危険な玩具を讃える
by John Biggs on 2012年12月28日

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子どものころおやじが、火薬は硝酸カリと硫黄と炭でできている、と教えてくれた。鉄を加えると赤い炎が出るし、酸が試験管を腐食することはない、とも言った。その後、地下室で何でも作っていいぞ、自分は新聞でも読んでる、口出し手出しはしない、と言った。

相当昔のことだ。今は何もかも変わった。The New York Timesのこの記事が言ってるように、手製の爆弾を作れる時代は遠くへ去った。なお、ぼくの場合は作った火薬をトイレットペーパーの芯に詰めただけだから、殺傷力のある鉄パイプ爆弾を作ったわけではない。

SmartLab Toysの社長Jim Beckerは、“要するに科学キットの中には食べても無害なものしか入れてはならない”、と言う。彼自身も子どものころに、子ども用の化学キットで科学物質の名前を覚えた。その中には、かなり前に玩具への使用を禁じられた物質も入っていた。”

今のわれわれは、子どもたちが学ぶ科学を去勢しなければならないし、Mythbustersのような番組を作れば子どもたちが楽しみながらSTEM学科(科学、技術、工学、数学)に興味を持つようになる、という願いを放棄しなければならない。かつては、子どもたちにEstesのエンジンと紙の筒を与えてロケット科学者を育てた。今では自分が広大な未開拓地を所有していないかぎり、模型のロケットを打ち上げることはできない(ぼくが住んでるニューヨークでは、誰にもできないということ)。

子どもたちにはもはや、危険なもので遊ぶ機会がない。ぼくはこの状態を、変えられるものなら変えたい。そこで息子には輪ゴムを使う初心者用銃を与え、クリスマスの翌日の夜、親子一緒に組み立てた。親の家は裏庭が広いので、そこでRed Ryderを撃って銃の安全性を確認した。できれば、三人の子どもたち全員にぼくが昔使った化学キットを与えて、赤い炎を作る楽しさを味合わせてやりたい。娘にはRoominateを与えて、電子工学への入門を秘かに画策している。子どもたちには、物を壊してほしいし、直し方を自分で見つけてほしい。

ぼくは、物を実際にいじる権利、物に実際に触れる権利を擁護したい。今および近未来は、子どもたちが火星ロケットを作れる世の中であってほしい。子どもたちには、世界がさまざまなリアクションで構成されていることを、体で理解してほしい。そしてそれらのリアクションを計測できることによって、それらを医療や犯罪防止や飢えの解消に役立ててほしい。ぼくの家には3DプリンタMakerbotがあるが、それが家庭にあれば子どもたちが何でも想像して何でも作ってみたくなると思うからだ。たとえば、グリーンのプラスチックで頭蓋骨を作るかもしれない。重要なのは、そういうことなんだ。

禁じられた化学キットと危険なコンデンサーに乾杯。C:ドライブをフォーマットするコードに乾杯。ロボットでも月面ステーションでもモンスターでも何でも作れるエッジの鋭いLegoに乾杯。来年は、子どもたちに硝酸カリと炭と硫黄を入手させ、それを責任感と知性をもって使うよう教えたい。危険なおもちゃに乾杯。

画像出典: GonKiRin the Dragon

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))