発明の名称 |
密閉式電池用セパレータおよびその製造方法 |
|
発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平10−321212 |
公開日 |
平成10年(1998)12月4日 |
出願番号 |
特願平9−131516 |
出願日 |
平成9年(1997)5月21日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大野 精市
|
発明者 |
周 偉能 / 佐藤 典明 / 細野 寛明 / 三田 義則 |
要約 |
目的
構成
|
特許請求の範囲
【請求項1】 電解液保持体の内部に、電極が挿入される孔を有する密閉式電池用セパレータ。 【請求項2】 上記電解液保持体は、少なくとも1面が平坦である請求項1に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項3】 上記電極が挿入される孔は、その形状が円柱状である請求項1または請求項2に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項4】 上記電極が挿入される孔が複数である請求項1〜3のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項5】 上記電解液保持体は、短繊維が無秩序に堆積した集合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項6】 上記電解液保持体は、短繊維が全体的に均一に堆積したものである請求項5に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項7】 上記短繊維は、その平均径が0.1〜3μmである請求項5または請求項6に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項8】 上記短繊維は、その平均の長さが1〜50mmである請求項5〜7のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項9】 上記短繊維は、その種類がガラス繊維である請求項5〜8のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項10】 上記電解液保持体は、その電極が挿入される孔の内壁が2層構造である請求項1〜9のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項11】 上記2層構造の孔の内壁は、長繊維が編組された管状物が電解液保持体に密着したものである請求項10に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項12】 上記管状物は、その一端が栓で塞がれたものである請求項11に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項13】 上記の栓は、複数の管状物の一端を塞ぐものである請求項12に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項14】 上記電解液保持体は、その内部に堰を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項15】 上記電解液保持体の内部に、堰を平行に複数設けた請求項14に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項16】 上記堰は、撥水性の樹脂フイルムである請求項14または請求項15に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項17】 上記撥水性の樹脂は、ポリオレフィンである請求項16に記載の密閉式電池用セパレータ。 【請求項18】 短繊維の混濁液中に、短繊維を吸い寄せる成形型を浸漬し、この成形型の外周面に前記短繊維を堆積させて、電解液保持体を成形する密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項19】 上記成形型は、円柱形状の突起部を複数有する請求項18に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項20】 上記成形型の外周面に短繊維を堆積させ、さらに前記短繊維とは異なる短繊維を堆積させて2層構造の電解液保持体を成形する請求項18または請求項19に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項21】 上記成形型は、その外周面の全体に上記短繊維を濾過するための孔を多数有する請求項18〜20のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項22】 上記成形型は、その外周面の部分によって、吸い寄せる短繊維の量が異なる請求項18〜21のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項23】 上記成形型は、その突起部の軸線同士を結ぶ線上にスリットを有する請求項19〜22のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項24】 長繊維が編組された管状物を成形型に取り付け、この成形型を短繊維の混濁液中に浸漬し、この管状物の外周面に短繊維を堆積させて電解液保持体を成形する請求項18〜23のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項25】 上記管状物の一端に栓をする請求項24に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項26】 上記管状物が複数存在する場合において、複数の管状物の一端を塞ぐことのできる栓を使用する請求項25に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項27】 上記管状物の表面の一部に、除去可能な目詰め材を塗布する請求項24〜26のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項28】 上記の成形型の突起部あるいは管状物の近くに、邪魔板を設置する請求項18〜27のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項29】 複数の邪魔板が、成形型の突起部あるいは管状物を挟んで平行に設置される請求項28に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項30】 上記の突起部あるいは管状物が複数存在し、その近くに邪魔板が設置される場合において、この邪魔板は、この突起部あるいは管状物同士の間に、短繊維の混濁液が集中的に流れるように、その流れを制御する請求項28または請求項29に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項31】 上記邪魔板は、突起部あるいは管状物同士の中間点の垂線上に、スリットを備えたものである請求項30に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項32】 上記成形型の突起部あるいは管状物に予め堰を取り付けておき、この堰と電解液保持体とを一体物として成形する請求項18〜31のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項33】 上記堰を平行に複数取り付ける請求項32に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項34】 上記堰は、撥水性の樹脂フイルムである請求項32または請求項33に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。 【請求項35】 上記撥水性の樹脂は、ポリオレフィンである請求項34に記載の密閉式電池用セパレータの製造方法。
|
