踊る龍宮城に追悼ショーは似合わない
昨夜の紅白で和田アキ子が森光子と中村勘三郎を歌で追悼したことが話題を呼んでいる。2人はかつて紅白司会者として活躍され同番組にゆかりが深く、和田と交友関係にあったという。その年に死去された有名人を歌で追悼するという趣向はいつ頃から始まったか知らないが、過剰な演出で追悼ショーをするのは感心しない。ネットで感動したという声も聞くが、はたして敬虔な心からであろうか。数分後には場面は変わりオリンピックのヒーローたちが登場し、また別の感動を呼び起こすのである。視聴者は映像の送り手側からの作られた感動を共感するという不自然きわまりないものである。故人と一度も面識のない一般視聴者が心から涙するものであろうか。中村勘三郎はまだ早すぎた死去であるが、森光子は天寿を全うしたといえる死ではないだろうか。また歌番組紅白で追悼するなら、伊藤エミ(ザ・ピーナッツ)、桜井センリ(クーレージー・キャッツ)、芦野宏、尾崎紀世彦など何度も紅白でステージを飾った歌手が亡くなっているではないか。追悼ショーは数年前に堀内孝雄が河島英五の映像と一緒に歌ったのが好評だったからだろうか。これが続くなら毎年誰か亡くなるし追悼ショーが見世物的になるだろう。ある審査員は紅白を「龍宮城」と言っていた。歌や踊りで現世の死など忘れる夢のステージである。演出過剰でてんこ盛りにするのは興ざめである。
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