原子力規制委員会は29日、国内で唯一稼働する関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)の断層に関する再調査を終えた。敷地内に活断層が走っているかどうかの見解はまとまらなかった。島崎邦彦委員長代理は「まだ検討が必要だ。関電の調査後に改めて会合を開く」と表明。関電の追加調査を待って来春以降に最終判断するとの見通しを明らかにした。
調査団は29日、地滑りか活断層かを判別しにくい地層のずれがある海岸付近の溝を改めて確認し、原発建屋北側の山頂付近の溝も調べた。関電は規制委に地層のずれを地滑りと説明。真上の地層にある火山灰の年代から、地層がずれた時期を20万年前ごろとした。
調査団メンバーの東洋大の渡辺満久教授は「今までの考えは変わらない」として活断層の疑いを示唆した。一方でメンバー5人のうち1人は慎重な見解を保った。
規制委は年明けに大飯原発の断層に関する評価会合を開くが、暫定的な判断にとどまりそうだ。規制委は11月の調査後、関電に敷地南側で東西に最大150メートルずつの溝を掘るよう指示した。関電は来年2月末に報告書をまとめ、その後、本格的に溝を掘って調べる見通しだ。活断層と認定すれば、規制委は関電に運転停止を求める構えだが、専門家の意見がまとまるメドは立っていない。規制委としての結論を出す時期も不透明だ。
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