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国産シェールオイルの開発技術を生かせ

2012/10/11 3:30
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 秋田県にある鮎川油ガス田(由利本荘市)で、シェールオイルと呼ぶ、地中の岩盤層に含まれる原油の採掘に成功した。国内での採掘は初めてである。

 埋蔵量は少なく、これで資源が乏しい日本のエネルギー自給率が劇的に改善するわけではない。それでも国内資源の開発に取り組む意義は大きい。

 シェールオイルに限らず、今は採算がとれないが国内に眠る資源を効率よく探したり、採掘したりする技術を蓄えることが商業生産への道を開くからだ。海外の資源開発で日本企業の競争力を高めることにもつながる。

 石油資源開発は鮎川油ガス田の地下1800メートルの地点で岩盤層に塩酸などを注入し、溶かしてできた割れ目からしみ出た原油を回収した。総量で約500万バレルの生産が見込めるという。

 国内で見つかった貴重な資源だが、これだけでは日本の原油消費量の2日分にもならず、採算性にも課題が残る。一方で、この成功をシェールオイルの掘削技術を手に入れる機会にしたい。

 シェールオイルや、岩盤層に含まれる天然ガスであるシェールガスの生産で先行した米国では、エネルギー価格が低下する「シェール革命」と呼ばれる現象が起きている。今後、中国など世界各地で開発が本格化する見通しだ。

 日本企業も海外で開発への参加に動いている。石油資源開発は米国でシェールオイルの開発権益を取得済みだ。国内での経験を海外での開発や生産に生かしたい。

 太平洋沖の日本の領海内では、地中深くで天然ガスの成分が水と結合し、シャーベット状になったメタンハイドレートの埋蔵が確認されている。埋蔵量は国内ガス消費量の100年分との見方もある。領海内では、ハイブリッド車や携帯電話の生産に欠かせないレアアース(希土類)の埋蔵も有望視されている。

 夢のある話だが、まだ過大な期待をかけるわけにはいかない。資源探査や掘削の技術を積み重ねることが、これらの生産を実現する早道である。資源の調達先を少しでも広げることは、輸入に頼る原油やレアアースの価格を引き下げる交渉材料にもなる。

 国内の資源開発は戦略的な側面を無視できない。コストを度外視した投資は論外だが、技術を育てるには、企業と連携した適切な国の支援も必要だろう。

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