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【プロ野球】

一丸JAPANで3連覇 日本代表山本監督インタビュー

2013年1月1日 紙面から

WBC3連覇に向けて意気込みを語る、野球日本代表の山本監督=東京都千代田区の東京会館で(潟沼義樹撮影)

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 いざ、3連覇へ−。3月開幕のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する日本代表の山本浩二監督(66)が本紙の独占インタビューに応じ、V3への思いを激白した。星野JAPANの守備走塁コーチとして臨み、4位惨敗に終わった2008年北京五輪の反省を踏まえ「一丸JAPAN」で偉業に挑戦すると表明。場合によっては主砲・阿部(巨人)にもバントを命じて1点にこだわっていく考えや、大島(中日)にはラッキーボーイとして期待していると明かした。 (聞き手・臼杵秀之)

 −いよいよ勝負の2013年が始まります。期待も不安もあるでしょうね

 「監督要請を受けてから、まず日にちが経つのが早い。本番が近づいてくれば、もっともっと重圧はかかってくるやろう。開幕が近づくにつれて徐々に不安の方が大きくなってくる」

 −本番のシミュレーションは進んでいますか

 「一日オフの時でも頭の中にはWBCのことが常にある。今、34人の代表候補がいて、6人のふるい落としがある。これが一番ツラい。ベンチ入りメンバーの中で、捕手を除けば控えが4人ぐらいしかいない。だから力のある選手でも出番がない選手が出てくる。ギリギリまで迷うやろうね」

 −WBCでは日本が2連覇中。今回は3連覇がかかります

 「前回、前々回のビデオを見てても、テレビの前で一喜一憂してしまう。ベンチはもっと緊張感、プレッシャーがあるけど、チームが一つになっているんだよね。それが一番大事なこと。北京ではそれができなかった」

 −国際大会で勝つために必要なことは?

 「ものすごい緊迫感の中で、1点を取るためにどうするか。早いイニングでのバントであったり、思い切った走塁であったり。得点圏に走者を置くことが一番のカギになる」

 −場合によっては中軸にもバントを命じる

 「それは4番の阿部だって可能性あるんじゃない。例えば無死一、二塁よりも1死二、三塁の方が得点の確率高いわけだから。1番から9番まで全員に意識を持ってもらう」

 −メジャーリーガーは全員辞退しました

 「メジャーにいる選手はもちろん力がある。でも辞退になった時点で前向きに考えないといけない。メジャーの選手がくれば当然遠慮も出てくるが純国産なら気持ちが一つになる確率は高くなる。一つになるのが早くなるというふうにプラスに考えないといけない」

 −主将の阿部を支えるベテランも選出した

 「稲葉にしても井端にしても、戦力としては当然として、もう一つの仕事は慎之助をフォローすること。この2人はそれだけの人望もあるし、慎之助も信頼しているからね。監督の思いをベテランを通じて共有してもらうというのが一番」

 −前回は参加ゼロだった中日勢も5人が選ばれました

 「大島は足と守備がいい。キューバ戦では結果が出なかったけど、安打数も打率もリーグで3位でしょ。国際経験が少ないといっても、誰もが初めての時はあるんやから。彼みたいな選手がラッキーボーイになってくれればね。浅尾は力的に見ても、十分クローザーも行けるというのがワシの評価。抑えは固定するんじゃなくて何人かで、という感じかな」

 −「チームが一つになれなかった」という北京五輪では、山本監督は守備走塁コーチだった。その時の反省を踏まえてというのは、何かありますか?

 「北京の時は予選を良い形で通過した。その盛り上がりはすごかった。でも次の年の本番はそうではなかった。球宴明けの8月に招集をかけたんだけど、選手というのはオールスター休みになるとフッと気が抜ける。その状態で代表練習に入って、北京に行くまで一週間もなかった。不安材料はすごくあって、それがああいう結果につながった。これは反省材料。今回は一週間キャンプをやって練習試合も6試合ある。その中で徐々に盛り上げていければ。良い時と悪い時を両方経験してるから、チームが良いムードで一つになるためにどうするかっていうのがワシの仕事」

 −そのためには

 「同じように短い時間の中で、準備が必要になってくる。準備が何かというとコミュニケーション。2月15日の合宿初日から、さあやろうぜという気持ちに持っていく。選手は山本浩二は球界の先輩で、そこそこの成績を残した人だというふうにしか思っていない。だからこちらから選手の気持ちの中に入って、ヤマモトコージという人間を少しでも分かってもらうことからやね」

 −北京五輪後は首脳陣へのバッシングもありました

 「あんまり負けた時のことはええやろう(笑)。あの時の悔しさはいまだにあるし、怖さも当然ある。日の丸のユニホームも残してあるしね。でも、それを考えてたら受けてない。受けた以上、精いっぱいやる。やり返すという気持ちじゃなく、良い教訓にしてね。(一緒に戦った)星野や田淵からも『思い切ってやれ』って激励の言葉をいただいた。結果は神様だけが知ってるよ」

 −プレッシャーも大きいと思います

 「ファンも周りも3連覇して当然と思っている。でもそんなに甘いもんじゃない。(就任要請を)受けた時は本当はこないでくれと思ったぐらいやから。でも現役の監督が難しいとなって、1番目に選ばれたわけだから。光栄だし、ありがたいこと。厳しいのは当然承知の上」

 −ずばり、V3を果たす自信は?

 「自信なんてない! だから1試合1試合やっていく。まずはアメリカへ行こう! というのを言い聞かせてね。一戦必勝という気持ちで戦っていくしかない。3連覇はものすごく厳しいことや。3連覇しますとは言わない。向かっていくしかない。でもできないことはないわけやから。2020年東京五輪の招致もある。日本で五輪があるなら野球が競技に復活する可能性は当然ある。そうなってほしいし、そういう機運が盛り上がるWBCにしたいよな」

 

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