、
Mariangela嬢のコケティッシュな美声を中心に、適度なモダンさと
キャッチーな聴き心地で、音にはこれまでにないメジャーな質感が備わった。
シンセによる美麗なアレンジも絶品で、クオリティ的にもLeaves' Eyesに迫る出来だと思うが、
男ヴォーカルメインの曲がいくつもあって、フィメールゴシック好きとしてはやや残念。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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TRISTITIA「ONE WITH DARKNESS」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、トリスティティアの1st。1995作
TRISTANIAと間違えそうなバンド名だが、こちらは男3人組みのドゥーム系ゴシック。
曲は素朴なアコースティックギターから始まり、
ゆったりとしたテンポにデス声…というよりはブラック声の歌声、
途中崇高な女性コーラスやチェロなど、クラシカルな要素もあり、
ギターのメロウなフレージングもなかなかいい味をかもし出している。
音質のチープさから、どこか安っぽく聴こえてしまうのが残念だが
雰囲気もののゴシック・ドゥームとしてはなかなか悪くない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 暗鬱度・・8 総合・・7

TRISTITIA「The Lost Grief
スウェーデンのゴシックドゥームメタルバンド、トリスティティアの3rd。2000作
バンドというよりはもはやDark Avenger氏の個人作品と言ったほうがいいのか。
サウンドの方も1stの頃よりもずいぶん聴きやすくなっていて、メロディにはトラッド的な色もあり、
ゆったりしていながらけっこう展開も多いので、ゴシックというよりはむしろプログレッシブな雰囲気がある。
暗すぎず重すぎず、それでいて
ヨーロピアンな重厚さと宗教的な色合いを随所に感じさせてくれ、
もの悲しいアコギやチェロなども上手くはまっている。ただのドゥーム系ではない。
7部構成になっているHなどは、全編インストながらシンフォブラック、ゴシック、ヴァイキングと
それぞれの雰囲気を調和させながら、メロウなギターを鳴らしシンフォニックに展開してゆく。
たった一人で作ったにしては決して自己満足作品で終わらせない密度があるアルバムだ。
メロディアス度・・8 重厚度・・7 プログレッシブマイン度・・8 総合・・7.5
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TYSTNADENSham of Perfection
イタリアのゴシック風メタルバンド、ティストナデンの2006作
キーボードに男女ヴォーカルを含む6人組みで、写真を見るとメンバーは皆まだ若そう。
赤い毛をした美少女的な風貌がある
ローラ嬢の歌声は、EVANESCENCEのエイミー嬢を彷彿とさせ
モダンな質感とクラシカルな風味が同居するサウンドは、
ゴシックメタルとヘヴィロックの中間の雰囲気。
メロデス要素も少しある。良く言えば現代のボーダーレス感に慣れた若いリスナー向けの音楽であるが、
個人的にはこのモダンさには、素直に女性Voゴシックメタルと言い切れないもどかしさも残る。
曲自体のインパクトやメロディの質が上がれば面白いバンドにはなるはず。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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UNSHINE「Enigma of Immortals」
フィンランドのゴシックメタルバンド、アンシャインの2nd。2008作
フィンランドのゴシックメタルというと、SILENTIUMくらいしかいなかった印象なのだが、
久しぶりに本格派のゴシックメタルが登場。3拍子系の楽曲に哀愁のメロディと女性ヴォーカルを乗せて、
メランコリックに聴かせるサウンドは、やわらかな優美さと、もの悲しい叙情に満ちていて、
とても耳馴染みがよい。女性ヴォーカルの歌唱もやや地味ながら、かえって素朴な雰囲気が好ましいし
シンフォニックなシンセワークもなかなかセンスが良い。今後に大いに期待できるバンドだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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UNSUN「The End of Life」
女性Voゴシックメタルバンド、アンサンの2008作
VADERのギタリストを中心としたバンドということで、けっこうヘヴィめのギターと
きらきらとシンセの入ったモダンなアレンジに、美声の
アヤ嬢の歌声が乗るサウンド。
ゴシックというよりは、EVANESCENCE以降のゴシック・ヘヴィロックの路線なので、
若いリスナーにも違和感なく聴けるのではないだろうか。曲自体は3〜4分台と短めなので、
やや物足りないと言えなくもないが、その分難解さもないので幅広い支持を受けそう。
メロディアス度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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UNSUNClinic for Dolls
ポーランド系フィメールメタルバンド、アンサンの2010年作
VADERの元ギタリスト、マウザーらよるバンドということで話題を呼んだ前作は
ごく普通のゴシック風ヘヴィロックという感じで、期待の割にはいまひとつだったのだが、
続く本作では、ヴォーカルの
アヤ嬢の歌声にさらに表現力が備わっていて、
それを活かす楽曲にもメランコリックな叙情が増している。もちろんモダンロックとしての
質感もあるが、それ以上にメロディのキャッチーさが上回っていて、非常に聴きやすい。
ゴシックメタルというよりは、もっと普遍的なフィメールメタルとして楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VANITAS「Das Leben ein Traum」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ヴァニタスの1st。2000作
初めて聴いたバンドだが、なかなかのメロディアスゴシックサウンド。
ゆったりとした曲調に、
