ガソリンスタンド:迫る2月危機 油漏れ対策、改修費重く

毎日新聞 2012年12月31日 09時14分(最終更新 12月31日 12時39分)

過疎地のガソリンスタンド。目の前は国道だが、立ち寄る車は少ない=群馬県高山村尻高で2008年10月、伊澤拓也撮影
過疎地のガソリンスタンド。目の前は国道だが、立ち寄る車は少ない=群馬県高山村尻高で2008年10月、伊澤拓也撮影

 13年2月以降、過疎地を中心にガソリンスタンド(GS)が大幅に減少する「2月危機」の懸念が浮上している。設置40年以上の老朽化した地下タンクの交換や改修を義務づける改正消防法の規制が導入されるためだ。1店につき数百万円にも上る対策費を捻出できず、廃業する店舗が相次ぐ可能性がある。厳冬が予想される中、暖房燃料の供給基地としての役割も担っているGSの減少に過疎地は危機感を強めている。

 改正消防法は、老朽化した地下タンクから油漏れが相次いだことを受けて11年に施行された。主に設置から40年以上経過した地下タンクについて、▽タンクの交換か、強化プラスチックでの内面コーティング▽油漏れ探知機の設置−−など油漏れ対策を13年1月末までに実施するよう義務づけている。総務省消防庁によると対策が必要なタンク約4万3000基のうち対策済みは27%にとどまる。

 岩手県岩泉町の釜津田地区では、地区内にGSがない。一番近いGSでも地区から5キロ離れており、寒冷地に欠かせない灯油は近隣地区からの配達でまかなっている。11年1月の豪雪時には150センチもの雪が降り、同地区への道路は寸断された。ガソリンや灯油の備蓄で何とか乗り切ったが「安定供給に不安がある」と経済産業省の報告書は指摘している。こうした「GS過疎地」は、2月以降、急激に増えるとみられる。

 GSには通常1店3基以上の地下タンクがある。仮に内面コーティングを3基に施すと、対策には500万円以上もかかり、元々、車の低燃費化や人口減によるガソリン需要の低迷で経営基盤の弱まっていたGSにとって、重くのしかかる。資源エネルギー庁の委託調査によると、GS経営会社の約半数が赤字経営に陥っており、石油流通の業界団体関係者は「規制強化を機に廃業を選択するGSは相当数に上るだろう」と話す。

 エネ庁は、規制が適用される13年2月時点で設置から40年以上経過するタンクへの油漏れ対策に3分の2を補助しており、11月末までに約4500件、84億円を補助した。エネ庁は「エネルギー安定供給のために存続の道を探りたい」と説明している。【種市房子】

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