6/3(日)開催 NHK公開セミナー 大河ドラマ「平清盛」より
香川県坂出市で開かれたセミナーの模様をお伝えする第3弾です。
今回は「大河の舞台裏」について、井浦新さんと磯智明チーフプロデューサーのお話をご紹介します。
撮影しているセットは豪華ですね?
磯:NHKの一番大きいスタジオで撮影しているんですけど、天皇が住む内裏は組み立てると、スタジオが一杯になってしまう程巨大なセットなんです。
(200坪、660平方メートルあまりの広さがあります。公式プールの半分ぐらいの大きさ。7月27日からのロンドンオリンピックで確認してみましょう!)
平安時代の内裏はもっと大きかったんですが、それを6割位に縮小して撮影しています。
セットは細部まで気を使って作られているそうですね?
井浦:こういう場所で演技できるのは俳優にとってとても幸せだと思います。僕(崇徳院)がいつもいる部屋の前には庭があり、隣には寝室もあるんですが、その寝室に行くには廊下が2通りあって…と本当に緻密に作られています。そして隅から隅まで細かい装飾も手を抜いていません。こだわりが細部にちりばめられています。美術部の方とお話をする際、個人的に興味深い小道具があると、役とは関係なく「これどうやって作ったんですか?」と聞いていました。(会場笑)例えば…柱の留め具の上に装飾の金具をかぶせているものがあって、デザインが素敵でした。
あと、崇徳院が座っている傍にある肘掛、香炉、襖や屏風にもそれぞれ考え抜かれたものが配置されています。上皇だからこの絵を、この色味を…と意味を持たせていて、役者が演技の中で、それらの道具にいつ触れても自然になるように、配慮されています。なので自然に動けるというか、お芝居の幅が広がります。(ドラマをご覧になる方は)よく見てみると面白い発見があると思います。
磯:平清盛のセットは、当時の時代考証に基づいてほぼ忠実に作りました。貴族の文献とか資料をベースに、時代考証や風俗考証、儀式儀礼考証などの先生が集まってセットの図面をもとに、例えば「ここの柱は記述にあるからここに」、とか「御簾はここに掛っている」とかチェックしながら再現しているので、恐らく今の日本の持っている知識を全部投入して作っています。
そのスタジオセットで、月曜日に4日分のリハーサルをして、火曜から金曜まで本番の収録をします。収録に入ると試行錯誤する余裕もないのでリハーサルである程度、演じる側も演出する側も決めて本番に挑みます。
収録は朝9時位から夜中の1時、2時までずっと撮影するんです(会場ざわめく)。ただこれだけ撮影を長くやっても、放送でいえば10分位にしかならないんです(会場ざわめきが止まず)。それを1週間やることによってちょうど40数分の大河ドラマの1作分になるんです。