ギターの奏でる旋律が非常にメロディアス
このあたりのメロディの煽情度は初期のCHALICEEVENSONGあたりを思わせる。
デス声によるドイツ語の歌唱がなかなか新鮮で、ときおりそこに絡む女性ソプラノも良い感じ。
キーボードのシンフォニックな音色にも、いかにもオーストリアらしい美意識を感じさせる。
また、メロディにときおりフォーキーな色合いが顔を出すのも魅力的。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・8
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VANITAS「Der Schatten einer Existenz」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ヴァニタスの2nd。2001作
前作もなかなか素晴らしい出来だったが、今作も
クラシカル&シンフォニックなゴシックサウンドが炸裂。
重厚なギターはときにメロウな泣きのフレーズを奏で、そこに絡むキーボードも、
ときにシンフォニックにときにもの悲しいクラシカルな香りを匂わせる。
メインとなるデス声Voと、対比となる女性ソプラノも美しく、そのマリア嬢は正式にバンドメンバーとなった。
ゲストにはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロも加わり、ときに荘厳にサウンドを盛り上げる。
マリア嬢の吹くフルートや、ときおり覗かせるヴァイキング風の雰囲気も良い。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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VelvetsealLend Me Your Wings」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、ベルベットシールの2009年作
シンフォニックなイントロから、曲が始まるとモダンなヘヴィさと壮麗なシンセ、
そして女性ヴォーカルの歌声で、WITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVERあたりに近い
正統派のゴシックメタルを聴かせてくれる。とくに美しいシンセワークは、EPICAあたりを思わせる
荘厳さもあって、サウンドに厚みを付けている。女性Vo、
Gabee嬢の歌唱はさほど個性的ではないが、
実力的にもまずまずで、全体的にもデビュー作としてはなかなか質の高いアルバムだと思う。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VIA MISTICA「Fallen Angel」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、ヴィア・ミスティカの2nd。2004作
のっけからブラストビートが始まって、これってシンフォニックブラック?と一瞬思うが、
女性ヴォーカルの歌唱にはポーランドらしい翳りがちゃんとあり、
美しいヴァイオリンと、シンフォニックなキーホード、ときおりメロデス風のリフになるギターに
男Voの咆哮が合わさって、なかなか聴き応えのあるダイナミックなサウンドになっている。
ポーランドのゴシック=ゆったりとした倦怠というイメージがあるが、
このバンドはそうしたほの暗い叙情とともに、楽曲のメリハリがあるので、聴いていて退屈しない。
ジャケはB級っぽいが、内容はバンドの今後に大いに期待を持てるだけのものがある。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 ダイナミック度・・8 総合・・7.5
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VIA MISTICA「Under My Eyelids」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、ヴィア・ミスティカの3rd。2006作
今作も薄暗い叙情たっぷりの女性声ゴシックメタルが楽しめる。
音質的にも演奏的にも、最近のモダンでカッチリと整ったバンドよりも
どことなくマイナーな感じが漂っているのが、またいい雰囲気になっていて、
AFTER FOREVERELISなどを少し辺境っぽくした感じといえばいいか。
ときおりプログレ的な変拍子を聴かせたり、楽曲の展開や盛り上げ方にも
かゆいところに手が届くような繊細さが感じられる。さほど派手さはないが
充分にシンフォニックだし、幻想的で美しさをもったゴシックメタルの好作といってよい。
幻想美度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VIRGIN BLACK「Elegant and Dying」
オーストラリアのゴシックドゥームメタルバンド、ヴァージン・ブラックの2nd。2007作
なにげに豪州はゴシック系バンドがけっこういるのだが、このバンドはシンセを中心に
クラシカルな美しさと暗黒の世界観で聴かせるELENDタイプのサウンド。
シンセによるオーケストレーションに、重厚なティンパニの音が響きわたり、
朗々とした男性ヴォーカルが歌を乗せる。ドラムとギターが加わるとドゥーミーな質感になるが、
メタル色はさほど強くないので、ゆるやかにピアノが鳴らされるこの静謐感に浸れるかどうかがミソ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・5 総合・・7.5
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VIRGIN BLACKRequiem-Mezzo Forte」
オーストラリアのゴシックドゥームメタルバンド、ヴァージン・ブラックの3rd。2007作
重々しいチェロの響きから始まり、荘厳なシンセをバックに
美しいソプラノヴォーカルがゆるやかに歌い上げる。
クラシカルでオペラティックな雰囲気をかもしだしつつ、男性声も加わって、
ドゥームメタル的なギターリフとともに重厚に繰り広げられてゆくサウンドは
メタルというよりは、むしろ暗黒のゴシックオペラともいうべき世界観だ。
詠唱を思わせる男女コーラスなども、宗教的なゴシックサウンドを描き出している。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・7.5
