時代SM連載小説


牢獄の美姉弟


~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~

                                 旅たち

 沢辺藩七万石の藩主沢辺義信は八年前最愛の奥方に先立たれ、六年前今の奥方と一緒になられた。先の奥方との間に一人のお子様がおられ、今の奥方との間にも五年前男の子が授かった。当然のことのように後継ぎの話が沢辺藩では騒がれだした。そんな昨年、藩主沢辺義信が急に床に付したのだ。あまりにも急な事に藩主の一番の信頼を受けていた藩指南役末永謙信が不信感をいだき、隠密に探索を続けていた。
 末永は数日前藩主の病は奥方と家老の黒崎大善が仕組んで医者梅安にある薬を盛らせていたことによるものだと確信を得た。奥方と家老の関係には大分前より不信感は抱いていたが、まさかここまでするとは末永も考えていなかった。
 末永は家老の黒崎にそのことを問いただした。「ご家老、殿に薬を盛らせたことは調べがついています。お認めいただき腹をお切り下さい。私が介添えいたします」
 すると家老の黒崎は「なにを血迷ったこと言う、侮辱するのもいい加減にしろ、わしが殿に薬を盛る?・・・・笑わせるな、末永、そこまで言うなら覚悟はできているな、皆の者、この末永をひっ捕らえろ」と家臣に命令し末永は城の地下牢に押し込まれた。
 末永には十八歳になる志乃と十六歳になる菊乃助の二人の子供がいた。末永は数日前、志乃に「私に何かあったら、すぐにこの密書を江戸表に届けてくれ」と話していた。
 志乃は父が牢に入れられたことを知り、菊乃助に言った。「菊乃助、父になにかあったらこの密書を江戸表に届けるよう言われていたの、すぐに旅の用意をしなさい。誰にも気がつかれないように今晩発ちます、いいですね」
「はい、でも父上は?」
「父上はこの密書になにか重要なことを書かれていたはずです。私達はこれを少しでも早く江戸に届けなければなりません。父上もそれを願っているはずです。菊乃助、どんなことがあろうともこの密書を江戸に届けるのです。いいですね」
「はい、わかりました、すぐ用意いたします」と二人は急いで旅支度を済ませ、裏口から身を隠すようにして街道へと小走りに旅たった。
 暗闇の中、二人は休むこともせず危険な山越えに入った。この山は山賊がいるとの噂がある山だけに夜は誰も通るものはいなかった。
「菊乃助、足元に気をつけなさい、私から離れないようにね」
「はい、姉上」
 二人は早道という険しい山道を小走りに進んだ。
 その時、前方でガサガサと音がして数人の男達が飛び出してきた。
 志乃は菊乃助を庇うように手を広げ少し後ずさった。
「ヒッヒッヒ、お二人さん、こんな夜中に急いでどこに行く気だい、この山には山賊がいることを知らないわけじゃないだろう、ヒッヒッヒ、その山賊が俺達さ、悪いが身包み剥がせてもらうぜ、触られたくなかったら自分で素っ裸になるんだな、物をいただければそれ以上なにもしないぜ、フッフッフ、どうするかな、脱がしてもらいたいかな、ヒッヒッヒ」
「無礼者、武家娘に裸になれと言うのか、それなら死んだほうがましだ、お金ならあげる、だからここを通して下さい」
「そうはいかねぇな、よく見るといい女じゃねぇか、かまわねぇ二人を素っ裸に剥き上げろ」と兄貴分のような男が命令した。
「菊乃助、私から離れるんじゃないですよ」と志乃は小太刀を抜いた。志乃は剣術指南役の娘だけあって小太刀の腕前は男勝りの腕であった。
「へい、ねえちゃん、あきらめな」と一人の男が志乃に飛び掛ってきた。
「ギャー」男の腕が飛んだ。志乃の小太刀が男の腕を切り落としたのだ。
 それを見た、山賊たちは少し怯んだ。その隙に「菊乃助、今です、走るのです」と志乃が叫んだ。二人は必死に山道を走った。
「菊乃助、そこに隠れなさい」と志乃の指示で二人は大きな岩陰に身を隠した。
 山賊たちがそうとも知らず通り過ぎて行った。
「菊乃助、助かったようね、少しここに隠れていましょう」と志乃は菊乃助の手を握り締めた。
「姉上、殺されるかと思った」
「心配しないで、私がついているから、どこも怪我はない?」
「大丈夫です、姉上」
「シー、声を出さないで」と志乃が菊乃助の耳元で囁いた。あの山賊たちが戻ってきたのだ。
 二人は身を寄せ体を丸くして沈黙を保った。
「なんと足の早いやつらだ、しくじったなぁ、まさかあの二人、ご家老が言っていた指南役の娘達じゃなかったろうな、もしそうなら大目玉食うぜ」などと山賊たちは言いながら通り過ぎて言った。
「菊乃助、聞きました?家老は私達が江戸へ行くと睨んでいたようですね、それで山賊に金をつかませ見張らせていた、この先どんなことがあるかわかりません、気を引き締めていくのです、いいですね」
「はい、姉上」
「じゃあ、先を急ぎましょう」と二人は再び山道を小走りに走った。

                            捕えられた菊乃助

 夜が明け、二人は街道を江戸へと急いでいた。
 その頃、志乃と菊乃助が家にいないことがわかり、追っ手が編成され藩を出た。追っ手を率いるのは家老の一人息子黒崎進十朗であった、進十朗は志乃に惚れていた。家老から志乃へ嫁の話が何度もあったが志乃は頑なにお断りしていた。志乃には好きな人がいたのだ。沢辺藩の家臣で宮本鉄乃進という幼なじみの若者であった。
 追っ手は腕の立つ数十人の家臣で編成され用心棒の浪人も数人混じっていた。
 それだけではない、志乃達が行く先々へ用意していたのであろう賞金付の似顔絵が貼られた。
 もはや二人は天下の追われ者になっていた。
 夜も寝ず歩き続けた二人も疲労には勝てなかった。「姉上、もうこれ以上歩けません、どこかで休ませて下さい」 「ああ、そうね、歩き続けだからねぇ、ごめん、じゃああそこの神社の裏あたりで一休みしましょう」 「はい、姉上」
 二人は小さな神社のお堂の裏に隠れるように腰を下ろした。
「菊乃助、まだ先は長いのよ、大丈夫?」
「大丈夫です、姉上、それより姉上こそ・・・・」
「私は大丈夫、剣術で慣らした足腰は菊乃助、あなたには負けないわよ、ホッホッホ」
「そうですね、姉上は男勝りですからね、このままでは嫁に行けなくなりますよ」
「なにを言うの、私だって女らしい所もあるのよ、宮本様がこの間褒めてくれたわ」
「姉上は宮本様に嫁に行くのですか」
「そのつもりだけど、宮本様次第ね」
「姉上、今回江戸へ行くことは宮本様は知っているのですか」
「出てくる前に手紙を書いて置いてきたから今頃見ていると思うわ、あっ、静かに、誰か来る」
 神社の参道を数人の男達がなにやら話しながら近づいて来る。二人はお堂の床下にもぐりこんだ。
「賞金三百両だってよ、すげぇな、そろそろこの辺を通るらしいぜ、みすみす逃せねぇな、武家娘とガキらしいから簡単なもんだぜ、でもあの似顔絵の女いい女だぜ、早く会ってみてぇな、見逃すんじゃねぇぞ」
「大丈夫だよ、こちらには先生方もいるし、道の向こう側にも見張りを立てておいたから」用心棒の浪人も二人つれてきているらしい。
「賞金は生け捕りじゃないと出ないらしいから、先生方くれぐれも殺さないでくださいね」
「わかってるよ、心配するな」
 床下で聞いていた二人は男達の会話に自分達に賞金までかけられていることがわかった。これから先々宿に泊まることも茶屋によることもできないのだ。二人はこみ上げてくる絶望感と必死に戦っていた。
 男達は地元のヤクザらしい。襟に笹川一家と染められている。
 男達は境内に座り込んだ。このままでは志乃達も動くことができないのだ。しかし、ここで時間を費やしているわけにはいかないのだ。志乃は悩んだ。
 その時、突然菊乃助がくしゃみをしてしまったのだ。
「おっ、誰かいるぜ」と男達が素早く立ち上がってお堂の方に目を向けた。
「姉上、ごめんなさい」
「いいの、こうなりゃ腕づくで突破するしかないわ、菊乃助、私から離れないのよ」と志乃は床下から出た。
「おっ、こいつらだ、似顔絵の二人、逃がすんじゃねぇぞ」と男達は二人を取り囲んだ。
 志乃は小太刀を抜いて構えた。菊乃助も刀を抜いて構えた。
 先生といっていた用心棒の浪人が志乃の前に立ち刀を抜いた。
「おんな、お前、できるな、しかし容赦しないぜ」と浪人の刀が宙を切って火花が散った。浪人二人は志乃の方ができると見抜き「おんなは俺達にまかせろ、お前達はそのガキを捕まえろ」と志乃に向かってきた。
「女にしてはなかなかできる、フッフッフ、しかし俺達の相手じゃねぇ、覚悟しろ」と志乃をじりじりと追い詰めていく。もはや志乃の後ろは小高い崖になっていた。
 その時「先生方、小僧はひっ捕らえたぜ」という声が聞こえた。志乃はハッとした瞬間足を滑らし崖下へと滑り落ちていった。
「姉上!逃げて下さい、私のことは気にしないで逃げて下さい」という菊乃助の声が轟いた。
 志乃は足首をくじき、このままでは戦うことはできないと思い、二人でこのまま捕えられるよりは菊乃助が言うとおりこの場は自分だけでも逃げ切ろうと這うようにして必死に逃げた。
 浪人たちが崖下に来たときには志乃の姿は見えなくなっていた。
「畜生、あの女、・・・・でも大丈夫だ、このガキを必ず救いに来るその時ヒッ捕まえてやるさ、心配するな」
 菊乃助は後ろ手に厳重に縛られた。
「おい、小僧、お前は大事な人質だ、絶対逃がさねぇからな、ほら、さっさと歩け」と菊乃助は縄尻を持たれ参道の階段を追い立てられていった。

