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第1回
第1回
インタビューアー 元光文社 常務H氏


赤川さんのシリーズものは、どれもが長寿番組ですが、9月に出た『菫色(すみれいろ)のハンドバッグ』(光文社文庫)は、とてもユニークなシリーズです。はじめ15歳の少女だった主人公の杉原莢香(さやか)が、毎年9月に刊行されるときには、読者と一緒に1歳ずつ成長していて、今や38歳になりました。

こんなに長く続けるつもりはなかったんですが、書いていると愛着が湧いてきて。もう少し続けるつもりです。

「リアルタイム小説」とでもいうのでしょうか。世界的に見ても、珍しいでしょう?

よその国では難しいでしょうね。出版事情もちがうし。
主人公を取り巻く環境が変わっていくわけですから、世の中の変化をどれだけ反映させたらよいか、気を使います。
ただ、東日本大震災や原発問題は、事柄が大きすぎるので、これは別にしたほうがいいのかな……と。

この莢香シリーズは、タイトルが絶妙ですね。第1冊目の『若草色のポシェット』以来、『○○色の××(カタカナ)』というパターンですが、よくまあ24冊も思いつかれましたね。

色と片仮名の組み合わせを、自分で作っておきながら、今になって困っています。最初にそれで始めちゃったんで、今更変えられず、大変なんです。
しかも、前作を書いているうちに(毎年雑誌などに連載)、予告をするから次のタイトルをくれと言われて、中味を考えるヒマもなくタイトルだけ決めてしまうと、あとで話を合わせなければならず、ひと苦労です。

利休鼠(りきゅうねずみ)なんていう色が出てきたときには(『利休鼠のララバイー28歳の冬』)、どんな色なのか、辞典を引いてしまいました。

あれは苦しまぎれです。今回のように、菫色もまた使っていなかった、ハンドバッグもまだ、と思いついたときは、ホントうれしかった。(笑) いいタイトルを思いつくと、書きやすいものです。


赤川さんのクラシック音楽好きは、よく知られているところですが、朝日新聞の劇評コラム(「三毛猫ホームズの芸術三昧」)などを見ますと、人形浄瑠璃(じょうるり)や歌舞伎もよくご覧になっているようですが。

和物(わもの)を楽しみはじめたのは、文学に始まってここ20年も経っていないかな。見はじめると、面白さが分かってきて。
歌舞伎は同じ演目でも、いろんな人がやりますし、知り合いになった人が出ると、見ないわけにはいかないから、増えることはあっても、減ることはありません。

オペラなんかも?

オペラは高いので、少し余裕ができてからでした。ぼくはマイクを使うより、生(なま)の音声が好きなので、どちらかというとミュージカルを一番見ていないかな。劇団四季の「夢から醒(さ)めた夢(赤川さんの原作)」は別ですが……。

演劇もご覧になっていますね。

日本は上演期間が短いので、見逃さないようにするのに気を使います。長期間、役者さんを押さえきれないんでしょうね。

新聞のコラムでは、劇評だけでなく、原発問題やオリンピック招致の動きなどに対して、はっきりと意見を表明なさっています。

大手のマスコミが、広告主に対する遠慮なのか、あまり問題にしなさすぎると思うんです。災害や原発についても、責任の追求がされていない。
あのとき、なにも言わなかったじゃないか、といわれたくないので、せっかくコラムや小説を書く場を与えられているので、言うべきことは言っておこうと思ったのです。

近頃は、作家でちゃんと発言する人が減りましたね。井上ひさしさん、高村薫さんが亡くなって、赤川さんのほかには池澤夏樹さんくらいでしょうか。作品を通してなら、演劇では永井愛さん。

亡くなった城山三郎さんとか。演劇や音楽の世界でも、心ある人は沢山いるはずですが、あの人たちは億単位のスポンサーを見つけなければ成り立たない仕事なのです。そこへいくと、作家は紙とペンがあればいいのだから、誰にも遠慮なく言いやすい職業のはずです。

昔のミステリー作家は、特に社会派でなくても、基本的に反権力の風潮がありましたよね。

だって、扱っている犯罪だって、社会のひずみなんですから。いまは逆の発言をする人は多いけど……。

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