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「今更危険と言われても」 東通・立地自治体、憤り隠せず

 「活断層がある」−。原子力規制委員会の現地調査団が東北電力東通原発(青森県東通村)敷地の断層について示した26日の最終判断は、原子力施設が集中する下北半島に波紋を広げた。

 東通村の越善靖夫村長は役場で記者会見し「数少ない専門家が、このような短い日程で判断を下すことに憤りを感じる。立地地域を混乱させる」と怒りをあらわにした。
 東北電の再調査を待たず、調査団が年明けに報告書をまとめることも批判。「新政権の下、過去の安全審査に関わった専門家を含め、幅広く議論して判断すべきだ」と訴えた。
 村商工会の幹部は「原発事業には、村の産業界を挙げて40年協力してきた。今更、活断層で危険と言われても困る」と不安を募らせた。
 東通原発に勤務する東北電の社員は約270人。大半が村周辺に住む。年1回の定期検査には、最も多い時期で1日約1500人の作業員が来る。村の人口(約7100人)の2割以上だ。3カ月前後滞在し、宿泊や飲食関連で地域経済を潤してきた。
 下北半島では、電源開発大間原発(大間町)や使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の周辺海域でも、活断層の存在が疑われている。規制委の田中俊一委員長は「下北全体の調査は、いずれはやらないといけない」と話している。
 大間町の金沢満春町長は「原子力業界が逆風を受けている。全国の立地自治体と共に原発の安全性を確立し、国民の理解を得られるよう努めていきたい」と険しい表情。
 活断層の危険性を指摘してきた市民団体「下北の原発・核燃を考える会」代表委員の櫛部孝行さん(71)=むつ市=は「活断層とはっきりした以上、再稼働すべきではない。耐震補強で済むレベルではなく、原子炉の設置認可を取り消すべきだ」と判断を支持した。


2012年12月27日木曜日


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