                                菊乃助受難

 志乃は神社から半里程離れた所の農家の庭にたどり着いた。中から腰の曲がったお婆さんが出てきて「どうしなすった?あら、血が出てるじゃないですか、まずは家に入ってくだされ」とお婆さんは中から娘を呼んだ。
 すぐに三十四、五歳の女性が飛び出してきて「お母さん、どうしたの、この人誰?」 「ここに倒れていたんだよ、怪我されているようだから家に運んでおくれ」とお婆さんは娘に言った。「わかったわ」と女は志乃に肩を貸すようにして家の中までなんとか運び入れた。
「すみません、ご面倒かけて・・・・、すぐに出ていきますから」と志乃は立ち上がろうとしたがその場に倒れこんでしまった。
「これこれ無理しちゃだめだよ、気にしないでゆっくり休んでおくれ」とお婆さんはやさしく言った。
「すみません、それではお言葉に甘えて少しだけ休ませてもらいます」
「なにも遠慮することないんだよ、こんな所だがよかったらいつまでいてもいいんだからね、お里、この人の足の怪我を見てやっておくれ」とお婆さんは娘に言った。
「はい、お婆ちゃん」と娘のお里は奥から薬箱のようなものを持ってきて志乃の足首を押さえた。
「ううっ、いっ・・・・・」
「足首を痛めているようね、でも軽い捻挫みたいだから無理しないでゆっくり休んでいれば直るわよ、遠慮しないでいいからゆっくり休んで」
「ありがとうございます、でもゆっくりしていられないんです、少し休ませてもらったら発ちますので・・・・」
「だめよ、無理したら歩けなくなるわよ、急ぐ用事があるんでしょうけど、しばらく動いちゃだめ、わかった」
「は、はい、・・・・・・・」志乃はお里に頭を下げ、敷いてもらった布団に横になった。
 しかし、志乃は菊乃助のことが気がかりで落ち着かなかった。
 その頃、菊乃助は笹川一家の大きな屋敷に連れ込まれていた。笹川一家はこの辺に大きく縄張りを張り、女郎屋も二軒も商う大きなヤクザであった。
「おい、捕まえたぞ、あの似顔絵のガキの方を」と緊縛された菊乃助の背中を押し男達が裏庭に入ってくる。
「ご苦労、ところで姉の方は逃がしたのか」と笹川勝蔵が出てきて聞いた。
「もう少しのとこで見失いましたが、必ずこのガキを救いに現われます、心配しないで下さい」
「しかし、来ないかもしれねぇぞ」と勝蔵が言った。
「親分、そこは考えていますよ、弟が死ぬより恥ずかしい思いをしていると聞けば、見捨てて江戸に行くなどできませんよ、ヒッヒッヒ」と辰蔵という笹川の片腕の男が言った。
「おめぇが言うなら間違いねぇだろう、任せるぜ、フッフッフ」と勝蔵は目の前に猿轡を噛まされ身を震わせて立っている菊乃助をなめ回すように眺めた。
「ヒッヒッヒ、めんこい小僧じゃねぇか、女郎屋でも使えるかもな、変わった客がいるからなぁ、ヒッヒッヒ」
「親分、今日はもう暗くなるから明日の朝、この小僧を素っ裸で椿屋の前に晒し者にします。必ず姉さんは助けに来ます、そこを・・・・フッフッフ」
「フッフッフ、それはおもしれぇ、楽しみだ、それじゃあ今晩はこの小僧を肴に前祝いといくか」と勝蔵は菊乃助の方に目を向けニヤリと笑った。
「じゃあ、親分、前祝いの支度はまかせてください、女郎のお松とお米にも手伝わせ楽しくやりましょうぜ、ヒッヒッヒ、おい小僧、その前に体をきれいに洗わなきゃなぁ、さっさと歩け」と辰蔵は菊乃助の背中を押した。
 菊乃助は裏庭にある土蔵の中に連れ込まれた。土蔵の中には女郎らしき女が二人待ち構えていた。先ほど辰蔵が言ったお松とお米の二人なのであろう。準備よく土蔵の中央に大きな桶が置かれていた。その中にはお湯がたっぷりと入っていた。菊乃助の体を洗うためのものなのであろう。
「おい、お松、この小僧をきれいにしてやってくれ、いいな」
「はいはい、わかりましたよ、なんとかわいい子じゃないか、惚れ惚れするねぇ」
「お前達の玩具じゃねぇ、遊んでなどいねぇで早くきれいにしてやってくれよ、いいな、今この小僧を裸にして縛りなおすが、洗っている間絶対縄を解くんじゃねぇぞ、逃がしたら大変なことになる、わかったな」
「はいはい、承知しました。逃げられないようにあそこを握っていますから、フッフッフ」とお松は菊乃助を見てニヤリと笑った。
 辰蔵達は菊乃助に群がり一旦縄を解くと無理やり着物を剥ぎ取っていった。
「無礼者、なにをする、や、やめろ、ああっ。あっ・・・」と菊乃助は抵抗したが荒くれ男達の力には勝てず褌一枚に剥き上げられ再び後ろ手にきつく縛り上げられていった。
 お松とお米はそんな菊乃助をニヤニヤして眺めている。
「よし、これでいい、お松、後は頼んだぞ」と辰蔵は縄尻をお松に手渡すと子分を一人置いて出て行った。
「米ちゃん、じゃあ、始めようか」とお松は菊乃助の褌に包まれた股間を見下ろし言った。
「そうだね、始めようか、坊ちゃん、こっちにおいで」とお米は菊乃助の腕を掴んだ。
「なにをする、汚らわしい、放せ」と菊乃助はお米の手を振り払って出口の方に走った。
 しかし、縄尻をお松に掴まえられているため、後ろに引かれ横転してしまった。
「お坊ちゃん、逃げようなんて考えるんじゃないよ、土蔵から逃げても外にはいっぱい笹川の子分達がいるんだよ、そんな格好で逃げられるわけがないだろう、ハッハッハ、私達の言うことをきくのよ、わかったね」とお松とお米は菊乃助を抱き起こし立たせると褌の紐の結び目を解いた。
「あっ」と菊乃助の声が轟いた。
 菊乃助の腰から褌が滑り落ちるように床に落ちた。
「ああっ、」と菊乃助はその場にしゃがみ込んでしまった。
「あら、恥ずかしいの、見せてよ、ほら、立って」とお松とお米は菊乃助の腕を両側から抱えるようにして無理やりその場に立たせた。
「あら、かわいい、まだ毛が生え揃っていないわ、フッフッフ、こんなに縮んじゃって、後で大きくしてあげるからね、もうあきらめなさい、ほら、この桶の中に入るの」とお松は菊乃助のお尻をピシャリと叩いた。