発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、密閉式電池の電極の間に存在するセパレータおよびその製造方法に関する。更には、クラッド電池の電極と隙間のできないセパレータおよびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電池は、その内部の物質間の化学反応を利用して、電気的なエネルギーを取り出すものである。電池の内部では、電極と電解液との間で化学反応が起こり、この化学反応で発生したエネルギーが、電極に繋がれた電線を通して外部に出ていく。そこで、電池は、その内部に少なくとも、電極、電解液、セパレータを有する必要がある。ここで、セパレータは、正負両電極間の短絡を防止し、電解液をその内部に保持するために、正負両電極の間に配置される。したがって、セパレータは、電解液を保持するために、その内部に空隙を多く有するものすなわち多孔質である必要がある。 【0003】また、電極は、数ある種類の中でも、クラッド式とペースト式と呼ばれるものが現在主流である。クラッド式電極とは、高強度の多孔質のチューブの中に集電体と活物質とを詰めたものをいう。ここで、活物質とは、電解液との間で化学反応を起こし、エネルギーを発生させる物質である。また、集電体とは、活物質で発生した電気エネルギーを外部へ伝達する金属性の物質である。クラッド式電極は、活物質が高強度のチューブにより保持されるので、振動に強い。また、化学反応による活物質の体積変化が起こっても、活物質が電極から脱落し難いので、長寿命であるという特徴を有する。対して、ペースト式電極とは、その形状が平板状であり、構造が単純であるので、製造が容易でかつ軽量であるという特徴を有する。したがって、これらの特徴を生かして、クラッド式電極は、フォークリフトなどの移動体用の電源電池として、対してペースト式電極は、汎用の電池として主に使用される。 【0004】そして電解液は、電極と化学反応を容易に起こすイオン化物質(以下、電解質と称す)が多量に含まれた溶液である。この溶液は、多孔質のセパレータに保持されることにより、電池の向きおよび振動などに関係なく、電極と反応することができる。 【0005】電池は、電極と電解液との化学反応により発生したエネルギーを利用するものである。また、電解液は、セパレータに保持される。したがって、電池の性能は、電極と電解液との反応のし易さおよび電極とセパレータとの接触の具合に大きく影響される。電極とセパレータとの接触が悪い場合、例えば電極とセパレータとの間に隙間が存在する場合は、電池の性能が悪くなる。これは、この隙間によって、電極と電解液の円滑な化学反応が阻害されるためであると考えられる。 【0006】クラッド式電極は、その形状が円柱形であることが多く、対してセパレータは、平板状(シート)であることが多い。つまり、クラッド式電極にセパレータを密着させ、隙間ができないようにすることは、元来困難である。まして、複数のクラッド式電極が狭い間隔で設置された場合は、この隙間がさらに発生し易くなる。しかしながら、クラッド電池の性能を向上させるためには、この隙間を小さくするあるいは無くすことが極めて重要である。 【0007】そこで、クラッド式電極と隙間のできないセパレータの開発が、これまで種々に行われてきた。例えば、実公平5−21262号では、クラッド式電極にシート状のセパレータを接触させ、その上からクラッド式電極の間隔に合わせたリブを有するセパレータを圧入し、シート状のセパレータをクラッド式電極の窪みに密着させるものが考案された。 【0008】また、GS News Technical Report, 53(2),5(1994)に掲載された吉岡らの報告では、顆粒シリカをクラッド式電極と対向電極との隙間に充填し、セパレータの代わりをさせようとする発明が提案された。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの技術には、以下のような問題があった。 【0010】実公平5−21262号に記載の考案は、複数のクラッド式電極が狭い間隔で設置された場合、この電極の間の窪みに圧入されたシート状のセパレータが、電極と密着できずに依然として隙間を残していたこと。並びに、この場合、電極の間の窪みに圧入された部分の内部の空隙(繊維同士の間の空間)が圧縮され小さくなるので、セパレータの電解液の保持性が悪くなること。また同様に、活物質と電解液との酸化還元反応により発生したガス(以下、発生ガスと称する)の通気性が悪くなること。以上のような原因により、電池内部の抵抗が高くなり、電池の性能を低下させる問題があった。 【0011】また、GS News Technical Report, 53(2),5(1994)に掲載された吉岡らの発明は、顆粒シリカをクラッド式電極とセパレータとの隙間に充填することが製造技術上難しく、完全に充填させると製造効率が極めて悪くなるという問題があった。 【0012】この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、電解液の保持性が高く、発生ガスの通気性がよく、クラッド式電極に密着する、並びにクラッド電池の製造効率が極めて高くなるセパレータおよびその製造方法を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、電解液保持体の内部に電極が挿入される孔を有するものである。 【0014】請求項2に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1に記載の発明において、電解液保持体の少なくとも1面が平坦であるものである。 【0015】請求項3に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1または請求項2に記載の発明において、電極が挿入される孔の形状が円柱状であるものである。 【0016】請求項4に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、電極が挿入される孔が複数であるものである。 【0017】請求項5に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、電解液保持体は、短繊維が無秩序に堆積した集合体であるものである。 【0018】請求項6に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項5に記載の発明において、電解液保持体は、短繊維が全体的に均一に堆積したものである。 【0019】請求項7に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項5または請求項6に記載の発明において、短繊維の平均径が0.1〜3μmであるものである。 【0020】請求項8に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項5〜7のいずれか1項に記載の発明において、短繊維の平均の長さが1〜50mmであるものである。請求項9に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項5〜8のいずれか1項に記載の発明において、短繊維の種類がガラス繊維であるものである。 【0021】請求項10に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、電解液保持体の電極が挿入される孔の内壁が2層構造であるものである。 【0022】請求項11に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項10に記載の発明において、電極が挿入される孔の内壁は、長繊維が編組された管状物が電解液保持体に密着したものである。 【0023】請求項12に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項11に記載の発明において、管状物の一端が栓で塞がれたものである。 【0024】請求項13に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項12に記載の発明において、栓が複数の管状物の一端を塞ぐことのできるものである。 【0025】請求項14に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、電解液保持体の内部に堰を有するものである。 【0026】請求項15に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項14に記載の発明において、電解液保持体の内部に堰を平行に複数設けたものである。 