第2次安倍内閣の発足で円安や株高が進み、経済環境の好転が期待される。だが日本経済が本格的に回復するには、経済活動の効率や生産性を高め、成長を促す仕組みが必要だ。そのために新政権には新しいIT(情報技術)戦略の立案と実施を求めたい。
新内閣では新たにIT担当相が置かれ、山本一太沖縄・北方領土担当相が就任した。IT担当相は2000年に新設され、日本の高速通信網の整備に重要な役割を果たした。だが06年以降、情報化政策は停滞しており、IT政策を重視する姿勢は評価したい。
では今後、どんな政策を進めていく必要があるのか。
まず公職選挙法の改正だ。インターネットで情報発信する政治家が増えているが、公選法は選挙運動期間中の情報更新を禁じている。先進国では例がない。来年夏の参議院選挙を控え、若者などの政治参加を促すには、日本もネット選挙を解禁すべきである。
電子行政の司令塔となる「政府CIO(情報統括責任者)」に権限を与える法案も通常国会ですぐ通す必要がある。CIOは8月に任命されたが、まだ法的な裏付けがない。施策を打ち出すには責任と権限を明確にすべきである。
社会保障と税の一体改革を促す共通番号制度の導入も待ったなしだ。透明で公平な社会保障負担を実現するには番号は不可欠だ。だが行政だけが使える制度では普及は難しい。民間利用も視野に入れた制度設計が必要だろう。
自民党が政権公約で掲げた「国土強靱(きょうじん)化計画」にもITの活用が求められる。日本を狙ったサイバー攻撃が増えており、外交や安全保障の観点から、安全対策に必要な技術開発や人材育成が喫緊の課題といえる。
新しい情報技術への対応も必要だ。ネットから様々な情報やソフトを得られるクラウドコンピューティングや、そうした情報を共有し、電子商取引や社会インフラに役立てるビッグデータなどの技術開発を支援することも重要だ。
海外でも成長戦略の柱にIT政策を掲げる国が多い。米オバマ政権は高速通信基盤の整備に多額の予算を投入、政府情報を開示して民間の経済活動を活性化させる流れを作った。英政府もロンドン五輪で培った通信基盤をベンチャー育成につなげようとしている。
今こそ成長を促す政策の目玉にIT戦略を打ち出す時である。
山本一太、情報技術、インターネット
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