                              余興の準備

 菊乃助は仕方なく言われるまま桶の中に片足を入れた。「ホッホッホ、なかなか聞き分けのいい子じゃないの、ほら、そっちの足も入れな」とお松はまた菊乃助のお尻をピシャリと叩いた。
「うっ」と菊乃助は顔を歪めながら両足を桶の中に入れた。
「米ちゃん、見てよ、このお坊ちゃんのお尻、引き締まっていい形してるじゃない、惚れ惚れするわ」とお松は菊乃助のお尻に見惚れているのだ。
「お松姉さん、私はこっちの方がいいわ、小さいけどかわいいじゃない、見てよ、恥ずかしそうに頭を垂れてるわ、ホッホッホ、しゃぶってあげたいわ」とお米が菊乃助の肉隗を指でつまんだ。
「あっ、なにをする、無礼者」と菊乃助の足がお米の胸を蹴り上げた。
「わぁー」とお米は後ろに飛ばされるように転倒した。
「なんだ、こいつ」と見張りに残されていた子分があわてて菊乃助に飛び掛った。
「石さん、わたし蹴飛ばされたくないからこの子の足も縛っておくれよ」とお松は石松というその子分に言いお米に手を貸して立ち上がらせた。
「なんてガキだ、甘くみてりゃいい気になって、この野郎」とお米は本当に怒って菊乃助に掴みかかった。
「米ちゃん、よしなよ、そんなことしてると遅くなるよ、仇は夜の前祝いの席でとればいいじゃない、辰蔵さんが言っていただろう、前祝いの余興は私達二人にまかせるって、ほらまずは早くお坊ちゃんの体を洗おう」とお松はお米をなだめるように言った。
「はいはい、わかりましたよ、小僧、今晩の余興覚悟しているんだね」とお米も掴みかかるのを止め手ぬぐいを手に取った。
 お松は小さな桶を取り桶の中のお湯をすくって菊乃助の肩にかけ始めた。お米も仕方なさそうにそれにあわせ手ぬぐいで菊乃助の体を流し始めた。
 菊乃助はどうにもならないと覚悟したのか抵抗することもなく体を這い回る女達の手の感触に必死に耐えているのであった。女達の手は若い男の肌を楽しむようにいやらしくつまんだりさすったり指を這い回らせていた。
 体を洗い終わった菊乃助は桶から出され近くの柱に立ち縛りに縛り付けられた。お松とお米はその前に座り込み菊乃助の肉隗に目を向け「米ちゃん、どんな余興をしようかね」とお松が言った。
「お松姉さん、まずは生え揃ってない邪魔な毛をツルツルに剃り上げたらいいよ」
「そうだね、それがおもしろいね、その後は?」
「うーん、その後か・・・・・ああ、そうそう分銅吊りをさせようよ、あれ面白いよ」とお米が言った。
「ああ、いいかもね、そして・・・・・?」
「その後は・・・・・・・いぼ縄詰めで仕上げといきますか、ホッホッホ、このお坊ちゃん耐えられるかな」
「米ちゃん、いぼ縄詰めってなんだい?」
「この間、足抜けしようとしたお美知にやったじゃない、あれよ」
「ああ、ケツの穴にいぼ縄を詰め込むやつね」
「そうよ、あれは男女どっちにも使えるから、かなりきつい責めらしいわよ、フッフッフ、こんなかわいいお坊ちゃんの尻の穴責めるなんてワクワクするわ、わたしがやるからお松姉さんは見ててね」
「フッフッフ、わかったよ、お米にまかせる」
 その時、「おい、終わったか」と辰蔵が子分を連れて入ってきた。
「終わりましたよ、ほら、きれいになったでしょう」とお松が自慢げに言った。
「お松、ご苦労、前祝いの席にブラブラさせて引き出すのも興ざめだ、こいつをつけさせて連れてきてくれ」と辰蔵が赤い布切れをお松に手渡した。
「なんだい、これ腰巻じゃないか、女物だよ」
「いいんだよ、その方がおもしれぇじゃないか、ヒッヒッヒ、お松、つけさせてみろ」と辰蔵が言った。
「辰蔵さんも変な趣味ねぇ」とお松はその腰巻を持って菊乃助の前にしゃがみ込んだ。
「誰か、このお坊ちゃんの足を押さえていてよ、さっきお米が蹴り倒されたからねぇ」とお松が言った。
 子分が二人柱の後ろに回り菊乃助の足を押さえつけた。
 お松は赤い腰巻を菊乃助の体と柱の間を通し細身の腰に巻きつけ腰紐をしっかりと結んだ。
「あら、似合うじゃない、ホッホッホ」とお松が笑った。
「変な女よりずっと色っぽいぜ、ヒッヒッヒ、じゃああとは頼むぜ、いい余興考えているんだろうな」
「まかしておいてよ、辰蔵さん」
「そうか、楽しみにしてるぜ」
「辰蔵さん、ひとつお願いがあるの」
「なんだい」
「この間足抜けしようとしたお美知は牢に入れてるんだろう、余興に貸しておくれよ」
「いいぜ、なにに使うんだ」
「お坊ちゃんを勃起させるのに使うに決まってるじゃないか、頼んだよ」
「いいとも、用意しておくよ、お美知にはこのお坊ちゃんと逆に赤い褌でもをつけさせておくか、ハッハッハ、じゃあ頼むぜ」と辰蔵は子分達を連れて土蔵を出て行った。

                               屈辱の余興

 それからどの位経ったのであろうか、「お松、宴会の準備はできたぜ、みんなお待ちかねだ、小僧を連れてきてくれ」と使いの男が連絡に来た。
「はいよ、今連れて行くから」とお松は菊乃助を柱から解き放し「ほら、お坊ちゃん、みんながお待ちかねだ、さっさと歩くんだよ」と背中を押した。
 菊乃助は前によろけるように土蔵を押し出されていく。赤い腰巻一枚を身につけた菊乃助の後姿は男とは思えない色っぽさを感じさせた。ただ背中で縛り上げられきつく握り締めている手がなんとも言えない哀れさを感じさせるのであった。
 菊乃助は屈辱を必死に堪え素足で玉砂利を踏みしめ足を進めている。これから大勢の前で考えられないような屈辱を味合わされるのだ。それを考えると菊乃助の足は小刻みに震えるのであった。菊乃助は心の中で「姉上!」と叫んでいた。
 その頃、志乃は菊乃助のことが気がかりで布団の上に何度も起き上がり、そのたびに「寝ていなくちゃ直りませんよ、ほら、横になって」と何度も面倒をかけていた。
 志乃はどうしたらいいか考えていた。父上の言いつけどおり少しでも早く密書を江戸に届けなければならないのだ。しかし、菊乃助を見捨てることなどできない。しかし、女一人の手で救い出せるであろうか。救い出すどころか二人とも捕えられてしまうに決まっている。密書が大事か菊乃助が大事か志乃の頭の中は混乱した。
 菊乃助は今どんな目にあっているのであろう。死ぬより辛い目に会っているのではないだろうか、志乃は気がかりで落ち着かなかった。
 その通り菊乃助は腰巻一枚の姿にきつく猿轡を噛まされた屈辱的姿で男達が待ち構えている宴会の席に押し出されていた。
「ひゃー、女より色っぽいぜ、ハッハッハッハ」
「この小僧、おちんちんついているのか」などと屈辱的言葉が浴びせられた。
 お松は菊乃助を床柱に立ち縛りに縛り付けた。
「おい、お松、そんな腰巻剥ぎ取ってしまえ」と声がかかった。
「はいはい、わかりましたよ、夜は長いんだからそうあわてなすんな、ホッホッホ」とお松は腰紐の結び目に手をかけた。
「あっ、ううっ」と菊乃助が体を硬直させた。
「はい、武家のお坊ちゃんの裸だよ」とお松はサッと菊乃助の腰から赤い布を剥ぎ取った。
「うっ、うう」と菊乃助の顔が屈辱に激しく歪んだ。
 哀れにも男の全身が大勢の人前にありありと曝されたのだ。
「ハッハッハッハ、可愛いじゃねぇか、年増の女郎よりずっと色っぽいぜ、ヒッヒッヒ」
「まだ毛も生え揃っていねぇじゃないか、見ろよ、かわいいおちんちんしてるぜ、なめてやりてぇよ、ハッハッハ」などと男達は言いたい放題のことを言っている。
 同性とはいえ隠すこともできない肉隗をゆっくりと眺められている恥ずかしさは耐え難いものであった。
「おい、お松、余興といったがどんなものを見せてくれるんだ」と男達から声がかかった。
「はいはい、じゃあ始めようかね、まずはここの邪魔な毛をツルツルに剃り上げて見せましょう、フッフッフ、剃る役は私達のような年増よりは若い女の方がお坊ちゃんも気持ちいいだろうからこの間足抜けを計ったお美知にさせることにしましたよ、はい、お米、お美知を」とお松が言うと障子が開き、素っ裸に男物の褌一枚を見につけたお美知がお米に押されるように入ってきたのだ。
「ハッハッハッハ、今度は女の褌姿かこりゃあいいや、お美知、似合うぞ」などと男達は囃し立てるのだ。
 お美知は菊乃助の前に膝を突いて座らされた。
 お美知はまだ十五だけに恥ずかしいのか目の前の菊乃助の股間からは目を背けていた。
 お米が剃刀やお湯の入った桶などを菊乃助の足元に並べた。
「お美知、さぁ、始めるんだ、言った通りにやるんだよ」とお米がお美知の耳元で言った。
 しかし、お美知は恥ずかしいのかなかなか始めない。
「どうしたのさ、お美知、早く始めな、まずは剃りやすいように大きくしてやるのよ、ほら、早く握るんだよ」とお米は急かせる。
「ほら、早くしな、しないとまたいぼ縄責めだよ」とお松も待ちきれなくて言った。
 お美知はあきらめたのか菊乃助の顔を見上げ軽く頭を下げ手を伸ばし肉隗をやさしく手のひらで握り締めた。
「ああっうっ」と菊乃助が体を仰け反らした。
 お美知は「ごめんなさい」と小声で囁きゆっくりと手を動かし始めた。