【0027】請求項16に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項14または請求項15に記載の発明において、堰が撥水性の樹脂フイルムであるものである。 【0028】請求項17に記載の発明の密閉式電池用セパレータは、請求項16に記載の発明において、撥水性の樹脂がポリオレフィンであるものである。 【0029】請求項18に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、短繊維の混濁液中に、短繊維を吸い寄せる成形型を浸漬し、この成形型の外周面に前記短繊維を堆積させて、電解液保持体を成形するものである。 【0030】請求項19に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18に記載の発明において、成形型が円柱形状の突起部を複数有するものである。 【0031】請求項20に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18または請求項19に記載の発明において、成形型の外周面に短繊維を堆積させ、さらに前記短繊維とは異なる短繊維を堆積させて、2層構造の電解液保持体を成形したものである。 【0032】請求項21に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18〜20のいずれか1項に記載の発明において、成形型が外周面の全体に短繊維を濾過するための孔を多数有するものである。 【0033】請求項22に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18〜21のいずれか1項に記載の発明において、成形型の外周面の部分によって、吸い寄せる短繊維の量が異なるものである。 【0034】請求項23に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項19〜22のいずれか1項に記載の発明において、成形型の突起部の軸線同士を結ぶ線上にスリットを有するものである。 【0035】請求項24に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18〜23のいずれか1項に記載の発明において、長繊維が編組された管状物を成形型に取り付け、この成形型を短繊維の混濁液中に浸漬し、この管状物の外周面に短繊維を堆積させて電解液保持体を成形するものである。 【0036】請求項25に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項24に記載の発明において、管状物の一端に栓をするものである。 【0037】請求項26に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項25に記載の発明において、管状物が複数存在する場合において、複数の管状物の一端を塞ぐことのできる栓を使用するものである。 【0038】請求項27に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項24〜26のいずれか1項に記載の発明において、管状物の表面の一部に、除去可能な目詰め材を塗布するものである。 【0039】請求項28に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18〜27のいずれか1項に記載の発明において、成形型の突起部あるいは管状物の近くに邪魔板を設置するものである。 【0040】請求項29に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項28に記載の発明において、複数の邪魔板が成形型の突起部あるいは管状物を挟んで平行に設置されるものである。 【0041】請求項30に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項28または請求項29に記載の発明において、突起部あるいは管状物が複数存在し、その近くに邪魔板が設置される場合、この邪魔板は、突起部あるいは管状物同士の間に、短繊維の混濁液が集中的に流れるように、その流れを制御するものである。 【0042】請求項31に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項30に記載の発明において、突起部あるいは管状物同士の中間点の垂線上に、邪魔板がスリットを備えたものである。 【0043】請求項32に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項18〜31のいずれか1項に記載の発明において、成形型の突起部あるいは管状物に予め堰を取り付けておき、この堰と電解液保持体とを一体物として成形するものである。 【0044】請求項33に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項32に記載の発明において、堰を平行に複数取り付けるものである。 【0045】請求項34に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項32または請求項33に記載の発明において、堰が撥水性の樹脂フイルムであるものである。 【0046】請求項35に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法は、請求項34に記載の発明において、撥水性の樹脂がポリオレフィンであるものである。 【0047】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。 【0048】この発明は、電解液をその内部に保持する電解液保持体であって、電極が挿入される孔を有する電池のセパレータに関するものである。ここで、電解液保持体とは、その内部に微小な空隙を無数に有するものすなわち多孔質であって、その空隙に電解液を取り込み保持するものをいう。この電解液保持体は、一体物であって、その内部に電極を挿入するための孔を有する。そして、上記電極を挿入するための孔は、クラッド式電極に合わせた形状であって、セパレータを貫通する孔と底のある穴との両方を含むものである。ただし、この孔に直接活物質を入れる場合は、活物質を孔に封入するために、この孔の先に栓をするまたは底のある穴とすることが必要である。 【0049】ここで、多孔質である電解液保持体の内部の空隙率は、特に限定されるものではないが、80〜97容量%であることが好ましい。この空隙率が80容量%より小さい場合、電解液保持体の内部に保持できる電解液の量が少なくなりすぎ、また充電時の発生ガスの透過性が低下するので、電池内の酸化還元反応が起こり難くなる。すなわち、この場合は、電池の内部抵抗が高くなり、電池性能が低下する。反対に、この空隙率が97%より大きい場合、空隙が多すぎるので、クラッド式電極から活物質が脱落し易くなる。また、空隙が多い場合、充放電のくり返しにより、デンドライドが発生し易く、電極間の短絡が起こり易くなる。したがって、電解液保持体の空隙率が80〜97容量%にある場合に、このセパレータは、クラッド電池の性能を高い状態で長期間維持することができる。 【0050】セパレータは、予めクラッド式電極の形状に合わせて成形されるので、この電極との接触により、局部的に変形されることがない。すなわち、このセパレータは、電極との接触により、その内部の空隙を狭められない。したがって、このセパレータは、電解液の保持性が低くなることがなく、同様に発生ガスの通気性が悪いなることもない。これにより、このセパレータは、電池の内部抵抗を低く抑えることができる。 【0051】また、電池の製造作業において、このセパレータは、一体形状であることから、クラッド式電極に被せられるだけで良く、電池内への装着が非常に容易である。したがって、このセパレータを使用するクラッド電池は、その製造作業において、作業効率が良いという利点を有する。 【0052】上述のように、電極とセパレータとに隙間ができると、電池の性能を低下させる原因となる。また、クラッド式電極と対を成すもう一方の極(以下、対向極と称する)は、通常平板状である。したがって、セパレータと対向極とが隙間なく均一に接触するために、セパレータの少なくとも1面は、平坦であることが好ましい。 