井浦新さんインタビュー

崇徳上皇は近衛天皇崩御を受け、息子の重仁親王を即位させ自らが政を行おうとします。辛かった日々から一転、一筋の光が見えてくる訳ですが…。

ようやく動き出した…と言う気持ちでした。 崇徳院はずっと虐げられ、自分の思う通りに1度もならない人生だったのですが、やっと自分の思う「おもしろき生き方」ができるんじゃないかという所です。

ところが、『王者議定』の場で予想しない結果が出されますね?

そうですね。 この回でいよいよ新しい帝が誕生します。 順番的にいっても「重仁だ」と思っていたのに蓋を開けたら雅仁だった、という…。

あまりにもその発想がなかった時や、強いショックを受けた時、人間はどうなるのかな?と思ったんです。 究極のショックを受けた時、人間って声が出なくなるんじゃないかと。 例えば受験で、間違いなく合格する自信があって発表を見に行って番号がなかったら、何も言えずに動けないですよね? 予定外の事がいきなり起きた時、大声を出して喚き散らしてのたうち回るというのは、お芝居では成立しても僕は表現としてあんまり好きではないです。 静かに始まっていって一言も声を発さない、というやり方でとんでもないショックを受けたという表現にチャレンジしました。 見る人の心をえぐるような衝撃っていうものを、無言で表現するという真逆を提案したんです。

これまで語りきれていませんでしたが、崇徳院の横に藤原教長(矢島健一)が、ずっと寄り添ってくれています。言ってみれば教長は崇徳院のブレーンです。 相談役でもあるし、いろいろ道を作ってくれて全てをやってくれる人です。この回の芝居でその存在の大きさを感じることになりました。

収録では、矢島さんとのエチュード(即興劇・演劇用語)みたいになりましたが、とても面白かったです。 台本では、崇徳院がとり乱すのを教長が「上皇様!」と言って抑えようとする、とだけ書かれていましたが、そのシーンを僕が一言も発さずに表現するとなった時、 矢島さん(教長)の存在がそのシーンをとても引き立ててくれました。 崇徳院は強い衝撃を受け、気絶し倒れる位になる状況になります。すかさずその空気を矢島さんは感じ取ってくれて、逆に取り乱してわめき散らしてくれたんです。

教長も崇徳院と運命を共にするんでしょうね?

完全に巻き込んでますね。崇徳院を語る上で教長は外せない、それを強く感じました。このシーンで崇徳にとって教長っていう存在はとても大切な存在だったと、お芝居を通して感じさせて頂きました。

藤原教長役・矢島健一さんに伺いました

王家の人達は、白河院をはじめ相当個性的なキャラクターの方が多いです。その中で崇徳は時代の流れにのみこまれた悲しさ、哀れさを持つ素直な人間として描かれているので、教長としてそれにどう寄り添うか考えながら演じました。

新さんは、素直でまじめで何より品のある俳優さんで、楽しい現場になりました。例の「崇徳がショックで庭を転がり、教長がわめいてるシーン」は、普通本番は3~4回同じ事をしなければならないのですが、なんと1回でOKが出ました!3回やっていたら、きっと教長の声はパンクしていたと思います、助かりました。


えーと、新さん、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。また会いましょう!
矢島健一

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