                               屈辱の剃毛

 町に買出しに行ったお里は明日の朝菊乃助が晒し者になることを耳にした。家に戻ったお里は急いで志乃にその事を伝えた。
「そうですか、お里さんありがとうございます」と落ち着いて答えたものの志乃の頭の中は混乱した。弟菊乃助が晒し者になる、それも素っ裸にされて晒されるというのだ。弟にそんな屈辱を味あわせるわけにはいかない。なんとか助け出さなければ、しかし、志乃の足の捻挫はまだ治っていない。もし治ったとしても女一人でどうして助け出すことができるであろう。志乃は唇をきつく嚙み締めた。
「お志乃様、助けにいくなどと考えてはいけませよ、その足では到底無理です。菊乃助様を晒し者にするというのはお志乃様をおびき出す策略です。行ってはなりませぬ」とお里は言った。
「しかし、このままなにもせずいるわけにはいかない、明日の朝までは足も少しはよくなるでしょう、武家の娘として弟だけをそんな目にあわすことはできませぬ、私は死んでもかまいません明日の朝早くお暇させていただきます」
「お志乃様、それはいけません、まんまと罠にかかりに行くようなものです、そのうち必ず相手が手薄になる時があります、それまで待ちましょう。菊乃助様は大事な人質です、決して殺すことはないでしょう、お志乃様、辛いでしょうが堪えて下さい」
「お里さん、そんなにまで私のことを心配してくださって本当にありがとう、お里さんの言うとおりかもしれませんね、わかりました、菊乃助には辛い思いをさせるけど私達には江戸へ密書を届けるという使命があるのです、それまではどんな屈辱を受けようが死ぬわけにはいきません、わかりましたもう少し様子を見ることにします、なにか耳に入った時はすぐ教えて下さい」
「はい、お志乃様、笹川一家には私の弟の吉助を張り込ませてありますからご心配しないで下さい、なにかあれば連絡がきます」
「なにからなにまでご面倒おかけします、お里さん、弟さんに危険なことはさせないで下さいね」
「はい、わかりました、まずはお志乃様、少しゆっくりお休み下さい」とお里は心配そうに言った。
「ありがとう」と志乃は布団に体を横たえた。
 その頃、菊乃助はお美知の手の中で男根を硬く勃起させていた。
「フッフッフ、お坊ちゃんこんなに大きくしちゃって、お美知、もういいよ手を放しな」とお松が言った。すぐにお米がお湯で温めた蒸し手ぬぐいを菊乃助の下腹部に押し当てた。
「お美知、今度はお坊ちゃんの毛をきれいに剃り上げるんだよ、いいね」とお松はお美知に剃刀を手渡した。
「そろそろいいかな」とお米が下腹部から蒸し手ぬぐいを剥ぎ取った。
「はい、皆さん、これからこのお坊ちゃんのあそこの毛をきれいさっぱりと剃り上げてみせますねどんなに可愛くなるかお楽しみ」とお松はお美知に始めるように指示した。
 お美知は目の前にそそり立っている菊乃助の肉隗に目を向けやさしく亀首あたりを指でつまむと亀頭を下に向けさせた。
「あっ、ああっ」と菊乃助が体を硬直させた。
 お美知は下に折り曲げた肉隗の上部の淡い毛に剃刀を当てた。
「ああっ、うっ」菊乃助の太ももがブルブルと震えている。勃起して敏感になっている肉隗の先端近くを若い女の指でつままれている感触がさらに菊乃助の下腹部を熱く燃えさせてくるのだ。
 剃刀が動き始めた。チョリチョリと軽い音を立てながら黒い毛がそり落とされている。そんなに多くない陰毛だけにすぐに肌が露出してくる。あっという間に肉隗の上部の毛は姿を消していた。
「あら、可愛くなってきたわねぇ」とお松が笑いながら言った。
 菊乃助は恥ずかしさに頬を真赤に染めていた。
「お美知、玉の毛も全部きれいに剃り上げるんだよ、一本残らずにね」とお松はニヤニヤして言った。
 お美知は肉棒を右に向けたり左に向けたりしながら丁寧に剃り上げている。もはや菊乃助下腹部から黒いものは姿を消していた。
「お美知、もういいよ、ご苦労さん」とお松が言った。
 お美知が肉隗から手を放すと硬化した肉棒はブルンと上向きに反り返った。お美知に先端をつままれていた感触にさらに肉隗は太く長くそして硬く勃起していた。
「はい、みんな、見ておくれ、お武家さんのお坊ちゃまのおちんちんだよ」とお松は菊乃助の肉隗の亀首あたりをつまみみんなに見せ付けるようにして言った。
「ハッハッハッハ、可愛いもんだ、しかしだいぶ気持ちよかったとみえるな、あんなに大きくしやがって、お坊ちゃんも武士だろう、こんな人前でそそり立てがって恥を知れ、ハッハッハッハ」とまわりを取り囲んで酒を飲んでいる男達が囃し立てた。
 菊乃助はこんな多くの人前に素っ裸を晒しその上男根を勃起させている自分に恥じ、気が狂いそうな屈辱に襲われていた。
「おい、お松、今度はなにを見せてくれるんだ」と男達から声がかかった。
「はいはい、あわてなすんな、今度は男しかできない分銅吊りをみせてあげるよ」とお松はお米に合図した。お米は床柱から菊乃助を解き放すと縄尻をもって菊乃助を座敷の真ん中のほうに押して行った。
 この宴会場は十二畳の部屋を二つ開け放して作ってあるので真ん中に部屋と部屋との仕切りの鴨居がある。菊乃助の縄尻はその鴨居に結ばれた、菊乃助は宴会場の真ん中に素っ裸で立ち縛りにされたのだ。それだけではなかった。お米が四尺程の青竹と縄束を持ち出してきた。
「誰か手伝っておくれよ」とお米は男達の方を振り向いて言った。
「なんだい、なにを手伝えっていうんだ」と男達が数人立ち上がり寄ってきた。
「このお坊ちゃんの足を広げておくれよ」とお米が言った。
「なんだい、そんなことか、わかったよ」と男達は菊乃助の足に左右からつかみかかり無理やりと大きく広げた。
「あっ、ううっ」と菊乃助は激しく顔を歪めた。
 お米は素早く青竹の両端近くに菊乃助の両足首をそれぞれ縛り付けていった。

                               万座の余興

 菊乃助は宴会場の真ん中に素っ裸で人の字に晒されたのだ。若い菊乃助の体は色白で体の線もどこか女っぽく男達の目を魅了した。
「ヒッヒッヒッヒ、ガキの体がこんなに色っぽいとは思わなかったぜ、変な女よりずっと興奮するぜ」などと男達は菊乃助の体を上から下まで舐めるように見回し着物の前を膨らませている者までいるのだ。
「はいはい、それじゃあ余興を始めましょうかね、フッフッフ」とお松とお米は菊乃助の前にしゃがみ込んだ。
 菊乃助はなにをされるのかと恐怖に顔が引きつった。
「お坊ちゃん、怖がらなくてもいいのよ、ただ興奮してこれをおっ立ててくれればいいだけなの、立派な大人になるための準備よ、ホッホッホ」とお松はニヤニヤして麻紐を手にすると菊乃助の肉棒を指でつまんだ。
「あっ、ううっ」と菊乃助は体を仰け反らした。
「フッフッフ、可愛いね、毛も剃られちゃって、人前で勃起させるなんて武士として恥を知りなさいよ、ホッホッホ」お松のそんな言葉が菊乃助の屈辱心をさらに強めるのであった。
 お松は麻紐を菊乃助の肉棒の亀首辺りに結び始めた。
「ああっ、あっ、うっ・・・」と菊乃助は腰を悩ましくくねらせ勃起した先端に触れる女の指の感触に耐えているのだ。
 結ばれた麻紐は垂れ下がり床につく少し手前のところになにかを引っ掛けるためのカギ型のフックのようなものが取り付けられた。
「フッフッフ、お坊ちゃん、頑張るんだよ」とお松とお米は菊乃助の足元に大きさの違う銅製の分銅のようなものを数個並べて置いた。
 菊乃助はなにをされるのかと恐怖に顔が青ざめた。
 そんな顔を見上げたお松は「お坊ちゃん、そんなに怖がらなくてもいいよ、気持ちよくしてやるんだから、硬くするのよ、フッフッフ」とお松は一番小さな分銅を手に取ると麻紐の先に取り付けたカギにその分銅を吊るした。
 瞬間、その重さに菊乃助の肉棒が下向きに折れ曲がり分銅が畳についた。
 それを見てまわりの男達が一斉に笑い出した。
「フッフッフ、お坊ちゃん、口惜しいでしょう、武士として情けないと思わない、だったらこれを硬くして持ち上げて見せなさいよ、ホッホッホ、といってもそう簡単に硬くはできないわよねぇ、だからお美知に手伝ってもらいましょう、お美知、こっちへ来なさい」とお松はお美知を呼んだ。
 男物の褌をつけたお美知が菊乃助の前に両手で胸をかくして歩み寄った。
「お美知、このお坊ちゃんを気持ちよくしてあげな、本気でやってあげないとこのお坊ちゃんいつまでもこんな姿を晒し続けるんだよ、可愛そうだと思うなら少しでも早く勃起できるようにこの筆で可愛がってやるんだよ、いいね」
 お美知は軽くうなずき筆を受け取った。
「よし、お美知、始めるんだよ」とお松はお美知の背中を押した。
 お美知は倒れ掛かるように菊乃助の前に膝を突いた。
 お美知は菊乃助の顔を見上げ「許してね」と小声で囁き筆の先を肉隗に触れさせた。
「あっ、ああっ・・・・」と菊乃助が体を仰け反らした。
 筆の刺激が肉隗を這い回った。玉袋から亀頭まで筆は容赦なく這い回っている。若い菊乃助の肉隗はすぐに反応を示した。
「ほら、小僧、がんばれ」
「硬くならないのか、お美知、手も使ってやれ」などとまわりの男達は面白がって囃し立てている。
 下向きに垂れ下がっていた肉棒が頭を上げ始めた。
「おっ、小僧、いいぞ、その調子だ、頑張れ」などと男達は囃し立てる。
 亀頭はムクムクと頭を上げ始め分銅が畳を放れた。
「あら、お坊ちゃん、やったじゃない、偉いわ」とお松は菊乃助の顔を覗き込むようにして言った。
 菊の助は顔を背けた。恥ずかしいのであろう菊乃助の頬は真赤に染まっていた。
 こんな人前で素っ裸を晒し男根を勃起させて分銅を吊り上げる、こんな屈辱を演じている自分に恥じ菊乃助は目尻から涙をタラリと流すのであった。
 確かに武士の菊乃助にとって人前に性器を晒すだけでも相当な屈辱であろう、それどころかその性器で分銅を吊り上げる醜態を人前で演じさせられたのだ武士にとってこれ以上の屈辱はないであろう。本当であれば舌を噛み切って死を選ぶ所なのであろうが志乃と菊乃助には密書を江戸まで届ける使命があるのだ。それまではどんな屈辱にも耐え続けなければならないのだ。
「お美知、もういいよ」とお松が声をかけた。
 お美知は筆の動きを止めた。
「お坊ちゃん、やればできるじゃないか、ホッホッホ」とお松は小さな分銅を麻紐から取り外した。
 錘をはずされた肉棒はブルンと上に反り返った。
「あらあら、元気がいいわね、ホッホッホ、今度はこれよ」とお松は少し大きめの分銅を手に取り菊乃助に見せ付けるようにしてから麻紐にそれを取り付けた。
 さすがにその重さに肉棒はダラリと頭を下げたのだ。
「お坊ちゃん、今度は大丈夫かな、フッフッフ、お美知、また助けてやりな」とお松はニヤリと笑った。
 お美知はまた菊乃助の顔を見上げ「がんばってね」と小声で囁くと筆先を肉隗に触れさせていった。

