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【2012衆院選】荒技・勇み足…つぶやく選挙 公示後も続々 あいまい基準逆手のニュース本文

12/12 02:03更新

 12月16日投開票の衆院選をめぐり、インターネットのツイッターを使う動きが目立っている。公職選挙法で禁止される「選挙運動」に当たらないぎりぎりの範囲で発言を繰り返したり、勇み足で投票を呼びかけたり…。自動プログラムを用い、機械に書き込みを代行させる“荒技”も登場した。こうした事例はいずれも、ツイッターが有力な選挙ツールであることの証左である一方、背景には公選法の基準のあいまいさがある。
 「もしかしたら選挙後に逮捕されるかも。そのときは助けてください」。日本維新の会の橋下徹(はしもと・とおる)代表代行(43)は(12月)9日の東京・秋葉原の街頭演説で、そう冗談めかした。「逮捕される」としたのは公示後のツイッターへの書き込み。橋下氏は公選法で規制される公示日の4日以降も政策などに関する書き込みを続け、藤村修(おさむ)官房長官(63)が「公選法の規定に抵触する恐れが強い」と指摘する事態になった。
 一方で、橋下氏は「僕のツイッターは、総務省の見解を踏まえていますから。選挙運動にはあたりません」とし、現在も書き込みを続ける。橋下氏は特定の政党や候補への投票は呼びかけておらず、こうした自信につながったもようだ。
 ■「うっかり」候補名
 社民党の福島瑞穂(みずほ)党首(56)の書き込みはきわどい。「原発を廃炉にすべきだ」との主張をツイッターに投稿するだけでなく、公示日には特定候補の名前を挙げ「支持を正式決定」と書き込んだ。いずれも秘書らの指摘で数時間後に削除したが、福島事務所では「『うっかり』といえ、候補名を挙げたのは軽率だった」と弁明する。
 東京8区から出馬した無所属新人で俳優の山本太郎氏(38)のケースはかなり特殊。「Bot(ボット)」と呼ばれるコンピュータープログラムが山本氏の過去の発言を勝手に引用し、自動でツイッターに主張を書き込む。その頻度は約15分に1回。いわば機械に書き込みを代行させる方法で、陣営は「支持者が勝手に作った。作ったのは公示前なので、警察も指導できないはず」と主張している。
 ■ネット解禁の時期
 共同通信が(12月)11日、インターネット検索サイト「Yahoo!」を通して、ツイッターで衆院解散以降、政党や党首の名称を含んだ「つぶやき」がどれぐらいあるかを分析したところ、12党の(12月)9日までの総数は約236万7000件(民主党69万7000件、自民党69万件、日本維新の会45万9000件、日本未来の党18万4000件、共産党10万7000件、公明党8万1000件、社民党6万2000件、みんなの党4万7000件…など)にも上っている。
 公選法に詳しい関西大の岡本哲和(てつかず)教授(政治学)は「政治活動と選挙運動の境目があいまいなことが混乱を招いている。ルールを守る人が損をする現状は不平等で法整備が必要だ」と話す。ほとんどの若者がネットを利用する現在では、ネットでの選挙運動禁止は実態に即しておらず、もはや解禁に踏み込む時期にきている。
 (SANKEI EXPRESS
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 ■選挙運動と政治活動 特定の候補を当選させる、もしくは当選させないために有権者に働きかけることが「選挙運動」。「政治活動」はこれを除いた政治的な活動全般を指す。公示後の公式な選挙期間に入れば選挙運動ができる一方、ネットへの書き込み等は規制される。総務省の解釈では、ネットを利用した選挙運動は公選法で禁じている文書図画の不特定多数への配布に当たるためだ。政治活動はいつでもでき、ネットの活用も自由。「○○候補に一票を」などが直接的な選挙運動の表現となるが、「よろしく」も選挙運動と解されることがあり、両者の線引きはあいまい。