【0053】このセパレータの電極が挿入される孔の形状は、特に限定されないが、円柱形であることが好ましい。これは、円柱形の断面形状である円は、特定箇所に荷重が集中することがないので、高重量の活物質を保持しなければならないこの孔には、適しているからである。しかし、この孔の形状が楕円柱または四角柱などの場合は、円柱形の場合と比較して、電解液と電極との接触面積を向上させることができるので、その酸化還元反応の反応効率を高めることができる。したがって、孔の形状は、電池の使用目的を考慮して、選択されるべきである。 【0054】セパレータにおける電極が挿入される孔の数は、特に限定されないが、複数であることが好ましい。クラッド電池は、電極と電解液の接触面積を増やすために、電極を複数有するものが一般的である。この電極と電解液との接触面積が増えることにより、電解液と電極との反応効率が高くなる。そして、この複数のクラッド式電極を1つのセパレータで覆うことができれば、電池の製造作業が、非常に容易になる。また、このクラッド電池の対向極が平板である場合、複数のクラッド式電極は、一列に並べて設置されることが好ましい。したがって、この電極が挿入される孔は、セパレータ内部に一列に並べて設けられることが好ましい。 【0055】セパレータは、短繊維が無秩序に堆積した集合体であることが好ましい。ここで、無秩序とは、短繊維を意識的に配列させることをしないという意味である。例えば、織物のように、一定方向にのみ特定の性質を示すものではない。また、堆積とは、積み重なった状態であることをいい、短繊維が集合して一定の形状を有していることをいう。この短繊維の集合とは、短繊維同士が物理的に絡み合った状態、並びに短繊維が樹脂などを用いて接着された状態のどちらも含む。短繊維が無秩序に堆積するので、このセパレータは、その内部に空隙が多くすなわち多孔質であるので、弾力性に優れている。そして、このセパレータは、多孔質なので、電解液の保持性が高い。また、このセパレータは、弾力性が高いので、電池内に設置する作業が容易であり、かつ電極に対する密着度が高い。 【0056】また、このセパレータは、短繊維が全体的に均一に堆積したものであることが好ましい。短繊維が全体的に均一に堆積することにより、このセパレータは、全体的に均一な電解液の保持性、発生ガスの通気性および外力に対する弾力性を示すことができる。これらの性質は、電池の性能に大きな影響を与える。すなわち、局部的にこれらの性能の低い箇所があると、これらの性能の低い箇所がボトルネックとなって、電池全体の性能が低下してしまう。したがって、セパレータは、全体的に均一な性能であることが好ましい。 【0057】セパレータは、その内部の空隙に電解液を保持する。そして、その電解液の保持性には、短繊維に対する電解液の濡れ性が大きく影響する。電解液によく濡れる材料からなる繊維をセパレータに使用することにより、電解液は、セパレータの内部にまで容易に浸透する。また、その径が細い繊維を使用した場合、セパレータ全体の表面積が大きくなる。したがって、径が細くかつ電解液によく濡れる短繊維を使用することにより、セパレータの電解液の保持性は高くなる。 【0058】このセパレータの材料である短繊維の平均径は、特に限定されないが、0.1〜3μmであることが好ましい。この短繊維の平均径は、BET比表面積法で測定された数値である。セパレータは、その内部に電解液を保持するので、短繊維の平均径が3μmより大きくなると、短繊維間の空隙が大きくなりすぎて、電解液の保持性が悪くなる。反対に、短繊維の平均径が0.1μmより小さくなると、短繊維間の空隙が小さくなりすぎる。したがって、セパレータにおける発生ガスの透過性が低下し、発生ガスの吸収反応が起こり難くなる。この結果、電池の内部圧力が著しく高くなり、電池の安全弁が働いてしまう。 【0059】また、この短繊維の平均の長さは、特に限定されないが、1〜50mmであることが好ましい。この短繊維の平均の長さは、以下の方法で測定された数値である。まず、試料となる短繊維綿(塊)より無作為に15本の繊維を抜出し、100mm角のスライドグラス上に並べる。つぎに、5mmの方眼線が書込まれた100mm角のスライドグラスでこの繊維を挟み、測定資料を作成する。これを万能投影機にて50倍に拡大し、任意の10本の繊維長を測定する。そして、これを5回くり返し、50本の繊維の繊維長の平均値を求める。なお、万能投影機の視野を越える繊維に対しては、スライドグラスの方眼を目印にして、視野をずらして測定する。 【0060】短繊維の平均の長さが1mm未満の場合、短繊維同士の絡み合いが少なくなるので、セパレータは、弾力性を失い脆くなる。反対に、短繊維の平均の長さが50mmより長い場合、短繊維を堆積させる段階でそれ同士の絡み合いが強くなりすぎて、全体的に均一な分散性が得られない。したがって、この場合は、不均一なセパレータが製造される。 【0061】この短繊維の種類は、特に限定されるないが、有機繊維、無機繊維、またはそれらの組み合わせが好ましい。これらの中でも、無機繊維であるガラス繊維が、特に好ましい。セパレータは、電解液をその内部に保持し、また電極の短絡を防止できればよいので、多孔質で一定形状を有するものであればよい。したがって、有機または無機の各種短繊維が使用できる。 【0062】しかし、電解液が強酸性である場合が多いので、セパレータに使用される短繊維は、耐酸性の高いものでなければならない。ガラス繊維は、耐酸性が高く、並びに電解液に対する濡れ性がよいので、電池のセパレータとして好ましい材料である。また、ガラス繊維は、無機物質であり経時劣化し難く、細繊維化も容易であるという特徴を有し、これらの点からもセパレータの材料として好適である。 【0063】このセパレータの孔の内壁は、特に限定されないが、2層構造であることすなわち活物質を保持できる機械的強度の高い層(以下、活物質保持層と称する)を有することが好ましい。活物質と集電体とをこの孔に封入しておくために、従来のセパレータは、多孔質のチューブを用いてクラッド式電極を予め作成しておく必要があった。しかし、セパレータが活物質保持層を有することにより、活物質と集電体とを直接この孔に入れることができるようになる。すなわち、予めクラッド式電極を作成しておく必要がなくなる。この結果、クラッド電池の製造効率が、極めて高くなる。 【0064】この活物質保持層は、特に限定されないが、短繊維の集合物に熱硬化性樹脂を塗布し硬化させたもの、熱融着性の有機繊維を相互に熱接着させたもの、長繊維を編組した管状物(以下、編組管と称する)、または複数の編組管を有機繊維を用いて織り加工あるいは縫製加工によって一体としたものであることが好ましい。ここで、編組管とは、長繊維が組み紐状に織られた中空状のものである。この編組管は、連続した均一な構造であるため、引張り強度が極めて高い。また、これを樹脂で固めることにより、活物質保持層として必要な剛性を得ることができる。この編組管の材料である長繊維の種類は、有機繊維、無機繊維を問わず使用できるが、活物質を保持するために強度および耐酸性が求められることからガラス繊維が最適である。 【0065】編組管を活物質保持層とする場合は、編組管が中空であるので、活物質がそこから洩れ出さないように、その少なくとも一端に栓をする必要がある。この栓は、特に限定されるものではないが、複数の編組管が使用される電池において、その複数の編組管にまたがって栓のできる一体物であることが好ましい。このような一体物の栓を用いることによって、セパレータの製造効率が飛躍的に高くなる。この一体物とは、例えば図10に記載の四角柱の一面に、編組管の内径に合わせた突起が並んでいるものをいう。ただし、この例に限定するものではない。 【0066】また、電解液保持体は、その内部に堰を有するものであることが好ましい。この堰とは、電解液において電解質の濃度勾配が生じることを防止するために設けられるものである。電池の性能は、電解液と活物質との反応のし易さに大きく左右される。そして、電解液と活物質との反応のし易さは、電解液中の電解質の濃度によって大きく変化する。すなわち、活物質と反応し易い電解質の濃度は、一定範囲で決まっており、この範囲より高くあるいは低くても、電池の性能が大きく低下する。したがって、電解液中に電解質の濃度勾配(以下、単に濃度勾配と称する)が生じた場合、電池の性能が極めて悪くなる。性能が低下した電池は、使用できないので、交換しなければならない。