2006年08月14日

キャリア警察官僚

国家公務員I種試験に合格し警察庁に採用されたキャリア組の警察官たちは確実に「警視監」までは昇進する。この階級になると次期人事異動でどのようなポストになるかが、出世を分ける非常に重要なポイントとなる。

キャリアと幹部ポスト
ポスト順位1位phone to警察庁長官
ポスト順位2位phone to警視総監
これらが所謂「トップ」である。長官は日本警察全体の1トップで、総監は警察階級での1トップである。警察全体の上下関係では長官が上で総監はその次に来る。
このポストはキャリア警察官僚にとっても最終目標であり、同期中でたったの一名しかなれない為、ポスト争奪戦も当然熾烈になる。

ポスト順位3位phone to警察庁次長
警察庁2で階級は警視監。このポストに就くと次の異動で確実に長官になれる。その為、次期長官候補と呼ばれている。このポストに就けば長官の椅子は約束されたも同然なので、警察庁長官を目指すキャリアとしては是が非でも射止めたいポストであり毎年キャリア同士での猛烈な椅子取りゲームが展開されている。

ポスト順位4位phone to警察庁官房長
警察庁3で階級は警視監。このポストは次期総監候補と呼ばれており、この役職に就いてから次の異動で警視総監に就任するケースが多い。
このポストは警視総監を目指すキャリアにとって絶好のポストであり総監を目指すキャリア同士で熾烈な椅子取りゲームが展開される。

ポスト順位5位phone to警察庁各局長
警察庁の内部部局である刑事局長、交通局長、生活安全局長、警備局長の4ポスト。いずれも階級は警視監。ここからがいわゆる高級官僚と呼ばれるポストである。キャリア組は警視監までは確実に昇進するが、それに伴う役職として警察庁局長に就けるかどうかは出世如何による。このポストに就いた者だけが官房長や次長のポスト争奪戦に参加する資格がある。尚、情報通信局長は技官限定ポストなので除外される。

ポスト順位6位phone to警察庁官房総括審議官
官房長の補佐役ポストで、各審議官の纏め役。階級は警視監。大阪府警本部長と同等程度のポストとされている。警察庁では局長よりも総括審議官のほうが格下である。

ポスト順位6位phone to大阪府警本部長
大阪府警の1ポストで階級は警視監。他の道府県警の本部長はこんなに上位のポストではないのだが大阪府警本部長だけは別格扱いであり、警視庁2の副総監よりも格上もしくは同等クラスとなっている。何故大阪府警だけが優遇されているかというと大阪府警は人員・規模・予算等で警視庁に次ぐ自治体警察2の規模を誇ることと、大阪府が政治的にも治安的にも重要な間所と見做されている為である。

ポスト順位6位もしくは7位phone to警視庁副総監
警視庁2のポストで階級は警視監。「踊る大捜査線」でも出てきたポストだが、実は警察庁の局長よりも格下のポストである。「踊る大捜査線」では警視総監の次に偉く副社長のようなポストとされていたが、実際は警視庁では2だが警視総監との間にはまだ数段階の壁があり、副総監に就任したからといってすぐに警視総監になることなど有り得ない。
副総監は警察庁の各局長よりも若干下のポストであり、大阪府警本部長と比較してもポストとしては若干下か同等クラスである。

ポスト順位7位phone to警察庁官房審議官
警察庁長官官房に属す審議官で階級は警視監。審議官は長官官房に属すので長官に近い位置のポストっぽく思われ局長よりも上のポストと誤解されることもあるが、実際は局長よりも確実に格下である。審議官が局長よりも下というのは警察庁だけでなく全ての国家機関において言えることで、霞ヶ関の常識である。

これらのポストはいずれも警視監階級の者しか就けない。同じ警視監であっても与えられる役職によって上下関係が存在する。
一般にキャリア警察官僚にとっては警察庁の局長に就ければ出世コースを進んでいることになる。本庁局長ポストは高官であり、官僚にとって高官になることはとりあえず出世競争の勝利者である。逆に、管区警察局の局長は同じ局長職であっても権限も地位も格下となる。管区警察局長も階級は警視監でキャリアが就くポストであるが警察庁の地方機関であり本庁勤務の高官と比較すると出世ラインからはやや外れている。このポストで定年退官するキャリアは出世競争の敗北者とされている。

キャリア官僚の学閥主義
警察庁のみならず国家公務員I種試験に合格して中央省庁に採用されるキャリアたちは何れも東大閥が多い。

「東大閥」とは東京大学(特に法学部)卒業の国家公務員I種採用の官僚のことである。
この学閥は日本の官僚の大部分を占めており、全キャリアの9割は東大卒者である。


割合的には警察庁や旧大蔵省(財務省)、内閣府、防衛庁など政府首脳に近い中央省庁に採用されたキャリアは特に東大法学部卒業者が多い。

東京大学に次いで多いのは京都大学出身者である。

京大出身者のキャリアは法務省が主力をしめており、検事には京大出身者が多い。

警察庁や内閣府というのは日本の政府機構の中枢たる中央省庁の中でも特に重要な役割を担う「中枢中の中枢」ともいえる国家機関である。

法律上、内閣府は他の中央省庁よりもワンランク上の扱いを受けており、内閣府に属する警察庁の方が総務省に属する消防庁よりも格上の扱いを受ける。

キャリア警察官僚には元々東大出身者が多く、歴代の警察庁長官、警視総監は殆どの者が東大出身者である。

同じキャリアでも他大学の卒業者では、警察トップまで登りつめることは難しいようで、東北大出身で警察庁長官にまで上り詰めたのは今現在までたったの1人しかいない。

京大出身者で警察庁長官に就任した者はもう少し多いが、やはり総数で見ると東大出身者が圧倒的に多い。

因みに今現在の漆間巌警察庁長官、伊藤哲朗警視総監は両名とも東大法学部卒業者である。

国家公務員I種試験は出身大学によって受験資格があるわけではないが、伝統的に東大法学部卒業者が合格することが多く、中央省庁に採用されるキャリアも東大出身者ばかりとなる。

このことで政府は、国家公務員はあまりにも東大出身者ばかりが優遇されていると指摘されたことがあり宮沢喜一元首相が東大以外の出身者も大量に採用しろという通達を出したこともある。
しかし、今現在も相変わらず東大出身者が多く採用されている現状は変わっていない。

このことで社会的にも「官僚といえば東大法学部出」という定説が生まれた。

警察官僚の場合も東大閥が大半を占めており、その割合は他の省庁と比較しても非常に高い。
キャリアの中でも大蔵省、厚生省、通産省、警察庁などは特に東大閥が多く、他の大学出身のキャリアは数えるほどしかいない。
また東大出身でなくとも少なくとも国立大学出身が大半を占めるのがキャリアの世界であり、私立大学出身者の国家公務員I種合格率は極端に低く採用されにくい現状にある。
例外的に私大出身者でも比較的多く採用されているのは農林水産省くらいである。
この国立大卒の中でもとりわけ多い学閥が東京大学である。

要するにキャリア官僚にとって東大法学部を出ているということは別に珍しいことではなく極一般的なことなのである。民間企業では全国的に私大出身者のほうが多く採用されている為、東大法学部出身というのは珍しい存在だが、官界においては珍しいことではない。

警察庁の場合はキャリア官僚のうち東大法学部出身の者が93%に上り、警察庁長官、警視総監といったトップも殆どが東大法学部出身者である。

他の学閥としては京都大学、東北大学、北海道大学が挙げられるが、私大出身者は全くいない年度も多い。
京大法学部出の警察官僚は全体の6%ほどしかおらず、東北大法学部、北海道大法学部出身者は1%程度しかいない。

キャリアの学閥・国立大と私立大
前述通り、キャリアにおいて最も多い学閥は東京大学である。

他大学の場合であっても、官僚は国立大学を卒業した者のほうが出世に有利であるという現実がある。

私立大卒で官僚になっても審議官級か課長クラスで強制的に天下りさせられトップに進むことは困難となっている。

官僚社会では「私立大は国立大に劣る」という常識があり、どんなに有名で偏差値の高い上級私立大学を卒業しても、官僚としては国立大学卒業者よりは低い扱いしかされない。

そして官僚社会においては国立大学のなかにも明確なランク付けが存在している。

まず、官僚の一番多い学閥が東京大学なので、東大法学部卒業者が官僚としてはもっとも優遇扱いを受ける。

次いで多いのが京都大学なので、京大法学部卒業者も優遇された扱いを受ける。

この二つの大学は、日本の近代教育制度草創期に創立された非常に長い歴史と伝統を誇る由緒正しい日本の国立大学であり、国立大学の中でも戦前から存在したいわゆる「旧帝大※」の部類に入り、日本の中枢を担った人物を多く排出してきたことから国立大の中でも特に格別の扱いを受ける。

※旧帝大とは、1886年(明治19年)に公布された帝国大学令によって設立された大学のこと。

その他に官僚を多く輩出する大学としては東北大学、北海道大学が挙げられる。

この二つも国立大学の中でも長い伝統と歴史を誇る「旧帝大」である。

しかし東北大や北海道大は警察庁や政府中枢の官僚への輩出では東大・京大にはるかに劣るので、官僚社会では肩身が狭い。

「白い巨塔」の浪速大学のモデルとなった大阪大学は、医学系では強いが官僚社会での学閥としては非常に弱い。

官僚で大阪大学出身者は非常に少数派である。特に警察庁や法務省では数えるほどもいない。

大阪大も「旧帝大」だが東大に比べると歴史も浅く、官僚学閥でもはるかに劣る。

このように旧帝大の中にも優劣があり、東京大学、京都大学、東北大学、北海道大学は明治時代に発足した長い歴史を誇る大学なので旧帝大の中では高い格式を受ける。

さらにその中でも東京大学は、日本で一番最初に設立された大学であり、日本の近代化に貢献した官僚、政治家を数多く輩出した実績から、「近代日本の基盤を作った大学」と言われており、官僚輩出実績では常にbPの実績を持つ。この為、今現在でも官僚は東大卒が最も優遇された扱いをされるのである。

ちなみに横浜国立大や埼玉大学も国立大だが、これらは「旧帝大」ではなく官僚社会では目鼻にもかけられない。

ニックネーム ピィポくん at 12:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする