振り込め詐欺、再び増加 京都府内被害額、昨年の3倍
京都府内で今年1~11月に発生した振り込め詐欺の被害額が、昨年1年間の約3倍に当たる約1億1200万円に上っていることが、府警への取材で分かった。近年、京都で下火になっていたおれおれ詐欺や還付金詐欺が再び増える傾向にあり、1人当たりの被害も高額化している。
振り込め詐欺の被害額は2008年に3億円を超えて以降減少を続け、昨年は約3800万円まで減ったが、今年に入って再び増加に転じた。認知件数も年々減っていたが、今年は11月末現在で42件に上り、すでに昨年1年を4件上回った。被害者は65歳以上の高齢者が約7割を占める。
子や孫を装い金を詐取するおれおれ詐欺の被害額は、昨年の約100万円から今年は約8千万円に急増。息子に成り済まして「不倫が相手の夫にばれた」と偽り、示談金名目に金を詐取する事件が続発した。医療費を還付すると偽る事件も相次ぎ、被害額は昨年の約30万円に対し、今年は約2千万円に上った。
今年は封筒や小包で現金を郵送させる手口が目立つ。金融機関が警戒を強めている現金自動預払機(ATM)での送金を避けるとともに、ATMの限度額を超えて金をだまし取る狙いがあるとみられる。宮津市では2月、70代女性が5回に分けて計約2600万円を犯行グループに郵送する事件が起きた。
府警生活安全企画課は「おれおれ詐欺や還付金詐欺に対する市民の危機意識の薄れに犯行グループがつけ込んでいるのでは」と分析する。
府警は8月から、被害防止を訴える戸別訪問に乗り出している。予防策として、子を名乗る電話がかかって金の話が出たら警察に連絡する▽電話にはすぐに出ず、まず留守番電話で受ける▽家族が繰り返し高齢者に注意を促す-などの対策を呼び掛けている。
【 2012年12月29日 09時30分 】