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VIRGIN BLACK「Requiem-Fortissimo」
オーストラリアのゴシックドゥームメタルバンド、ヴァージン・ブラックの4th。2008作
ゆったりとしたドゥーミィな曲調と、低いデス声が歌い上げるサウンドは、
前作以上に重厚な雰囲気で、よりメタル的な感触が増している。
ときおり絡む美しいソプラノヴォイスや詠唱のようなコーラスワークも効果的で、
暗黒の耽美世界を描き出している。Shape of Despairあたりが好きな方はどうぞ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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We Are The Fallen「Tear the World Down」
EVANESCENCEのメンバーらによる、ウィ・アー・ザ・フォールンの2010年作
メロウなギターフレーズと、うっすらとしたシンセワーク、そして
女性ヴォーカルの歌声、
バンド名のようにエヴァの1st「Falln」をそのままアップトゥデイトさせたようなサウンドだ。
Voの
キャリー嬢はエイミーに少し似た声質で、エヴァネの新作として聴いても違和感がない。
当時に比べてゴシックブームがやや下火となった現在においてあえてこれをやるというのは、
ややインパクト不足な感もあるが、質の高さは保証済み。Evaファンはとりあえず聴いて損はない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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WELTENBRAND「The End of the Wizard」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、ウェルテンブランドの2006年作
アルバムとしてはすでにこれが5作目になるらしい。ちっとも知らなかった。
ギターレスでシンセとヴァイオリン、男女ヴォーカルを中心にしたメタル要素の低いサウンド。
広がりのある美麗なシンセワークと、クラシカルなピアノ、ヴァイオリンの響きに
賛美歌のような女性コーラス。アンビエントなゴシックミュージックの趣もあり、
崇高にして神秘的な雰囲気はなかなか好みである。メタルとして聴かなければ○。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・3 総合・・7.5
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Where Angels Fall「Illuminate」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウェア・エンジェルス・フォールの2006作
モダンなヘヴィさとシンフォニックな優美さで聴かせるゴシックメタルサウンドで、
浮遊感のある
女性ヴォーカルの歌声とともに、ゆったりと耽美に聴かせる。
薄暗い世界観や音の雰囲気はなかなかいいのだが、肝心の女性Voの歌唱が
ややあやうい音程だったりして、いまひとつのめり込めないのが難点か。
荘厳で重厚な部分には魅力があるので、今後は楽曲ごとの完成度をあげていって欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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WHISPERING GALLERYShades of Sorrow
オランダのゴシックデスメタルバンド、ウィスパリング・ギャラリーの2006作
メロウなギターに美しいシンセが鳴り響き、そこにデス声が歌を載せる。
曲調はゆったりとしていてゴシックドゥーム風ながら、シンフォニックで
メランコリックな雰囲気をただよわせたサウンドは、耽美な空気に満ちている。
美しいピアノや朗々としたノーマルヴォイスなども効果的に使われ、暗いだけでなく
メロディアスな聴きやすさを有しているのが特徴だろう。6〜8分台と曲が長いので、
今後はサウンド面を含めての説得力を上げていって欲しい。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 ドゥーミー度・・7 総合・・7.5
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WINDS「Reflections」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの2002作
ARCUTURUSのGとDrが在籍する、雰囲気重視のゴシックメタルバンド。
美しいシンセとメロウなギターがゆったりと絡みつつ、ヴァイオリン、チェロの音色が物哀しく響きわたる、
クラシカルなゴシックサウンド。ドラムを叩くのは、かのHellhammerことJan Axel von Blomberg氏で
確かな実力のメンバーによる演奏は、ややもすると単調になりがちな楽曲に
しっかりとした説得力と世界観を付加している。劇的な盛り上がりはないものの
プログレッシブな知的さと、薄暗くも叙情的な雰囲気がなかなか耳に心地よい。
アルバムラストにはデビューミニアルバムの5曲を追加収録。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 ゆるやか度・・8 総合・・8
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Winds「The Imaginary Direction of Time」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの2nd。2004作
ARCUTURUSのGとDrが在籍するバンドで、前作同様のプログレッシブなゴシックメタルをやっている。
クラシカルなピアノとヴィオラの音色、マイルドな歌声とともに聴かせるサウンドは、
どこか優雅で知的な香りがただよい、薄暗い美を表現する手法はOPETHなどに通じるセンスがある。
ときおりネオクラシカル風のギターも挿入されたり、ピアノやストリングスによる静寂パートがあったりと、
前作以上に楽曲にメリハリがついていて、プログレ好きのメタルリスナーには嬉しいかぎり。