                               肛門責め

 まわりを取り囲んで座っている男達から声がかかった。
「小僧、がんばれよ、持ち上げられねぇ時はちょん切っちゃうぞ、ハッハッハッハ」
 菊乃助はそんな言葉に猿轡をきつく嚙み締めた。
 お美知の持った筆先が肉隗を刺激しているもののなかなか分銅は持ち上がろうとはしない。
「おい、お美知、なかなかお坊ちゃん興奮しないじゃないか、ケツの穴でも刺激してやりな、ほらやったみな」とお松が言った。
 お美知はなにか躊躇している。
「どうしたんだい、お美知、お坊ちゃんの後ろに回りな、ほら、早くするんだよ」とお松はお美知を急かせた。
 お美知は仕方なさそうに菊乃助の後ろに回った。
「ほら、お美知、お尻の割れ目を思いっきり広げるんだよ、早くしな」お松はニヤニヤして言った。
「おい、お美知、早くやれ」などと男達からも声がかかる。
 お美知は言われるまま菊乃助の尻肉に手をかけた。「ごめんね、こんなことして」とお美知は菊乃助を見上げて言うと引き締まった尻肉の割れ目を左右に広げた。
「ああうっ、ううっ」と菊乃助は激しく顔を歪めた。
 お美知は丸見えになった肛門に目が釘付けになったがハッと我に戻り目を背けた。
「お美知、なにを恥ずかしがっているんだよ、ケツの穴ぐらいで、ホッホッホ、かわいい穴してるじゃないか、ほらよく見てあげな」とお松はニヤニヤして言った。
「お美知、始めな、筆を使うんだよ、ほら」
 お美知は仕方なく筆先を肛門に押し付けた。
「ううっ、あうっ・・・・」と菊乃助は体を仰け反らした。
 肛門を筆先でくすぐられる感触は想像を超えてかなりの刺激であった。菊乃助の体はガクガクと痙攣している。
 肉隗が反応し始めたことがわかる。肉棒はムクムクと反り返り始めた。分銅が少し持ち上がりかけたがまた床についた。重すぎるのであろう。
「お美知、お坊ちゃんのケツの穴に指でも入れてあげな、持ち上げるかもしれないよ、ホッホッホ、お美知、やってみな」とお松はけしかけた。
「そうだ、お美知、小僧のケツの穴可愛がってやれ、ヒッヒッヒ」などと男達からも声がかかった。
 お美知は筆を持っていない方の左手を肛門に近づけていった。
 左手の人差し指が肛門に押し付けられた。
「うっ、ううっ、あっ・・・」と菊乃助は顔を歪めた。
 指先がヌルッと肛門に差し込まれた。菊乃助の顔が激しく歪み体を弓なりに仰け反らした。
「お美知、もっと深く差し込むんだよそして中をかき回してやりな、フッフッフ」とお松は声をかけた。
 お美知の人差し指はさらに深く差し込まれていく。
「あああ、うっううう、あっ」菊乃助は体内に差し込まれてくる女の指の異様な感触に全身が震えだした。
お美知の指は根元まで差し込まれた。
「あっ、あっ、ああっ、うっ・・・」と菊乃助のうめき声が部屋に響き渡った。
 それと同時に、分銅が持ち上がり始めたのだ。
「いいぞ、小僧、その調子だ、ほら行け」などと男達がはやし立てた。
 菊乃助の肉棒は血管を浮き立たせ反り返った。分銅がグーと持ち上がった。
「ひゃー、この子、やったわよ、みんな見てよ」とお松ははしゃいで言った。
「それにしてもいい気なもんだわね、どんなに気持いいか知らないけど、武士がおちんちんで分銅を吊り上げるなんて聞いたことないわ、少しは恥を知りなさいよ、ホッホッホ」とお松は菊乃助の顔を覗き込むようにして言った。
 そんな言葉に菊乃助は今自分が演じている行為に恥じ顔を真赤に染め目尻から涙を流すのであった。肉棒は急に力を失い分銅は床に着いた。
「あら、気にしちゃったのかしら、分銅が下がったじゃないの」とお松は菊乃助の亀頭を指でつまんで言った。
「お松、一旦は持ち上げたんだ、それで許してやれよ」と辰蔵が言った。
「あら、辰蔵さん、やさしいのね、わかったわ、でももう一個あるのよ、これは持ち上げられるかしら」とお松は一番大きな分銅を手にとって言った。
「まだあるのかよ、これじゃあ小僧も大変だな、ハッハッハ」と辰蔵が言った。
「そうよ、これも持ち上げたらこの余興は終わりにしてあげるわ、でも持ち上げれないときは持ち上げるまでいつまでも続けるからね、わかった、お坊ちゃん」お松は意地悪げに言った。
 お松は紐の先の分銅を外した。錘をはずされた肉棒はまだ余力を持っていたのであろうブルンと上に反り返った。

                              吉助沢辺藩に

 お志乃は菊乃助のことが気がかりで眠れなかった。
「お志乃さん、少し眠らないと体が持ちませんよ」とお里が心配そうに言った。
「ありがとう、でも弟のことが気になって・・・・・」
「わかりますわ、でも休まなきゃなにもできませんよ、お志乃さん、ゆっくり休んで下さい」とお里は言った。
 その時「姉ちゃん、明日のお侍の晒しはお志乃さんが救いに来るまで続けるらしいよ、何日でも」と吉助が走りこんできた。
「えっ、そんな・・・・・」と志乃は唇を噛んだ。
「でも、お志乃さん、夜中は手薄になると思うの、その時を狙ったら」
「そうね、暗闇の方が見つかりにくいし、でも弟にそれまでの間恥ずかしい思いをさせなきゃならないのねぇ」
「そうですけど、救うにはそれが一番だと思います、我慢して下さい、弟の菊乃助様もわかってくれると思いますよ、まずは無事に救い出すことそれに徹しましょう」
「わかりました、それでは明日の夜までに作戦をたてましょう」
「私にも手伝えることがあったらおっしゃってください」とお里が言った。
「お里さん、その気持ちだけで十分よ、あなた達には迷惑はかけません、私一人で大丈夫ですから」とお志乃は答えた。
「そんな、なにか手伝わせて下さい」
「いいの、大丈夫ですから、それよりお願いがあるの、吉助さんに沢辺藩まで行ってもらえないでしょうか、沢辺藩の宮本鉄乃進様に今の状況を伝えてもらいたいの、必ず助けに来てくれると思う、無理なお願いとはわかっています、無理にとはいいません」
「なにを言うんだよ、お志乃さん、そんなことお安いことだ、まかしておいてよ」と吉助は胸を叩いた。
「ありがとう、無理なこと頼んで、でも十分気をつけてね」
「わかってますよ、それじゃあ早速出かけます、早いに越したことがないからね、じゃあ行って来る」と吉助は夜道に飛び出して行った。
 その頃菊乃助は一番大きな分銅を吊られ必死に戦っていた。お美知は今度は菊乃助の前に回らせられ舌を使って肉隗を責めさせられていた。
 しかし、今度の分銅はかなり大きく重そうなのだ、簡単には持ち上げられそうにない。
「おい、小僧、どうした、びくともしねぇな、このままだと明日の朝まで続けなきゃならないぞ、ハッハッハッハ」と男達は面白がって囃し立てている。
 菊乃助の肌は汗に濡れ悩ましく光っていた。
「これじゃあ、朝まで待っても吊り上げられないわよ、お美知、前はあたいが変わってあげる、あんたは後ろに回って肛門をやさしく舐め上げてやりな」とお米が見ていられず菊乃助の前に膝を突いた。
 お美知は言われるまま後ろに回った。
 お米は早速おいしそうに肉隗を舐め上げ出している。
「ほら、お美知、お前も始めろ」と男達が囃し立てた。
 お美知は仕方なさそうに菊乃助のお尻を左右に割った。
「ああっ、うっ」と菊乃助は体を仰け反らした。
 お美知の舌先が肛門に触れた。
「う、ああっ」と菊乃助は太ももをブルブルと震わせた。
 お美知の唇が肛門に密着した。菊乃助の体がガクガクと痙攣している。
 それとともに肉隗が変化し出した。血管を浮き立たせ太く硬く勃起しだしたのだ。
 大きな分銅が少し持ち上がった。
「おっ、小僧、やるじゃねぇか、もう少しだ」と男達は囃し立てた。

