【中国覇権主義に勝つ】ウイグルを解放できるのは日本だけ

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2012.12.10


中国政府の弾圧に抗議し、シュプレヒコールを上げる世界ウイグル会議のラビア・カーディル総裁(中央)=5月、東京【拡大】

 12月6日、東京で「アジアの民主化を促進する東京集会」が開催された。日印国交樹立60周年を記念して−という副題が示すように、今年、日本とインドが国交を樹立して60年を迎えた。しかし、尖閣問題でほとんどの記念行事が中止になった日中正常化40周年ばかり取り上げられ、日印国交樹立60周年が報道されないのは異常な事態だ。

 集会には、中国の圧政に苦しむ周辺諸国から数多くの人々が参加した。

 世界ウイグル会議副総裁のイリハム・マハムティ氏は「今こそ中国に警戒をするときです。日本には新しいアジアのリーダーとして頑張ってほしい。華人の支配下にあるアジアを独立させ、もっと平和なアジアを築くことに日本の力を期待する」と訴えた。

 今年5月に、中国のさまざまな圧力や嫌がらせに屈することなく「世界ウイグル会議総会」が東京で開催され、大成功を収めた。

 この時、ノーベル平和賞候補のラビア・カーディル総裁も来日し、世界中から集まったウイグル人と靖国神社に昇殿参拝も行った。これは画期的な出来事だった。

 カーディル女史は「世界中どこの国でも、英霊を追悼したたえる場所があり、どこも神聖な場所です。日本人が靖国神社を大切にしていることは素晴らしいが、ウイグルにはこのような場所がありません」と悲しそうに私に語ってくれた。

 現在、新疆ウイグル自治区と呼ばれる広範な地域は、かつて2回東トルキスタン共和国として独立したことがあった。戦前の日本が日露戦争の勝利で、間接的に東トルキスタン独立をサポートしただけでなく、満洲事変以降もモンゴル、ウイグル、チベットと漢民族の周辺民族と緊密な連携を取っていたのだ。

 カーディル女史は中国共産党から「テロリスト」とレッテル貼りをされ、5月の東京総会に来日できるかも危ぶまれた。世界ウイグル会議東京総会を妨害するために、支援する国会議員へもさまざまな圧力がかけられた。

 前出のイリハム氏は5月の東京での総会を振り返りこう言った。「東京で開催できたことが欧州在住ウイグル人たちをものすごく勇気づけたんです。中国に最も近いアジアで行われた初めての大会だったし、日本が助けてくれることに期待を寄せています」

 中国に核実験の実験場とされ、この40年間で数多くの人々が犠牲になったといわれるウイグル。シルクロードの起点として再生できるのは日本だけかもしれない。

 ■西村幸祐(にしむら・こうゆう) ジャーナリスト。1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部中退。在学中、「三田文学」の編集を担当し、80年代後半から、作家、ジャーナリストとして活動。2002年日韓サッカーW杯取材後、拉致問題や歴史問題などにも、取材・執筆分野を広げる。アジア自由民主連帯協議会副会長。著書に「『反日』の構造」(文芸社文庫)、「幻の黄金時代」(祥伝社)など。