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天声人語

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2012年12月30日(日)付

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 空前の434万票で東京都知事に選ばれた猪瀬直樹氏は、その地位を「4年間安定した総理大臣のようなもの」と語る。首相が7年続けて代わった師走の言葉から▼東大教授の森政稔(まさとし)さん(53)は、戦後最低の投票率に無言の政治不信を見た。「正義や公平が著しく損なわれれば、まじめに働くことがばからしくなる。人々がそれぞれの持ち場を放棄するようになり、この国に本当の危機がやってくる」▼「変化する社会と、選ばれた代表との距離がさらに開き、政治が遠いと感じる人が増える」。脱原発デモに加わる社会学者、小熊英二(おぐまえいじ)さん(50)の心配だ。「代議制とは別の参加回路を作らないと、無限に金をばらまくか、不満がたまり治安が悪化するか」▼西宮市の無職田中康次さん(65)はかつて、護憲のシンボル土井たか子氏の支持者だったが、今回は自民党に入れた。「この選挙がきっかけで危うい道へ進んだら、私たちの責任や」▼「肩ひじ張った外交は自信喪失と劣等感の表れ」。前中国大使の丹羽宇一郎氏が日中双方を戒める。「日本人を嫌う中国人には、日本の商品は素晴らしいという嫉妬、裏を返せば尊敬の念がある。こちらまで感情を爆発させる必要はありません」▼大阪で天津甘栗を商う藤田輝貴さん(61)はこの秋、新栗を仕入れに訪れた中国の河北省で、公安警察に「あまり出歩くな」と警告された。「甘栗は日中友好の象徴。歴史に思いをはせながら味わってほしい」。甘くない時こそ、草の根の絆が物を言う。

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