つまり、濃度勾配の発生を防止することにより、クラッド電池の性能が高く維持され、その寿命が長くなる。 【0067】充放電の過程で電極に電解液中の成分が吸収あるいは放出される電池すなわちクラッド電池においては、この成分が電極から放出された場合、電極の付近のこの成分の濃度が高くなる。この成分の濃度が高い電解液は、比重が高いので、下層に沈降し易い。したがって、充放電を繰り返す度に、比重の高い溶液が沈降して、濃度勾配が激しくなる。電解液が電解液保持体に保持された状態であれば、濃度勾配は、簡単には生じないが、それでも徐々に進行する。すなわち、クラッド電池は、使用期間が長くなるにしたがって、濃度勾配が激しくなり、その性能が徐々に低下していく。 【0068】この濃度勾配を完全に無くすことは困難である。しかし、濃度勾配が生じる方向に電解質を通さない堰を設けることにより、濃度勾配の進行を一定範囲内でくい止めることができる。すなわち、堰を設けることにより、一つの濃度勾配の系を小さくし、濃度勾配が発生し進行しても、その濃度を適正範囲内に留めておくことができる。 【0069】そして、この堰により区切られた濃度勾配の系は、小さくなるにしたがって、濃度勾配が適正範囲から外れ難くなる。すなわち、この堰は、短い間隔で複数設けられることにより、その効果がさらに顕著に現れる。電解液保持体の内部に複数設けられる場合、この堰は、等間隔で平行に設けられることが好ましい。これは、堰で区切られた系が複数存在する場合、各系が同じ状態であることにより、その濃度が適正範囲から外れる部分を、セパレータ全体としてさらに減らすことができるからである。 【0070】上記の比重の高い電解液は、沈降して堰の低い部分に集中する。そして、この電解液は、沈降する量が多くなると堰の低い部分から溢れて、堰と電極との隙間などから、隣接する濃度勾配の系に移行する。そこで、沈降する電解液をできるだけ多く堰で受け止めるために、この堰は、予め中央部が凹状に形成されていることが好ましい。また、セパレータは、一度圧縮されて電池内に取り付けられる。この際に堰は変形されるので、堰は、対向極とに接触しない程度の大きさであることが好ましい。しかし、編組管を活物質保持層とする場合は、編組管と堰とを接触させ、その周囲を接着剤で埋めてしまうことが好ましい。これにより、濃度の高い電解液が隣接する系に、さらに漏れ出し難くすることができる。 【0071】堰自体の体積が大きすぎると、セパレータが保持できる電解液の量が少なくなるので、堰の体積は、小さいほど好ましい。堰は、上述のように電解質を広範囲で受け止め、なおかつ体積が小さいことが求められるので、樹脂フイルムであることが好ましい。樹脂フイルムは、曲げや変形に強く、クラッド電池内にセパレータを取り付ける際の圧縮にも破損することがない。この樹脂フイルムの厚さは、特に限定されないが、堰としての強度を満たすために、100μm程度が適当である。 【0072】また、この堰の材料は、特に限定されないが、撥水性の樹脂であることが好ましい。撥水性の樹脂は、通常の樹脂と比較して、電解液の溶媒および電解質をはじく能力が高いので、堰で区切られた一つの系とそれに隣接する系との間の電解液の移動を起こり難くすることができる。ここで、図11に堰を備えたセパレータの概要図を示す。ただし、この図のセパレータに限定されるものではない。 【0073】上記の撥水性の樹脂の種類は、特に限定されないが、ポリオレフィンであることが好ましい。ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどが挙げられる。これらの樹脂は、撥水性が高いほか、化学的に安定なので強酸性の電解液に問題なく使用でき、市場に広く出回っているので容易に入手できるからである。 【0074】セパレータの製造方法は、短繊維を混濁した溶液(以下、混濁液と称する)に、吸引機能を有した成形型を浸漬し、その外周面に短繊維を吸い寄せ堆積させて、セパレータを成形する方法である。この混濁液は、特に限定されないが、溶媒が水であって、短繊維の濃度が0.01重量%〜10重量%のスラリー状であることが好ましい。この濃度が0.01重量%未満の場合は、その濃度が低すぎるので、短繊維を吸い寄せる効率が悪い。反対に、この濃度が10重量%より多い場合は、その濃度が高すぎるので、短繊維が均一に成形型の表面に堆積できなくなる。さらに、この濃度は、0.05重量%〜3重量%の範囲にあるときに、成形型の表面に短繊維が均一にかつ効率よく堆積するので好適である。 【0075】上記吸引機能を有した成形型とは、クラッド式電極の形状をした成形型であって、その内部の圧力を下げることができるように、ポンプ等の装置が連結されたものである。具体的には、図9に記載されたものである。ただし、この例に限定するものではない。この成形型内部を減圧することにより、混濁液が成形型に吸い寄せられる。そして、短繊維は、成形型の外周面で濾し取られ、そこに徐々に堆積し、ついにはセパレータを形成する。上記の成形型と短繊維の濃度が適正な溶液とを用いることにより、理想的な空隙率であって、全体に短繊維が均一に堆積したセパレータを容易に得ることができる。 【0076】また、上記成形型には、図8に記載の形状も含まれる。図8に記載の成形型は、図9に記載の成形型において、突起部がその根元で切断されたもの(以下、短突起部と称する)である。この成形型は、短突起部に編組管を装着され、内部減圧されて、編組管の表面に短繊維を堆積させる。 【0077】クラッド電池は、上述の通り電極と電解液の接触面積をより大きくするため、複数の電極を有するものが一般的である。したがって、成形型も予めクラッド式電極の形状に合わせて、複数の突起部あるいは短突起部を設けることが好ましい。これにより、各クラッド式電極に対して、個別にセパレータを製造する必要がなくなる。 【0078】また、上述の内壁が2層構造すなわち活物質保持層を有するセパレータの製造方法は、以下の方法が好ましい。すなわち、成形型を混濁液に浸漬して、その外周面に短繊維の層(以下、第1層と称する)を形成させ、その後第1層とは異なる種類の混濁液に、この成形型を浸漬して、2層構造のセパレータを製造する方法である。この第1層すなわち活物質保持層は、通常の短繊維の集合体でよいが、その機械的強度を高めるために、樹脂を塗布し硬化させる必要がある。また、この第1層に熱融着性繊維を用い、これに熱を掛けることでも、前記同様に機械的強度の高い活物質保持層が形成される。第1層の機械的強度が高いことによって、クラッド式電極における活物質の軟化を防ぐことができる。 【0079】上述の種々の方法でセパレータを製造する場合、成形型は、混濁液を濾過する機能が必要である。この場合、無数の微小な孔を成形型の外周面全体に設けることが好ましい。ただし、この孔は、大きすぎると短繊維が通り抜けてしまい、反対に、小さすぎると吸引するときの圧力損失が大きくなりすぎるので、装置の容量が不必要に大きくなり好ましくない。したがって、成形型の外周面に設けられる孔の径は、0.1〜3mmであることが好ましい。 【0080】成形型の外周面の孔の数を増やすまたは孔の径を大きくするなどにより、成形型の外周面の部分毎に混濁液の吸引量を調整できる。したがって、成形型の外周面の部分毎に短繊維の堆積量が調節できるので、様々な形状のセパレータを製造することができる。 【0081】また、成形型に複数の突起部が存在する場合、これらの突起部の軸線同士を結ぶ線上(以下、軸線部と称する)の部分にスリットを設けることによって、均整のとれたセパレータが製造できる。突起部が複数存在する場合において、上記軸線部は、突起部に挟まれた窪みの一番深い所である。したがって、成形型が上記混濁液を吸引する際、短繊維は、軸線部に到達する前にそれ以外の部分に吸着される率が高い。すなわち、短繊維は、軸線部に堆積し難い。また、セパレータの外形を平面にする場合、軸線部には、他の箇所よりも多くの短繊維を堆積させなければならない。そこで、軸線部にスリットを設けて、混濁液の流れを軸線部に集中させ、短繊維が軸線部に堆積し易くする。成形型の突起部にスリットを設けることにより、歪みのないセパレータが製造される。 【0082】この軸線部のスリットは、成形型の突起部に直接設けられる。また、このスリットは、突起部を2重構造にし、その内側の部分に設けられることも可能である。2重構造の突起部とは、図4に示すように、微細な孔を有する突起部があり、その内側にスリットを備えた突起部を設置したものである。 