(cache) 川崎市ろう者協会、手話通訳派遣要請拒否で、中原警察署に抗議。ＮＰＯ法人川崎市ろう者協会のブログ/ウェブリブログ

川崎市ろう者協会、手話通訳派遣要請拒否で、中原警察署に抗議。

<< 作成日時： 2011/08/13 07:48 >>

７月11日（月）、川崎市中原区内において、
川崎市ろう者協会の会員である、聴覚障害の女性が
交通事故に遭いました。
その際に、その聴覚障害の女性が、メール１１０番で
手話通訳の派遣を再三にわたり
要請したにもかかわらず、適切な対応がとられず、
かつ、交通事故現場に駆け付けた警察官にも、
手話通訳の派遣を再三にわたり要請しても、
手話通訳者の制度についてご存じない警察官が
その要請を受け付けませんでした。
そのために、現場検証で、相手方や警察官が
どのようなやり取りをしているか分からないままに
現場検証が行なわれ、
聴覚障害の女性の意見も確認しないままに、
現場検証を終了させ、非常に大きな不安を
与える事態が発生しました。

中原警察署の担当警察官の、聴覚障害者に対する理解が
不十分なために、当会会員である、ろう者女性の要請が無視され、
情報・コミュニケーションが保障されないままに
現場検証が行なわれたことになります。
その、ろう者女性の人権が著しく侵害された件について、
８月12日（金）午後３時、
川崎市ろう者協会は、対応した中原警察署を訪問し、
その抗議文を提出しました。

訪問したのは、当事者である、ろう者女性、
川崎市ろう者協会の
吉野理事長、藤永副理事長、袖岡財務局長、丹羽事務所長。
ご対応くだったのは、中原警察署の
新井署長、松井副所長です。

中原警察署側は、
聴覚障害の女性からのメール１１０番による
通報により駆け付けたものの、
当事者が聴覚障害者であることを認識しないまま、
警察官が現場に駆け付けた事を明らかにし、
当初から、「ボタンの掛け違い」があつたことを
認めました。

また現場に駆け付けた警察官が、
手話通訳の制度について認識しておらず、
また「初めて、聴覚障害者と出会った」状況の中で、
どう対応したら良いか分からず、
配慮が足りなかった点を認めました。
現場に駆け付けた警察官が無線で報告をした時にも、
その無線に対応した担当者も、
手話通訳に関する制度を熟知しておらず、
適切なアドバイスができなかった、とのことです。

また当初は、
物損事故扱いで現場検証をしていたこともあり、
短時間で現場の原状を回復することを最優先してしまい、
「双方の言い分を聞きながら、現場検証を進める」
姿勢を取ることができなかった事実も認めました。

なお後日、聴覚障害の女性より、診断書が提出されたことから
人身事故扱いに変更され、
再度の現場検証が行なわれています。
その際には、後述の制度を利用した
手話通訳を派遣し、コミュニケーションを保障した形で
再度の現場検証が行なわれました。

神奈川県では、神奈川県警のなかに通訳センターがあります。
外国語通訳（言語通訳）派遣がメイン業務ですが、
手話通訳派遣も行なうことになっています。
県内には、３つの聴覚障害者情報提供施設がありますが、
その施設が開所している時間帯については、その施設に
県警の通訳センターが、手話通訳を依頼します。
施設が開所していない時間帯については、
それぞれの情報提供施設が手話通訳者の名簿を
通訳者の同意に基づき、
この県警の通訳センターに提出してありますので、
県警の通訳センターから、各通訳者に電話し、協力を依頼し、
同意した通訳者を派遣できるシステムになっています。

前述のとおり、
事故当日に対応した警察官が、
上記の手話通訳派遣制度を知らず、
不適切な対応に終始したのが、今回の事件です。

中原警察署側は、
事故当日の警察官の対応が不適切であったことを認め、
当事者である、聴覚障害の女性に謝罪しました。
今後の再発防止に全力を挙げる姿勢を示し、
川崎市ろう者協会からの抗議文については、
文書において回答を頂けることになっています。

本件は、神奈川新聞社も取材を行ない
下記ＵＲＬ記載の通り、記事を掲載しました。
参考にご覧ください。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1108130003/