北朝鮮:拉致「解決済み」撤回示唆 11月の局長級協議で

毎日新聞 2012年12月31日 09時10分(最終更新 12月31日 13時07分)

 野田政権時代の11月に行われた日朝政府間の局長級協議で、北朝鮮が従来の「拉致問題は解決済み」との立場を変更する可能性に言及していたことが明らかになった。北朝鮮は変更の条件として、日本側が何をもって拉致問題を「最終的に解決した」と認めるかの基準を示すよう求めた。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射などで政府間協議はストップしているが、北朝鮮は早期の協議再開を目指しているとみられ、拉致問題で動きが出てくる可能性がある。

 局長級協議が行われた当時は、衆院選で北朝鮮への圧力を重視する安倍晋三総裁(現首相)が率いる自民党の勝利が予想されていた。北朝鮮には、日本の政権交代の前に協議の枠組みを作り、安倍政権との交渉を有利に進める狙いがあったとみられる。

 局長級協議は11月15日から2日間、モンゴルの首都ウランバートルで行われ、日本から杉山晋輔外務省アジア大洋州局長、北朝鮮からは宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使らが出席した。

 関係者によると、宋大使は協議の冒頭、「何としても平壌宣言の原点に戻りたい」と強調。02年の日朝平壌宣言は「北朝鮮が被害者で、日本が加害者である過去の戦争の関係を清算した上で、国交を正常化しようというものだ」とする独自の主張を展開した。

 さらに、拉致問題で被害者と加害者が「逆になった」とし、両国関係を元に戻すため、「拉致問題について日朝双方がお互いの意見を言い合う実質的な議論をしよう」などと提案したという。

 一方で、宋大使は北朝鮮が拉致を認めて謝罪した02年以降、拉致被害者5人の帰国やほかの拉致被害者の再調査を日本政府が評価せず、逆に制裁を強化したなどと非難。今後、こうした展開になるのを避けるために、拉致問題の交渉の出口を設定するよう日本側に求めたという。

 北朝鮮が12月1日にミサイル発射を予告したことで、野田政権は5、6両日に予定された2回目の局長級協議の延期を通告。北朝鮮は予定通りの開催を希望していた。今後も拉致問題に柔軟に対応する姿勢を見せることで、安倍政権に揺さぶりをかけてきそうだ。

 安倍首相は就任後、「拉致問題は必ず安倍内閣で解決する」と強調している。日本の制裁解除や巨額の経済支援を引き出すことに北朝鮮側の狙いがあるとみて、今後の北朝鮮の出方を慎重に見極めていく方針だ。【松尾良、飼手勇介】

 ◇日朝平壌宣言と日朝協議

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

TAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

ふくしまの希望ふくらむプロジェクト

ふくしまの
希望ふくらむプロジェクト

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン