テーパリット・ゴーキャットジムを破り、トレーナーに抱き上げられる河野公平=東京・大田区総合体育館で
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◇WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
奇跡が起きた。絶対王者のテーパリットから3度のダウンを奪って、河野が王座奪取。会場は総立ちとなり、大歓声と河野コールで揺れた。
過去3人の日本人挑戦者を手玉にとってきた王者は、ジャブを主体にワンツーから上下にパンチを繰り出す余裕の戦いぶり。パンチは重く、強い。河野は1回を終えて「これが12ラウンド続いたらやばい。普通にやっては勝てない」と思った。そこで、後半勝負の作戦を急きょ変更。相手と打ち合う“玉砕”戦法に出た。そして4回、まずは左フックで最初のダウンを奪い、「ここで倒さないと俺は終わりだ」と2度目は右フック。さらにラッシュしてチャンスをものにした。
「奇跡ですね。ほとんどの人が負けると思っていたでしょう」と興奮気味。デビュー以来、自宅リビングにサンドバッグをつるすなど全面的に協力してくれた父・豊蔵さんと母・久子さんに恩返しができた。
引退覚悟の背水の陣で挑んだ3度目の世界戦で悲願達成。WBCの王者は日本タイトルを争った佐藤洋太。統一戦は実現するのか。 (山崎照朝)
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