安倍首相:「原発ゼロ」踏襲しない考え表明
毎日新聞 2012年12月29日 20時53分(最終更新 12月29日 21時10分)
安倍晋三首相は29日、就任後初めて福島県の東京電力福島第1原発を視察した。首相は民主党政権の「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」との方針について「希望の段階で、直ちに政策になっていくということではない」と述べ、安倍内閣としては踏襲しない考えを表明。視察先の福島県川内村で記者団に語った。
首相は「3年間に再生可能エネルギーをはじめ、代替エネルギーに集中的に投資し、イノベーション(技術革新)を促していく。責任あるエネルギー政策を進める」と強調。自民党は先の衆院選公約でエネルギーの最適な電源構成(ベストミックス)を10年間で確立する方針を掲げており、党方針を維持する考えを示した。
福島第1原発の視察で、首相は約80人の東電職員らが詰める免震重要棟の緊急時対策室であいさつ。「廃炉に向けた挑戦が成功して初めて福島の復興、日本の復興につながる。政府も全面的にバックアップしていきたい」と述べ、原発の廃炉作業を急ぐ考えを示した。
その後、川内村の仮設住宅を訪ね、被災者を激励。復興交付金を活用したレタスの水耕栽培工場などを視察した。同県郡山市では、仮設住宅に避難している住民に早期帰還の実現に努めることを約束した。【阿部亮介】