取材メモから:足が地に着いた政策を期待 /鳥取
毎日新聞 2012年12月27日 地方版
「まんが王国とっとり建国イヤー」の今年。「国際まんが博」として県内各地で開かれた大小さまざまなイベントに県の発表では320万人以上の来場者があった。目標に掲げていた300万人を上回る数字だが、内訳を見ると、そう喜べない▲県が中核イベントと位置付け、東・中・西部で3回開いた「とっとりまんがドリームワールド」の来場者は22万2497人。国際マンガサミットは4万1040人。300万には遠い。では、残りの来場者は何なのか。実は、県が常設拠点と位置付けた「水木しげるロード」や「青山剛昌ふるさと館」などの来場者179万4905人が含まれる。県は、後者の来場者が前年比約5割増になったと胸を張るが、前者が前年比で2割程度減ったことには触れていない▲「すぐにどうにかなるものではないかもしれない。10年、20年先の長期的視点を持って見守ってほしい」。サミット実行委員で漫画家の里中満智子さんの言葉だ。まんが王国は始まったばかり。成功した側面ばかりを吹聴せず、来年以降は足が地に着いた政策となることを期待したい。【田中将隆】