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野田佳彦首相(民主党代表)や自民党の安倍晋三総裁ら10党の党首が29日、衆院解散後初めて一堂に集まり、党首討論に臨んだ。民主、自民、第三極が激しく互いを牽制(けんせい)したが、首相が望む安倍氏との一対一の討論は持ち越しとなった。
党首討論は、インターネット動画番組「ニコニコ動画」で行われ、民主、自民のほか、日本未来の党や公明、共産、みんな、社民、新党大地、国民新、新党日本の各党首が参加した。日本維新の会と新党改革は欠席した。
首相と安倍氏による直接対決は、今月14日の国会での党首討論以来。首相が再討論を呼びかけたのに対し、安倍氏が「ニコ動」の場を指定した。ネット配信のみでテレビ中継はされなかった。
野田氏は消費増税法成立の実績を説明し、「平和国家の理念を堅持しながら現実的な外交安全保障戦略を進める」と強調。「企業団体献金の禁止、脱世襲を先頭に立ってやっていく」と述べ、立候補予定者に世襲が多い自民党を挑発した。
これに対し、安倍氏は「失われた日米同盟関係を再び信頼ある関係に変えていく」と民主党政権の外交政策を批判。デフレ脱却のため、2%の物価上昇目標(インフレターゲット)を定めた協定を日本銀行と結ぶ必要性も訴えた。
28日に党を立ち上げたばかりの日本未来の党の嘉田由紀子代表は「右でも左でもない、未来への安心を埋め込んだ日本社会」を目指す考えを示したうえで、「原発政策から卒業するプログラムを確実に出していく」と強調。消費増税凍結を掲げ、歳出削減が先決だと訴えた。社民党の福島瑞穂党首は「社民党は元祖脱原発、元祖護憲の政党」とアピールした。
原発政策をめぐっては、安倍氏が「10年間でエネルギーのベストミックスを考えていきたい」と方向性を示さなかったが、それ以外の党首は脱原発を目指すべきだと主張した。
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〈ニコニコ動画〉 ドワンゴ(本社・東京)の子会社が2006年に開設した国内最大級の動画投稿サイト。07年12月、テレビ局のように自ら制作した番組を配信する「ニコニコ生放送」を始めた。10年11月には、テレビへの露出を抑えていた小沢一郎氏が出演して注目を集めた。無料の会員制サービスで、会員は約2948万人。回線混雑時に優先視聴できる有料会員は約175万人(9月末現在)。