同郷のGreen CarnationやイタリアのNOVEMBREあたりが好きな方ならかなり楽しめるだろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Winds「Prominence and Demise」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの3rd。2007作
クラシカルな優雅さとアコースティカルでうす暗い叙情はそのままに、
今作ではよりプログレ風味なアレンジを効かせたサウンドとなっている。
ときに女性ヴォーカルを効果的にまじえたり、ヴァイオリンなどのストリングスも優雅に鳴り響きつつ、
芸術的な世界観を描き出している。楽曲作りにおいては“プログレッシブなブラック”の質感が出てきて、
むしろSolefaldあたりにも近い雰囲気となった。どちらにしても素晴らしい作品である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Witchbreed 「Heretic Rapture」
ポルトガルのゴシックデスメタル、ウィッチブリードの2009年作
女性Voを含む5人組で、ブルータルな要素を含んだゴシックデス的なサウンド。
ヘヴィなギターリフにうっすらとシンセを絡ませ、耽美さと激しさの同居した楽曲に
地獄の女神ヘカテーを思わせるような女性ヴォーカルの歌声が乗る。
ヘヴィであるがモダンなコア風味というよりは、スラッシーな感じなので、
女性Voとザクザクしたギターとの絡みがけっこうに新鮮にも感じられる。
ポルトガルというお国柄か、そこはかとなく漂う異国的な神秘性も魅力的だ。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「Enter」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの1997作
今でこそ世界的な人気を博しているこのバンドだが、デビュー当時は
同郷の大御所The Gatheringに続く2番手という雰囲気であった。
女性ヴォーカルの入ったゴシックメタルというものが珍しかった時代であるから、
個人的にも聴いてみて最初はあまりピンと来なかった記憶がある。
本作の段階ではまだ男性デス声との掛け合いで、オーソドックスなゴシックをやろうとしており、
個性という点ではいまひとつながら、逆に耽美なサウンドにおいては最も美しい作品かもしれない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「THE DANCE」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。1998作
大傑作となった2nd「MOTHER EARTH」発表前の作品で、1stのリミックス2曲に新曲(2nd未収録曲)が3曲
それにMP3やバンドのプロフィール入りのCD-ROMトラックを加えた内容。
この時点での新曲にはまだデス声が若干残っているが、やはりシャロン嬢の歌唱がメインとなりつつあって
全体として1stよりもシンフォ度がUPしている。こうして続く2ndへの下地が出来たのだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 シャロン嬢歌唱度・・8 買って損なし度・・8
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの2nd。1999作
1stではまだデス声入りのいくぶん垢抜けないサウンドであったのだが、
今作は全篇が美声のシャロン嬢の歌になりデス色は全面撤廃。これが大成功。
楽曲はしっとりと美しいケルト/フォーク色を増し、泣きのシンフォニック要素が満載になった。
これならメタル聴かないシンフォファンでも聴けます。美しく優しい歌声。曲もどれも素晴らしい。
全体的にはゴシック的ダークさは後退したが、癒しのシンフォニックという新たな地平を確立した。
3rd以降も良いが、本作は今なお女性声ゴシックの頂点に輝く1枚。新しいファンもまずはこれを聴くべし!
メロディアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・10 総合・・9 
◆メタル名盤特選入り
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WITHIN TEMPTATION「ICE QUEEN」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2001作
2nd「MOTHER EARTH」から「ICE QUEEN」のラジオエディットに、ライブ3曲、デモバージョン2曲の6曲入り。
ライブ演奏もナマのシャロン声が聴けてもちろん嬉しいのだが、デモバージョンも新鮮で、
少し力み気味のシャロン嬢の歌唱や、アルバムバージョンとは若干異なるアレンジや歌メロが楽しめる。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・6 シャロン嬢歌唱度・・9 買って損なし度・・9
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2002作
2nd「MOTHER EARTH」からタイトル曲のラジオエディット1曲、アルバム未収録曲1曲、ライブ2曲
「ICE QUEEN」のアコースティックバージョン、それにCD-ROMデータでビデオクリップが1曲。
アルバム未発表曲はピアノとシンセの美しいバラードでシャロン嬢の繊細な歌唱が楽しめる。
ICE QUEENのアコースティックverでは、何故か「きつめのおねえ声」で歌うシャロン嬢が新鮮。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・5 シャロン嬢歌唱度・・9 買って損なし度・・8

WITHIN TEMPTATION「OUR FAREWELL」
ウィズイン・テンプテーションのシングル。2002作
2nd「MOTHER EARTH」」からのバラード曲のシングル。アルバムバージョン、ラジオエディット、
アコースティックバージョンの3種類を収録。しかし、アコースティックverの美しいこと・・・うっとり。
私はこの美しくも切ないバラードが大好きなので買ったが、そうでない人にはあまり意味のないシングルかも。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・1 シャロン嬢歌唱度・・10 買って損なし度・・7

