By MIKE RAMSEY
トヨタ自動車は26日、同社製乗用車の意図せぬ急加速に伴う2009−10年の大規模リコール(回収・無償修理)に絡んだ米国の集団訴訟の和解を目指し、最大1600万台の車の所有者に対して新規の安全装置を装備したり、払い戻したりするため、総額約11億ドル(約940億円)支払うことで合意した。
連邦地裁のジェームズ・セルナ判事がこの和解を認めると、合意により、最大1600万台にも上る乗用車所有者に対する支払いないし新規の安全装置が提供される。和解ではトヨタは過失を認めていない。また和解の結果、長期間に及ぶ陪審裁判闘争に伴うリスクが回避できる。
リコールや調査に関連したトヨタの費用は、今回の和解金が11億ドルとすると、総額で31億ドルを突破する公算が大きい。トヨタは2010年当時、リコールと世界全体で失われた販売のコストは合計約20億ドルと推測していたが、これには今回の和解金、法律手数料、米政府からの罰金、そしてその後に発生した追加的なフロアマットのリコールに伴うコストを含んでいなかった。トヨタは総コストを明らかにするのを避けた。
意図しない加速に伴う事故の米政府調査結果は、トヨタ車のエレクトロニクス系統には原因はないとし、大半の事故の原因はドライバーの運転ミスにあると指摘。その他のケースでは、戻りにくくなるアクセルペダルとフロアマットの不具合も事故発生に一定の役割があったとしていた。
トヨタは09−10年のリコールに絡んで、これとは別の訴訟2件に直面している。一件はカリフォルニア州オレンジ郡の消費者保護・不正行為訴訟、他の一件は28州の州司法長官が起こした不公正ビジネス慣行訴訟だ。
トヨタの広報担当者マイク・ミシェルズ氏は「われわれの最も重要な目標の一つは、トヨタ車の安全性を積極的に弁護することだったが、それを実現できたと思う」と述べた。
今回の集団訴訟で、原告側はフロアマットや加速ペダルの不具合ではなく、トヨタの電子式スロットル制御システムの欠陥が加速の原因で、運転者がこれを制御できずに衝突事故を起こしたと主張してきた。
バーマン弁護士によれば、和解金の内訳は、09年9月1日から10年12月31日までに車を値引き価格で売却ないし返却したトヨタ車所有者に2億5000万ドル、ブレーキ・オーバーライド・システム(ブレーキ有線装置=車の暴走を抑制するため、アクセルペダルとブレーキペダルが同時に操作された場合にブレーキの機能を優先する制御メカニズム)で改善できなかった車の所有者に2億5000万ドル、最大325万台にブレーキ・オーバーライド・システムを搭載する費用に2億-4億ドル、拡大保証に4億ドル、弁護士費用に約2億ドルとなっている。
裁判所は原告弁護士の手数料を設定しなければならない。
トヨタは、フロアマットの不具合に関連した問題で米国だけで530万台以上、戻りにくくなるアクセルペダルに関連して追加的に277万台をリコールした。トヨタは、問題が存在すると知った際に迅速に当局に報告しなかったとして米運輸省道路交通安全局(NHTSA)から6600万ドル強の罰金を科されている。2週間前には、米国で販売した「レクサス」のスポーツ用多目的車(SUV)「RX」のフロアマット問題を報告しなかったとして1735万ドルの罰金を命じられたばかりだ。
トヨタのフロアマット問題は09年に明るみになった。当時、非番だったカリフォルニア州の地元警察官がレクサスES350を走行中、制御不能になって事故を起こし、本人を含む4人が死亡した。その後数カ月間、弁護士や車の安全推進団体は、トヨタ車の意図しない加速問題は電子型スロットル制御システムの欠陥によると主張していた。
当初こうした主張を支持していたのは政府機関が収集したデータで、それによれば意図せぬ加速事故は他社の車ではなくトヨタ車に頻繁に発生していることが示されていた。また、これら2種類のリコールに関連しない別の加速上の問題があるとの実際に運転していたドライバーたちの証言もあった。
バーマン弁護士は、今回の和解の結果、トヨタ車にさらに安全装置を装備するなど原告側の目的の幾つかを達成したと述べた。しかし和解では、トヨタのシステムに追加的な欠陥がなお存在していたかどうか証明されなかった。
同弁護士は、和解総額を最大で14億ドルと述べている。これは最大限の補償や修理と装置のコストを想定した金額だという。
関係筋によれば、トヨタ関係者は、同社製乗用車が安全であることを証明できたと考えている。また大規模リコールというスキャンダルから十分に回復したため、同社のイメージを損なうことなく和解できたと考えているという。
トヨタの米国販売は今年に入って11月までで、前年同期比で29%増となっており、市場シェアを2ポイント上げた。世界的には販売台数で再び世界一に復活する可能性がある。
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