憂楽帳:犠牲

毎日新聞 2012年12月28日 西部夕刊

 那覇市の江原智恵さん(37)は放射能汚染を恐れて6歳の息子と埼玉県から避難した。夫の転勤で沖縄県宜野湾市に7年住んだ縁があったからだ。

 かつて暮らしていた時、同市の米軍普天間飛行場などの基地が、就職先や異文化に触れる場として地元の同年代の知人らの憧れとなっていたことを知った。

 基地と原発の構図が似ていると気づかされたのは、震災後だ。江原さんは福島県いわき市で18歳まで暮らした。地元では「東電さんがいるおかげで」と原発も好意的に受け止められていた。「犠牲がありながら、受け入れられている側面があるのは同じでは?」。

 宜野湾市のオスプレイ配備反対集会。江原さんは息子を連れて参加した。故郷と沖縄が重なるからだ。

 東京大の高橋哲哉教授は著書で民主党の鳩山、菅政権が普天間移設と原発の壁にぶち当たり崩壊したことについて「私たちの生活が誰かの犠牲から利益を上げるメカニズムの中に組み込まれていることを痛烈に思い知らせた」と書いた。再び誕生した自民党政権。多くの国民が犠牲を強いる選択を望んだのだろうか。【関谷俊介】

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