霊界の情勢・現界の今後
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経過・現状 及び 現界・幽界の今後について
霊界物語・霊主体従・子の卷（第一巻）より
以下抜粋
第二篇 幽 界 よ り 神 界 へ
第一八章 靈 界 の 情 勢（一八）
こゝで自分は、神界幽界の現界に對する關係を一寸述べて置かうと思ふ。
神界と幽界とは時間空間を超越して、少しも時間的の觀念はない。それ故靈界に於て目撃した事が、二三日後に現界に現はれることもあれば、十年後に現はれることもあり、數百年後に現はれることもある。又數百年數千年前の太古を見せられる事もある。その見ゆる有状（ありさま）は過去、現在、未來が一度に鏡にかけた如く見ゆるものであつて、恰（あたか）も過去、現在、未來の區別なきが如くにして、しかもその區別がそれと暦然推斷され得るのである。
靈界より觀（み）れば、時空、明暗、上下、大小、廣狹（くわうけふ）等凡（すべ）て區別なく、皆一樣平列的に靈眼に映じてくる。
茲（ここ）に自分が述べつゝあることは、靈界に於て見た順序の儘（まま）に来るとは限らない。靈界に於て一層早く會ふた身魂が、現界では一層晩（おそ）く會ふこともあり、靈界にて一層後に見た身魂を、現界にて一層早く見ることもある。今回の三千世界の大神劇に際して檜舞臺（ひのきぶたい）に立つところの靈界の役者達の靈肉一致の行動は、自分が靈界に於て觀（み）た所とは、時間に於て非常に差異がある。
されど自分は、一度靈界で目撃したことは、神劇として必ず現界に再現して来ることを信ずるものである。
却説（さて）天界は、天照大御神の御支配であつて、これは後述することにするが、今は地上の神界の紛亂（らん）状態を明かにしたいと思ふ。今迄は地上神界の主宰者たる國常立尊は『表の神諭』に示されたる如くに、巳（や）むを得ざる事情によつて、引退され給ふてゐられました。
それに代つて、太古に於て衆望を擔（にな）うて、國常立尊の後を襲ひ給ふた神様は、現在は支那と云ふ名で區劃（くくわく）されてゐる地域に、發生せられたる身魂であつて、盤古大神と云ふ神である。この神は極めて柔順なる神にましまして、决して惡神ではなかつた故に衆神より多大の望みを囑（しよく）されてゐ給ふた神である。今でこそ日本と云ひ、支那と云ひ露西亞（ロシア）と云ひ、種々に國境が區劃（くくわく）されてゐるが、國常立尊御神政時代は、日本とか外國とかいふやうな差別は全くなかつた。
ところが天孫降臨以來、國家と云ふ形式が出来上り、所謂（いはゆる）日本國が建てられた。從つて水火沫（しほなは）の凝りてなれるてふ海外の地にも國家が建設されたのである。偖（さ）て、所謂（いはゆる）日本國が創建され、諸々の國々が分れ出でたる時、支那に生まれたまうた盤古大神は、葦原（あしはら）中津國に來り給ひて國祖の後を襲ひ給ふた上、八王大神と云ふ直屬（ぞく）の番頭神を御使ひになつて、地の世界の諸國を統轄せしめられた。一方所謂（いはゆる）外國には、國々の國魂の神、及び番頭神として、國々に八王八頭と云ふ神を配置された。丁度それは日本の國に盤古大神があり、その下に八王大神がおかれてあつたやうなものである。日本本土に於ける八王大神は、諸外國の八王八頭を統轄し、その上を盤古大神が總纜（そうらん）し給ひましたが、八王八頭は决して惡神ではない。天から命ぜられて各國の國魂となつたのは八王であり、八頭は宰相の位置の役である。斯（か）う云（い）ふ風なのが、今日國常立尊御復權（けん）までの神界の有様である。
さうかうするうちに、露國（ろこく）のあたりに天地の邪氣が凝り塊つて惡靈が發生した。これが刺（すなは）ち素盞嗚命（すさのをのみこと）の言向和（ことむけやわ）された、かの醜い形の八頭八尾の大蛇の姿をしてゐたのである。この八頭八尾の大蛇の靈が靈を分けて、國々の國魂神および番頭神なる八王八頭の身魂を冐（をか）し、次第に神界を惡化させるやうに努力し乍（なが）ら現在に到つたのである。然（しか）るに一方印度に於ては、極陰性の邪氣が凝り固まつて金毛九尾白面の惡狐が發生した。この靈は各（おのおの）又靈を分けて、國々の八王八頭の相手方の女の靈にのり憑つた。
