歩行のサイクルについて

歩行は一方の足から他方の足へと体重が移動することによって行われます。
歩行のサイクルとはこの一連の動作一周期のことです。
歩行とはこの一連の動作を繰り返すことによって成り立っています。
筋肉や関節が正しく機能することにより、正しい歩行すなわち効率の良い歩行が行われます。
歩行の一周期は僅か一秒ほどですが、その中で無意識に行われている人間の体の動きは
実に複雑なものです。 その一部でも異常をきたすと足のみならず他の部分にも大きな影響を
及ぼします。 以下歩行のサイクルについて簡単にご説明いたします。

歩行の一周期(右足を基準に見てください)

踵接地期  足底接地期 立脚中期  踵離地期  足指離地期 遊脚中期  踵接地期 
立脚相 遊脚相


立脚相(りっきゃくそう) 
立脚相とは歩行において足のつま先から踵までの一部あるいは全部で床面に接触している
時間帯を言います。 歩行のサイクルにおいては片足で立脚している時間帯と、両足で立脚している
時間帯があります。 上の写真では右足を基準に分類しています。
正常では歩行の一周期の約60パーセントの時間を占めます。
遊脚相(ゆうきゃくそう)
遊脚相とは歩行においてつま先で床面を蹴りだした後に足を振り出して踵が床面に接触するまでの
足が完全に床面に接触していない時間帯を言います。 
この場合ももちろん反対側の足は床面に接触して体を支えています。
正常では歩行の一周期の約40パーセントの時間を占めます。

踵接地期(かかとせっちき)
この時、足関節は背屈15度、股関節は40度伸展、膝関節はほぼ完全伸展です。(写真右足)
よく段差につまずく人は足関節の背屈がうまくいかないかあるいは、大きなストライドで
歩くと膝関節か股関節に負担がかかるため、ここに問題がありそれができない
などの理由が
考えられます。

足底接地期(そくていせっちき)
足の裏全体が床面に接地して立脚側(ここでは右足)に体重がかかります。
この時、反対側の足(ここでは左足)は親指で蹴りだして遊脚相にはいります。
この時には足の裏で重心移動します。 正常では重心は踵から足の外側縁を通り小指球(足の裏の
小指の付け根の近く)から母指球(足の裏の親指の付け根の近く)へと移動しますが扁平足の人は
正常の重心移動よりも内側を通ります。
これにより通常は靴の踵は外側が磨り減りますが、扁平足の人は踵の内側が磨り減ります。

立脚中期(りっきゃくちゅうき)
立脚側(ここでは右足)の足に完全に体重がかかり骨盤は時計回りにツイストしながら反対側の
足は立脚側の足を追い越します。

踵離地期(かかとりちき)
立脚側(ここでは右足)の踵が上がり始め、今まで遊脚していた側(ここでは左足)の踵が接地して
両足で体重を支持します。

足指離地期(そくしりちき)
今までの立脚側(ここでは右足)の親指で床面を蹴りだし反対側(左足)で立脚しそちらに
完全に体重がかかります。 この時に蹴りだす親指の関節の可動範囲(動く範囲のこと)が
最低でも55度以上ないと正常に床面を蹴りだすことはできません。

外反母指の人はこれができない人が多く効率の良い歩行はできない大きな原因となっています

遊脚中期(ゆうきゃくちゅうき)
完全に反対側(ここでは左足)で立脚し体を支えて右足は遊脚してこれより前方に振り出します。

以上できるかぎり簡単に歩行のサイクルを解説いたしました。 難しかったでしょうか? 
一般の方がこのようなことを覚える必要は全くありませんので、こんな風にして人間は歩いて
いて足のトラブルがあると歩行に異常をきたすと思っていただければそれで充分です。



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