個人的に大ファンな為末さん。新刊が出ていたので早速読了。名言多いです。
アスリートに学ぶ人生論
・本番で勝負強い選手は、自己肯定感が強い。このままの自分でいいと知っている選手は、やはり腹が据わっている。
・見えていないオプション、選択肢は、実はたくさんある。だけど、そのオプションの存在を常に意識して、「今はこっちを選ばない」と知りながら生きているのと、ルーティンとしてただ「今までやってきたことをこのまま続けている」のとでは、大きくちがう。(中略)実は、この「あきらめている他の人生」の存在に気がつくかどうかが、人生を広げる鍵だと僕は思っている。僕がハードラーとしてひとつのことに25年を費やしたのは、気持ちが強いわけでもなんでもない。毎朝同じものを選び、他の可能性をあきらめ続けただけ。
・成長の鍵は、自分が大事だと思い込んでいる「どうでもいいこと」を、どれだけ少なくできるかにある。
・「やればできる」という姿勢は、結果責任が個人の努力に向かいやすい。子どもは敏感だからそのカラクリにすぐに気づき、本音で夢を語ることを嫌がるようになる。本音で夢を語った瞬間、それがかなわなかったら「お前の努力不足なんだよ」という批判が飛んでくるのを知っているからだ。
・世の中にはどうしようもないことがたくさんあって、そこに出口がないなら、どうにかしようがあることに努力や時間を割いていったほうがいい。(中略)あきらめたものが多いほうが、ひとつのことに集中投下できる。それゆえ成功しやすい。
・僕の競技人生は、まさに「負けで終わった」けれど、幸せな人生だったと胸を張って言える。そう、負けと幸福感は別である。
・全体のバランスで見始めると、欠点が欠点だけで存在しているのではなく、長所とセットになっていることがほとんどだった。欠点には「存在する理由」があったのだ。
・ほとんどの夢は叶わないし、ほとんどの人生は負けで終わる。「夢は叶う」は叶った人だけが言えるだけで、叶わなかったほとんどの普通の人はそうは言えない。とすれば、「夢が叶わない現実」の中をどう生きていくか。
・夢は持ったほうがいい。たぶん叶わないけど。
・人の真似をしている限り、残念ながら、ずっと2番手のままだ。
・僕がハードル選手になったのは、その才能に注目されたからでも、ハードルが大好きだったからでもない。自分が活躍できそうだったから。もっといえば、勝てそうだったから。
・「苦しさ」や「一生懸命」「必死」でやっている人は、「無我夢中」「リラックスした集中」でやっている人にはどうしたって勝てない。
・子どもの頃から「絶対に負けられない戦い」を覚えてしまうと、勝てる試合しかしなくなり、結果、勝負弱い人間ができあがってしまう。
・結果に依存しすぎると、人生なんてほとんど意味がなくなってしまう。(中略)敗北感を感じないようにするのは無理かもしれないけど、結果とは関係なくプロセスの中にいかに喜びを見いだすかは、大きな知恵だと思う。
・僕が「一番」に興味があるのは、絶対に獲らなければならないものとして存在しているからではない。一番以外を否定しているわけでも、もちろんない。何というか、一番を目指していないと、むしろ「その途中」がつまらないという感じ。
・自分の競技人生がいつか終わると強く意識した日から、目の前の景色が変わって見えた。
・自分や自分の観点が「小さく思える」ような体験をしよう。
・批判は攻撃だから反撃しやすいけれど、期待は応援だから無視しにくい。僕はいつの間にか人から期待されたい「いい人」になっていて、その自分を見てファンになった人の期待に答えるために、さらに「いい人」を演じていた。本当の自分は違うのに、期待に応え、それがまた人の期待を加速し、何が本当の自分なのかさえ、よくわからなくなっていった。
こんな感じで、名言たっぷりな一冊です。僕自身「プロブロガー」というよくわからないキャリアを歩んでいますが、とても参考になりました。「苦しさ」や「一生懸命」「必死」でやっている人は、「無我夢中」「リラックスした集中」でやっている人にはどうしたって勝てない」というのは特に刺さります。これは文筆業でもまったく同じだと思います。今後も楽しみながらものを書いて生きたいと思います。
驚いたのは、実は新聞記者を目指していたというエピソード。道理で文章表現がすばらしいわけです。これからは物書き、表現者としてのキャリアを歩んでいかれるのかもしれませんね。
こちらも大変おすすめ。ツイートまとめがここまですばらしいとは…(読書メモ)。