【0083】また、編組管を成形型の短突起部に装着して、この成形型を混濁液中に浸漬し、編組管の上から短繊維を堆積させる方法によっても、活物質保持層を持った2層構造のセパレータを製造できる。この方法で製造されたセパレータは、編組管と短繊維の集合物とが一体となり振動に強いので、移動体のバッテリーに好適である。 【0084】成形型の短突起部に編組管の一端を取り付ける場合は、編組管内に短繊維が入り込まないように、その他端に栓をすることが好ましい。そして、この栓は、特に限定されないが、複数の編組管が存在する場合、それらにまたがって栓ができる一体物であることが好ましい。このような一体物の栓を用いることにより、複数の編組管に個別に栓を詰める作業が不要になり、セパレータを容易に製造できるようになる。 【0085】また、編組管を使用する場合は、編組管の一端に装着させる栓が成形型の外周面に存在する孔と同様の孔を有することが好ましい。孔を有することにより、この栓は、短繊維をその表面で濾し取り、堆積させることができる。したがって、栓を短繊維の集合体の内部に編組管と一緒に埋め込む場合に、この栓は大変都合がよい。 【0086】編組管を成形型に被せて混濁液を吸引する場合、編組管の表面に細工を施し、混濁液の吸引量を部分的に変えることが可能である。すなわち、編組管の表面に目詰め材を塗り込むことにより、この部分の混濁液の吸引量を低下させることができる。この目詰め材は、その種類を特に限定されないが、酸に接触すると分解するものが好ましい。なぜなら、編組管は電池に設置された段階で電解液の流れを妨げてはならず、また電池の電解液は強酸性だからである。この目詰め材としては、例えば、ゼラチンなどの有機物が挙げられる。 【0087】また、混濁液の流れを調整し、均整のとれたセパレータを製造するためには、邪魔板を用いることも有効である。邪魔板は、成形型の突起部あるいは編組管(以下、突起部等と称する)の近くに設置され、その存在により混濁液の流れを阻害する。ここで、突起部等の近くに設置とは、突起部等に接触させておく他、1〜100mm程度の空間を設けておく場合も含む。実際の製造においては、1〜10mm程度の空間で製造することが好適である。したがって、邪魔板は、混濁液の流れを迂回させるので、短繊維を特定箇所に大量にかつ効率よく堆積させることができる。また、邪魔板は型としての役割も果たすので、セパレータの邪魔板が設置された部分は、平坦度が極めて高い。すなわち、邪魔板を用いることにより、平坦度の高いセパレータを効率よく製造することができる。平坦度の高いセパレータは、対向極と隙間無く均一に接触するので、電池の内部抵抗を低く抑えることができる。 【0088】成形型の突起部等を挟み込むように上記邪魔板を設置することにより、向かい合う2面が平行なセパレータを容易に製造することができる。2面が平行なセパレータは、対向極と2面で隙間無く均一に接触できる。したがって、このセパレータを使用することにより、さらに内部抵抗の低いクラッド電池を製造できる。 【0089】成形型の突起部等が複数存在し、邪魔板を用いて混濁液の流れを調整する場合、突起部等の間に混濁液が集中的に流れるようにすることにより、均整のとれたセパレータを効率よく製造できる。これは、均整のとれたセパレータを製造するには、突起部等の間に短繊維を大量に堆積させなければならないからである。 【0090】突起部等の間に混濁液が集中的に流れるようにする方法は、特に限定されないが、成形型の突起部等の中間点の垂線上すなわち隙間16付近の邪魔板11にスリットを設ける方法が好ましい。ここで、スリットとは、一体形状の邪魔板に貫通孔を明けたもの、または小さな邪魔板を複数継ぎ足して1つの大きな邪魔板とする場合に、小さな邪魔板同士の間隔をあけることのどちらも含む。突起部等の間に短繊維を集中的に流すためには、これらの方法が最も容易かつ確実な方法である。 【0091】また、成形型の突起部等に予め堰を取り付けておき、この状態で短繊維を成形型の表面に堆積させる方法が、さらに好ましい。この方法により、堰と電解液保持体が一体となったセパレータを容易に得ることができる。堰と電解液保持体とが一体物であることにより、このセパレータは、外力に対する強度を落とすことなく、濃度勾配によるクラッド電池の性能劣化を効果的に防ぐことができる。 【0092】この堰は、成形型の突起部等に平行に複数取り付けられることが好ましい。この方法により、濃度勾配の進行を防止できるセパレータを、さらに容易に製造することができる。また、この堰は、クラッド電池のセパレータとして求められる性能を勘案して、撥水性の樹脂フイルムであることが好適である。撥水性の樹脂フイルムは、特に限定されないが、ポリオレフィンすなわちポリエチレンあるいはポリプロピレンなどが最適である。 【0093】図11に示すセパレータを製造する場合、堰の形状は、成形型の突起部等を挿入するための孔を明けたものであることが好ましい。この孔を明けた堰の斜視図を、図12に記載する。ただし、堰の形状を図12に限定するものではない。この堰を成形型の突起部等に予め取り付けておく方法は、特に限定されないが、突起部に取り付ける場合、複数の堰に直径0.2mm程度の針を貫通させ、これらの堰を相互に支持させる方法が好ましい。この方法によれば、成形後に針を抜き取っても電解液保持体に、その痕跡が残ることはない。また、堰を編組管に取り付ける場合は、接着剤を用いて堰を編組管に固着する方法が好適である。 【0094】 【実施例】 (実施例1)水:15Lにガラス短繊維(日本硝子繊維株式会社製マイクロウールCMLF208):150gを撹拌しながら添加し、完全に分散させ、濃度0.1重量%の混濁液を得た。図8に示すように、成形型は、外径8.5mm、高さ7mmの吸引口を、間隔10.1mmで14個備えており、真空ポンプと連結された。したがって、この真空ポンプを働かせることにより、成形型内は減圧される。この吸引口に、ガラス繊維の編組管3(日本硝子繊維株式会社製スリーブチューブ:BSTR90−214、内径=9.0mm、外径=9.6mm、長さ200mm)の一端を差し込み、この編組管の他端を栓33で塞いだ。 【0095】次に、幅3mm、長さ200mmのスリットが成形型の吸引口の間隔と同じ10.1mmの間隔で13箇所に刻まれた邪魔板11を、図3(a)に示すように、編組管と接触させた。また、このスリットが、編組管同士の間にくるように、邪魔板の位置を調整した。そして、編組管を取り付けた成形型を混濁液35で充たした混濁液槽34に浸漬し、真空ポンプ32を働かせ、成形型内を減圧し、編組管を通して混濁液を吸引した。混濁液35は、邪魔板のスリットを通り抜け、編組管の繊維の間を通り抜けるときに濾過される。したがって、編組管の表面にガラス短繊維が除々に堆積していく。 【0096】邪魔板11が存在するので、隙間16に集中的にガラス短繊維が堆積した。図3(b)のように、邪魔板11で囲まれた部分がガラス短繊維で充たされた時点で、邪魔板を外した。そして、さらに混濁液を吸引し続け、邪魔板を設置していた部分すなわち一番薄い部分の厚さが2mmとなった段階で真空ポンプによる吸引を止めた。 【0097】その後、成形型からガラス短繊維の集合体を編組管と一緒に取り外し、加熱乾燥して、図3(c)に示す2層構造のセパレータを得た。このセパレータは、編組管の一端に取り付けられた栓の部分以外は、ガラス短繊維で覆われていた。このセパレータは、乾燥重量がガラス短繊維だけで24.2gであり、その外周面は平坦であった。 【0098】(実施例2)図9に記載の成形型の突起部41は、長さ200mm、直径8.4mmで、その外周面全体に1mm径の無数の孔を有する。また、この突起部は、その軸線部にスリット14を備えた管13(以下、スリット管と称する)が内部に挿入されており、2重構造である。この突起部41に、実施例1で使用した編組管を被せた。そして、この成形型を実施例1と同じの混濁液に浸漬し、この混濁液を吸引した。この際、邪魔板は使用しなかった。図4に、この実施例の概要図を示す。 【0099】実施例1と同様に、一番薄い部分の厚さが2mmになった段階(図4(b))で混濁液の吸引を止めた。その後、成形型から編組管と一緒にガラス短繊維の集合体を取り外し、加熱乾燥して、セパレータを得た。このセパレータは、ガラス短繊維だけで乾燥重量が25gであり、その外周面は平坦であった。 【0100】(実施例3)実施例1と同じ成形型と編組管とを用い、実施例1の邪魔板11の代わりに、ゼラチン(試薬)30%溶液を編組管の表面に塗り、加熱乾燥し水分を除去してゼラチン15を硬化させた。