                           今度はお美知と二人

 分銅がクイックイッと持ち上がった瞬間、ピューと肉隗の先端から白い粘液が飛び出したのだ。
「ヒャー、この子やっちゃったわ」とお米は横によけた。
「ううっ、うっ・・・」と菊乃助は全身を硬直させながら肉隗の先端から断続的に射精をくり返している。
「ハッハッハッハ、小僧、そんなに気持ちよかったのか、お米、絞り出してやれ、ヘッヘッヘ」と辰蔵が言った。
「あいよ」とお米は菊乃助の肉棒を根元から絞り出すようにしごきだした。
「ああっ、うっ、あっ、ああ」菊乃助は目を閉じあえぐような声を漏らし、今まで経験したこともない下腹部の快感に我を忘れて女のように悶えるのであった。
「おい、小僧の悶える姿も興奮させるじゃねぇか、変な女より色っぽいぜ、ヘッヘッヘ」などと囃し立てるのだ。
 菊乃助の射精が止まった。菊乃助の前方の畳には白い粘液が大量に撒き散らされていた。
「あら、派手にやってくれたわねぇ、やっぱり若いと量もすごいじゃない、辰蔵さんはこんなにはでないでしょう、ホッホッホ」
「うるせぇ、お米、俺も昔はこんなもんじゃなかったぜ、でも今でも若い美人とならまだまだいけると思うぜ」と辰蔵は負けずに言った。
「うそばっかり、この間なんか私がいくらしごいてやっても起たなかったじゃないか」とお米が言った。
「お米、よけいな事言うんじゃねぇよ、あれはお前がブスだからにきまってるじゃねえか、この小僧の姉上みたいな美人なら触られただけでも出ちゃうかもな、ヒッヒッヒ」
「負け惜しみ言ってるよ、フッフッフ」
「こいつの姉さん捕まえたら、絶対やらせてみるぜ、楽しみだ」
「ああ、その時は見せておくれ、フッフッフ」
「お松、ところで余興はこれで終わりなのか」と辰蔵が聞いた。
「まだあるわよ、いぼ縄詰めが、フッフッフ、お美知、お前この間やられたばかりだよね、フッフッフ、そうだ、いいこと思いついた、お美知、お前も一緒にいぼ縄責めを受けるんだよ、お坊ちゃんとどっちが早く根を上げるか競争だ、フッフッフ、辰蔵さん、お美知も抵抗できないように縛っておくれ」とお松は言った。
「いやです、あれだけは、許して下さい、ああっ」お美知は逃げようとしたが男達に押さえつけられ後ろ手に縛り上げられていった。
 菊乃助を吊っている縄が解かれその場所に二つの茶箱が運ばれてきて並べて置かれた。
 菊乃助はなにをされるのかとおろおろしている。お美知の顔は青ざめ恐怖に満ちた顔になっている。いぼ縄責めの恐ろしさを知っているからなのであろう。
 菊乃助とお美知は無理やり足を広げられ四尺程の青竹の両端に足首がそれぞれ縛り付けられていった。
「お美知、お前だけこんなものつけていちゃあ、お坊ちゃんに悪いぜ、お前もスッポンポンだ」と辰蔵はお美知の褌の紐の結び目を解いて、サッと股間から引き抜いた。
「ああっ」とお美知は腰を曲げた。
 二人は男達に持ち上げられ茶箱の上に仰向けに乗せ上げられていく。そして足首を縛った青竹の両端に縄が結び付けられ、その縄尻が茶箱の上の鴨居に通され男達の手で引かれた。
 二人の足はV字に上に吊り上げられ恥ずかしい股間が丸見えにされたのだ。それだけではない二人のお尻の下に枕が差し込まれた。二人の恥ずかしい部分がさらに強調された。全てが丸見えなのだ。
「ハッハッハッハ、いい眺めだぜ、それにしても神様うまく造ったもんだぜ、見ろよ女と男の違い、ヒッヒッヒ、しかしケツの穴は同じだ、どっちもかわいい穴してるじゃねぇか、お松、これから始めるいぼ縄責めってやつはこのケツの穴を責めるんだろう」
「そうだよ、面白いから、フッフッフ」とお松は笑った。
「辰蔵さん、今からいぼ縄を作るから、できるまでの間この二人のお尻の穴をそこにある筆で可愛がっておやり」とお松が言った。
「わかった、まかしておいてくれ」と辰蔵ともう一人の男が筆を手に取り二人の丸出しの股間の前にしゃがみ込んだ。
「やめてぇ、お願い、許してぇ」とお美知が声をあげた。
「うるせぇ、お美知にも猿轡を噛ませてしまえ」と辰蔵が言った。
 すぐにお美知は豆絞りで猿轡を噛まされた。
 お松とお米は麻紐を手にし一寸おきに結び玉を作り上げている。
「ああ、ううっ、いいっ、ああっ」と二人のうめき声が聞こえ始めた。
 筆が肛門を刺激し始めたのだ。男達は二人の股間が見える側に集まりだした。
 何十人もの視線が二人の股間に集まっているのだ。隠すこともできない屈辱的姿にされすぐそばから観察されるようにそして見比べられるように眺められる恥ずかしさは耐え難いものであろう。

                              いぼ縄責め

「どうだ、くすぐったいか、ヒッヒッヒ、お美知、お前も災難だな、本当はこの坊主の姉ちゃんがお前の場所にいることなんだが、我慢するんだな、明日にはあの女捕まえてやる、そうすりゃお前も無罪放免だ、それまでの代わりだ、ヒッヒッヒ、お美知、女郎にしてはお前もきれいなスジマンしてるな」などと辰蔵は指先でお美知の縦筋を左右に広げた。
「あうっ、ううっ」とお美知は腰をくねらせた。
「きれいな色していやがるな、ヒッヒッヒ」と辰蔵は指先を肉の谷間にヌルッと差し込んだ。
「うっ、ああっ」とお美知は仰け反った。
「ヒッヒッヒ、こいつ俺の指締め付けてくるぜ、いいもの持ってる、この小僧の姉ちゃんのは侍の娘だけにもっときれいで抜群のものなのだろうな、ヒッヒッヒ、明日が楽しみだ」と辰蔵は自分の指に絡み付いてくる柔肉の感触を楽しんでいるのだ。
 その時「はい、出来上がったよ、どいておくれ」とお松が男たちを二人の前から追い払った。
「じゃあ、始めるね、お美知は一度味わってるからわかってるよね、ホッホッホ」とお松はお美知の顔を覗き込んだ。
 お美知の顔は青ざめていた。
 いぼ縄責めが強烈なものであることを知っているからなのであろう。
「このお坊ちゃんは私にまかしておくれ、お米、お前はお美知を頼むよ、ホッホッホ、じゃあ始めるよ、どっちが先に根を上げるかな、辰蔵さん、賭けたらどうだい」とお松が言った。
「そうだな、そりゃあ面白れぇ、俺はお美知に賭けるぜ」と辰蔵は懐から小銭を取り出しそばにあったどんぶりに入れた。
「俺はこの小僧だ」
「俺はやっぱりお美知だな」などと男たちは小銭を賭け終えた。
「じゃあ、始めるよ」とお松はこぶ縄と火箸を一本手に持ち菊乃助の無防備な股間の前にしゃがみ込んだ。
 お米もお美知の股間の前に座り込み「癪に障るけど若いときれいなものだねぇ」と目の前の陰部を観察するように眺めた。
「お米、いいかい、一緒に始めるよ、はい」といぼ縄責めが始まった。
 最初のいぼが肛門に押し当てられた。麻縄の表面がチクチクするからなのであろう。二人の顔が激しく歪んだ。
 いぼに火箸の先が押し当てられ肛門に押し込み始めた。
「ううっ、うっ」と二人は体をくねらせもがいた。
 最初のいぼが肛門の中に消えたが火箸は肛門に差し込まれそのいぼを奥へと押し込んでいる。二個目のいぼが肛門に達したとき火箸が肛門から引き抜かれた。
 休まず次のいぼが火箸で押し込まれていく。その強烈な感触に菊乃助の体が波打っている。
 辰蔵達も身を乗り出し二人の肛門に食い入っている。
 二つ目のいぼが肛門の中に姿を消した。そして三個目、四個目と次々に押し込まれていったのだ。
 十個目を押し込んだ所でお松はいぼ縄を引き始めた。
 押し込まれていたいぼが一個顔を出してきた。「フッフッフ、どうだい、痛いかいそれとも気持ちいいかい」とお松はヌルッと一個目のいぼを引き出した。
「ううっ」と菊乃助が体を仰け反らした。お美知も同じように引き抜かれている。
 二個目、三個目といぼが引き抜かれてくる。そのたびに二人の体は激しく仰け反った。
 最後の一個までくると今度はまた押し込み始めたのだ。
 二人には陰部を多くの目に眺められている恥ずかしさなどは消え、チクチクする異様ないぼ縄の感触に目を白黒させ悶えているのだ。
 考えている以上に強烈なものなのであろう。
 四個目、五個目といぼが肛門に消えていく。十個目が押し込まれた所で今度はいぼ縄が一気に引き抜かれた。
「あうっ」と二人の顔が激しく歪んだ。
 菊乃助の肛門は血がにじんでいる。
 しかし、いぼ縄責めは終わらなかった。また最初のいぼが肛門に押し付けられ火箸で押し込まれていく。
 どちらが先に根を上げるのであろうか。

