幕末の町家再生へ初適用 建築基準法除外条例
京都市は25日、京町家など古い木造家屋の保全に向けて4月に制定した「建築基準法除外条例」を、幕末に建てられた伏見区深草の町家に初めて適用したと発表した。龍谷大が町家キャンパスとして活用する。
市によると、市民が所有する町家を建築基準法の規定から外し、再生する例は全国で初めてという。
条例初適用となった京町家は、151年前の1861(文久元)年に建てられ、日本茶の販売店舗兼住宅として使われてきた。市が所有者から改築の相談を受け、条例適用できると判断し、龍谷大に活用を提案した。
建物を増改築するには、建築基準法が定める防火や耐震性をクリアする必要があるが、木製の出格子を防火性の高いアルミサッシに変更すると京町家特有の構造が失われてしまう。市は今春、景観や文化的に重要な木造建物に限り、複数の避難経路を設けるなどの条件を満たせば同法規定を除外できるとする条例を制定した。
所有者が今後、耐震、耐火工事を実施。龍谷大が借り受けて2013年4月から学生と地域住民の交流拠点として使用する。市建築指導課は「今回の事例を機に、京町家の良さを残しながら建物を活用する取り組みを広げたい」としている。
【 2012年12月26日 11時24分 】