WITHIN TEMPTATION「RUNNING UP THAT HILL」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのシングル。2003作
大ヒットとなった「MOTHER EARTH」からどんな方向性になるのかなと思っていたところ
意外なところで攻めてきた。1曲のみのシングル曲はなんとKATE BUSHのカヴァー。
もちろん、いつも以上に情感を感じるシャロン嬢の歌唱といいバックの演奏といい、
しっかりと「自分たちの曲」にしてしまっているアレンジはさすが。
同曲のライブバージョンの他、「MOTHER EARTH」のオーケストラバージョン、
さらにはビデオクリップ、メイキング等の入ったDVDも付いていてプロモーション的にも見事な構成。
もはやこのバンドがゴシックメタルという範疇からは外れてゆくことを示唆しているが、
映像での客の盛り上がりを見るまでもなく、この路線が大当たりであることを物語っている。
意外な選曲度・・8 聴けば納得度・・9 ビデオクリップ・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「STAND MY GROUND」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2004作
3rd「THE SILENT FORCE」からの先行5曲入りミニアルバムで、CD裏面はDVDのDVDプラス仕様。
表題曲は、シンフォニックなイントロから始まるこなれたアレンジのコンパクトな佳曲。
いっそうの歌唱の表現力を増した、シャロン嬢の歌声が耳に響く絶品のバラード曲や、アルバム未収録曲、
デモバージョンなどを収録。DVDサイドの方は、タイトル曲のビデオクリップ、メイキングにツアー映像を収録。
PVでのドレス姿のシャロン嬢は、匂い立つような清艶さで、雨の中でのシーンではまさに水もしたたるイイ女。
メジャーになっても音にはこれまで通り、ヨーロピアンな叙情が垣間見えるのが嬉しい。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「THE SILENT FORCE」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの3rd。2004作
先行シングルは聴いていたので、本アルバムの完成度には疑問の余地がなかったが、
やはり期待通りの素晴らしさ!いっそうの歌唱の魅力を身に付けたシャロン嬢の歌声にやられます。
サウンドはよりシンフォニックに音の厚みが増しており、人気バンドとしての風格ただよう
しっかりとしたプロダクションも見事。またなによりこのバンドの魅力であるメロディも充実していて、
曲ごとの盛り上げ方、アレンジの質は、その辺の似た者ゴシックバンドとはやはり格が違う。
バックの大仰なコーラス、オーケストラが音の荘厳さと説得力を付加しているが
大前提となるのはシャロン嬢のヴォーカリストとしてのこの力量あってのもの。
しっとりとして美しく、ときに妖艶に、ときに清艶に聴かせるその声の魅力は
5年の歳月を経てさらにワンランクアップしている。女性Voファン、ゴシックファンは全員聴くべし。
2005年もしばらくは
シャロン嬢LOVE…状態が続くこと必至のシンフォゴシックの傑作。
日本盤には、この新作からのライブが5曲+ビデオクリップ入りのDVDが付属。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・8 シャロン嬢・・10 総合・・9
◆メタル名盤特選入り
Amazon.co.jp で購入    DVD付き日本盤はこちら

WITHIN TEMPTATION「MEMORIES」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2005作
通常版もあったがDVDプラス(CD/DVD両面)仕様を購入。
3rd「THE SILENT FORCE」からのシングルカット曲に、未発表デモ、ライブ音源等の全5曲に加え
2004年フランスでのライブ映像2曲入り。あくまでファンのためのアイテムだと思うが、
1曲でも多くこのバンドの音が聴きたいという方はやはり買ってしまうだろう(笑)
ライブ映像の方はカット割りがややプロモ風な作りなので臨場感はあまりない。
シンフォニック度・・8 ライブ映像・・7 未発デモもなかなか度・・8 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「ANGELS」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。
3rd「THE SILENT FORCE」からのシングルカットに、未発表曲、それとライブ音源3曲を加えた5曲入り。
タイトル曲は、しっとりとしたメロディが美しく、ライブ映えもする佳曲。
ライブ音源では、とくに2ndの曲である「THE PROMISE」のシンフォニックな演奏が素晴らしい。
DVD PLUSエディションではタイトル曲のビデオクリップにライブ映像も見られる。
バンドの最新のライブ映像が見られるのはファンには嬉しいかぎりだし、
ドレス姿のシャロン嬢のステージパフォーマンスも堂に入ったもので、
素晴らしい歌唱はもちろん、その怪しげな手の動き(踊り?)もなんだか素敵…(笑)
シンフォニック度・・8 ファンなら買い度・・9 ライブ見たいです度・・10 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「The Heart of Everything」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの4th。2007作
今や世界的な人気を得るまでになった彼らが、満を持して発表した4作目。
のっけから、まるでEVANESCENCEを思わせるエッジの効いた楽曲で幕を開け、
ついに彼らもメジャーシーンを視野にモダン化したか?…と複雑な思いにとらわれる。
続く2曲めでの、ラップ風の男性コーラスでますますその感じは強まるが、
いっそうの表現力をまとった
シャロン嬢の歌唱はやはり素晴らしく、
メジャー感を増した楽曲の中でもその美声は美しく光り輝いている。
ゴシックメタルの女王としての威厳を見せつけるような4曲めには従来のファンも膝を叩くだろうし、
荘厳なオーケストラアレンジも効果的にバンドの生命線であるヨーロピアンな美を演出している。