                              志乃町へ

 翌朝、志乃は早く目が覚め外に出た。まだ薄暗いだけに外は少し寒い位であった。志乃は菊乃助のことが気になり昨夜はほとんど眠っていなかった。
 今日弟が晒し者になる。それを考えるとこんなことしていていいのであろうか、すぐに行って助けてやるべきではなかったのか、しかし、二人とも捕えられては江戸へ行くことができなくなる。今は我慢しなければならないのだと志乃は自分に言い聞かせるのだが菊乃助のことが頭から離れなかった。
「あら、志乃様、もうお目覚めになったのですか、もう少しゆっくり体を休めておられれはいいのに」とお里が外に出てきて言った。
「ありがとうございます、でも弟のことを思うと眠っていられなくて」
「お気持ちはわかります、でも十分休養をとらないと救い出すことなど考えられませんよ、足首の様子はいかがですか」
「はい、足首の痛みはお陰さまですっかりよくなりました」
「それはよろしゅうございました、でも無理はしないで下さい。朝ご飯を食べたら私が町の様子を見に行ってきます、志乃様はもう少し体を休ませておいて下さい」
「お里さん、私も連れて行って下さい」
「それはできません、そんな姿で町に行ったらすぐ見つかってしまいます、志乃様はここで待っていて下さい」
「じゃあ、お里さん、私の髪を結いなおしてくれませんか、お願いします」
「そんな・・・・・志乃様それは危険です」
「お里さん、お願いします、どうしても菊乃助の安否をこの目で確かめたいのです、着る物もお里さんのなんでもかまいません貸して下さい」
「志乃様・・・・・・わかりました、でも救い出すのは暗くなってからですからね、決して危険なことはしないで下さいね」
「はい、約束します、お里さん、ありがとう」
「じゃあ、朝ご飯を食べて髪を結いなおしますか、その髪型ではすぐ武家の娘とわかってしまいますからね、志乃様、風邪をひいては大変ですから中にお入り下さい」
「はい、ありがとう、お里さん」
 朝ご飯を食べ髪を結いなおした志乃はお里の着物を借り、田舎娘のような姿に変貌した。顔にも炭などを少し塗りつけ武家娘とは到底思えない容貌に変わった。
「あの志乃様とは思えないほど変わりましたよ」
「ありがとう、お里さん」
「それと志乃様、町に行ったらしゃぺらないで下さいね、話しかたからバレてしまいますからね」
「そうですね、気をつけます」と志乃は答えた。
「じゃあ、出かけますか」とお里が言った。
「はい、お願いします」と志乃も立ち上がった。
「じゃあ、母ちゃん、出かけてくるよ」とお里は声をかけた。
「はいはい、行っておいで、気をつけてな」
 志乃とお里は明るくなった外に出た。歩きながらお里が言った「志乃様、町に行ったら志乃では危険ですからお玉にしますけどいいですね」
「はい、かまいません、なにからなにまで気を使っていただき本当にありがとう御座います」
「私にできることだけやってるのですから気にしないで下さい、誰かに会った時は従妹ということにしますから」
「はい、承知しました」
 二人は一路町に向かった。
 その頃、菊乃助は牢から引き出され辰蔵達に後ろ手にきつく縛り上げられ、お情けに褌だけ身につけることを許された。
「おい、小僧、有難く思へ、親分のご好意で褌をつけることができるんだ、丸出しよりいいだろう、ヘッヘッヘ、と辰蔵は菊乃助の男根を突然鷲掴みにした。
「あっ、なにをする。放せ放せ、ううっ」
「ヒッヒッヒ、放せだってよ、可愛いじゃねぇか、こいつよく見ると役者みたいにいい顔してるなぁ、へたな女よりずっと色っぽいぜ、ヘッヘッヘ」と男根を手放した。
「ああっ」
「よし、お坊ちゃんに褌をつけてやれ」と辰蔵が笑いながら言った。
 菊乃助の腰に赤い褌がつけられた。
「外の準備はできてるか」と辰蔵が聞いた。
「へい、言われたとおり十字の磔柱に下に横木も打ち付けました」
「おっそうか、ご苦労、じゃあ連れ出すか、ところで外の様子はどうだい」
「へい、もう百人以上の野次馬でごった返しているようですぜ」
「そうか、小僧、そうだってよ、お前の裸を見たくていっぱい集まっているようだぜ、ヒッヒッヒ、じゃあ行くぞ」と菊乃助は背中を押された。

                               大の字晒し

 志乃とお里が町に着くと椿屋の前は人垣ができていた。椿屋の入口の横に白木の磔柱が横倒しに置かれている。まだ、菊乃助は晒されてはいなかった。志乃は少しほっとした。しかし、これから菊乃助は引き出されてきてあの柱に縛り付けられるのであろう。それを考えると志乃は今すぐにでも椿屋に乗り込んでいって救い出してやりたいと思うのであった。しかし、それは志乃一人でできるわけがない、早まって自分まで捕まってしまったらもはや江戸に密書は届けられない。そうなれば父上の命も危ないであろう。ここは慎重にいかなくてはと自分のはやる気持ちを必死に抑える志乃であった。
 その時、観衆がざわめいた。ハッとして志乃とお里は人混み紛れて椿屋の入口に目を向けた。志乃は愕然とした。菊乃助が褌一枚の姿で外に引き出されてきたのだ。志乃は飛び出して行きたい気持ちを必死に抑えた。お里も志乃の手をきつく握って押さえているのだ。
 菊乃助が磔柱の方に押されていく。男たちの手で菊乃助は磔柱の上に仰向けに乗せ上げられた。両手が広げられ横木にきつく縛り付けられている。腰も柱に縛り付けられている。菊乃助は恥ずかしさに頬を赤く染めているのだ。それはそうであろう、男とはいえ武士が褌一枚の姿を町民達の目に晒しているのだ。観衆の中には若い女達も多く混じっている。菊乃助の恥ずかしさは耐え難いものであろう。
「おい、小僧、あんよを広げな、フッフッフ」と辰蔵がニヤニヤして言った。
 菊乃助の足首が押さえつけられ無理やり左右に広げられていく。
「ああっ、やめろ、ううっ、許さぬぞ、ああっ」菊乃助の足は大きく広げられ足首が下方に打ち付けられた横木にきつく縛り付けられていった。なんと菊乃助は大の字に縛り付けられたのだ。そして、菊乃助は猿轡を噛まされた。
「よし、立てろ」と辰蔵が叫んだ。
 磔柱がゆっくりと立てられていく。菊乃助は地面から五尺程の高さにありありと晒された。観衆からため息が漏れた。なんとも悩ましい光景ではないか。観衆は口を開けたまま見惚れているのだ。
 志乃は目を向けていられず顔を横に背けた。
「志乃様、堪えてください、夜を待つのです。それより警備の状態を探っていくのです」とお里は志乃の耳元で囁いた。「わかってます、お里さん、心配しないで」
 志乃とお里はあたりを見回した。椿屋の屋根の上に二人見張りが隠れている。また、向かいの酒屋の二階にも見張りが隠れていた。椿屋の玄関の土間には数十人の男たちが戦支度して待ち構えている。かなり厳重な警備だ、夜中は本当に手薄になるのであろうか。志乃は不安を感じていた。
 菊乃助は恥ずかしいのであろう、顔をうつむけ目を閉じている。観衆はさらに増え五百人以上になっていた。贅肉のない引き締まった菊乃助の体は女達の目を魅了していた。
 長い菊乃助の晒し者が始まった。菊乃助は耐え切れるのであろうか。昼とはいえ裸では少し寒い気候だ。これでは尿意も早く襲ってくることであろう。厠はどうするのであろう。
 その心配がすぐに表われた。菊乃助が体をよじって額に脂汗を滲ませているのだ。
 辰蔵はすぐにそれに気がついた。
「おい、小僧、おしっこしたくなったのか、店の前で垂れ流されちゃあ困るぜ、どうだ我慢できるか」と辰蔵は見上げて言った。
 菊乃助は首を横に振った。我慢できないのであろう。
「おい、お米に小僧がおしっこだって言ってこい」と辰蔵が子分に命令した。
すぐに お米が壷のようなものを持って外に出てきた。
 柱の横に踏み台が置かれた。
「お坊ちゃん、今わたしがさせてあげるからね、ホッホッホ」とお米は踏み台の上に上がった。
 観衆はどうするところなのかとざわめき始めた。
「お坊ちゃん、フッフッフ、私に任せなさい」とお米は褌の横から菊乃助の肉隗をつまみ出したのだ。
「ああっ、うっ」と突然のことに菊乃助は焦った。
「ほら、この中にやるのよ、私が支えていてやるから、ホッホッホ」とお米は肉隗の亀首あたりをつまんでその先端を壷の中に向けた。
 あまりの屈辱に菊乃助は全身を震わせた。こんな多くの人前で女に男根をつままれ放尿を強いられるこんな屈辱があるであろうか。
「お坊ちゃん、我慢してないで出しな、スッキリさせなよ、フッフッフ」とお米は指先で肉隗をしごくのだ。
「あうっ、ううっ」と菊乃助は左右に顔を振り激しく顔を歪めた。
 武士としてこんな人前で放尿を演じるわけにはいかない、しかし、尿意は徐々に強くなってくるのだ。

                             屈辱の人前放尿

 志乃は菊乃助のそんな姿に目を向けていられず、お里の背中に顔を押し付けていた。
「なんていうことを、こんなことまでしなくても・・・・」とお里は唇を嚙み締めた。
「お里さん、これ以上この場にいられません、このままじゃ飛び出して行きそう、なにもできない自分が口惜しくて・・・・・」
「志乃さん、我慢して、一旦家に戻りましょう」とお里は志乃に言った。
「はい、そうしましょう」と志乃は顔を上げ菊乃助の方に目を向けた。
 その時、丁度菊乃助の放尿が始まったのだ。
 志乃はハッとして目を背けた。
 音をたてて壷の中に放尿が続いた。観衆もそんな光景にざわめいた。
「志乃さん、行きましょう」とお里は志乃の手を引いて人混みを掻き分けその場から急いで離れた。
 志乃は心の中で菊乃助許して、なにもできないこの姉を、必ず救いに来るからそれまで命は大事にしてと叫ぶのであった。
 かなり我慢していたのであろう、菊乃助の放尿は長々と続いた。昨夜から厠にも行かされずまだ肌寒い朝から裸で磔にされているのだから仕方ないことなのであろう。
 しかし、武士としての菊乃助にとってこんな人前で放尿を演じている屈辱は死ぬより辛いものなのであろう。
 ようやく放尿が終わった。菊乃助は頬を真赤に染め顔を恥ずかしそうにうつむけている。
「ホッホッホッホ、長かったわね、でも楽になっただろう、フッフッフ」とお米はつまんでいた男根を折り曲げるようにして褌の中に押し込んだ。
「おい、お米、一旦みんなに見せたんだ、そんな褌など取ってしまえよ」と辰蔵が笑いながら言った。
「そうだそうだ、取ってしまえ」と観衆からも声がかかった。
「そうかい、なんか可哀想だけど、いいか、フッフッフ」と菊乃助の顔を覗き込んだ。
 菊乃助は口惜しそうに顔を背けた。
 お米の手が腰紐の結び目にかかった。
「ああっ、ううっ」と菊乃助はいやいやというように顔を左右に振った。
 しかし、可哀想にも結び目は解かれ股間を覆っていた布切れは股の間から引き抜かれた。
「ああっ」と菊乃助は顔を激しく歪めた。
 観衆からもため息が漏れた。特に観衆の女達の目は菊乃助の股間に釘付けになっていた。
 菊乃助は気が狂いそうな恥ずかしさは襲われた。武士としてこんな多くの町民に性器を晒す屈辱は死ぬより辛いものであろう。それだけではない、股間の陰毛はツルツルに剃り上げられ毛をむしり取られた鶏がらのような肉隗を晒しているのだ。気が狂いそうな強烈な恥ずかしさに菊乃助は気が遠くなっていくのであった。
「フッフッフ、お坊ちゃん、そんなに恥ずかしいのかい、どうせ見せるならもっと立派なものを見せてやりなよ、こんなグニャグニャなものじゃなくさ、フッフッフ、私が手伝ってあげるからさ、頑張っておっ立ててみな」とお米は男根を手のひらで包み込むようにやさしく握り締めた。
「ああっ、うっ」と菊乃助は腰をくねらせた。
 お米の手が巧妙に動き始めた。
「ああっ、あっ、ううっ」と菊乃助は顔を左右に振り悶えた。
「ほら、おっ立ててみろ、ヘッヘッヘ」などと観衆も興奮して囃し立てて来る。
 必死に耐えようと我慢している菊乃助であったがお米の巧妙な手腕には勝てなかった。
 男根は反応し始めお米の手の中でムクムクと膨張し始めた。
「あら、若いとこんなに早く硬くなってくるのねぇ、ホッホッホ、いいのよ、思い切って大きくしなさい、昨日の夜のようにね、フッフッフ」とお米は手の刺激を強めていくのであった。
 見る見るうちに肉棒は血管を浮き立たせ反り返るように勃起した。
 菊乃助はこんな人前で女郎のような女にしごかれ肉隗をそそり立てている自分に恥じ目尻から大粒の涙を流すのであった。

