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ホッとニュース 【12月30日02時31分更新】
希少毛皮ずらり ライオン、クマ、トラ
作業中の水野昭憲館長に出迎えられ、展示室に入ると、所狭しと毛皮が飾られ、動物園 さながらだった。壁掛け用のトラやライオン、ヒョウといった2メートル超の「大物」は 毛皮と分かっていても、じっと見詰めていると迫力があり、思わずたじろいだ。 実際に座ることができるクマやカモシカの敷物に、ウサギの毛皮を裏地に使ったベスト などもあった。イタチやテン、カモシカなど県内の里山で見掛ける動物の毛皮も並び、資 料館周辺で事故死した動物を供養してなめしたものもあるそうだ。 希少動物の毛皮は、ほとんどが市民からの寄贈だという。違法に持ち込まれたものがな いのだろうか。尋ねようとした矢先、水野館長が「もちろん、全てワシントン条約で取引 が規制される1980年以前に国内に持ち込まれたものだけ」ときっぱり。 水野館長によると、保温性の高い毛皮は国内では古来より、防寒具や調度品として用い られてきた。動物愛護運動の高まりや化学繊維の台頭などで、需要は30年ほど前をピー クに落ち込んでいるという。 毛皮が生活から姿を消す中で、展示を企画した理由を聞くと、水野館長は「かつて毛皮 は防寒具として、生活の一部だったという歴史を知ってもらうため」と答えた。 毛皮だけを扱った展示も珍しく、関係者によると、専門的に収集している施設が少なく 、全国的にほとんどないという。動物愛護の観点から展示を自重するケースもあるそうだ 。 世代を問わずに毛皮に触れてもらうため、来場者が展示品に触れられるようにする予定 で、水野館長に「どうぞ手に取ってください」と勧められた。ミンクは肌触りがよく、ツ キノワグマはごわごわとしていた。 今日の動物愛護とは相いれないかもしれないが、かつて毛皮は寒さをしのぐための身近 な存在だったのだろう。化学繊維とは違った手触りに歴史の重みを感じた。毛皮展は1月 12日から5月6日まで。
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