作品としての輪郭をカッチリと定めてきたことで、また新たなファンを取り込むだろう充実作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 シャロン嬢の歌唱度・・10 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「What Have You Done」
ウィズイン・テンプテーションのシングル。2007作
「The Heart of Everything」収録のタイトル曲のシングル、アルバムバージョンに、
未発曲1、ライブ音源2曲を収録。正直このタイトル曲はEVANESCENCEあたりを思わせる
モダンな雰囲気であまり好みではないのだが、アレンジの質は高く隙がない売れセンだ。
未発曲もさしてインパクトはないそこそこの佳曲。ライブ音源はさすがの歌唱にうっとりだ。
シンフォニック度・・8 ファンなら買い度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「Black Symphony」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのライブ作。2008作/2CD+DVD
今やNightwishと並び世界的な人気バンドとなった感のある、歌姫シャロン嬢擁するこのバンド、
これはオランダ、ロッテメルダムでのオーケストラとの共演を収録した壮麗なライブアルバムだ。
荘厳なコーラス、そしてクラシカルなオーケストラの響きとともに、歌姫シャロンの歌唱が始まると
その瞬間に空気は一変する。本当に素晴らしい。これが世界観を持ったヴォーカリストの歌声なのだ。
アルバムの楽曲が、さらにアルバム以上に生々しく、美しく、壮大に聴けるなどという作品はそうはない。
やはり「The Heart of Everything」からの曲より、「Mother Earth」や「The Silent Force」の曲の方が好み。
とくに“Stand My Ground”などはオーケストラの効果で、楽曲の美しさが倍増しているし、
Disc2の“Mother Earth”、“Deciver of Fools”、“Ice Queen”といったあたりは感動的だ。
DVDには全22曲を完全収録に加え、インタビュー、ドキュメンタリー等の特典映像もたっぷり。
シンフォニック度・・9 ライブサウンド・・9 シャロン嬢・・9 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「An Acoustic Night at the Theatre」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのアコーステイックライブアルバム。2009作
今や世界的な成功を収め、絶大な人気を誇るこのバンドだが、今作はシンプルなアコーステイック編成での
ライブを収録した作品となっている。しっとりとしたピアノで聴かせる“Stand My Ground”などは、
しっとりとしたもの悲しい叙情が楽曲の新たな魅力を生み出していて、なかなかいい。
艶やかなストリングスの美しい“Caged”、それに“Frozen”、“Memories”あたりは個人的にも好きな曲だ。
また、キャッチーな新曲の“Utopia”や日本盤ボーナスとして1stからの“Restless”が聴けるのも嬉しい。
メタリックな要素を取り払い、シャロン嬢の歌唱をひき立てるアレンジで優雅な気分で鑑賞できる一方、
ゴシックというよりは綺麗に作られたメジャーバンドの雰囲気というか、その点でのもの足りなさは残る。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・5 しっとり優雅度・・8 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「The Unforgiving」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの2011年作
1997年にアルバムデビューを果たし、2nd「Mother Earth」、3rd「The Silent Force」と、
美麗なるシンフォニック・ゴシックメタルでファンを魅了してきたこのバンド、
続く4th「The Heart of Everything」では、よりモダンな要素を打ち出してきたことで、
新たなファン層を獲得、いよいよ世界的バンドへと躍り出たといっていいだろう。
本作はジャケに見られる通り、コミックと連動させたというコンセプト作で、限定盤のDVDには
そのストーリーにそったショートフィルムを収録するなど、新たな試みのされた力作である。
シャロン・デン・アデルの美しい歌声を中心に、モダンかつシンフォニック、そしてキャッチーな聴き心地で、
そのサウンドにはもはやゴシックのゴの字もない、
シンフォニック・ハードポップというべき音である。
この堂々たるメジャー感触はメタルではなく、一般のヒットチャートを狙ったというべきものだろうが、
クオリティの高さは他の追随を許さず、女性ヴォーカルロック好きには普通に楽しめる作品だとは思う。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・3 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
オランダの人気ゴシックメタルバンド、ウィズインテンプテーションのDVD。
彼らの2nd「MOTHER EARTH」からのビデオクリップとライブ映像4曲、バックステージ映像による構成。
ビデオクリップは森と湖の中を
純白のドレスをまとったVoのシャロン嬢が舞うイメージ通りの美しいもので、
はじめからDVDを意識したデジタルなエフェクトもありなかなかの出来。
優美なシャロン嬢とメタリックな衣装の他のメンバーのギャップが面白い。
ライブ映像の方はさほど金をかけた様子がなく、カメラワーク的にも面白みに欠けるもので、
いかにもボーナス映像的な印象。ドレス姿で飛び跳ねたりヘドバンしたりするシャロン嬢がとても楽しそう。
バックステージ映像では、ツアー中のバス内でメンバーたちが談笑する様子やインタビューなど。
ステージメイクを落としたシャロン嬢もやっぱり可愛いのであった。
ビデオクリップ・・8 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7


WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH TOUR」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのDVD。DVD2枚+ライブCDという3枚組。
