崇徳上皇崩御の日 撮影現場潜入リポート 2

2012年6月12日(火)、東京渋谷の放送センターで「平清盛・30回~平家納経~」が収録されました。その裏側をご紹介します。

朝8時から始まった収録もすでに18時をまわっていました。讃岐での穏やかな生活シーンから一転、怒りを募らせていく場面の収録です。セットにも次々に手が加えられました。木丸殿の縁側。崇徳上皇は怒りのあまり生霊化してしまうため、生活も荒れ放題になっていきます。美しい木丸殿にはクモの巣が張り、水墨画が描かれていた襖も血文字で塗りつぶされています。 さぁ、いよいよここに怒りに満ちた上皇様が登場!!なのですが、圧巻の特殊メイクの模様をご紹介します。


特殊メイクは、日本の第一人者のひとり・江川悦子さんのスタッフが担当します。ハリウッド仕込みの技術が駆使されています。
まずはベースづくり。眉毛は保護され抜けないように整えられていました。


事前に型取りして作っておいた人工皮膚のひたいを、絆創膏などで使われている医療用の粘着剤で貼りつけてきます。
そして人工皮膚を取り付けたひたいと地肌の境目に塗ってぼかしていきます。これだけで井浦さんの顔が変わってしまいました。


更に特殊メイク用のファンデーションを吹き付けて仕上げます。みるみる貼りつけていた人工皮膚の境がわからなくなっていきました。首回りや耳の中、腕なども同じようにファンデーションが塗られ、どの角度から撮影しても完ぺきな肌が整っていきます。
このあともチークを入れたり、肌の色ムラをつけたりと微細な表現を付けていくんです。


かつらとひげ、付け爪を付け、歯も汚して長期間手入れをしなかった様子が伺えるビジュアルに変身しました。もう穏やかな上皇様の面影はありません。 後ろで見守るのは人物デザインの柘植伊佐夫さん(正面を向いている男性)です。出来栄えに満足な様子…。

これが出来上がった怒りの上皇。完成まで80分を要しました。右は金刀比羅宮で井浦さんと見た崇徳上皇の肖像画です。(金刀比羅宮所蔵・菊池容斎筆 部分)
井浦さん自身、この絵を見て生霊化する上皇をイメージしたそうです。忠実に再現されているのが衣装の色味、ひげの伸び方、爪の長さなどを見ると分かります。



上皇の怒りの激しさをうかがわせる雨のシーンは、スタジオ内にもかかわらず、美術さんが手にしているホースで大量の水を実際に撒きます。当然地面は水浸しになるのですが、収録後スポンジで吸い取って整えるのであっという間に乾いた地面がよみがえります。


木丸殿の荒み具合を際立たせるために登場したクマネズミ。
思った通り動いてくれない難しい俳優さんでしたが、ドラマの中でどんな演技をしていたか覚えていますか?


崇徳上皇の文机。 最初は重厚な文鎮が用意されていたのですが、粗末な生活をされていた上皇の家にあるのはおかしい…と、急きょ石を文鎮にしました。文机の奥、紙の影に半分隠れています。考証の先生が、当時石を文鎮にしていたというお話をされていました。 その石が、今高松放送局に井浦さんのサイン入りで保管されています。秋に行われる会館公開イベントで皆さんにお見せします!!

このシーンが終わるとまたメイクチェンジ(この日はメイク直しと落としを繰り返すこと8回。通常の収録でこんなに繰り返すことはないと井浦さんはおっしゃっていました)。時間はすでに22時をまわっていました。この後、崇徳上皇は更に凄い事になります…。(つづく…)

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