ゼラチンを塗られた編組管の部分は、実施例1において邪魔板が当てられていたところであり、編組管の外周面の1/4角を2箇所である。図5に、この実施例の概要図を示す。 【0101】この編組管を取り付けた成形型を、実施例1と同じ混濁液に浸漬し、編組管を通して混濁液を吸引した。この編組管は、ゼラチンにより目詰めされているが、完全ではなく、混濁液が通り難くなる程度である。実施例1と同様に、ゼラチンを塗っている部分の厚さが、2mmになった段階で、混濁液の吸引を止めた。その後、成形型から編組管ごと外して、加熱乾燥して、セパレータを得た。このセパレータは、乾燥重量がガラス短繊維だけで23gであり、その外周面は平板状であった。 【0102】(比較例1)実施例1と同じ混濁液を用いて、縦200mm、横230mm、厚さ2mmのシート状セパレータを2枚、抄紙した。このシート状セパレータは、乾燥重量が1枚が11.0g、もう1枚が10.9gであった。図6に示すように、リブ付き測定冶具を用いて、実施例1と同じ編組管が中央になるように、このシート状セパレータで挟み込んだ。この比較試験体は、従来のセパレータの構造を模したものである。 【0103】(セパレータの評価)実施例1〜3のセパレータおよび比較例1の比較試験体を、吸水量試験で評価する。セパレータの性能を測る上で、この吸水量は、極めて重要である。なぜなら、セパレータの吸水量は、そのまま電解液の保持性を示すものだからである。したがって、この吸水量が高いほど、電解液の保持性が高く、電池のセパレータとして好ましい。 【0104】吸水量の測定方法は、以下の通りである。まず、セパレータおよび比較試験体を水中に3分間浸漬し、その後水中から引き上げる。そして、このセパレータおよび比較試験体を、45度に傾斜させた板に1分間放置し、流れ出してくる水を除去する。そして、水に浸漬する前からの増加重量をそれぞれ測定する。この測定結果を、表1に示す。 【0105】 【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 短繊維重量(g) 24.2 25.0 23.0 21.9 吸水量(g) 210 213 208 184 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【0106】実施例1〜3および比較例1から、この発明によるセパレータは、比較試験体すなわち従来のセパレータと比較して、吸水量すなわち保水性が1割ほど高くなっていることが判る。この原因として、この発明のセパレータは、クラッド式電極との間に隙間なくガラス短繊維を充填できるので、比較例試験体と比べて、短繊維重量を多くする事ができること。また、この発明のセパレータは、比較例試験体のように局部的に圧迫を受けることがないため、その内部の空隙が狭めらないので、吸水量の低い箇所が存在しないことが挙げられる。なお、比較例1の短繊維重量が実施例のそれより少ないのは、そのセパレータがシート状であり、これ以上重量を増やすと、リブ付き測定治具内に収まらなくなるからである。 【0107】また、吸水量試験の後、実施例1〜3および比較例1で使用したセパレータおよび比較試験体に、エポキシ樹脂を含浸させ、硬化させた。そして、このセパレータおよび比較試験体を切断し、編組管とガラス短繊維層との断面を観察した。実施例1〜3のセパレータは、編組管とガラス短繊維層とが、隙間なく密着していた。対して、比較例1の比較試験体は、図6に示すようにリブあるいは編組管とガラス短繊維層とが密着しておらず、隙間がみられた。 【0108】このことから、この発明のセパレータを使用したクラッド電池は、クラッド式電極とセパレータとに隙間がないので、その内部抵抗を低く維持できることが判る。 【0109】なお、上述の実施形態から把握される技術思想について以下に記述する。 (1)電解液保持体の空隙率が80〜97容量%である請求項1〜17のいずれか1項に記載の密閉式電池用セパレータ。 【0110】 【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。このセパレータは、クラッド式電極の形状と同じ形状の孔を有する一体物であるので、クラッド電池に取り付けられる際の製造作業の効率を格段に向上させることができる。また、このセパレータは、編組管および堰をその内部に取り込み一体物とできるので、極めて強度の高いクラッド式電極を持ちながら、なおかつ電解液における電解質の濃度を一定値から外れ難くすることができる。さらに、突起部等の表面に短繊維を堆積させるので、理想的な空隙率であって、上記の優れた特性を備えたセパレータを容易に製造することができる。 【0111】これらの効果を、以下にさらに詳細に述べる。請求項1に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、電解液保持体がその内部に電極が挿入される孔を有するので、セパレータとクラッド式電極との密着度を高めることができる。 【0112】請求項2に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、電解液保持体の少なくとも1面が平坦であるので、セパレータと対向極との密着度を高めることができる。 【0113】請求項3に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、電極が挿入される孔の形状が円柱状であるので、活物質の保持性をより高くすることができる。 【0114】請求項4に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、電極が挿入される孔が複数であるので、複数のクラッド式電極を持つ電池に対するセパレータの取付作業効率を向上させることができる。 【0115】請求項5に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、電解液保持体は、短繊維が無秩序に堆積した集合体であるので、セパレータの電解液の保持性を高め、かつその弾力性を高めることができる。 【0116】請求項6に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、電解液保持体は、短繊維が全体的に均一に堆積したものであるので、その性能のボトルネックとなる箇所がなく、電池の性能を十分に発揮させることができる。 【0117】請求項7に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、短繊維の平均径が0.1〜3μmであるので、セパレータ内における発生ガスの移動を妨げることなく、電解液の保持性を高めることができる。 【0118】請求項8に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項5〜7のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、短繊維の平均の長さが1〜50mmであるので、セパレータの弾力性と均一分散性とを両立させることができる。 【0119】請求項9に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項5〜8のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、短繊維の種類がガラス繊維であるので、セパレータの電解液の保持性を、更に高くすることができる。 【0120】請求項10に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、電解液保持体の電極が挿入される孔の内壁が2層構造であるので、クラッド式電極の活物質の軟化を効果的に防ぐことができる。 【0121】請求項11に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項10に記載の発明の効果に加えて、電極が挿入される孔の内壁は、編組管が電解液保持体に密着したものであるので、クラッド式電極の活物質が軟化することを、更に効果的に防止することができる。 【0122】請求項12に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項11に記載の発明の効果に加えて、編組管の一端が栓で塞がれたものであるので、編組管の内側に短繊維が入り込むことを防止できる。 