HOMEコラム|特集|連載地軸
アクリートくらぶガイドアクリートくらぶログイン
子規の一日一句愛媛の天気Yahoo!

特集地軸2012年12月17日(月)

託する

 負託、信託などの「託」の字。つくりの「」が音を表し、渡す意の語源「度」に由来すると漢和辞典にある。
 もともとの言葉を委ね渡すという意味から、頼る、頼むの意につながった▲
 他人に頼み任せる意の「託する」には「預ける」の意味もある。だが「手紙を託する」は相手に届けるまでの意を含むが、「手紙を預ける」は預けておくだけの場合も。中村明著「日本語 語感の辞典」(岩波書店)は、そう注記する▲
 衆院選は、自民党が絶対安定多数確保の圧勝。公明党との連立で政権を託された。前回「ノー」を突き付けられた自民が、3年余でどう生まれ変わったのか。有権者は1票に、その意を強く込めたに違いない▲
 惨敗した民主党。現職閣僚の落選が現行憲法下で最多を数えるほど、つらい審判が下った。乱立状態の第三極も結局、「風」を起こせなかった。託されなかった1票には、不満や不信、失望が渦巻いていたのでは▲
 政権交代という民意の大きなうねりだ。なのに重苦しさがつきまとうのはなぜか。政権党には委ねたくない票が回ってきた「敵失」の証しではあろう。何より投票率が大幅に低下したことと無縁ではないはず▲
 有権者も選挙で終わりではない。信を預けておくだけの「お任せ民主主義」では、政治の怠惰や暴走を許しかねない。託し、託された1票の重みを、じっくりかみしめたい。

ロード中 関連記事を取得中...
   
Copyright(c) The Ehime Shimbun Co.,Ltd. All rights reserved.
掲載している記事、写真などを許可なく転載、複製などに利用することはできません。
プライバシーポリシー著作権・リンク
愛媛新聞社のウェブサイトについてのご意見は、氏名・連絡先を明記のうえ、愛媛新聞社へ。