民主マニフェスト、エネルギー・経済政策で自民との違い鮮明に

2012年 11月 27日 20:28 JST
 
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[東京 27日 ロイター] 野田佳彦首相(民主党代表)は27日、12月16日投開票の衆院選で掲げるマニフェスト(政権公約)を発表し、エネルギー政策で自民党との違いを強く打ち出し、経済政策では、最終的に雇用増につなげることが柱になるとの方針を明確にした。

前回2009年衆院選マニフェストでは主要政策の財源や工程表を明示したが、多くが達成できなかった教訓と反省から、今回は財源や数値目標盛り込まず、柔軟に対応できる現実路線に徹した。

会見で野田首相は「まだ道半ばの改革も数多くあるが、改革をさらに前に進めるか、後退させるかが問われる戦いだ」と訴え、社会保障制度改革、経済、エネルギー政策、外交・安全保障、政治改革の5分野をあげ改革を前に進める覚悟を強調した。

<経済政策の柱は最終的な雇用増、業界依存の自民党との違い鮮明に>

経済政策では、企業収益が改善しても所得や雇用増につながらない経済政策は意味がないと強調。世界の需要も取り込む発想をもち、「最終的に雇用につなげることを経済政策の柱としたい」と訴えた。

同席した細野豪志政調会長は、予算編成で公共事業を削減し社会保障を充実させる「コンクリートから人へ」の流れは変わらないと指摘。自民党の国土強靭化計画などをあげ「公共事業型の政策を復活させようとしている自民党とは全く違う。業界に依存した自民党と、国民の声を代弁して政策を行う民主党とは、立ち位置は全く違う」と訴え、自民党と経済政策面の違いを強調した。

<エネルギー政策で他党との違い鮮明に、野田首相「ぶれすに前へ」>

エネルギー政策では「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入する」と明記し「『原発ゼロ』を必ず実現する」方針を盛り込んだ。一方で「結論先送りのなし崩し的な原発維持も、実現可能性を無視した即時原発ゼロも、無責任だ」とし、自民党など他党を批判。会見で野田首相は「大きな方針をぶれなく前に着実に進めていく」と決意を語った。

<TPPでは、後退感残る>

焦点の環太平洋連携協定(TPP)では、推進方針を示したが、党内の反対派の意見も尊重し交渉参加は明記せず「政府が判断する」との表現にとどまった。野田首相は「外交交渉に係る問題で最後は政府が判断するそのプロセスの帰着点を明確にした。後退でもなんでもない」と説明したが、「日中韓FTAなどど同時並行的に進める」としていた当初案からの後退感は否めない。

<「実現性の高い現実的な」マニフェスト>

政権奪還後の3年間、民主党は09年衆院選マニフェストに明記した政策の実現ではことごとく修正を迫られた。財源の見通しの甘さが背景だが、その教訓に立ち、今回は、財源や数値を盛り込まず、「柔軟な対応ができるよう現実的なものとしてまとめた」(野田首相)という。そのうえで、野田首相は「実現の苦労も経験した。苦労したから、止めるのではなく、より進化させ、マニフェストに掲げて訴えることが政治の基本となる」とも語り、今回マニフェストに盛り込まれた内容は「今まで以上に実現性の高い現実的なマニフェストになっている」と胸を張った。

消費増税については「2014年4月に消費税率を(8%に)引き上げる」方針と、「2015年10月に再引き上げ」の方針を記し、民主党として消費増税を追認した。

細野政調会長は2014年4月の消費増税を控えて「足元の経済を底上げしていくことに尽きる。大規模な補正予算を組まなければならない」とし、「来年の春から秋にかけて、経済をこれ以上落ち込むことがないよう支え、デフレを脱却させる。それをやった上で消費増税を国民にお願いする」と増税に耐えうる経済環境の整備に努める考えを強調した。

(ロイターニュース 吉川 裕子)

*内容を追加して再送します。

 
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