二宮: 本田さんがフィギュアスケートを始めたのは?
本田: 実は僕、最初はスピードスケートをやっていたんです。1つ上の兄と一緒にやっていたのですが、兄と競うと必ず負けるので、それが嫌で仕方ありませんでした。
二宮: フィギュアスケートに転向したきっかけは?
本田: 小学3年生の時に、一度だけ兄とショートトラックの大会に出たんです。途中までは僕の方がリードしていたのですが、最終コーナーで転んでしまって負けてしまいました。それでもう「二度とやらない!」と決めたんです。ちょうどその時にフィギュアスケート教室の方から誘われたのがきっかけでした。
二宮: 同じスケートとはいえ、競技の性質は全く異なります。フィギュアスケートに違和感を感じたりしたことは?
本田: いえ、楽しそうだなと思いましたよ。スピード感もありましたし、ジャンプなどもあって、スピードスケートと比べてパフォーマンスが派手ですからね。
二宮: その5年後には世界選手権に出場するわけですが、世界を意識し始めたのは?
本田: ずっとなかったですね。というのも、世界を意識する暇がなかったんです。全日本ジュニア選手権で初めて優勝したら、そのままシニアの全日本選手権でも優勝してしまいました。それで、何もわからないまま世界選手権に出場することになって……。ただ、世界選手権では衝撃を受けましたね。自分では会心の演技をしたつもりだったのに、13位だったんです。その時初めて「あ、これは違うな」と。
二宮: その2年後には米国留学に旅立ちました。
本田: 世界で戦うには足りないものがたくさんあると思ったので、本場でやってみたいなと思ったんです。
二宮: 実際に行ってみて、どうでしたか?
本田: ひきこもりになりました(笑)。
二宮: えっ!? ひきこもり?
本田: はい。ホームステイをしていたのですが、話し相手はそこで飼われていた犬や猫でした。インターネットや携帯電話もありませんでしたから、相当なホームシックにかかっていたんです。でも、帰りたいと思っても帰るチケット代もなかったですし、国際電話はお金がかかるし……。
二宮: 人に話しかけられるのが嫌だった?
本田: というよりは、英語が話せなかったので、会話することができなかったんです。練習をしにリンクに行けば、スケートに関わる会話なのでなんとかなったのですが、それ以外は話しかけるのも話しかけられるのも怖くて仕方ありませんでした。
二宮: 思い出したくない時期だと?
本田: いえ、それでもスケートをすることに関してだけを言えば、一番楽しかったですね。余計なことを考えずに、スケートに集中することができましたので。
二宮: 2年後には拠点をカナダに移しました。その理由は?
本田: 米国では一緒に練習する選手がいなかったんです。僕が移ったカナダのリンクには、その後世界チャンピオンになるジェフリー・バトル(カナダ)や、世界選手権で3度も優勝していたエルビス・ストイコ(カナダ)が、現在羽生結弦の指導をしているブライアン・オーサーコーチの指導を受けていました。そこに僕が入ったんです。
二宮: 海外留学で得られたものとは?
本田: やはり外国人コーチからは日本人にはない豊かな感性を学ぶことができたと思いますね。それに、スケートに集中できる環境にも非常に恵まれていました。また、そこで英語を話すことができるようになったことで、今に生かされています。
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