1枚目は、2ndアルバム「MOTHER EARTH」ツアーのライブ映像とビデオクリップが3本。
やはり素晴らしいのはVoシャロン嬢の歌唱で、1stの頃はそれほどとは思わなかったのだが、
ここにきて彼女の歌の表現力は聴くものを惹きつけずにおけぬほど高まっている。
アルバム「MOTHER EARTH」」は1stにあったデス声を排除しそれが大成功したわけだが、
このライブ演奏を見て、このバンドとシャロン嬢の成長を改めて強く感じることができる。
見ていて思わず涙腺がうるむほど、
情感の込められたその歌唱にゴシックメタルの未来を見る。
やはりこのジャンルで重要なのは肝心の女性Vo。その歌唱の説得力なのだ。
1st「ENTER」からのデス声入りナンバーもアルバムよりもずっと格好良い。
もちろん他のメンバーの演奏のまとまりも見事で、女性声を生かすアレンジの素晴らしさが再認識できる。
2枚目はメンバーのインタビューや地元でのテレビ番組出演の映像(ICE QUEENのアコースティックverが素敵)
各地を回るライブツアーでのバックステージ映像、合唱隊を加えたライブ映像等々、見どころたっぷりの内容。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シャロン嬢・・10 総合・・9
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WITHIN TEMPTATION「THE SILENT FORCE TOUR」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのライブDVD。
地元オランダ、ジャワ島でのライブ映像を中心に、
DVD2枚+CDという豪華仕様。
海にほど近い特設ステージには満員の観客。ステージから右手には豪華客船が見える。
“DECEIVER SOULS”のイントロが始まり、黒いドレス姿のシャロン嬢登場。
いっそうの妖艶さをまとったそのお姿と、堂々たる歌唱には、もうすぐにうっとり。
その後は3rd「THE SILENT FORCE」からの楽曲をメインに、安定した演奏で聴かせる。
何度も衣装替えをして、
胸元くっきりのドレス姿を見せてくれるシャロン嬢は、
“CAGED”では自らが檻の中に入って空中高く持ち上げられたりと、仕掛けもいろいろ。
ゲストにヴァイオリンやデス声ヴォーカリスト(ORPHNAGEかな?)が現れたり、
1stからの曲“CANDLES”では、当時のメンバーがドラムを叩いたりと見どころも多い。
盛大に紙吹雪が舞う中、白いドレス姿のシャロン嬢の歌う“Ice Queen”には、
つい画面の前で頭を揺らしてしまう。DVD2にはバックステージ、メイキング、インタビュー等を収録。
ようやく出た日本盤にはCDは付いていませんのでご注意を。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 シャロン嬢・・10 総合・・8.5
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WITHOUT FACE「ASTRONOMICON」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、ウィズアウト・フェイスの2nd。2002作
シンフォニックなキーボードに
男女ヴォーカルのゴシックメタルで、
ゴシックにしてはけっこう激しめのツーバスも入っていたりと、起伏に富んだ展開もある。
デス声との対比のソプラノがとても美しく、ときにクラシカルなピアノがしっとりと響きます。
ハンガリーといえば素晴らしき男女VoゴシックのEVENSONGなのだが、
このアルバムもそれに引けをとらないだけのクオリティがある。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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WOLVERINE「COLD LIGHT OF MONDAY」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ウルヴェリンの3rd。2004作
以前はデスメタルバンドだったようだが、このアルバムではメランコリックなゴシックメタルをやっている。
虐待される少女をテーマにしているアルバムだけあって、サウンドは全編ダークで、
メロウなギターフレーズにもの悲しいノーマルヴォイスのゆったりとしたゴシックロック。
冷たい静けさを感じるところはやはり北欧的で、OPETHやPAIN OF SALVATIONの静寂パートを思わせる。
全体としてやや長尺感があり、緊張感にかける点で完成度としてはやや散漫な印象。
ゆっくりした曲でも飽きない方や、ポストロックなどのコンセプト作が好きな方などは聴いて損はない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7


Worm Ouroboros
アメリカのドゥーム(ゴシック)メタルバンド、ワーム・ウロボロスの2010作
女性Vo/G、女性B、Drというトリオ編成で、静謐感のあるドゥーム・ゴシックロックをやっている。
曲は7〜11分という長いものが中心で、美しい女性ヴォーカルのしっとりとした叙情と、
ときにフルートなども入ったプログレッシブな雰囲気もあるサウンド。ゆったりとした浮遊感と、
沈み込むような薄暗さが同居していて、ぱっと聴きの派手さはないが、耳心地のよいアナログな質感が
なかなかいい。女性コーラスの幻想的な響きに英国フォークのようなけだるい情緒も垣間見せて
ヘヴィなパートとのコントラストになっている。メタル度は低いのでプログレリスナーにも勧められる。
ゆったり叙情度・・9 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Worm OuroborosCome the Thaw
アメリカのドゥーム(ゴシック)メタルバンド、ワーム・ウロボロスの2012年作
女性Vo&G、女性B&Key、Drというトリオ編成で、ゆったりと聴かせるドゥーミィなサウンド。
メタル的なヘヴィさはあまりなく、クリーントーンをメインにしたギターとうっすらとしたシンセに
たゆたうような
女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとした薄暗い世界観を描き出してゆく。
