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2012/12/25更新
漫画家 藤田和日郎インタビュー
復活『うしおととら』の描き心地から、
連載のきっかけをつかんだコミックグランプリの思い出、
はたまた、これからデビューを目指す新人漫画家へのアドバイスまで、
熱舌で語り尽くした60分 ノーカット版。
インタビュー/少年サンデー編集部、構成・文/輔老心、撮影/平山訓生
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藤田和日郎(ふじたかずひろ)
5月24日、北海道旭川市生まれ。1988年、第22回新人コミック大賞に『連絡船奇譚』で入賞。少年サンデー増刊号でデビュー。翌1989年の第2回少年サンデー コミック・グランプリに『うしおととら』が入賞。1990年より連載開始(1996年まで)。1991年『うしおととら』で、第37回小学館漫画賞(少年部門)を受賞。ほかの作品に『からくりサーカス』。2008年より『月光条例』を連載中。
●体内にキャラクターが生きていた!?
~『うしおととら』が2013年に蘇った理由~
ーーまず驚いたのは絵が変わっていないこと。1996年の最終回から直結した原稿ですね。
でしょ? 思いました? それはいいことですよ! 友人の漫画家・島本和彦さんは『吼えろペン』の中でこのようなことを言っています。「漫画家の体内にキャラクターが『いる/いない』がある。時間が経った後、もう描けない場合は、その漫画家のなかにキャラクターが残っていないんだ」と。僕の場合、ぜんぜん、いました(笑)。あれですわ、進歩してないとも言えますけど。
ーーきっとそういって謙遜すると思っていました。
なんだか、描いていても違和感ないんですよ。きっと体内には『からくりサーカス』の面々もいます(笑)。そんなにカンタンに昔描いたものがなくなりませんて。描いてて面白くて、描きながらニヤニヤ笑ってしまいましたもん。こんな感じだった!って。ペンを持つ手が、一線一線覚えている。
ーーいまとは使っている道具が違うと聞きました。
現在の『月光条例』ではミリペンやプラスティック万年筆を使っているんですけど、『うしおととら』は昔ながらのカブラペンです。今回、久しぶりにこのペンを使ったら感情が乗ってね(笑)。ミリペンは先端が弱いからていねいに線を描くんですよね。ところが、『うしおととら』はガッ、ガッ、ガッ。なんて感情が上手く出るんだろうと。カブラペンはGペンに比べても、先が堅いんです。Gペンは力を入れると先がふにゃっと開きますから、強弱がつくんですけど、カブラは結構堅くて。だから、お察しの通り、筆圧が強いんですね(笑)。
ーーやっぱり! 筆圧、見るからに強いですね。
そうですね。まあ、僕の場合は、ペンも重要ですけれど、なによりホワイト、修正液が重要です。これがないと漫画、描けません(笑)。描く道具はボールペンだっていいんだけど、修正液、命、ですね。それがこのあいだ、どなたか漫画家さんの生原稿を拝見する機会がありまして。そしたら、修正液の跡がないんですよ! びっくりしました。ほかの漫画家さん、間違えないで描くんですか? ほかの原稿って、あんなにきれいだったの!?