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【格闘技】

佐藤洋太 3−0判定でV2

2013年1月1日 紙面から

判定で王座を防衛した佐藤洋太は、ガッツポーズ=東京・大田区総合体育館で(福永忠敬撮影)

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◇WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ

 もはや絶対王者の貫禄だ。WBC王者の佐藤洋太(28)が、対戦前に舌戦を繰り広げてきた赤穂亮(26)をねじ伏せ、大差の判定勝ち。V2に成功した。同じ会場で河野公平(32)がWBA世界同級王座を獲得、2013年はこの両者による統一戦の実現が大きな焦点になってきた。また、大阪では井岡一翔(23)が日本人最短となるプロ11戦目での2階級制覇を達成。宮崎亮(24)はWBA世界ミニマム級王座に就いた。史上初の5大世界戦は、一夜にして3人の新しい世界王者を生んだ。

 しゃべり出したら止まらない。試合後、佐藤節がさえわたった。

 「遊んでる感覚。12ラウンドになって、エッ、もう終わり? 終わるのもったいないなって思った。もうちょっといろいろやりたかった。やりながら、赤穂っていい男だなと思った。すごいパンチ。もっと赤穂君のいいところを引き出したかった」

 赤穂のことを褒めてはいるのだが、陣営が聞いたら歯ぎしりをしたくなりそうな憎らしい発言がポンポン。リング上では序盤、左ジャブを多用し、赤穂の豪腕を封じた。終盤ロープを背にしたりコーナーに追い込まれたりと、ヒヤリとさせる場面もあったが、それは計算ずみだった。

 「コーナーは安全地帯。楽しい。もっといたいと思った。すごいスリル。決めに来ると、パンチが大振りになる。頭を下げてフックをかわし、アッパーは上体をそらしてよければいい。周囲がハラハラするし、おいしいんです」

 最終12回が始まる前は、セコンドの新井史朗トレーナーに「遊んでいいですか?」と提案した。新井トレーナーは「残り30秒だけ」と許可したが、実は最後まで「残り30秒」を教えなかった。万が一を怖れたからだ。だが、ロープ際のペテン師・洋太は慌てなかった。本人には最後まで余裕があった。

 これで1引き分けをはさんで21連勝。記者は以前「負けたら引退する」と漏らした佐藤に「引退したら何するの?」と聞いたことがある。てっきり、ジムを開きたいとか、何か商売でもしたいというお決まりの答えが返ってくると思っていたら、佐藤は少年のように目をキラキラさせながら真顔でこう言った。

 「思いっきり、スケボーやりたい。最近、高いところから飛んでないですから。プロボクサーになってから、危ない技をやってない。捨て身になったらどうなるのか、試してみたい。実は21歳の時、一度だけ8段の階段から飛び降りたことがある。スネから血ィ流したけど、結構大丈夫だった。捨て身になればいける。人がバカだと思うことを本気で何年もずーっとやり続けることがカッコいい」

 最近はボクサーとしての欲も出てきたようで「ボクは成長期が遅い。脇毛も生えるの遅かったしあごひげも最近生えてきた。これからボクシングもとことん、突き詰めたい。まだ28歳なので、進化できるんじゃないですかね」という。スケボーで流血覚悟の一世一代の大ジャンプを試す日は、まだまだ先のことである。 (竹下陽二)

 

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