核燃サイクル:秘密会議問題 原子力委、報道対応で口止め 電事連幹部へメール

毎日新聞 2012年12月29日 東京朝刊

 原発推進側による秘密会議問題を巡り、毎日新聞が情報公開で入手した文書の中に、事実を報道機関に明かさないよう口止めする電子メールが含まれていた。表題(件名)は「駄目押し」。内閣府原子力委員会側が電力10社で作る電気事業連合会幹部に発信したもので「関係者に徹底」するよう要請していた。【核燃サイクル取材班】

 メールは毎日新聞が初めて報道した5月24日午後1時55分、原子力委事務局を務める内閣府原子力政策担当室の上席政策調査員(当時)が送信した。

 「駄目押しですが(報道機関から)問い合わせがあった場合には『(秘密会議で)配布された資料の中に(有識者会議で使用予定の文書の原案が)含まれていたが、説明も議論もしていない』について、関係者に徹底願います。『その場で議論していた』とは答えないように願います」

 さらに上席調査員は午後2時13分、別のメールを官邸に送信した。「総理レク用資料」として「勉強会の概要」と題したA4判1ページの文書を添付。秘密会議の出席者名や開催場所などに続き「(原案は)議論として取り上げず資料配布のみ」とうそを記載していた。

 上席調査員は7月、出向元の日本原子力発電に戻った。原子力政策担当室は「メール送信は当人(元上席調査員)の判断で行った。不適切な事態と受け止めている」としている。元上席調査員は毎日新聞の取材に「答えられない」と取材を拒否した。

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 ■解説

 ◇根深い「ムラ」の病巣

 原発推進側による秘密会議を巡り原子力委員会が官邸に虚偽報告した問題は、「原子力ムラ」の病巣の根深さを改めて見せつける。

 入手した別のメールには「六ケ所再処理(工場)について日本原燃のコメントを受けたもの(議案)を代理(鈴木達治郎・委員長代理)に確認いただき了承いただきました」(4月26日発信)との記載がある。再処理工場を経営し、直接の利害関係を持つ日本原燃が、小委員会で使用予定の議案に口出しし、修正させているのだ。

 6〜8月に調査を実施した内閣府の検証チームはこれらのメールの存在を把握していた。しかし「マンパワーも時間も不足」(関係者)しており、事業者の意向で議案がどうゆがめられたのかが解明できなかった。第三者による徹底調査を求める声を無視し、内部調査にとどめた細野豪志原発事故担当相(当時)の責任は重い。

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