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ページ更新時間:2012年12月28日(金) 20時59分

蟹江一家殺傷事件、中国人容疑者起訴

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 2009年に起きた愛知県蟹江町の一家殺傷事件で逮捕された中国人の元留学生が28日、起訴されました。去年1年間、来日した外国人による事件は、検挙された数で見ると1万7000件にも上り、国籍別に見ると45%が中国人と、およそ半数を占めています。まじめだったという元留学生の男が日本に来てなぜ凶悪な犯行に及んだのか。そして、背景に一体何があったのでしょうか。

 「息子が人を殺すなんて、私たちにとっては天地が裂ける思いです。息子がこんなに極端で、ひどいことをするなんて想像もできません」(林被告の父)

 両親が期待を込めて日本に送り出した一人息子。しかし、その息子は凶悪事件の被告として法廷に立つこととなりました。

 3年前、愛知県蟹江町で家族3人が殺傷され、現金が奪われた事件。28日、強盗殺人などの罪で中国人の林振華被告(29)が起訴されました。

 「生活に困っていた。見つかったら殺しても仕方がないと思っていた」(林振華被告)

 事件当時は三重大学の留学生。学費や家賃を滞納し、事件前には万引き事件の罰金として、20万円の支払いにも迫られていたといいます。

 「本当に素晴らしい子だったんだけど、どこで狂ったのかな。100%信じてました」(アルバイト先の店主)

 まじめで礼儀正しいと評判だった林被告。しかし、その裏では万引きなどを繰り返し、その挙げ句の残虐な犯行でした。

 北京から高速鉄道でおよそ1時間半。中国・山東省の済南市。林被告の実家はその済南市の中心部近く、公務員住宅にありました。

 「優秀で大人しい息子がなぜ、人を殺すことが出来たのか。私たちはどうしても理解出来ません」(林被告の父親)

 「私たちは無限の苦しみに陥ってます。今でも夢を見ているようです」(林被告の母親)

 小さい頃から大人しく、けんかもできなかったという林被告。自慢の1人息子でした。決して甘やかすことなく、法律を守るよう厳しく教育。そして20歳の頃、反日教育のためか嫌がる息子を説得し、日本へ留学させました。

 「中国は一人っ子政策のため、親は子どもに非常に期待をしています。日本に行かせて鍛えさせ、成長させて将来のための礎を築いて欲しかったのです」(林被告の父親)

 生活を切り詰め、仕送りをした総額は520万円。だからこそ、金に困って犯行に及んだとは信じられないと言います。

 「日本に行ってからの勉強と仕事のプレッシャーが大き過ぎて、息子は頭がおかしくなってしまったのではないでしょうか」(林被告の父親)

 将来、中国に戻って教師か通訳になってくれることを夢見ていた両親。その願いは絶たれてしまいました。

 「私たちは苦労して息子を育てました。30年間、苦労して育てました。こんな形で親孝行するのですか。日本に留学させるという私たちの選択は間違っていました。(Q.息子のしたことを許せますか?)許せません」(林被告の父親)

 取材の最後、父親が大事そうに、あるものを取り出しました。

 「(ことしの5月)息子が私にくれた唯一のプレゼントです。もったいなくてずっと着られなかった。(Q.着ることが出来る?)わかりません。これを見ると悲しくなります」(林被告の父親)

 異国の地で凶悪犯罪に手を染め、祖国の両親の期待を裏切った林被告。婚約者との結婚も破談になったといいます。そして、警察の取り調べにはこんなことも話していました。

 「今回のことは全部自分の責任だ」(林振華被告)
(28日17:52)