而（しか）して、又一つの邪氣が凝り固まつて鬼の姿をして發生したのは、猶太（ユダヤ）の土地であつた。この邪鬼は、凡（すべ）ての神界並びに現界の組織を打ち毀（こわ）して、自分が盟主となつて全世界を、妖魅界にしやうと目論見てゐる。併（しか）し乍（なが）ら日本國は特殊なる神國であつて此の三種の惡神の侵害を免れ、地上に儼（げん）然として、萬古不動に卓立して居る事が出来た。此惡靈の三つ巴のはたらきによつて、諸國の國魂の神の統制力はなくなり、地上の世界は憤怒と、憎惡と、嫉妬と、羨望と、爭闘などの諸罪惡に充ち滿ちて、終（つひ）に收拾すべからざる三界の紛亂状態を釀（かも）したのである。
茲（ここ）に於て天上にまします至仁至愛の大神は、この儘（まま）にては神界、現界、幽界も、共に破滅淪亡の外はないと觀察し給ひ、再び國常立尊をお召出し遊ばされ、神界及び現界の建替を委任し給ふことになつた。さうして坤之金神（ひつじさるのこんじん）をはじめ、金勝要神、龍宮乙姫、日出神が、この大神業を輔佐し奉ることになり、殘らずの金神（こんじん）即（すなは）ち天狗達は、各（おのおの）分擔（ぶんたん）に從つて御活動申上げ、白狐は下郎の役として、それぞれ神務に參加することになつた。茲（ここ）に於て天津神の嫡流におかせられても、木花咲耶姫命と彦火々出見命（ひこほほでみのみこと）は、事態容易ならずと見給ひ、國常立尊の神業を御手傳ひ遊ばすことゝなり、正神界の御經綸は着々その歩を進め給ひつゝあるのである。それと共に夫々（それぞれ）因縁ある身魂は、凡（すべ）て地の高天原に集まり、神界の修行に參加し、御經綸の端なりとも奉仕さるゝことになつて居るのである。
抑（そもそ）も太古、葦原瑞穗（あしはらのみづほの）中津國は大國主命が武力をもつて、天下をお治めになつてゐた。天孫降臨に先だち、天祖は第三回まで天使をお遣しになり、終（つひ）には武力をもつて大國主命の權力を制し給ふた。大國主神も力盡（つ）きたまひ、現界の御政權をば天命のまゝに天孫に奉還し、大國主御自身は、青芝垣にかくれて御子事代主命と共に、幽世を統治し給ふことになつた。
この時代の天孫の御降臨は、現在の日本なる地上の小區劃（くくわく）を御支配なし給ふ爲ではなく、実に全地球の現界を知食（しろしめ）すための御降臨であり給うた。しかしながら未完成なる世界には、憎惡（にくみ）、憤怒（いかり）、怨恨（うらみ）、嫉妬（ねたみ）、爭鬪（あらそひ）等あらゆる邪惡が充滿してゐるために、天の大神様の御大望は完成するに到らず、從つて弱肉強食の修羅の巷（ちまた）と化し去り地上の神界、現界は、殆（ほとん）ど全く崩壞（ほうくわい）淪亡（りんぼう）しやうとする塲合に立到つたのである。
かゝる情勢を見給ひし天津神様は、命令を下し給ひて、盤古大神は地上一切の幽世の御權利を、艮金神國常立尊に、再び御奉還になるの巳（や）むなき次第となつた。茲（ここ）に盤古大神も既に時節の来れるを知り、從順に大神様の御命令を奉戴遵守し玉うた 然（しか）るに八王大神以下の國魂は、邪神の爲めにその精靈を全く汚され切つてゐるので、まだまだ改心することが出来ず、種々と惡策をめぐらしてゐたのである。なかには改心の兆きざし）の幾分見えた神もあつた。
かくの如くにして國常立尊が、完全に地上の神界を御統一なし給ふべき時節は、既に已（すで）に近づいてゐる。神界の有様は現界にうつり来たり、神界平定後は天津日繼命（あまつひつぎのみこと）が現界を治め給ひ、國常立尊は幽政を總纜（そうらん）し給ひ、大國主命は日本の幽政をお司りになる筈（はず）である。しかし現在ではまだ、八頭八尾の大蛇、金毛九尾の惡狐、及び鬼の靈は、盤古大神を擁立（ようりつ）して、幽界および現界を支配しやうと、諸々の惡計をめぐらしつゝあるのである。
然（しか）しながら從順な盤古大神は、神界に對（たい）するかゝる反逆に賛同されないので、邪鬼の靈は自ら頭目となり赤色旗を押立てゝ、色々の身魂をその眷（けん）族に使ひつゝ、高天原乗取策を講じてゐる。
そこで天よりは事態容易ならずとして、御三体の大神が地上に降臨ましまして、國常立尊の御經綸を加勢なし給ふことになり、國常立尊は假（かり）の御息所を蓮華臺（れんげだい）上に建設して、御三体の大神様を奉迎し給ふことゝなるのである。
隨（したが）つて、御三体の大神様の御息所が出来たならば、神界の御經綸が一層進んだ證拠だと拜察することが出る。
（大正一〇・一〇・二〇 舊九・二〇 谷口正治録）
瑞 月
言靈（ことたま）の幸（さちは）ふ國に生れ来て
祝詞を知らぬ人ぞおほかり
神人（しんじん）を苦しめおける報ひにや
常世（とこよ）の國の鼻息あらし
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