7〜10分と曲は長めで、淡い夢の中をまどろむような繊細な情緒と静寂感に包まれていて、
派手な展開というものはなく、メタルというよりも耽美なドゥームロックとして鑑賞する作品だろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 ゆったり情緒度・・9 総合・・7.5
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XYZ

XANDRIA「KILL THE SUN」
ドイツの女性Voゴシックメタルバンド、キサンドリアの1st。2003作
2nd「RAVENHEART」はあの萌えジャケ(笑)のおかげで、話題になったが、この1stも基本は同じ。
赤毛のリサ嬢のしっとりVoをメインに、モダンな感じの聴き易いゴシックメタルをやっている。
メロディのキャッチーさ、吹っ切れの良さは2ndには譲るものの、
WITHIN TEMPTATIONあたりの女性声ゴシック好きなら気に入るサウンドだと思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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XANDRIA「RAVENHEART」
ドイツの女性Voゴシックメタルバンド、キサンドリアの2nd。2004年作
とにかくまずこのジャケだけで、女性声ゴシックメタル好きは胸キュンもの、そして即買必至。
…いや、もちろん内容だって、なかなかです(笑)サウンドはいかにも王道のゴシックメタルで、
WITHIN TEMPTATIONEVANESCENCEが好きなら問題なくお薦め。
曲はだいたい3分〜5分とコンパクトですが、メタリックなギターにシンセがからみ、
ときにシンフォニックに聴かせます。そしてそこにリサ嬢の歌唱が乗ると…もううっとり。
これで楽曲にアレンジの幅ができてきたら、もう完璧でしょう。
ボーナスで入っているビデオクリップも、中世っぽい作りでなかなかグッド。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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XANDRIA「INDIA」
ドイツの女性Voゴシックメタルバンド、キサンドリアの3rd。2005年作
前作がなかなかの出来であったが、本作も美声の
リサ嬢の歌声を中心に、シンフォニックなキーボードで
美麗に聴かせるWITHIN TEMPTATIONを思わせるサウンドで、この手のファンには美味しいだろう。
楽曲によっては
“いかにもウィズイン”といった雰囲気もあり、シンフォニック度はUPしているが、
反面、前作にあった軽快な分かりやすさが減り、バンドとしての魅力が曖昧になってしまっている気がする。
美しくシンフォニックなゴシックメタルだが、どこかもの足りない。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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XANDRIASalome
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの4th。2007作
2ndの「Ravenheart」が良かったどけに、続く日本デビュー作の3rdはいまひとつな感じがした。
今回は2nd以来の萌えジャケと「サロメ」というぐっとくるタイトルもあって期待して聴いてみた。
やはり
リサ嬢の歌声を中心とした、あまり暗さのない聴きやすいゴシックメタルで
ELISを少し明るくした感じともいえる。なので悪くはないのだが、やはり物足りない。
どの曲も曲調が似ていて、これだというインパクトにも欠けるので、
基本となる楽曲の魅力向上をもっと心がけて欲しい。まあ前作よりは良いかな。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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XANDRIANeverworld's End
ドイツのゴシックメタル、キサンドリアの2012年作
2003年にデビューしてから、シンフォニックな女性Voゴシックメタルサウンドで人気を呼び、
すでに中堅というべきこのバンド、5作目となる本作ではヴォーカルが交代している。
新Vo、
マヌエラ嬢の歌声は元Nightwishのターヤを思わせるオペラティックなソプラノで、
シンセによる壮麗なオーケストレーションとともに美しく楽曲を彩っている。
ゴシックメタル的な耽美さよりもシンフォニックな美麗さが前に出ており、
Nightwishタイプの高品質作品というべき内容である。ラストの9分の大曲も素晴らしい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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VA/The Realm of NAPARM RECORDS
ナパームレコードのオムニバスCD+DVD。2006作
参加バンドは、ATROCITY、BATTLELORE、BESEECH、DARKWELL、ELIS、KORPIKLAANI
LACRIMAS PROFUNDERE、LEAVES' EYES、TYR、VISIONS OF ATLANTIS他
CDの方は聴いたものも多いのでどうということはないが、見どころはやはりDVD。
PVで印象に残ったのは、BATTLELOREのロード・オブ・ザ・リング並のコテコテのファンタジーさや、
今は亡きサビーネ嬢の動くお姿が見られるELIS、それにやはりリブ萌えLEAVES' EYESですな。
イマイチなところでは、KORPIKLAANIは曲もPVも質が落ちている気がするし、
LACRIMAS PROFUNDERE
まるでHIMみたいになっていて驚いたり。
ライブ映像だと、MIDNATTSOLのVoさんのあまりのリズム感のなさには愕然としたし(笑)
エレクトロ・古楽メタルという感じのSALTATIO MORTISのステージがなかなかユニークだった。
まあ、良くも悪くもマニア向けという感じですので、サンプラーとして聴く分にはよいかと。
参加バン度・・8 DVDは見所度・・8 ゴシック系が好きならどうぞ度・・8 総合・・7.5
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