【0123】請求項13に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項12に記載の発明の効果に加えて、栓が複数の編組管の一端を塞ぐことのできるので、セパレータの製造効率を高めることができる。 【0124】請求項14に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、電解液保持体の内部に堰が存在するので、電解液における電解質の濃度を適正範囲内に収めることができ、クラッド電池の性能劣化を防止することができる。 【0125】請求項15に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項14に記載の発明の効果に加え、電解液保持体の内部に堰を平行に複数設けるので、電解液における電解質の濃度を適正範囲内にさらに効果的に収めることができる。 【0126】請求項16に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項14または請求項15に記載の発明の効果に加えて、堰が撥水性の樹脂フイルムであるので、一つの系とそれに隣接する系との電解液の移動をさらに効果的に防止し、クラッド電池の性能を長期間に渡り高く維持することができる。 【0127】請求項17に記載の発明の密閉式電池用セパレータによれば、請求項16に記載の発明の効果に加えて、撥水性の樹脂がポリオレフィンであるので、十分な性能を備えた堰を、安価にかつ容易に製造することができる。 【0128】請求項18に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、短繊維の混濁液中に、短繊維を吸い寄せる成形型を浸漬し、この成形型の外周面に前記短繊維を堆積させて、電解液保持体を成形するので、クラッド式電極と隙間のできないセパレータを容易に製造することができる。 【0129】請求項19に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18に記載の発明の効果に加えて、成形型が円柱形状の突起部を複数有するので、複数のクラッド式電極に密着するセパレータを容易に製造することができる。 【0130】請求項20に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18または請求項19に記載の発明の効果に加えて、成形型の外周面に短繊維を堆積させ、さらに前記短繊維とは異なる短繊維を堆積させて2層構造の電解液保持体を成形するので、多孔質チューブを用いることなく、クラッド電池を製造することができる。 【0131】請求項21に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18〜20のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、成形型が外周面の全体に上記短繊維を濾過するための孔を多数有するので、その外周面において短繊維を効率よく堆積させることができる。 【0132】請求項22に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18〜21のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、成形型はその外周面の部分によって、吸い寄せる短繊維の量が異なるので、様々な形状のセパレータを容易に製造することができる。 【0133】請求項23に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項19〜22のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、成形型が突起部の軸線同士を結ぶ線上にスリットを有するので、より効果的にセパレータの形状を整えることができる。 【0134】請求項24に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18〜23のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、編組管を成形型に取り付け、この成形型を短繊維の混濁液中に浸漬し、編組管の外周面に短繊維を堆積させて電解液保持体を成形するので、活物質保持層を備えたセパレータを容易に製造することができる。 【0135】請求項25に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項24に記載の発明の効果に加えて、編組管の一端に栓をして短繊維を堆積させるので、この栓まで含めた一体形状のセパレータを容易に製造することができる。 【0136】請求項26に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項25に記載の発明の効果に加えて、編組管が複数存在する場合において、複数の編組管の一端を塞ぐことのできる栓を使用するので、セパレータを効率よく製造することができる。 【0137】請求項27に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項24〜26のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、編組管表面の一部に除去可能な目詰め材を塗布するので、様々な形状のセパレータを容易に製造することができる。 【0138】請求項28に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18〜27のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、成形型の突起部等の近くに邪魔板を設置するので、平坦度の高いセパレータを効率よく製造することができる。 【0139】請求項29に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項28に記載の発明の効果に加えて、複数の邪魔板が成形型の突起部等を挟んで平行に設置されるので、少なくとも2面が平坦であるセパレータを効率よく製造することができる。 【0140】請求項30に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項28または請求項29に記載の発明の効果に加えて、突起部等が複数存在し、その近くに邪魔板が設置される場合において、邪魔板は、突起部等の間に、短繊維の混濁液が集中的に流れるように、その流れを制御するので、均整のとれたセパレータをより効率的に製造することができる。 【0141】請求項31に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項30に記載の発明の効果に加えて、突起部等同士の中間点の垂線上において、邪魔板がスリットを備えているので、突起部等同士の間に混濁液の流れを容易かつ確実に集中させ、平坦な面を持つセパレータを効率よく製造することができる。 【0142】請求項32に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項18〜31のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、突起部等に予め堰を取り付けておくので、堰と電解液保持体との一体物を容易に製造することができる。 【0143】請求項33に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項32に記載の発明の効果に加えて、突起部等に堰を平行に複数取り付けるので、複数の堰を有する一体物のセパレータを容易に製造することができる。 【0144】請求項34に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項32または請求項33に記載の発明の効果に加えて、堰が撥水性の樹脂フイルムであるので、隣接する系の間で電解液が移動し難いセパレータを容易に製造することができる。 【0145】請求項35に記載の発明の密閉式電池用セパレータの製造方法によれば、請求項34に記載の発明の効果に加えて、撥水性の樹脂がポリオレフィンであるので、性能の高い堰を有したセパレータを容易に製造することができる。
|
|