崇徳上皇崩御の日 撮影現場潜入リポート 1

2012年6月12日(火)、東京渋谷の放送センターで「平清盛・30回~平家納経~」が収録されました。この回は崇徳上皇が登場する最終回、24時間以上の長時間撮影に密着しました。

井浦新さん演じる崇徳上皇が讃岐で暮らしているシーンを撮影するため、スタジオに木丸殿(行在所として暮らした建物)が再現されていました。本家(木丸殿をイメージして坂出市に建てられた「擬古堂」)より少し大きめです。天皇の住まいということで、あまり粗末でないようにされたのですね。
これがその木丸殿のセット!!井浦さんがおっしゃっていたとおり、細部まで考えられて作られています。

香川の伝承では、崇徳上皇の住んでいた木丸殿は、「木の皮をはがさずに建てられた粗末なものだった」と言われています。凄いですよ、このセットの柱も木の皮がついています。しかも・・・。


木丸殿の柱の一部です。使用感を出すために、美術さんが手に塗料を付け、ぺたぺた汚れをなすり付けていました。

人が触って使いこんだ跡をこうやって付けているんです。細かい所までお仕事されているんですよ。こういう所に井浦さんも感動されていたんですね。



木丸殿の庭です。
ドラマの中で季節は秋…収録は夏ですからもちろん秋の草花は咲いていません。でも、美術さんの手にかかると造花もこんなふうに美しく咲き乱れているように見えるんです!
ここで飼われている(設定の)チャボが、本物と間違って花をつついて食べようとしていた位、そっくりです…。


この納屋は木丸殿の入口の前にあります。撮影は庭の方から居室に向けて行われるため、ほとんど映らないのですが、入口を開け放すと納屋が見えるので、それを計算し建てられていました。
中にもちゃんと農作業道具があって、人の生活が見えるようです。
手前にある井戸…。坂出には上皇が使ったと伝えられる湧水「内裏泉」があります。それを再現しているのでしょう。



庭の片隅にかまどがあって、上皇様の夕餉の準備が進んでいるようです!
でも手元を見てみると、手に持っているのは線香の束。実際に火をおこしているのではなく、煙を出して燃えているように見せています。 細かい!

美術のチーフディレクター・山口類児さんは、「井浦新さんが坂出を訪れた際、上皇ゆかりの場所を撮影されていたのですが、その写真を見せてくれました。それをイメージして作ったんです。とりわけ庭は大河の中でベスト3に入ります。」とおっしゃっていました。見取り図にある「国府の建物」は、上皇が常に監視下に置かれていたという伝説にちなんでいます。現場では庭の向こうに見える家の屋根がそれだと教えて下さいました。お話を聞いて「凄いですね、そうなんですか!」の連続でした。 以前大河ドラマのセットの壮大さについてレポートしましたが(インタビュー1324)、これほどの作り込みをすると何度も壊したり作ったりを繰り返すのは大変だという意味が分かりました。だから集中して同じ場所のシーンを収録するんですね。


スタジオすぐ隣にある副調整室。手前の中島由貴監督が各スタッフに指示を出しています。奥の照明さんも映像を見ながら微妙な光加減を調整されています。スタジオと同様、ここも緊張感が漂っていました。
収録前の綿密なチェック。あとは崇徳上皇を迎えてリハーサルをするのですが…。井浦さんは別室でメイク中。どんな姿を見せてくれるのでしょうか。(つづく…)

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