                                人前射精

 菊乃助の意思とは逆にお米の手腕で肉隗は血管を浮き立たせ太く長くそして硬く反り返った。そんな菊乃助の股間を食い入るように眺めている女達は「あらすごいわ、あんなに大きくなるものなの」とか「うちの旦那もあんなに太くなってくれたらねぇ、ホッホッホ」などと囁きあっている。
 菊乃助は今は恥ずかしさより必死に堪えることに集中していた。こんな人前で醜態を演じてはならないと菊乃助はこみ上げてくる異様な快感と戦っているのだ。
「おい、お米、そろそろやめないと吹き出しちゃうぞ、いいのか、また小さくなってしまうぞ、ヒッヒッヒ」と辰蔵がお米に声をかけた。
「いいじゃない、小さくなったらまた大きくしてあげるよ、ホッホッホ」
「お前も好きだな、まかせるよ」と辰蔵はあきれたようにその場にしゃがみ込み菊乃助の肉隗を見上げた。
「おい、小僧、出してもいいぞ、お米が何度でも出させてやるそうだ、ありがたく思え、ヒッヒッヒ、おめぇの姉さんが現われるまで続けるってさ、ハッハッハッハ」
 その時、菊乃助が「あうっ、うっ」と全身を硬直させた。
「ほら、みんな、お坊ちゃんがいくわよ」とお米が叫んだ。観衆もざわめいた。
 菊乃助の顔が激しく歪んだ。その瞬間、充血した亀頭の先端からピュッピュッと断続的に白い粘液が勢い良く吹き出したのだ。
「ヒャー、ほらやったわよ」とお米は自慢げに叫んだ。観衆は身を乗り出し菊乃助の股間に目を釘付けにしている。
射精は長く続いた。
「小僧、そんなに気持ち良かったのか、こんなに散らばしやがって、武士として恥ずかしくないのか」と辰蔵は見上げて言った。
 そんな言葉が菊乃助の屈辱心をさらに煽るのであった。射精は終わった。
「ホッホッホ、気持ちよかったかい、お坊ちゃん」とお米は手のひらで亀頭を包み込むように握った。
「ああっ、あっ、あああっ・・・」と菊乃助は激しく体を痙攣させもがいた。射精直後の亀頭部分はかなり敏感になるからなのだ。
 そんな悶える菊乃助の姿が観衆の女達を興奮させていた。
「お米、あとはまかせるぜ、俺は親分と打ち合わせだ」と辰蔵は中に消えた。
 その頃、志乃は夜の準備にかかっていた。
「志乃さん、これ使って下さい」とお里が黒い着物のようなものを箪笥から出してきた。
「えっ、これは?」
「わたしの兄が着ていたものです。兄は忍者にあこがれ服部半蔵の一門に入れてもらったのですがすぐに戦いで切られ死亡したらしいのです。この忍者の着物だけが形見としてうちに届けられたものです。
「そんな大事なものを私が使うわけにはいけません」
「そんなことありません、兄は体が小さい方でしたから志乃様でも着られると思います。志乃様に使っていただければ何の役にも立たず死んだ兄も喜んでくれると思います。どうぞ使って下さい」お里は言った。
「お里さん、ありがとう、お借りいたします」と志乃は絶対今夜菊乃助を救い出すと心に決めるのであった。
 その頃、辰蔵と笹川が密談していた。
「おい、辰蔵、姉が救いにくるとしたら、こんな野次馬に囲まれた昼に来るわけがねぇ、来るとしたら夜だ、わざと夜になったら見張りを手薄に見せるんだ、そして現われた所をひっ捕まえるんだ、いいな」
「へい、わかりました、夜が楽しみですぜ、親分、あの姉はすごい美人ですぜ、捕まえたら素っ裸に剥き上げて・・・ヒッヒッヒ」と辰蔵はいやらしく笑った。
「辰蔵、女だと思ってヘマするんじゃねぇぞ」
「わかっていますよ、用心棒の先生方も少し増やしましたし、それと仕掛けもいろいろと用意させていますからご心配なく、ヒッヒッヒ」
志乃はそんなこととも知らず今夜決行するのだ。果たして救い出せるのであろうか。

                               決行の夜

 紅い夕陽に照らされ引き締まった菊乃助の裸身が悩ましく光っている。磔柱のまわりに松明が焚かれた。西の山に陽が沈みあたりが薄暗くなった頃、観衆も少しずつ帰路につき始めた。
 いつの間にか椿屋の前の黒山の人だかりは消えあたりは沈み返ってきた。
 磔柱の周りに十数人の見張りの男たちがいるだけになった。七、八人残っていた野次馬達もいつしか姿を消していた。
 もうあたりは真っ暗になった。
 椿屋の正面が見渡せる数軒離れた宿屋の屋根の上に黒装束を身に着けた志乃が身を伏せていた。志乃一人で救い出すには見張りが手薄になるのを待つしかなかった。しかし、今だ十数人のみはりが磔柱のまわりをうろうろしているのだ。
 志乃は待った。あたりはかなり冷えてきた。全裸の菊乃助にはかなりきびしいものであろう。志乃はすぐにでも出て行って救い出してやりたいと思うのだがお里に言われた「手薄になるのを待つのです」という言葉がそれを止めていた。二人とも捕まってはいられないのだ。二人には江戸に密書を届ける大事な使命があるのだ。
 どれほど時間が経ったであろうか。椿屋の中から一人の男が飛び出してきて「おい、みんな、夜は長い、夜食の用意ができたぜ、一旦中に入って腹ごしらえだ」と見張りの男達に呼びかけた。
「そうか、じゃあ、慎太と安、お前達二人は残れ、後の者は腹ごしらえだ」と辰蔵は男達を引き連れ椿屋の中へと姿消していった。
 なんと見張りは二人だけになったのだ。志乃は急なことにあわてた。今やらなければそれだけが慎重さを欠かせた。これが相手の策略とは志乃は気づいていなかった。
 志乃は屋根越しに椿屋の脇の路地まで近寄った。
 しかし見張りが手薄どころか数十人の男達が身構えていたのだ。
 そうとも知らず、志乃が路地から飛び出し見張りの男一人を一撃で気絶させた。
「あっ、出た」ともう一人の見張りの男が声をあげた。志乃はその男に向かって走り一刀のもとに切り捨てた。
「菊乃助、助けに来たわよ」と志乃が磔柱に駆け寄った時「残念だが、そうはいかないぜ。ヒッヒッヒ」と数十人の男達が飛び出してきて志乃を取り囲んだ。
「あっ、計られたか」と志乃は身構えた。
「おいおい、お嬢さん、戦う気かい、怪我するぜ、あきらめて刀を捨てな」と辰蔵が言った。
「卑怯者、寄るな」
「ヒッヒッヒッヒ、なかなか気が強いお嬢さんだな、おい、かまわねぇ、ひっ捕えろ」と辰蔵が叫んだ。
 数人の男が志乃に飛び掛った。しかし、志乃の刀が舞った。その男達はギャーと悲鳴をあげ地面を転げまわった。
「この女、甘くみていりゃいい気になって、野郎ども手加減しないで捕まえろ、殺すんじゃないぞ、生け捕りだ」と辰蔵が声を荒立てた。
 しかし、剣道指南役の娘だけに手こずっている。
 その時、「おい、女、これを見ろ、弟の大事なものがなくなってもいいのか」という辰蔵の声にハッとして志乃は振り向いた。
 辰蔵の刀が菊乃助の男根の根元に押し付けられていたのだ。
「ヒッヒッヒ、小僧が女になってしまうぜ、いいのか、黙って刀を捨てるんだ、早くしろ」と辰蔵が叫んだ。
「卑怯者、うっ・・・・」
「そうだよ、卑怯者で悪かったな、刀を捨てろ、捨てるんだ」
 志乃は唇を嚙み締め躊躇している。
「おい、早くしろ、切り落としてもいいのか」
「ま、待って下さい・・・・」と志乃は刀を捨てた。
「よし、女を縛り上げろ」と辰蔵がやったとばかりに声をあげた。

                               その二へ続く