井浦新さんインタビュー

「平清盛」のドラマ全体について、何か思いをお持ちですか?

今まで演じた中で、「平清盛」が一番古い時代の役柄ですが、やってみて思ったのはSF(空想科学小説)の世界ですね。 日本の話ですし、言葉も日本語なのですが、演じてみるとあまりにも現代とかけ離れすぎていて、空想の絵巻物の世界という感じで面白かったです。
このドラマに参加して、いにしえの時代を映像で再現する楽しさを知ったので、より今思いが強いのかもしれません。
この時代で言うと平将門(たいらのまさかど)もいいですよね。興味あります。※下記参照

同じ怨霊としての共通点があるのでしょうか。他に演じたい人物はありますか?
(平将門は、昭和51年に加藤剛さんの主演で、大河ドラマになっています。)

たくさんあります。例えば…正直これはNHKじゃないと実現不可能だと思うのですが、役小角(えんの・おづぬ)といって修験道の開祖で、聖徳太子が朝廷を動かしていた時代にいた実在の人物です。 驚くような異説が残されていて、この人を探る旅を今個人的にしています。
あとは円空(えんくう)木喰(もくじき)と言う仏師も興味深いです。 他にも絵師で葛飾北斎(かつしか・ほくさい)曾我蕭白(そが・しょうはく)長沢蘆雪(ながさわ・ろせつ)といった人ですね。 ただ絵が上手いというだけではなく、生き方に魅力がある人物なんです。
演じてみたい人物を挙げ始めるときりがないですね。※下記参照

歴史上の人物に興味があるんですね。それもヒーローというよりは、歴史の脇道を歩いているような存在に…。

なぜ歴史上の人物ばかりなのか…。そうですね。現代は物があって豊かですが、物じゃない部分がとてもやせ細ってしまっているなと感じるからなんです。
戦で命を奪いあい、村々は物もなく飢え、都しか豊かな場所がなかったとしても、彼らが生きていた時代の人たちの心は、間違いなく豊かだったと思うんです。
仏師は木像を彫って貧しい村に残していって、「貧しくとも感謝の気持ちを毎日忘れずに手を合わせなさい」ということを伝えていたり、絵師も様々な土地を旅して歩き、立ち寄った家に「一宿一飯の恩義」として襖に絵を描いていたりとか…。
そうやってお金ではないものを残して人々の心を豊かにしていったんですね。
彼らの生きざまを見ていると、貧しくとも心が豊かだった。そういう所に強くひかれます。だからそういう人物を演じてみたいと思うんですね。

井浦さんも芸術に興味を持ち、日本各地を旅して写真を撮影されているそうです。
この「平清盛ご当地サイト」でも、その作品をご紹介する予定なのでぜひご期待下さい。  
次回は、崇徳上皇を演じる井浦さんのお話に戻ります。

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